議会報告

2009年12月17日

2009年第4回市議会定例会で市古映美議員がおこなった代表質問要旨


2009年川崎市議会第4回定例会で、12月9日、日本共産党の市古てるみ副団長が代表質問をおこないました。その質問要旨をお知らせします。

市長「行革効果」なくば福祉充実なしの立場

市古議員は、市長選後初の議会となる本議会で市長が「市政運営の基本的考え方」で依然として「行革の効果がなければ福祉の充実はない」という立場をとっていることを批判。

雇用情勢の悪化が勤労者の所得を引き下げ、市税収入の見通しにも暗い影を落としていると指摘。市民の願いでもある福祉を充実させながら雇用を広げ、経済波及効果も追求していくことが自治体の責務だとただしました。しかし市長は、「地域経営の視点」で市民サービスをおこなうとの答弁に終始しました。

機構改革について

今議会では、スポーツ・文化に関することなどを教育委員会から市長部局への移管や、環境局緑政部を建設局に統合し建設緑政局とする、上下水道局を設置して地方公営企業法を全部適用するなどの機構改革がなされました。

市古議員は、教育委員会から市長部局への移管について、社会教育は戦前の社会教育が国民総動員法のもとで国民を統制するために利用され、天皇奉仕を強制した歴史の反省から自由・自主性が認められるべきだとされてきた経過を示し、市長部局への移管中止を求めました。

緑政部を建設局に移すことは緑保全が後退する懸念があること、独立採算制を経営原則とする地方公営企業法の全部適用は、川崎南部を中心に老朽化した下水管の更新時期を迎える中、施設整備の負担が下水道料金に転嫁される可能性があると指摘。

私立幼稚園保育料補助拡充を

国の補助があるAランクからDランクまでの補助対象について、市の単独加算を新設するよう要求。

保育園の待機児解消を

10月1日現在入所できない児童は3,352名にのぼっているのに、保育緊急5か年計画の改訂では今年の分を含めた3年間で3000人分しか定員増となっていないと指摘。待機児童を解消できるよう実態に合った計画にするよう要求。

認可保育所に申請して入所できなかった児童の受入れを担っている認可外施設に対する支援も要求。

認可保育所の最低基準を国が大都市に限って緩和する方針について、厚労省の委託研究報告書でも「現行の最低基準以上が必要」とされていることを紹介し、最低基準を満たした保育所の増設を求めました。

公立保育園の民営化について

民営化の根拠がこの間破たんしてきた事実を示し、児童が保護者の選んだ保育園で満了期間まで保育を受ける権利があることは、小田中保育園の判決や横浜市の保護者が訴えた最高裁の判決で確定的なものになっていることを紹介し、この権利を侵害する民営化をやめるよう求めました。

市長は公約(小児医療費、障害者施策)を守れ
市長の公約-子どもの医療費助成の拡充を

高校生への短期保険証交付が自治体の裁量に委ねられている事実を示し、川崎市も交付するよう要求。

無条件で短期保険証が交付されたとしても、3割負担が重く医者にかかれない実態があります。市長が「市政運営の考え方」や選挙公約で「小児医療費助成を拡充する」と明言している事実を紹介し、所得制限なしで中学生までの医療費無料化を実施するよう迫りました。

市長は「総合的に検討する」と答えため、市古議員は「市民への公約を守るのは当然ではないか」と厳しく批判しました。

就学援助制度の拡充ーメガネ代など復活を

学校生活で私費として負担する額が重くなっている事実を示し、この間「行革」で削減された就学援助費の卒業アルバム代、メガネ支給などを復活するよう要求。

全国学力テストについて

文科省は来年度は抽出方式にしますが、自治体が希望すれば実質的な悉皆調査になってしまうことから、市の姿勢をただしたのに対し、教育長は「希望しない」と答えました。

市長の公約-障害者施策の充実を

市長が選挙中、障害者団体の公開質問状への回答で、事業所への補助、移動支援の制度の改善、心身障害者手当の継続を約束しており、その実現を迫ったのに対し、市長は「国の動向を踏まえて」と答弁。市古議員は公約違反を厳しく批判しました。

新型インフルエンザで障害者が施設を利用できず事業所の収入減の事実を示し、緊急策を要求したのに対し、「欠席時対応加算が受けられる」との答弁にとどまりました。
後期高齢者医療の保険料が来年4月の改定で全国平均約13.8%増加するとされている事実を示し、国に廃止を要望するよう求めました。

特養人ホームの整備を急げ

10月1日現在の待機者は5,311人で、市が平成25年時点で推計している5,035人を大きく超えているのに、1,225床の整備目標しかないと批判。民有地の借り上げも積極的にすすめ、計画の上乗せをし、受け入れを増やすよう要求しました。
 
国民健康保険料などの滞納債権対策の改善を

国民健康保険料滞納分の分納の相談に区役所をたずねた市民に担当者が滞納分については2年間の24回で納入し、かつ当年度分も合わせて納入できなければ分納誓約は認められない、よって保険証も交付できないという対応をしているが、これは市の対応原則と異なると指摘したのに対し、健康福祉局長が改善を約束。

雇用対策の強化を

川崎市の雇用環境は5人に1人しか仕事がない状況である実態を示し、昨年以上の新たな雇用を川崎市独自で増やすよう要求。政府もハローワークでのワンストップサービスなどを取り組んでいるが、窓口に行っても相談だけで、住宅手当の相談はハローワークで休職証明書をもらった上で別な場所で申請、生活保護も区役所に行かなければならないことから、市古議員は、全ての申請を一度で受け付けるような対応を要求。

市立高校就職内定率は全日制で71%、定時制では39%であ事実を示し、市が独自にあっせんや直接雇用の拡大など、対策を強化することや、岩手県北上市のように、企業からの要望を聞き取り、卒業後2年間で必要な技術者の養成を行い、質の高い人材を育てている事業を行なうよう求めました。

中小・零細業者へ固定費補助などの支援を

大阪の八尾市や八王子市で行なっている固定費への補助の検討を求めました。市長が、「市政運営の基本的考え方」で述べた融資制度の拡充について、他都市では、すでにゼロ金利での融資も行われていることを示し、更なる充実を要求。

商店街への支援策について

地域密着型のプレミアム付き商品券の発行について、地域経済の振興を思い切って進めるためにも宣伝費・チケット印刷代と、プレミアム代の2分の1を支援し、今後、希望する商店街への補助を行うべきですが伺います。

商店街街路灯のLED化への補助を2011年度意向も実施するよう要求。

生活コア商業活性化支援事業の見直しが進められ、 イベントの事業内容を年3回評価を行い、支援を厚くする商店会と薄くする商店会とにふるいにかけられます。これは頑張ろうとしている商店会の意欲を削ぐ結果につながると批判。また、書類提出が早まることで商店会への重荷となることが危惧されると指摘。現在の補助率は経費の50%までと定めながらも予算額が決まっているからと実際の補助率は平均25%です。新しい審査会による評価制度では9割以上のイベントが「B」に評価されるとされ、補助率20%とされます。これでは事実上補助率の引き下げになるのではないか、ただしました。

公契約条例の制定を

千葉県野田市で今年9月制定された公契約条例を紹介し、建設業に携わる労働者の賃金の低下状況を重視するならば、国に公契約法の制定を働き掛けると同時に、本市でも公契約条例の制定に踏み出すよう要求しました。

鹿島田駅西部地区市街地再開発事業について

最大の床保有予定者であった医療機関が撤退し、公共性ゆえに85億円もの公費が補助金として投入されることとなっていますが、その公共性の最大のよりどころであった医療施設の見込みが断たれたことはこの事業の目的が根本から問われると指摘。医療施設ができることで事業推進に賛成した権利者や市民の期待を裏切るものであり、そのことについての説明責任を果たさないまま、事業推進を強引にすすめることは許されないとただしました。

小・中校へのデジタル放送対応テレビ取得について

株式会社有隣堂川崎店と株式会社神奈川ウチダシステムの2社だけとの契約となっているが、市古議員は地元業者に仕事が受注されるようにもっと細かく分割して発注するなど工夫すべきであったと指摘。また、16本のうち14本は外業者株式会社ウチダシステムで、2本は準市内の株式会社有隣堂川崎店が落札しているが、両社ともテレビ1台当たり156,345円と同額になっていること、ウチダシステムが辞退した所に有隣堂が応札し、有隣堂が辞退した所にウチダシステムが応札しており、これは、両社が事前に相談したのではないかと疑われる極めて不自然な契約だと指摘しました。

地球温暖化対策条例について

今回出された条例案は、東京都の積極的な内容に改正される前の現行条例を参考にしていると側聞しますが、東京都ではすでに、実効性に欠けるということで罰則規定を設け、規制を強化していますが、なぜ、そうした到達点を踏まえ罰則も設けた内容になっていないのか、伺しました。

財団法人かながわ廃棄物処理事業団の解散についてもこれ以上の市民負担増がないか質問しました。