議会報告

2009年10月8日

2009年第3回川崎市議会定例会(9月議会) 佐野仁昭議員の代表質問


2009年第3回市議会定例会で、9月15日、日本共産党の佐野仁昭議員が代表質問をおこないました。その概要をおしらせします。

市長の「行革」効果額は過大な水増しだった

市民に痛みを押し付けてきた行財政改革について、市長がその効果額の累計を629億円としているのは過大な水増しだと批判したのに対し、市長は「わかりやすくするため」などと、市民を欺く答弁に終始しました。

市長が自衛隊を応援すると表明

阿部市長は、2007年から平和に関する市民団体の取り組みへの後援を拒否してきました。その一方、自衛隊が、入隊予定者を激励し現職自衛官が入隊を訴える「神奈川自衛隊音楽まつり」や、防衛大学儀仗隊が舞台で隊列を組んで本物の銃を取り回し、会場内で空砲を発砲する「川崎音楽まつり」は後援。まさに自衛隊の広報そのものであった事実を指摘。「核兵器廃絶平和都市宣言」を発信した精神に反すると批判したのに対し、市長は、自衛隊の「趣旨に賛同し、奨励の意を表し」て後援することにしたと表明しました。

子育て支援策について

小児医療費助成制度の拡充について、所得制限によって約25%(就学前の6歳児は約32%)が助成を受けられず、児童手当がもらえない世帯は小児医療費助成も受けられない事実を示し、東京都は23区すべてで中学卒業まで通院・入院とも所得制限なしで医療費が無料であることと対比して、所得制限の撤廃と中学卒業まで拡充するよう求めました。

私立幼稚園保育料補助の拡充を

2009年5月の私立幼稚園の定員超過率は112.7%で、その上、本市の幼稚園入園料と保育料平均は17政令市中一番高額で、全国平均より入園年度で年間18万円も高いと指摘。経済的に就園が困難な世帯に市独自の上乗せ補助を行うよう求めました。

保育緊急5か年計画の改定について

認可保育所の定員を約3,000人増やすとの骨子が示されたが、市の調査からしても、これでは待機児童は解消されないと指摘。5,000人の定員増を図るよう要求。認可外保育施設との保育料などの不公平を是正することも求めました。

就学援助制度―メガネ支給の復活を

川崎市の就学援助の認定基準は生活保護基準と同等と低いことを指摘、拡充を要求。視力低下が子どもの学ぶ機会を失わないよう行革で削られたメガネ支給と卒業アルバム代の支給を復活することを要求。児童生徒全員に受給申請書を配布するよう要求しました。

道徳副読本を文科省の誤った説明を鵜呑みにし、個人購入とした件で、保護者負担にしないよう要求。

中学校ランチサービスは喫食率が1.5%になり、1人も注文がない中学校も。多額の費用をかけた効果はないことから中学校給食に踏み出すよう要求。

特別養護老人ホームについて

特養ホームの待機者は現在5,134人。政令市比較でワースト2という事実を示し、抜本的な増設を要求。ホテルコストへの補助も要求。また、精神医療付加金制度の復活を求めました。

雇用問題・中小企業支援について

派遣切りが川崎でも広がっている中で、市長に大企業に対して申し入れるよう求めてきましたが、市長は大企業の判断に任せるという態度に終始。しかし、今年3月末にはJFEスチールの下請け会社に勤める約20人の契約社員が雇用を打ち切られる事態が発生している事実を指摘、改めて要求したのに対し、市長は大企業をかばう姿勢に終始しました。

中小企業への家賃や固定費補助をおこなうことや、「小口零細資金緊急特別融資」を世田谷区のように、金利をゼロにした制度に改善することなどを要求。

商業振興について

07年商業統計調査結果では、店舗数では幸区で155店増えたが、ラゾーナ川崎プラザで200店増を差し引くと45店の減。川崎区127店の減、中原区でも104店の減。年間商品販売額では幸区は380億円の増だが、ラゾーナ川崎が384億円なので既存4繁華街の販売額は4億5347万円の減で、川崎区は53億1081万円の減、中原区も15億4662万円の減。これでは、ラゾーナ川崎だけは栄えても周辺の繁華街や商店は衰退してしまうと批判。商店街の実態に合った助成をするよう要求。

多摩区商連の発行したプレミアム付き商品券はわずか5ヵ月で完売した事実を示し、市内経済の活性化に意義があり、プレミアム分と印刷費用を本市が負担し補助するよう要求。

地球温暖化対策に取り組む商店街を支援するため、国の09年度補正予算事業として街路灯のLED化が進められているが、2011年までなので、それ以降も市単独で補助を継続するよう要求。

防災について

本市では、旧耐震基準木造建物6万2千戸に対し、08年度までに1680件の耐震診断に対して149件の改修工事件数にとどまっている事実を指摘。横浜市のように、補助を率でなく金額でおこない、1戸あたりの補助額を50万円から一般世帯150万円、非課税世帯250万円に引き上げるよう要求。

鹿島田駅西部地区再開発事業について、

関係権利者の生活再建をどうすすめていくか、標準画地の価格を平方メートル当たり54万円と判定した根拠について、どの近傍類似の土地の取引価格を参考にしたのかなどただしました。

コミュニティー交通について

本市では「交通空白・不便地域」という概念さえ用いなくなったことをただしたのに対し、市長は「坂が多い丘陵地や路線バスが利用しにくい地域」と言い換えたうえで、「現状を良く知る地域の方々の受益者負担が原則」という、自治体の役割を放棄するような答弁を行ないました。

旧県立川崎南高校の解体工事において、敷地内のアスベストの確認、周辺への飛散状況の確認など、川崎市としておこなうよう要求。

多摩川連絡道路について、わずか10分を短縮するために400億円もかけて新たに橋を架けるのは税金の無駄遣いだと指摘。

水道料金の改定について、今回の改定は、一般家庭をはじめとする500トンまでの区分では料金は据え置かれたままで、1000トン以上の区分になるラゾーナのような大型商業施設、大型小売店舗は1店舗だけでも1年間約1600万円前後の値下げになることが明らかになりました。