議会報告

2017年6月22日

必要のない羽田連絡道路整備やめよ~斉藤隆司議員が代表討論


DSC032992017年第2回川崎市議会定例会の6月22日、斉藤隆司議員(多摩区)が日本共産党を代表して、今議会の諸議案について代表討論を行いました。

斉藤議員は、羽田連絡道路の整備について、市民生活にとっての必要性を何一つ説明することができず、殿町地区の住環境と多摩川河口干潟の貴重な自然環境を破壊する事業であることから必要のない事業として、同道路の築造請負契約の締結(議案73号)に反対を表明。

川崎市福祉センター跡地活用施設(公共施設部分)の取得(議案第80号)について、整備される南部リハビリセンターで日中活動も実現することを要望して賛成することを表明。

年金の毎月支給を求める意見書を国に提出することに関する請願について、年金生活者の切実な要望であることから、システム改修に費用がかかるとしてもせめて毎月の年金支給を実施すべきとして、賛成を表明しました。(この請願は自民、公明、民み等の反対により不採択となりました)

共産党は議案20件のうち19件に賛成しました。

斉藤議員の討論予定原稿は次の通りです。(議事録ではありません)

日本共産党 代表討論

私は日本共産党を代表して、今議会に提案された諸議案について討論を行ないます。

議案第69号 川崎市保育園条例の一部を改正する条例の制定についてです

この議案は、公設公営保育園4園の民設民営化に伴う廃止議案です。私どもは、保育の継続性と公平性を担保し、公設として、地域の子育て支援などに大きな役割を果たす公立保育園を民営化すべきでないと反対してきました。また、近年の保育士の人材確保が大変厳しくなっていることからも、民営化すべきでないと考えます。よって、この議案には賛成できません。

議案第73号都市計画道路殿町羽田空港線ほか道路築造工事請負契約の締結についてです

本議案は羽田連絡道路の建設を設計施工一括方式で 217 億円余の契約をするというものですが、羽田連絡道路整備は必要ないと考えるものです。
第1に、市民生活にとっての必要性を何一つ説明できないということです。これまでの議会論戦で、災害時の避難経路になるという理由も成り立たなくなり、最近は「渡河(とか)ルートの多重化」、川を渡るルートを増やすとしか言えなくなっています。
羽田連絡道路の予定地は、大師橋から、わずか1.5キロメートルの地点であり、完成しても、川崎市民にとっては羽田空港までのアクセスは、わずか5分短縮するだけです。しかも、その3.6キロしか離れていない河口側では、浮島と羽田空港がつながる「国道357号多摩川トンネル」、総事業費1280億円(市負担分220億円)の整備がすでに着工されており、地理的にも時期的にも、まさに「二重投資」です。これらが完成すれば、多摩川河口から5キロ圏内に多摩川を渡る道路(橋かトンネル)が5本も集中することになります。この点からも羽田連絡道路は必要ありません。
第2に、殿町地区の住環境と貴重な自然環境を破壊する事業だということです。
わが党の「羽田からの交通量が増加すれば産業道路へ抜ける格好の抜け道になり、人身事故が増加する可能性がある」との指摘に対し、この間の質疑で「殿町地区を含め交通量や流れの変化が見込まれる」と認めました。川崎側に新たな自動車公害と事故の危険性を呼び込む道路になります。
また、貴重な自然の生態系が残る首都圏最大の多摩川河口干潟を壊す事業です。この地域は国士交通省の指定する「生態系保持空間」であり、全人類的見地から、学術的に価値づけられる、広域的にみた貴重な生態系を保持しようとするこの空間は、「人と車両も出入り禁止であり、唯一許されているのは、学術研究等のためだけとされている」ことを指摘しました。この空間に入らず工事をどう進めるのか」と質しましたが、「橋脚を 10 メートル離す」「専門家の意見を聞きながら、モニタリング調査を行っていく」とのことで、環境が保全される工事ができるといった答弁ではありませんでした。
代表質問では、市長は「環境影響評価審査書を遵守していく」と答弁されました。浚渫工事面積は 1万2700㎡、土量は20万2350㎥にもおよびます。審査書では、浚渫による環境の変化を非常に懸念しているとし、「浚渫箇所を回復させることについては、不確実性が高く、高い技術レベルが要求される」「浚渫箇所およびその周辺の保全・回復計画については、 なるべく早い段階で専門家の意見を聞いたうえで具体案を策定すること」としています。委員会の質疑で「保全・回復計画」は、いまだ検討されていないこともわかりました。これでは自然は守ることはできません。
以上から、本議案には賛成できません。

議案第80号川崎市福祉センター跡地活用施設(公共施設部分)の取得についてです

川崎市福祉センターは、児童・高齢者・障がい児者等の幅広い層の人たちが利用できる総合福祉施設として、まさに福祉の拠点施設として活用されてきました。いくつかの施設はその機能が移転しましたが、南部リハビリテーションセンター、障がい者支援施設、特別養護老人ホーム等が整備されることで、期待も高まっています。
 南部リハビリテーションセンターが整備されることから、高次脳機能障害の家族の方からは、ここにも北部リハビリテーションセンターのように、日中活動も可能の施設として整備されることを期待をしていました。ところが、質疑では、ここは相談機能だけで、日中活動は電車等で北部リハビリセンターに行ってほしい、との答弁でした。局長は次期ノーマライゼーションプランのなかで、方向性をだすと答弁されましたが、南部地域に暮らす高次脳機能障害の方や家族の方のつよい要望を受け止めていただき、日中活動も可能な整備の実現を要望して、議案には賛成します。

請願第32号 年金の毎月支給を求める意見書を国に提出することに関する請願についてです

毎年行われている年金の削減を停止し、物価上昇に見合った増額にしてほしい、との声は年金暮らしをしている高齢者にとって切実です。せめて、高齢者が安い年金で計画的に暮らしていくために年金支給を毎月に変更してほしい、という請願です。
川崎でも65歳以上のひとり暮らし高齢者が増え、認知症の高齢者の増加もあります。家族のフォローがむずかしいケースも増えているのではないでしょうか。2ヵ月に1回の支給で金銭管理ができなくて、近隣の方や友人に借金をしてトラブルになるケースも危惧されます。
 審査のなかで、昨年度、政令指定都市国保・年金主管部課長会議要望書でも一致して「老齢基礎年金等の支給額等を改善されたい。年金受給者となってからも現役時代の生活習慣をそのまま継続しやすいよう年金の支給期日を隔月から毎月へ変更されるよう併せて要望」がだされていることがわかりました。
 国はこれを実施するには、システム改修などの課題があるとしているようですが、政令指定都市が一致して国に要望した事実は、それだけ、年金生活者の切実な要望だということです。世界的にみると、支給を月々にしている国、なかには週単位で支給している国もあります。システム改修などに経費がかかるとしても、高齢者のさまざまな実態をふまえれば、せめて毎月の年金支給を実施すべきです。以上の立場から、請願第32号の採択に賛成です。

以上の立場から、議案第69号、議案第73号については反対、その他の議案、請願については賛成・同意することを表明して討論を終わります。