私たちの提案

第1章 阿部・福田「オール与党」市政の13年半は市民に何をもたらしたか

1、阿部「行革」で徹底した福祉切り捨て、いっそうの市民サービス削減ねらう福田市政

アンケートに寄せられた市民生活の実態

 日本共産党が2014年7月末からおこなった市民アンケートには、「増税前より生活が苦しくなった」と回答した人は76%にものぼりました。増税後の生活の苦しさがびっしりと書かれています。増税が市民生活を苦難に陥れている実態が如実にあらわれています。
 「消費税があがったのに年金は減らされ、国保も介護保険料も上がってひどい」「消費税が8%になっただけで、とても品物が高くなったように思う。これ以上になってパートも辞めたら年金だけでは暮らせない」「食品の消費税だけでも下げてほしいと強く思います」「生活は苦しいです。10%になったらどうなるのか生活がとても心配です」など悲痛な声が寄せられています。中小零細業者も大変です。増税後に廃業に追い込まれた商店もいくつか出ています。高齢者も子育て中の夫婦も業者も本当に大変な状況が切々と語られています。
 消費税だけではありません。食料品など物の値段は上がるのに実質賃金は上がらない、そのうえ、医療・介護・年金制度の改悪、雇用改悪、市民の生活は一層困難にさせられています。川崎市民の年間所得299万円以下世帯は15年間で約2・3倍、399万円以下世帯では約2倍に増え、格差と貧困が広がっています。(下表)
 国の悪政のもとで地方自治体には住民の福祉と暮らしを守る役割を果たすことが求められます。しかし、川崎市はその役割を果たすどころか、相次ぐ福祉切り捨て・負担増で市民生活に追い打ちをかけてきました。

川崎市民の年間所得別世帯数

阿部「行革」で福祉施策バッサリ

 2001年に登場した阿部前市長は、「行革」で福祉・くらしの施策を削減する一方で、不要不急の大型開発にまい進してきました。
 「今のままの市政運営では財政再建団体に転落する」と脅し、革新市政時代に市民らの運動で実現してきた豊かな福祉施策をバッサリと削減する方針を打ち出しました。
 攻撃の矛先が子ども・高齢者・障がい者など弱者に集中していたのが特徴で、大掛かりな福祉切り捨てを行ったのです。まさに「ゆりかごから墓場まで」「乾いた雑巾を絞る」ようなやり方を徹底してきました。
 「改革」の名で市民をいじめる一方で、〝船の来ない港〟の大開発や、臨海部の工場跡地での大規模プロジェクト「京浜臨海部ライフイノベーション総合特区構想」に本格的な税金投入に乗り出し、内陸部では武蔵小杉地区を中心に大手不動産・開発会社だけが大儲けする超高層ビル・拠点開発中心のゆがんだまちづくりを強力に推し進めてきました。

川崎港コンテナターミナル

市民に冷たい市政継承にノーの審判、福田新市長が当選

 こうした市民いじめの『行革』が市民から大きな批判を浴び、2013年の市長選挙では、盤石といわれた前市長の後継者が落選する結果となりました。
 菅自民党官房長官が強力に推した官僚出身の元財政局長は、自・公・民主党推薦という圧倒的な体制の差にもかかわらず、新人の元民主党県議の福田紀彦氏に敗れました。
 当初、マスコミからも「結果が見えていてつまらない選挙」だと評されていたにもかかわらず敗れた背景には、「もう、『行革』は止めてほしい」「大型開発優先を変えてほしい」という市民の声にあらわれていたように、前市長が福祉施策をバッサリ削り、市民に冷たい市政運営を続けてきたことが市民から強い批判を浴びたことが要因だったことは明らかです。
 同時にそれは、『行革』推進路線を強力に後押ししてきた自・公・民の各会派への批判でもありました。

福田新市長、1年目でまたもや“財政が厳しい”論を持ち出す

 福田市長初の予算となった2014年度当初予算の市税収入は過去最大となり、減債基金からの新規借り入れをせずに収支均衡をはかることができ、前市長が常套文句としてきた“財政が厳しい”という言葉は当てはまらない状況となりました。
 ところが、国の交付税が予算上の169億円よりも67億円少なかったことから、2014年度予算の執行の1%抑制を決定。同時に「行財政改革に関する計画」「新たな総合計画」策定方針、「中長期の収支推計」を発表。今後大きく市税収入が増加することは見込めないうえ、「少子高齢化のさらなる進行」から、今後毎年度200億円程度の収支不足が見込まれ、本市の財政は極めて厳しい状況が続くとし(今後10年間で1633億円~3941億円の収支不足と試算)、そのため、市民サービスについてゼロベースで見直し、「スクラップ・アンド・ビルド」の徹底を図ると明言しました。
 これに対しては、市の幹部も、「行革の大きな種は尽きている」と漏らしたと伝えられる一方で、市民負担増の方向性が不可欠とハッパをかけるマスコミも出ています。そして12月議会に等々力陸上競技場の使用料値上げ議案を出したのを皮切りに、今後、公共施設の利用料・使用料を約1・5~3倍に値上げする議案が次々と提案される予定です。

“財政が厳しい”論のウソ

政令市比較 しかし、今後毎年200億円の収支不足が続くことの試算根拠は明らかにされていません。
 川崎市の2013年度の財政力指数は政令市トップであり(左表参照)、来年度以降もこの傾向は続く見込みです。川崎市は毎年約1万人ずつ人口が増え続けており、市の人口推計でも、今後10年以上人口は増え続ける(ピークは16年後の2030年152万人、その後減少に転じるといっても31年後の2045年に現在と同数の人口)と推計されているのです。2013年度から2014年度にかけては市税収入が78億円、市民税だけでも約43億円の増となっており、策定方針の「本市の一般財源の増額はほとんど見込むことができない」というのは、明らかに過小評価だといわなければなりません。
 こうした事実を示しての共産党の追及に対して、市長は、2015年度の194億円の収支不足もその後の毎年度の200億円の収支不足の根拠も何ら示せませんでした。
 それどころか、2014年9月議会では、撤回したとはいえ、自らの政治活動を担う特別秘書2人を年間2200万円もの報酬で置くことを補正予算とともに提案しようとしました。また、2014年12月議会には、羽田連絡道路の整備に向けた調査費として2億円計上。建設会計から、これまでやったことのない2千万円の目的外流用した補正予算付きの計上でした。こうした市政運営は、財政が厳しいという論理を市長自ら否定していることにほかなりません。
 前市長の市民いじめの「行革」市政への批判票を取り込んで当選した福田市長でしたが、半年後の新年度予算では、港湾関係だけで特別会計合わせて150億3700万円余の超大型予算を組み、「国家戦略特区制度を利用したライフイノベーション事業」、1メートル1億円以上の「川崎縦貫道路整備事業」、540億円もかかる「臨港道路東扇島水江町線の整備」、最低でも400億円かかる「羽田連絡道路の整備」、さらに「企業が一番活動しやすい川崎に」と国家戦略特区の具体化に向け、前市長以上に大規模事業を推進する姿勢を打ち出しました。
 結局、“財政が厳しい”ことを強調するのは、市民サービスを削減することを市民に受け入れさせるための口実に過ぎず、市民要求実現の財源はあるのにそれを抑え込んで大規模事業につぎ込むための財源づくりにあるのではないかと言わざるを得ません。

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