私たちの提案

第3章 実現めざし全力をつくします ―日本共産党の重点政策

9、税金ムダづかい、不要不急の大規模開発をやめさせます

1メートル1億円の高速川崎縦貫道路建設を促進

 高速川崎縦貫道路は一部の区間で開通したものの、車がほとんど通らない状況がつづいています。1期ルート(浮島~富士見7・9㎞)のうち、浮島~大師ジャンクション間の5・5㎞まで工事が進んでいます。2014年度までにかかった総事業費はジャンクション工事費も含めて延べ6293億円(うち市負担分644億円)に達しています。着工時の1991年に2500億円と見積もられた総事業費が、距離にして70%の進ちょく段階で当初見込み額の2・5倍以上、1メートル1億円以上もかかっています。
 この計画は2期区間(川崎区富士見~東名高速道路・川崎インター)まで含めると総延長23㎞を結ぶというもので、このまま進めたら、最終的には何兆円規模に膨らむか、わかりません。
 しかし、阿部前市長時代には事実上凍結されていたこの事業を、福田市長は就任直後から推進の立場を明言しています。
 国と自治体の財政を圧迫し、市民生活にしわ寄せする要因になるこの事業は一刻も早く中止すべきです。

京浜臨海部国際戦略特区に莫大な税金投入

 21世紀の成長分野と“期待”される生命科学分野の国際競争拠点を目指す「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」(県・横浜市・川崎市)が国の指定を受けたのは2011年末。医療・健康分野の産業化を進め、成長産業の集積を図ることで日本経済の成長にもつなげるというもので、局長級の担当者を配置した「臨海部国際戦略室」を設置し、阿部前市長は2012年の年頭会見で「特区を経済成長の起爆剤に」と宣言しました。

▼阿部前市長が臨海部に「環境技術やエネルギー、ライフサイエンスなどの先端産業開発拠点の集積をはかる」として臨海部への企業誘致に本格的に乗り出したのは2008年。川崎縦貫道路の代替地として市土地開発公社が先行取得していた水江町の土地(5・6㌶)を市が237億円で購入。ここで新規事業化する企業に貸与したうえ、市と県の助成(インベスト神奈川)と助成の併用も認める助成制度「イノベート川崎」(設備投資費の10%、1件最大10億円まで)まで創設しました。財産条例をわざわざ適用して「固定費」である賃借料も減額する優遇ぶりです。

▼2010年には、国際戦略総合特区に指定された臨海部・殿町3丁目地区のいすゞ自動車工場だった土地の一部(1・3㌶)を都市再生機構から23億円で購入。特区構想を先導する中核機関「実験動物中央研究所・再生医療・新薬開発センター」として活動を開始しているほか、川崎市の環境総合研究所、健康安全研究所が入居する産学公民連携研究所も運用を開始。

▼2012年度からは国立医薬品食品衛生研究所も誘致。移転用地のうち川崎市取得分1・7㌶を3年かけて30億6千万円で購入し、国に対して無償で貸与することも決めました。

▼2013年予算議会で「ものづくりナノ医療イノベーションセンター」事業が国の補助採択されたことを受けて、土地取得費及び施設整備費貸付の補正予算を提案。殿町の特区内に約8千㎡の土地を川崎市がURから16・4億円で購入し、市産業振興財団に貸付け、施設整備費に市が10億円貸し付けるための市債を発行するというもの。土地の取得費は2年間据え置きで、年間1億7800万円を8年間で返済。その財源は、賃料4300万円と土地開発基金から1億3500万円で、賃料で土地の元がとれるのは38年後。10億円の貸付けの償還期限は30年後というもので、市債発行の債務保証も取らず、事業計画・共同事業者の責任範囲など、何ひとつまともな説明ができないままの提案でした。

▼2014年5月には、安倍政権の成長戦略の目玉政策で大胆な規制緩和を推進して企業活動を後押しする「国家戦略特区」(東京圏―神奈川県・成田市・東京9区)に指定。福田市長は「企業が一番活動しやすいまちに」と発言。「医療等の国際的イノベーション拠点整備」として、富裕な外国人への高度な医療の提供、病床規制緩和、保険外併用療養の拡充が盛り込まれています。

 国際戦略総合特区の取り組みにより得られる経済効果について、川崎市の試算では、5年後の経済波及効果を約3千億円、20年後の雇用創出23万人、市場創出額14兆円としていますが、裏付けとなる根拠、資料はほとんどありません。

殿町国際戦略拠点キングスカイフロント

多摩川河口に400億円かけて新たな橋を建設

 羽田空港の再拡張(第4滑走路建設、国際化)に伴い、殿町地区を含む多摩川沿いの一帯(約113㌶)の整備を掲げた「神奈川口構想」。川崎臨海部の企業誘致地区と羽田空港を結ぶ新たな橋=羽田連絡道路を400億円かけて建設する予定でした。国際戦略特区の再生医療の産業化に関与している岡野栄之慶応大学教授は「アジアならどこでも輸出できるよう、ぜひ橋(羽田連絡道路)を造ってもらいたい」、特区に進出している実験動物中央研究所の野村龍太郎理事長も、「連絡道路は単に空港ではなく、アジアをはじめ世界に直結するインフラだ」と促進を要求していましたが、対岸の大田区や市民の反対でストップしていました。
 ところが、福田市長は当選直後から、連絡道路建設推進の立場を表明。2014年5月、国が促進を打ち出したことから、6月議会の所信表明では「国際戦略拠点の形成に大きく貢献する『羽田連絡道路』の早期実現に向けて全力をあげて取り組んでまいります」と述べ、「菅官房長官のリーダーシップと決断に感謝したい」「地元としてやれることは最大限に汗をかきたい」と述べたと新聞報道されました。
 既に2004年からの10年間に調査費用として1億3770万円も支出しているのに、2014年12月議会では、調査費用として2億円の補正予算を計上。そのうえ、2014年度分として国直轄道路事業負担金から2千万円流用するという前代未聞の目的外流用を行ないました。2020年のオリンピック開催までに間に合わせるため補正予算を組んでまで、また異例の流用をしてまで連絡道路推進に拘っていますが、東京都内を競技会場とするオリンピックと羽田連絡道路との関係、市民生活にとって必要性があるのかとの質問にも、市は全く答えられず、強行しようとしています。
 しかし、連絡道路の建設予定地付近では、その上流側に大師線(産業道路)・高速横羽線の橋があり、その5㎞下流側には高速湾岸線の橋があり、さらに国道357号線の整備検討に着手しているときに、川崎側からの交通アクセスを10分短縮するために400億円もかけて新たな橋を架けるのは税金ムダづかいの事業といわざるを得ません。

“船の来ない港”にさらに税金投入

 “船の来ない港”と呼ばれる東扇島川崎港コンテナターミナル。2基体制だったガントリークレーンの稼働実績は、「2基が同時稼働」した日数は、2011年度が年間7日、2012年度が年間8日、2013年度は年間11日だけでした。それなのに、新たに約9億円かけて3基目のガントリークレーンを整備し、2014年から供用開始されました。
 2010年、川崎市は横浜市・東京都との共同で「京浜港国際コンテナ戦略港湾計画」を発表。2013年には「新たな港湾計画」も発表。そこでは、10年後のコンテナ取扱量を7・5倍へと大幅に伸びることを前提として、第2バース・第3バースの整備、コンテナターミナル用地の拡張など、大規模開発が打ち出されました。そのため2014年度予算では1号バースを延伸する工事の設計費が計上され、他の港からコンテナを呼び込むためのコンテナ貨物補助制度も1億3千万円へと大幅に増やしました。現在1バースで年間12・5万TEUの処理能力に対して2014年度の実績は5万2700TEUと、半分以下にとどまっており、4バースまで増設することが、ばく大な過剰投資、税金ムダづかいになることは明らかです。ばく大な税金をつぎ込み、市財政圧迫の要因になりかねない大規模公共事業は中止すべきです。

東扇島~水江町に架ける巨大な橋建設で540億円

 国際コンテナ戦略港湾計画に含まれている臨港道路東扇島水江町線の整備費が2014年予算で約29億円が計上されました。
 この道路を整備する理由としてタンクローリーはトンネルを通ることができないことや、東扇島で働く労働者の災害時の避難緑路として必要と説明されてきましたが、危険なコンビナート工場が集積する水江町に避難するよりも、湾岸道路を使って東京側や横浜側に避難する方が安全です。また、この道路計画は日本一排ガスがひどい池上新町交差点につながり、新たに自動車公害を呼び込む道路だと、公害患者会のみなさんも反対しています。
 臨港道路東扇島水江町線整備の総事業費540億円のうち、橋梁部は483億円で、水江町側の県有地などの土地購入に57億円もかかるとのことです。福祉施設など市民の要求実現のためには用地をほとんど購入しないのに、不要不急の橋を1本架けるためには簡単に用地を購入するというのは逆立ちしています。水江町線の整備は中止すべきです。

2階建て中古車置き場建設に24億円

 福田市長になって初めての2014年度予算は、港湾局関係の総額が一般会計で109億5千万円余、前年比33・5%増、港湾整備事業特別会計で40億8700万円余、前年比26・2%増、合計150億3700万円余の超大型予算となりました。JA全農所有地を15億円で購入する予算が入っています。千鳥町公共ふ頭の再整備として、JA全農所有地と本市所有地の土地交換による施設の再配置について協議してきたものです。
 それが、福田市長が2013年10月に当選した直後の12月、JA全農の要請に応じ交換ではなく購入することを決めたのです。その土地に1億6千万円かけて荷さばき地を拡大整備し、現在モータープールとして使っている交換予定地だった市有地は9億円かけて2階建て立体モータープール(中古車置き場)を建設するというもの。しかし、ばら貨物の年間取扱量は港湾局の予測でも減少または横ばいと見込んでおり、新たに拡大する緊急性はありません。また、完成自動車の保管施設は事業者自身が土地取得し事業費を出すべきで、市が税金を使ってやる事業ではありません。こうした整備計画は見直し、白紙に戻すべきです。

こんな大規模開発を進めてよいでしょうか

《お約束》

  • 税金ムダづかい・不要不急の大規模開発・公共事業を中止・削減させ、予算は自治体ほんらいの使命である福祉・くらしの充実を最優先に使わせます。
  • 1メートル1億円・ばく大な事業費がかかる高速川崎縦貫道路建設は、現在の1期ルートの残工事を中止し、2期ルートの計画も中止にさせます。
  • 市民生活に必要性が薄く多摩川河口の環境を破壊する、400億円(見込額)もの羽田連絡道路建設計画は中止させます。
  • 540億円かかる臨港道路東扇島水江町線は、つくる理由も破たんし、新たに自動車公害を呼びこむことにもなることから、整備中止を求めます。
  • 川崎港コンテナターミナル大拡張計画などの国際コンテナ戦略港湾計画として約1千億円(臨港道路含む)かかる、港湾の大規模開発計画は中止させます。
  • 臨海部の企業誘致のための土地購入や助成制度(イノベート川崎)を改め、土地購入のあり方は市内の福祉・教育施設、公園等の整備目的に重点化します。
  • 地域経済・雇用拡大に結びつかず、ばく大な財政負担が強いられる「国際戦略総合特区」「国家戦略特区」構想に反対します。
  • 千鳥町への立体モータープール建設は市が税金を使ってやる事業ではないことから、約40億円かかる千鳥町再整備計画を見直し白紙に戻すよう求めます。
  • リニア中央新幹線は、安全性に疑問があり、不要不急の大規模事業であり、なおかつ川崎市の自然環境と住環境の破壊になることから、建設中止を国とJR東海に求めていきます。