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お知らせ

「高齢者施設での新型コロナウイルス感染防止に関する要望書」に対する市の回答への見解

2021年7月16日

日本共産党川崎市議団 団長 宗田裕之

   日本共産党川崎市議団は7月8日、5月末に幸区の高齢者施設で起きた集団感染への対応の問題点などを指摘し、高齢者施設でコロナ陽性者が発生した場合には原則入院との対応を行うことなどを求めた「高齢者施設での新型コロナウイルス感染防止に関する要望書」を市長に提出し、その後記者会見を開きました。

本日、私たちの要望書に対し市長から「回答」がありました。この「回答」に対する日本共産党川崎市議団の見解を発表いたします。

■回答番号1について(「病床がひっ迫していないのに入院措置せず、陽性者は入院という原則が破られた」の部分)

・ 神奈川県の『新型コロナウイルス感染症 高齢者福祉施設における対応の手引き(福祉子どもみらい局福祉部高齢福祉課・2021年4月23日)』では、「県内病床のひっ迫状況や感染者の病状等に応じて」施設内療養をお願いする場合がある、としています。その当時、県内病床は逼迫していなかったこと(重症、中等症~軽症病床とも5月下旬は病床使用率30%台で推移―神奈川県HPより)は要望書で指摘しました。また、市の<説明>では、「感染者の病状等に応じて」の部分に下線が引かれていました。県内病床のほかに「感染者の病状」で判断するというのであれば、なぜ、8人の方が重症化しても入院措置されず亡くなったのでしょうか。県内病床が逼迫しておらず、重症化している方が8人もいたのに施設内療養にしたというのは、明らかに県の手引きとは違います。

・ 市の<説明>では「施設療養を行う場合」として、「感染制御」「施設の構造・職員体制」で判断すると述べています。しかし、施設内療養の判断について、県の手引きには、そのような判断基準は一言もありません。

・ 市の<説明>では「感染者の病状」と「御本人・御家族の思い」をふまえて「適切な対応を図った」と述べています。結局、入院措置の判断を「感染者の病状」と「本人・家族の思い」から判断したと認めました。しかし、県の手引きでは、施設内療養の判断(入院判断)の前提は、「県内病床の状況」と「感染者の病状」となっていますから、これも手引きと違います。

■回答番号2について(「陽性者を施設内療養させたために、施設内での感染を広げ、その他多くの高齢者の命を危険にさらした」の部分

・ 市の<説明>は「施設内で感染を広げた事実はありません」と述べています。しかし、8人の方が重症化しても入院措置されず命を落とした事実に変わりありません。検査機器も治療設備もほとんどない施設で、留め置かれたために重症化して亡くなった方が出ているのです。

■回答番号3について(「家族の『延命措置希望の不明な方は入院困難』とする通知を出した」の部分)

・ 「延命措置(人工呼吸器やECMOなど)の希望の有無の確認」について「望まない方に望まない治療を施すことがなくなる」と述べています。しかし、市の通知では「集中治療・人工呼吸器装着希望(DNAR)の有無の確認」と言っているように、DNARと延命措置を混同しています。DNARとは心肺停止した時の蘇生措置のことです。DNARを望まない方にも、延命措置は必要であり、延命治療を望まない方にも苦痛を取り除くなどの処置は必要です。しかし、この高齢者施設では、そのような設備がないのに留め置かれたのです。

■回答番号4について(「家族の判断で入院判断したことを認めました」「市は一切責任を認めず、家族の判断だとして責任を転嫁した」の部分)

・ 市の<説明>では「医学的な知見」と「当事者の思い」をふまえて「適切な対応を図った」としています。結局、入院の判断を「医学的な知見」と「当事者の思い」で判断したということを認めました。「医学的な知見」と言いながら重症化しても入院措置をせず、「当事者の思い」を根拠に入院判断したのです。これは入院判断を「当事者の思い」家族の判断にゆだねたということではないですか。県の担当者は明確に、入院判断は「家族の判断には委ねない」と述べているように、県の指針とも違います。

■回答番号5について(「市の通知を見て施設は「延命措置を希望しない方は入院措置されないと判断し、市と相談して延命希望されない方は施設内で療養することにした」の部分) 

・ 市の<説明>では「延命措置の確認については・・入院の可否を決めるものではありません」と述べていながら、市の通知では「集中治療・人工呼吸器装着希望の有無の確認を行うこと。不明な場合、入院調整が困難」と述べているように、延命措置と入院調整を結び付けています。このことによって施設も延命措置と入院措置を結びつけてしまったのです。しかし、県の手引きには「急変時にどこまでの医療やケアを希望するか」の確認、とあるだけで、そのことが入院調整とどう関係するかについては一切触れていません。県の担当者は「急変時の医療やケアの希望の確認と入院可否判断は別」と述べているように、「集中治療・人工呼吸器装着希望」や「急変時の医療やケア」の確認を入院の可否と結びつけるのは、県の手引きとも違いますし、間違っています。

   以上のように、県の手引きでは、施設内療養の判断は、「県内病床の状況」と「感染者の病状」から判断することになっていますが、当時、県内病床はひっ迫しておらず、感染者の病状が重症化しても入院措置されなかったことは事実であり、市は県の判断基準と違う対応を取ったことは明らかです。

   県は入院措置の判断は「家族の判断にはゆだねない」としているのに、市は、この判断基準に「当事者の思い」という基準を加えたことを認めました。さらに、市はDNAR(蘇生措置)と延命措置を混同し、これらの希望の有無を入院可否判断に加えました。県は「急変時の医療やケアの希望と入院可否判断は別」と述べ、陽性者は原則入院なのに、市はDNAR、延命措置の希望の有無で入院可否判断をしたのです。DNARを望まない方にも、延命措置は必要であり、延命措置を望まない方にも苦痛を取り除くなどの処置は必要なのに、入院措置とせず重症化して亡くなる方を出したことは、まさに「命の選別」です。入院の可否判断に家族の判断、DNAR、延命措置希望の有無を加えたことは、ご家族に入院判断の責任を転嫁することにつながります。

   このように施設内療養の判断、入院可否判断で県の手引きと違う対応を取り、DNARと延命措置とを混同し、重症化しても入院措置されず亡くなった方を出したにもかかわらず、「適切な対応」だったと強弁し、反省の言葉も一言もありませんでした。このような対応は、市民の命を守る行政、市長として許されないものです。新型コロナの第5波が始まっている現在、二度とこのような事態を起こさないためにも、あらためてこのような対応の原因となった市の通知は撤回し、高齢者・障がい者施設における陽性者は入院という原則に戻すことを求めます。

以上

※市長の回答は、以下の通りです。

20210719103621-0001-1

20210719103621-0001-2

20210719103621-0001-3

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