議会報告

2016年3月22日

福祉・くらし・中小企業優先の予算に~佐野議員が予算組み替え動議を提案


DSC07977sano3月18日の2016年第1回川崎市議会定例会において、日本共産党川崎市議団は予算組替え動議を提出、佐野仁昭議員(川崎区)が代表して提案説明をおこないました。
佐野議員は、新年度予算案で市民の福祉・暮らしや市内中小企業への支援、雇用対策などが極めて不十分である一方で、不要不急な大規模事業への予算は大幅に増えていると指摘して、臨海部国際戦略拠点整備関連事業、臨港道路東扇島水江町線や羽田連絡道路などの建設中止・延期を行い、認可保育園の緊急増設、少人数学級の小学3年生と中学1年生での実現、特別養護老人ホームの増設、住宅リフォーム助成事業の創設、木造住宅の耐震化促進などに資金を回す予算組み替えを提案を行いました。
採決で他党は反対理由を述べることなく反対多数で否決しました。
佐野議員の提案説明予定原稿と動議は次の通りです。

予算組み替え動議の提案説明

私は日本共産党を代表して、2016年度川崎市一般会計予算等の組み替えを求める動議について、提案理由、基本方針及びその内容について説明いたします。
3月8日発表の2015年10~12月期のGDP(国内総生産)は、物価変動を除いた実質で前期比マイナス0.3%、年率換算でマイナス1.1%、GDPの約6割を占める個人消費がマイナス0.9%となっています。
また、総務省が3月1日に公表した2016年1月分の家計調査結果では、2人以上の世帯における実質消費支出は21ヵ月連続の前月割れとなっており、過去2年間、ほぼ毎月消費が減っているという状況です。日本の家計は相当厳しい状況に追い込まれており、消費を増やす余力がほとんどなくなっているのが現実です。
個人消費の低迷は、2014年4月の消費税増税による大打撃に加え、実質賃金が低下を続けていることが大きな原因です。大企業は史上空前の利益をあげる一方で、実質賃金は4年連続で下がっており、勤労者世帯の実質世帯収入は年収ベースで624万円から590万円まで低下しています。
川崎市の雇用者数は、2002年から2012年の10年間で10万4千人増えていますが、非正規労働者の増大で、2012年で年収300万円以下が市内労働者の44%にのぼる一方、年収1500万円以上はほとんど割合が変わらず、所得格差が広がっています。また、市の2014年度の国民健康保険加入者のなかで、所得200万円未満が77.7%、300万円未満は87.6%にのぼっています。市内でも貧困と格差が広がり、市民生活がますます苦しくなっていることがわかります。
こうした中、地方自治体には国の悪政から市民生活を守る防波堤の役割を果たすことが求められますが、新年度予算案では、市民の福祉・暮らしや市内中小企業への支援、雇用対策などは極めて不十分なものとなっています。
その一方で、不要不急な大規模事業への予算は大幅に増えています。港湾関係予算では、コンテナ1号岸壁の延伸に向けた付帯施設の設計費など国際戦略港湾関連で約23億7160万円、東扇島堀込部埋立土地造成事業に約2億4021万円、臨港道路東扇島水江町線の整備に約49億9559万円など、一般会計と特別会計を合わせると約76億円に上り依然として多額の予算が計上されています。国際戦略拠点整備関連では約7億4450万円羽田連絡道路の整備関連で約2億4398万円、高速川崎縦貫道路整備関連では約2億3413万円など、不要不急な大規模事業への予算は約90億円にものぼります。
わが党は、市民生活を支えるための緊急課題に絞って、次の組替えの基
本方針及び内容により2016年度予算案の再提出を求めるものです。
組替えの基本方針は、
第1に、子育て世代の賃金・経済状況が悪化する中で、共働きをしなければ生活できない世帯が急増しており、かつてない勢いで保育園ニーズが高まっていることから認可保育園の緊急増設を行なうとともに、小児医療費助成制度の所得制限を撤廃し、中学生まで拡充する。一人ひとりの子どもに目がゆきとどき、学習・生活指導などあらゆる面から教育条件を改善する有効策として、少人数学級を小学3年生と中学1年生で実現することなどです。
第2に、高齢者に増税・負担が集中している状況下で、安心して介護を受けられるよう、介護援助手当を復活、特別養護老人ホームを増設し、人材確保が困難な介護老人福祉施設等に職員の定着・確保を図るための支援を行う。削減した障害者支援施設等運営費の市単独定率加算を復活する。非課税世帯などの低所得の障がい者の医療費を無料にし、重度障害者等入院時食事代補助制度を復活する。敬老祝金・長寿夫妻記念品を復活することなどです。
第3に、貧困と格差が拡大している状況下で被保護世帯への上下水道料金の減免及び入浴援護事業の復活により、低所得世帯への生活応援を図る。とりわけ、「子どもの貧困」が深刻化する中で、小・中学校の自然教室の食事代補助、生活保護・就学援助世帯の入学祝金・修学旅行支度金・卒業アルバム代補助、就学援助世帯への眼鏡支給・社会見学等の実費支給補助を復活するとともに、補助範囲をPTA会費、生徒会費、体育実技用具費等にも拡充する。市立定時制高校の夜食代補助を復活する。高校奨学金の予算を増額し、受給資格のある生徒全員が受けられるようにすることなどです。
第4に、中小企業活性化条例の施行にふさわしく、工場の家賃や機械リース代などの固定費補助制度創設で中小・零細企業者を直接下支えする。建設業の振興とともに経済波及効果が大きく、市民にも喜ばれる住宅リフォーム助成事業を創設する。雇用を巡る環境が厳しい中、こうした取組により雇用拡大を図ることです。
第5に、防災対策の第1の要である旧耐震基準の木造住宅の耐震化促進を図るため、助成対象件数を増やすことです。
第6に、国際戦略港湾計画や臨海部の基盤整備等への投資、臨港道路東扇島水江町線及び羽田連絡道路など市民生活にとって必要性が示されない2本の橋の整備、高速川崎縦貫道路など、不要不急の大規模事業を中止・延期することで、一般会計の市債発行を抑制し、後年度負担の軽減を図ることです。

組み替えの内容ですが、歳入予算として、臨海部国際戦略拠点整備関連事業、国際戦略港湾整備関連事業、東扇島堀込部埋立土地造成事業、高速川崎縦貫道路関連事業、臨港道路東扇島水江町線や羽田連絡道路などの建設中止・延期や、競輪施設等整備事業基金、競輪事業運営基金、港湾整備事業基金、土地開発基金等当面使用する予定のない基金からの借り入れなどで、約60億円を確保します。
歳出予算として、提案いたしましたアからテまでの事業に充当するものです。この組み替えによる総事業費は約87億円、一般財源で約60億円です。市債の発行は約34億円削減できます。
さまざまな負担増で市民のみなさんの生活が苦しさを増しているなか、こうした市民生活の実態に思いを寄せる議員各位のご賛同を心から呼びかけ、予算組み替えの提案説明とさせていただきます。

共産党が提出した動議

「議案第44号 平成28年度川崎市一般会計予算」等の組替えを求める 動議の提出について

上記の動議を別紙のとおり、川崎市議会会議規則第15条の規定により提出い たします。

平成28年3月14日

川崎市議会議長 石田康博 様

提出者 川崎市議会議員 市古映美
                〃             石田和子
                〃             佐野仁昭
                〃             斉藤隆司
                〃             石川建二
                〃             井口真美
                〃             勝又光江
                〃             大庭裕子
                〃             渡辺学
                〃             宗田裕之
                〃             片柳進

「議案第44号 平成28年度川崎市一般会計予算」等の組替えを求める 動議

「議案第44号 平成28年度川崎市一般会計予算」、「議案第45号 平成 28年度川崎市競輪事業特別会計予算」、「議案第52号 平成28年度川崎市 港湾整備事業特別会計予算」、「議案第56号 平成28年度川崎市公共用地先 行取得等事業特別会計予算」、「議案第59号 平成28年度川崎市下水道事業 会計予算」、「議案第60号 平成28年度川崎市水道事業会計予算」について、 市長は別紙要領により速やかに組替えをなし、再提出することを要求する。

(別 紙)

1 組替えを求める理由 3月8日発表の2015年10月~12月期のGDP(国内総生産)は、物価変動を除いた実質で前期比マイナス0.3%、年率換算でマイナス1.1%、 GDPの約6割を占める個人消費がマイナス0.9%となっている。
個人消費の低迷は、2014年4月の消費税増税による家計への大打撃に 加え、実質賃金が低下を続けていることが大きな原因となっている。大企業は 史上空前の利益を上げる一方で、実質賃金は4年連続で下がっており、勤労者 世帯の実質世帯収入は年収ベースで624万円から590万円まで低下してい る。
川崎市の雇用者数は、2002年から2012年の10年間で10.4万人 増えているものの、非正規労働者が増大していることなどから、2012年で 年収300万円以下は6万人増で市内労働者の44%に上る一方、年収150 0万円以上はほとんど割合が変わらず、貧困と格差が市内でも広がっており、 市民生活はますます苦しくなっている。
こうした中、地方自治体には国の悪政から市民生活を守る防波堤の役割を果 たすことが求められているが、新年度予算案は、市民の福祉や暮らし、市内中 小企業への支援、雇用対策などについては極めて不十分なものとなっている。
その一方で、不要不急な大規模事業への予算は大幅に増えている。港湾関係 の予算では、コンテナ1号岸壁の延伸に向けた付帯施設の設計費など国際戦略 港湾関連で約23億7,160万円、東扇島堀込部埋立土地整備事業に約2億 4,021万円、臨港道路東扇島水江町線の整備に約49億9,559万円な ど、一般会計と特別会計を合わせると約76億円に上り、依然として多額の予 算が計上されている。そのほかにも、国際戦略拠点整備関連で約7億4,45 0万円、羽田連絡道路の整備関連で約2億4,398万円などが予算計上され ている。
我が党は、市民生活を支えるための緊急課題に絞って、次の組替えの基本方 針及び内容により2016年度予算案の再提出を求めるものである。

2 組替えの基本方針 子育て世代の賃金・経済状況が悪化する中で、共働きをしなければ生活できない世帯が急増しており、かつてない勢いで保育園ニーズが高まっている ことから認可保育園の緊急増設を行うとともに、小児医療費助成制度の所得 制限を撤廃し、中学生まで拡充する。一人ひとりの子どもに目がゆきとどき、 学習・生活指導などあらゆる面から教育条件を改善する有効策として、少人数学級を小学3年生と中学1年生で実現する。 高齢者に増税・負担が集中している状況下で、安心して介護を受けられるよう、介護援助手当を復活、特別養護老人ホームを増設し、人材確保が困難 な介護老人福祉施設等に職員の定着・確保を図るための支援を行う。削減し た障害者支援施設等運営費の市単独定率加算を復活する。非課税世帯などの 低所得の障がい者の医療費を無料にし、重度障害者等入院時食事代補助制度 を復活する。敬老祝金・長寿夫妻記念品を復活する。
貧困と格差が拡大している状況下で被保護世帯への上下水道料金の減免及 び入浴援護事業の復活により、低所得世帯への生活応援を図る。とりわけ、 「子どもの貧困」が深刻化する中で、小・中学校の自然教室の食事代補助、 生活保護・就学援助世帯の入学祝金・修学旅行支度金・卒業アルバム代補助、 就学援助世帯への眼鏡支給・社会見学等の実費支給補助を復活するとともに、 補助範囲をPTA会費、生徒会費、体育実技用具費等にも拡充する。市立定 時制高校の夜食代補助を復活する。高校奨学金の予算を増額し、受給資格の ある生徒全員が受けられるようにする。
中小企業活性化条例の施行にふさわしく、工場の家賃や機械リース代など の固定費補助制度創設で中小・零細企業者を直接下支えする。建設業の振興 とともに経済波及効果が大きく、市民にも喜ばれる住宅リフォーム助成事業 を創設する。雇用を巡る環境が厳しい中、こうした取組により雇用拡大を図 る。
防災対策の第1の要である旧耐震基準の木造住宅の耐震化促進を図るため、 助成対象件数を増やす。
国際戦略港湾計画や臨海部の基盤整備等への投資、臨港道路東扇島水江町 線及び羽田連絡道路など市民生活にとって必要性が示されない2本の橋の整 備、高速川崎縦貫道路など、不要不急の大規模事業を中止・延期することで、 一般会計の市債発行を抑制し、後年度負担の軽減を図る。

3 組替えの内容 不要不急の大規模事業の中止と基金からの借入れなどにより、後年度負担を軽減するとともに、約60億円を確保し、次の「 歳出予算の組替え」に掲 げた施策を実施する。

歳入予算等の組替え

ア 国際戦略港湾整備関連事業(港湾改修事業、川崎港利用促進コンテナ貨物補助制度、千鳥町再整備の事業等)の中止(市債発行の抑制約4億4,200万円)
イ 東扇島掘込部埋立土地造成事業(調査設計等)(港湾整備事業特別会計約2億4,021万円)
ウ 臨港道路東扇島水江町線整備の推進事業の中止(市債発行の抑制約40億2,100万円)
エ 臨海部国際戦略拠点整備関連事業(臨海部の競争力強化事業、国際戦略拠点マネジメント推進事業、先端産業立地促進事業(イノベート川崎)等)の中止(約5億6,680万円)
オ 羽田連絡道路の整備関連事業の中止(約9,280万円)
カ 高速川崎縦貫道路関連事業(川崎縦貫道市負担金、縦貫道関連409号新設改築等)の中止(約2,000万円、市債発行の抑制約1億4,140万円)
キ 競輪施設等整備事業基金(約11.1億円)、競輪事業運営基金(約9.6億円)、港湾整備事業基金(約36.5億円)、土地開発基金(約5.5 億円)等の当面使用する予定のない基金から借入れ(約53億円)

歳出予算の組替え

ア 介護援助手当の復活
イ 特別養護老人ホームの緊急増設
ウ 特別養護老人ホーム・介護老人保健施設の人材確保のための補助
エ 敬老祝金・長寿夫妻記念品の復活
オ 障害者支援施設等運営費の市単独定率加算の復活
カ 障がい者で低所得1、2の方の医療費の無料化
キ 重度障害者等の入院時食事代補助の復活
ク 被保護世帯への上下水道料金の基本料金減免の復活
ケ 被保護世帯入浴援護事業の復活
コ 小児医療費助成の所得制限を撤廃し、中学生まで無料化
サ 認可保育園の緊急増設
シ 少人数学級を小学3年生まで拡充し、中学1年生でも実施する。
ス 小・中学校の就学援助費の復活(生活保護世帯等への入学祝金・修学旅行支度金、眼鏡支給・卒業記念品費・社会見学費等)と拡充(学用品費、PTA会費、生徒会費、体育実技用具費等)
セ 小・中学校の自然教室の食事代補助の復活
ソ 定時制高校夜食費の復活
タ 高校奨学金を2004年度の実績に戻す。
チ 木造住宅の耐震補強工事への補助拡充
ツ 中小・零細企業への固定費(貸工場の家賃、機械のリース代等)の補助
テ 住宅リフォーム助成制度の創設