議会報告

2018年3月19日

生活保護基準引き下げに反対〜大庭議員が意見書提案


IMG 55483月16日の第1回川崎市議会定例会で日本共産党の大庭裕子議員(中原区)が、意見書案第6号「生活保護基準の引下げに反対する意見書」の提案説明を行いました。同意見書案には日本共産党のほか、無所属議員が賛成しましたが、自民党、公明党などの反対で否決されました。

提案した意見書は次の通りです。

「生活保護基準の引下げに反対する意見書」(案)

厚生労働省は、平成29年12月8日、生活扶助基準、母子加算及び児童養育加算の 引下げを社会保障審議会生活保護基準部会に提示し、同月14日の同部会の報告書を受け て、平成30年10月から生活扶助費を3年間で最大5%引き下げ、母子加算は平均で月 額4,000円、児童養育加算の3歳未満児は月額5,000円を引き下げる方針を示し、 生活保護費は3年間で国費160億円が削減される見込みとなった。

生活扶助基準の見直しにおいては、生活扶助基準と所得が下位10%に属する一般低 所得世帯の消費水準とを対比するが、生活保護の捕捉率は2割程度と言われ、一般低所得 世帯には生活保護以下の生活をしている世帯が多数含まれることから、生活扶助基準のほ うが高くなるのは当然であり、検証方法に問題があると言える。

生活扶助基準は、既に平成25年から段階的に引き下げられ、平成27年には住宅扶 助基準及び冬季加算も削減されており、これ以上引き下げられれば、生活保護世帯の厳し い生活を更に追い詰めることになる。

また、生活扶助基準の引下げは、最低賃金、国民健康保険、介護保険、保育料、就学 援助など様々な制度に影響を及ぼし、生活保護を受給していない市民全般の生活水準の引 下げにもつながるものであり、実際、平成25年に生活扶助基準が引き下げられたときに は、就学援助の基準が下がる自治体が続出したほか、年金、医療、介護といったあらゆる 社会保障制度が削減されて自己負担が増え、今や市民生活全般が危機に陥っている。

神奈川県弁護士会の会長声明によると、横浜市、川崎市を始めとする都市部の子ども のいる世帯と高齢世帯において生活保護基準の大幅な引下げが見込まれ、貧困の再生産を 助長しかねないとされていることからも、今求められることは生活保護基準の引下げでは なく、一般低所得世帯にも生活保護世帯にも必要な支援を行い、暮らしの底上げを図るこ とである。

よって、国におかれては、市民の生活を支えるセーフティーネットを痛めつけること となる生活保護基準の引下げをされないよう強く要望するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。