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2019年9月17日

市民の安全最優先し撤回を~大庭議員が代表質問


IMG_76389月11日の川崎市議会第4回定例会で、日本共産党の大庭裕議員(中原区)が代表質問し、国が羽田空港発着便を増やすために川崎市上空などを低空飛行しようと計画している新ルートの問題で、福田紀彦市長をただしました。

大庭議員は、新ルートは離陸直後に多摩川河口干潟を横切るため、鳥との衝突事故(バードストライク)発生の危険性が高い上、その先のルート下には住宅街と石油コンビナートしかなく、大事故に直結すると指摘。国の対策は大きな音で鳥を威嚇するなどで、多摩川河口では実施できないと説明しました。

コンビナート上空の飛行については、その危険性から、1966年に議会が全会一致で「即刻、工業地帯を飛行禁止区域に」とする意見書を採択し、その後、行政・市長も一体に要求し、国にコンビナート上空の飛行を禁止する通知(1970年)を出させたと述べ、市民と労働者の命と安全を守るため、新ルード撤回を国に求めるべきだと主張しました。

福田市長は、コンビナート上空の飛行を認めるのかとの質問にはまともに答えず「国際競争力の強化に向けて、羽田空港の機能強化の必要性を認識している」と述べ、事実上、コンビナート上空の飛行を容認する立場を表明しました。飛行禁止区域の今後の取り扱いなどは「国が責任を持って対応する」として、新ルート撤回には応じませんでした。

大庭議員の質問原稿はつぎの通りです(議事録ではありません)

日本共産党代表質問

私は、日本共産党を代表して2019年第4回定例会に提案された諸議案、ならびに市政一般について質問を行ないます。

市長の政治姿勢についてです。

消費税増税について、市長に伺います。

安倍政権は、10月1日から、消費税の税率10%への増税を強行しようとしています。しかし、日本経済は、長期にわたって消費の低迷が続き、国際経済は、米中貿易紛争がエスカレートし、下振れリスクを警告する声が相次いでおり経済情勢の悪化は鮮明となっています。こうした中での消費税の増税は、世界経済にとっても日本経済にとっても無謀です。

安倍首相は、先の参院選で「信任を得た」といいますが、投票日のマスコミの出口調査でも、この間の新聞の世論調査でも増税に「反対」が多数です。さらに複数税率に伴う「インボイス」導入に、日本商工会議所など中小企業団体がこぞって反対をしています。

川崎市に与える影響も甚大です。市の一般会計の影響額は、年間で27億円、特別会計では3.1億円の負担増、企業会計でも11億円の負担増となります。市民にとっては、水道料金、下水道使用料、バス料金などの値上げが予定され、施設使用料・手数料も2021年から値上げが計画されています。今年3月の川崎市内中堅・中小企業経営実態調査レポートでの「増税による業績への影響見通し」では、「かなり悪影響」「悪影響」と答えた企業は、43.1%にも上ります。このように消費税増税は、川崎市民・市の財政への負担増、市内中小企業への悪影響につながります。市長は、国に対してきっぱり消費税増税中止を求めるべきと思いますが、見解を伺います。

2018年度決算の特徴について、市長に伺います。

2018年度一般会計決算では、歳入は前年度比で146億2500万円増の7153億1600万円、歳出は153億7800万円増の7128億9200万円となり、実質収支は1億9200万円のプラスとなりました。歳入では、市税収入が前年度比で418億9100万円増の3530億7700万円で、6年連続の増収で5年連続の過去最高を記録しました。これは、個人市民税394億6200万円の増、固定資産税16億4900万円の増など、県費負担教職員の市費移管、人口増、市民からの税収増によるものです。川崎市の人口増加率は政令市で最も高く、人口推計でも今後11年間は増加を続けるため市税収入の増加は今後10年間は続くと予想されます。

財政力指数は、引き続き政令市トップで1を超え、4年連続、政令市で唯一の普通交付税、不交付団体となっています。基準財政収入額が前年度より大幅に増え、財政力指数は前年度より増加して1.016となり財政力をさらに強めています。財政健全化指標についても、すべての指標で早期健全化基準を大きく下回り、極めて優良です。以上のように18年度決算では、財政が厳しいという指標はどこにも見当たりません。

しかし、18年度の「決算見込みの概要について」では、依然として「厳しい財政環境」と述べています。この「財政が厳しい」という根拠についてです。この間の質疑では「減債基金からの借入」を厳しい理由に挙げています。しかし、減債基金は一般会計分でみると100億円積み増しをして2304億円となりました。一人当たりの市債残高は政令市平均以下なのに、減債基金残高は政令市平均の2倍にもなりますし、これは取崩額、いわゆる市債への償還額の7年分にあたります。減債基金からの借入額累計432億円を差し引いても現在の実質残高は、約1900億円にもなり、政令市平均の4年分をはるかに上回ります。8年後には3058億円と市税収入額に匹敵するほどになります。本市の8年後の残高は、その間の平均取崩額の8年分にもなり、他の政令市平均の4年分と比べると金額にして約1600億円も多くなります。以上のように、現時点でも将来的にも「減債基金からの借入」を「財政が厳しい」根拠とすることはできないし、それ以上に他都市と比べて残高の金額が多すぎます。川崎市にとって8年後、3000億円を超えるような減債基金残高がなぜ必要なのか、市長に伺います。

この間の質疑では「収支不足が出ている」ことも「財政が厳しい」理由にしていました。18年度の「決算見込みの概要」でも収支で足りない分を「減債基金から133億円の新規借入」で補うとしています。ところが減債基金は、18年度決算では453億円も積み立てをして、100億円も積み増しをしています。本来なら収支の足りない分は、減債基金の積立額から減らして対応すれば収支不足も出ないし、借り入れる必要もありません。他の政令市もそういう基金を取り崩して対応するのが普通であり、減債基金から借り入れて収支不足に対応している政令市は川崎市だけです。市長は、積立金を減らして対応することについて、将来的に「市債の償還財源の確保に支障をきたす」という答弁でした。しかし、減債基金からの借入をせずに、積立額を減らして対応しても10年後の減債基金残高は2807億円、取崩額の9年分、実質公債費比率は9.1%で全く問題はありません。

さらに市長は、「扶助費の増大」を「財政が厳しい」理由に挙げています。扶助費は、前年度比で46億円増ですが、これは保育所増設等のためにどうしても必要な費用であり、増加した部分のほとんどは国や県からの補助から賄われるので、扶助費の経常収支比率は18.6%にすぎません。しかも、一人当たりの扶助費の額は引き続き政令市平均を下回っています。一方、一人当たりの個人市民税は、政令市平均より2万円以上高く、政令市トップの8万4000円です。市民にとっては、政令市で最も高い市民税を払っているのに福祉の予算は平均以下で、納得できるものではありません。「福祉の増進」という地方自治体の役割からみても、「社会保障費の増大」を「財政が厳しい」という根拠にすべきではありません、市長の見解を伺います。

以上のように、減債基金からの借入、収支不足、扶助費の増大は、どれも「財政が厳しい」という根拠にはなりません。これ以外に「財政が厳しい」という根拠はあるのか、伺います。

人権条例素案についてです。                

ヘイトスピーチ規制部分についてです。

川崎市ではヘイトスピーチが繰り返される中でヘイトスピーチを許さない市民のみなさんによる運動が粘り強く取り組まれてきました。こうした中でヘイトスピーチをする人々を包囲する運動が大きく広がっています。私たちも2014年から皆さんたちと連携しながら一緒に取り組んできたところです。ヘイトスピーチは断じて許すことのできないものであり、こうした粘り強い運動・要請に応え、川崎市が今回、条例提案を行なったことは、皆さんの運動の成果であり、私たちも歓迎するものです。 

さて、本条例では地方自治体の条例でははじめて罰則が設けられることになります。罰則を付すには憲法31条罪刑法定主義によりどういう場合に罰せられるのか構成要件が明確でなければなりません。そこで構成要件の明確性について何点か伺います。

本素案は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の禁止」を明記し、違反者には「50万円以下の罰金に処する」と罰則が科される内容となっています。

罰金を科される構成要件たる「本邦外出身者に対する『不当な差別的言動』」の定義について市は「法による」としています。ヘイトスピーチ解消法第2条に定義する「不当な差別的言動」の文言について、国会審議でわが党の仁比議員が紹介したように、国連人権理事会特別報告者デビッド・ケイ氏が「ヘイトスピーチの定義が曖昧なまま規制すれば表現の自由に悪影響を及ぼす可能性がある」、獨協大学右崎正博教授も「『不当な差別的言動』という言葉は曖昧であり、言論と行為を区別すべきだ」と指摘しています。審議の中でも「不当な」という概念が評価も含めて広範、曖昧ではないか、「差別的」という表現、用語が曖昧ではないかと懸念が示されたところです。

6月24日の文教委員会審議でも私たちは「不当な」「差別的言動」について、また、類型として示されている『あおり』『著しく侮蔑』などの文言についても曖昧さを指摘して明確化を求めました。

この点については、神奈川弁護士会の弁護士らが、本条例に罰則規定を設けることが許容されるとしても、その刑罰規定の内容が憲法に違反してはならない。憲法は31条以下で適正手続を保障しており、刑罰は適正に定められることが必要であり、手続及び犯罪構成要件が明確でなければならないし、刑罰の対象となる行為は限定されなければならない。こうした点について本件条例素案には懸念される部分が散見されるという意見を出しています。この中で「保護法益」「3回の違反行為の内容」「行政不服審査等との関係」や、「特定の国もしくは地域」「あおり」「侮蔑」などの用語、「手段」などについて、より明確化または限定化が必要としているのは重要です。

「『あおり』という概念は不明確であるため具体的にどのような行為を指すのかより明確化することが必要」、「『侮蔑』という用語は刑法上の侮辱罪の場合と異なり、法律上明確ではなく、広く解釈することが可能であり、『著しく』という限定があるとしても、処罰されるべき法益侵害行為を超えた過度に広範な規制であるという懸念があるため、対象行為を限定すべく、より明確な定めとすべき」とされています。

また、『多数の者が一斉に大声で連呼する』という手段の類型について、『多数』『一斉に』『大声』という要件の認定においては主観的評価が求められるため、明確性に欠ける傾向を否定できない。具体的にどのような行為がこの『手段』に該当するのか、より明確にする必要がある、などとされています。

これらの点は、罪刑法定主義の趣旨による構成要件として明確化すべきだと指摘してきた私たちの主張と同じものです。これらの指摘を受け、その後、どのように検討したのか、結果について伺います。

人権「全般」条例という点についてです。

 今回の条例は人権「全般」条例であり、障害者、女性、こども、LGBTなどについても規定しています。これらについて禁止されるのは、不当な「差別的取り扱い」です。つまり、不当な「差別的言動」はこれらの場合には禁止されず、例えば、障害を理由にバイトの時給を健常者よりも安くするなどの不当な「差別的取り扱い」をした場合でなければ禁止されないし、禁止される場合でも罰則の適用はありません。1つの条例で規定内容や効果の異なる制定をするのは他都市には例があるのか伺います。 

 障害者分野では、すでに障害者基本法、障害者差別解消法があり、障害者基本法4条は「何人も障害者に対して障害を理由として差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」とし、障害者差別解消法8条は「障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取り扱い」を禁止し、違反者には12条、26条により過料という罰則が課せられます。

先日、総務省法務省からレクチャーを受けてきました。総務省の担当者は、同じような文言の条例が制定される場合には法の趣旨を薄めてはならず、とりわけ法に定めた罰則等を条例から外す場合は法律違反となると明言しました。本条例素案は法と明らかな齟齬が見られますが、総務省の判断を仰いだものなのか、伺います。

障がい者部分では、障害者差別解消法が2016年にできて3年も経つのに、津久井やまゆり園事件や参議院で障がいをお持ちの国会議員が当選し、その活動を保障する取り組みに対する差別的言動の数々をみるとき、川崎市でも差別禁止、合理的配慮を掲げた条例の必要性について強く思いをいたすところです。実際、障害者団体の方からは個別の条例を作ってほしいという切実な願いが繰り返し寄せられてきたところです。それでも、差別禁止について法と異なる規定をした理由について伺います。

また、LGBTでいえば、野党が国会に出している法案には明確な禁止規定がつけられています。杉田水脈衆院議員の差別発言や、2015年4月に一橋大学法科大学院においてゲイであることをアウティングされた学生が投身自殺した事件など、いまだ差別の中で生きづらさを抱えていらっしゃる方々が多くいます。LGBTの方の中で同性愛者の自殺者は異性愛者の6倍にものぼるという報告書もあり、LGBT差別解消法、条例制定の要求は切実なものがあります。

この点で、「『差別のない人権尊重まちづくり条例』としながら、罰則をもって禁止する差別と罰則のない差別を一つの条例の中で規定することに無理がある」と指摘する法律家の意見についてどのように考えるのか、伺います。

すでにある市条例との関係についてです。

3点目の問題は、すでに川崎市に存在している「こどもの権利条例」「男女平等かわさき条例」などとの関係です。男女平等かわさき条例には、“男女平等にかかわる人権侵害の禁止”項目が規定されており、その中では、「性別による差別的取り扱い」のみならず、「性的な言動により、相手の生活の環境を害する行為」をも禁止しています。しかし、素案には「不当な」「差別的取り扱い」しか規定されていません。人権条例はこれらの上位法となると説明されていますが、そうすると、男女平等に関する差別の禁止は「「性的な言動により、相手の生活の環境を害する行為」には及ばないことになるのか、そのような判断をしたのは何故か、伺います。

LGBT,SOGIの方々の権利を守ることについてです

SOGIについて社会的な認知が広がってきたとはいえ、同性カップルを「生産性がない」などと傷つける差別発言が政治家から発せられるなど、いまだ、差別が当事者を深く傷つけています。SOGIに対する差別を解消するために、野党は、「LGBT差別解消法案」を国会に提出し、今年6月には、「婚姻の平等」を実現する法案を国会に提出し、日本でも同性婚を認める法整備を求めました。

困難を抱える当事者などに対する法整備を求めている「LGBT法連合会」では、2015年5月に、法整備についての見解を発表し、性的指向や性自認を理由とする様々な差別を解消するとともに、差別に基づく社会的障壁の解消が進むよう、地方自治体にも「差別を防止する処置」「差別を受けた人の相談に適切に対応する体制の整備」などの義務づけを求めています。

「同性パートナーシップ制度」は全国24の自治体で導入され、横浜市、相模原市も導入の方向です。また、公共住宅の入居資格を認めるなど、同性カップルも異性カップルと同様に権利が行使できるよう改善が進んでいます。国立市では「国立市女性と男性及び多様な性の平等参画を推進する条例」が昨年4月から施行され、「アウティング」を禁止するなど、当事者の権利を守る取り組みが進められています。本市でも、SOGIの方たちの権利を守ることを明記した、独自の条例を作るべきと思いますが、伺います。また、「同性パートナーシップ制度」は、具体的な権利擁護につながるもので、市の要綱で実施できることから、早期に実施すべきですが、伺います。

子育て支援策についてです

小児医療費助成制度の拡充についてです。

小児医療費助成制度は、全国で拡充が進んでいます。厚労省によると、対象年齢を「中学卒業まで」「高校卒業まで」としている市町村は、昨年の4月時点でも通院では約89%、入院では約96%の自治体に広がっています。愛知県東海市は、来年度から大学生の入院医療費の無料化を行うとのことです。政令市でも、20政令市中14政令市で中学卒業まで通院の対象年齢を拡充し、そのうち大阪市、堺市は高校卒業まで拡充しています。川崎市の助成制度は全国的にも、政令市の中でも大きく立ち遅れています。すぐに中学卒業まで拡充すべきです。伺います。

通院の所得制限についてです。こども未来局の資料では、2019年3月31日現在、小学校6年生は約36%が所得制限のため医療費がかかります。保護者の所得にかかわらず、どの子もお金の心配をせずに病院にかかれる制度にすべきです。政令市の中で、小学校卒業までの助成制度でも北九州市、福岡市、岡山市は入院、通院とも所得制限はありません。さいたま市、名古屋市は中学卒業までの制度で一部負担金もありません。川崎市も通院の所得制限、一部負担金の撤廃に踏み出すべきです。伺います。

また、入院は所得制限がなくなり中学卒業まで無料となりましたが、償還払いのため、小学校卒業までの所得制限をうけているお子さんと中学生は、病院の窓口で一度、医療費を立て替える必要があります。立て替え払いの必要がない、現物給付にしてほしいとの保護者の強い要望が寄せられています。実現すべきです。伺います。

いわゆる「幼児教育・保育の無償化」についてです。

認可外保育施設指導監督基準を満たさない施設への対応についてです。

今回のいわゆる「無償化」では、認可外保育施設の中にベビーホテルやベビーシッターなども含めて、上限月3万7千円の「無償化」措置の対象とされています。さらに「認可外保育施設の指導監督基準を満たしていない場合でも、5年間は無償化の対象とする猶予期間とする」とされています。

2016年度の厚生労働省の調査によると、ベビーホテルの56%が指導監督基準を満たしていません。厚労省は、この認可外保育施設指導監督基準について「児童の安全確保等の観点から、劣悪な施設を排除するためのもの」と説明しているものであり、5年の猶予期間があるからといって放置すべきではありません。

国は市町村が基準条例を定めれば、「無償化」の対象施設を限定することもできるとされており、東京都杉並区、埼玉県朝霞市などでは基準条例を定める方向とのことです。3月議会で他会派の質問に対し、こども未来局長は「(条例で無償化の対象施設を限定することについては)国や他都市の動向を注視しながら検討する」と答弁されました。本市も基準条例を定めて、保育の安全を確保し質を担保するための権限を行使できるようにすべきですが、伺います。認可外保育施設には年1回以上の立ち入り調査が原則とされています。公立保育園の園長経験者を4月から一人増員したとのことですが、今回の「無償化」の対象となる認可外保育施設にはベビーシッターなども含まれ、市の資料では561施設にものぼります。さらなる認可外施設への調査や助言などの体制を強化することが必要と考えますが、伺います。

市内小中学校の体育館への空調設備設置についてです。

8月23日に行った文教委員会で、南生田中学校の体育館への空調設備等を設置することを求める陳情の審議が行われました。その中で、市は「もともと2014年3月に作成した学校施設長期保全計画に基づく取り組みとして小中学校の体育館の整備計画を実行してきたが、保全計画を立てた5年前にはこの暑さは想定していなかった」と述べ、体育館への空調設備設置への考え方について、「近年の夏の状況等を踏まえ必要性は認識している。関係局と協議しながら設置に関わる課題として整理していく」と述べました。審議の中では体育館の温度についても調査しておらず、対応は学校まかせになっていたことも明らかになりました。

近年の夏の状況を踏まえ必要性を認識しているのであれば、早急に体育館の暑さの実態も調査し、計画的に空調設備の設置を急ぐべきです。伺います。

障がい者施策についてです。

 わが党はかねてより、障がい者に対する差別をなくし、障がいの有無にかかわらず川崎で豊かに暮らせるよう、差別禁止条例を作ることを求めてきました。

先ほども述べた通り、障害者基本法は第4条で差別を禁止しており、2016年に施行された障害者差別解消法では「障害を理由とする差別の解消」を目的として、行政機関と事業者に対し、障害を理由として不当な差別的取扱いをしてはならない」とし、「社会的障壁の除去のために合理的配慮をしなければならない」と規定しています。

 この合理的配慮を具体化するため、国と地方公共団体は「対応要領」を策定することとされています。また、事業者は国が定める「対応指針」により合理的配慮を行うよう努力するものとされ、国が必要と認めた場合はその事業者に報告を求め指導や勧告をすることができます。事業者が求められた報告を怠り、また虚偽の報告を行った場合には、20万円未満の過料という罰則が科せられています。

 新潟市はこれらの法律を踏まえ、市内の障がい者の方々からたくさんの声を集め、「新潟市障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例」を制定しました。このなかでは「市民及び事業者は,障がい及び障がいのある人に対する理解を深めるとともに,障がいのある人に対する差別を解消する取組を市と一体となって行うよう努める」と責務を明らかにし、市は周知啓発を行うとともに、差別を直接相談できる窓口や、差別にかかわる紛争を解決する委員会も設置しました。差別を行った人が助言やあっせんに従わない場合は市長が勧告や氏名の公表を行うこともできるようになっています。本市では、多くの障がい者の皆さんからは「法律ができてからも、具体的な差別はなくならない」という声が寄せられています。市が作成する対応要領には、差別の具体例や対応の事例を載せることになっていますが、市として具体例をほとんど収集しておらず、対応要領を作ってから3年以上たっても一度も更新していないという状況です。個別に条例を制定し、市の責務を明らかにし、具体的な取り組みを行うことが求められていると思いますが、伺います。

障がい者スポーツ施設について伺います。

7月25日、文教委員会において「障がい者スポーツ文化施設等建設に関する陳情」が採択されました。これを受け、用地確保など、どのように具体化するのか伺います。

2019年3月末現在、本市には身体、知的、精神併せて6万765人の障がい者がおられますが、週1回以上のスポーツ実施率は37.3パーセントにとどまっています。市はこれまで、障がい者スポーツ大会の実施や、多摩スポーツセンターほか既存施設で障がい者スポーツデーを設けるなど、障がい者スポーツの普及、振興に取り組んではいるものの、機会はまだまだ少なく、種目も水泳、陸上、卓球、ボッチャなどに限定されています。障がい者スポーツ施設が整備されるまでのあいだは、既存のスポーツ施設における障がい者利用日をせめて月1回に拡大するなど、障がい者がスポーツに身近に触れられる機会を増やすべきと考えますが、伺います。

障がい者のミドルステイ、ショートステイについて伺います。

以前より、障がい者団体からの「長期入院や親の介護帰省には1週間程度しか預けられないショートステイでは対応できない」という切実な声を受け、長期に預けられるミドルステイの創設を求めてきました。先日も「ミドルステイがないために癌の入院治療を諦めた」、「ショートステイを転々とするのは大きな負担である」といった訴えがありました。やはり、介護者も障がい当事者も安心して利用できる、ミドルステイを整備すべきと考えますが、伺います。

次にショートステイについてです。ショートステイは恒常的に満杯で、利用したくても利用できない現状があります。本市では今年9月1日にオープンした特別養護老人ホーム「桜の丘」内に併設の12床を加えて、現在、21施設123床のショートステイが整備されています。さらに2021年3月には川崎市福祉センター跡地に整備される仮称・川崎区日進町複合福祉施設に20床が設けられるとのことです。しかし、入所施設への待機者は現在260名もおり、このほかにもショートステイを利用したい方が年々増えています。直ちにショートステイを拡充すべきですが市の対応を伺います。

高齢者施策の充実についてです。 

加齢性難聴者の補聴器購入助成についてです。

加齢性難聴は、70歳以上の高齢者の約半数がなるとされており、会話によるコミュニケーションを困難にする、高齢者の社会参加にあたり大きな障害になっていること、認知症の危険因子になることなどから、補聴器は加齢性難聴の高齢者にとって必要なものです。しかし、補聴器の平均購入価格は片耳当たり15万円程度と非常に高額であり、公的な保険の適用もないため、購入費用は大きな負担となっています。

 高齢者の加齢による難聴はほとんどの場合、法による補助の対象外となるため、近年、高齢者人口の増加に伴い、また高齢者の生活状況の悪化のなかで、加齢性難聴者の補聴器購入への補助を実施する自治体も生まれています。

 現在、全国で20の自治体が補助を実施しており、新宿区・江東区では補聴器現物の支給が行われています。本市でも補聴器購入への補助を行うべきです。伺います。

後期高齢者医療保険料軽減特例についてです

後期高齢者医療保険料軽減特例は今年度から9割軽減、8.5割軽減について段階的に軽減特例の見直しが行われます。9割軽減特例は今年度8割軽減に、来年度(2020年度)は7割軽減に縮小されます。8.5割軽減特例については今年度は8.5割軽減を継続しますが、来年度7.75割軽減、2021年度に7割軽減に縮小されます。

9割軽減特例の場合、本市の2018年9月時点の9割軽減の対象被保険者は約2万7,500人です。保険料は、2018年度年額4,510円から今年度は9,020円と2倍に、2020年度には3倍の13,000円を超えることが予想されます。基礎年金以下の低所得者の保険料は少なくとも9割軽減、8.5割軽減を維持するための市独自の財政措置を取るべきです、伺います。

国民健康保険料についてです

最初に18歳以下の子どもに掛かる国民健康保険料均等割分の減免についてです。

前議会でも指摘したように、今年度の国民健康保険料は給与収入400万円で所得収入266万円の40代夫婦、小学生2人の4人家族で年額40万5,250円。所得が同じなのに、協会けんぽ加入者の2倍にもなります。これは、他の組合健保、協会けんぽには無い家族の人数に掛かる「均等割り分」が21万2,700円プラスされることから起きる国保の構造的な問題で国保加入者には過大な負担となっています。この均等割りについては、全国知事会など地方団体が国保の基盤強化と負担の公平性から協会けんぽ並の保険料にすることを提言し、均等割りの見直しを求めています。

本市の国保料の均等割り分は約141億円です。この内、18歳以下の子どもの均等割分が10億6千万円と試算されています。仙台市は18歳まで所得制限なしで第1子から均等割りを減免しています。また、2子、3子の均等割りを減免している自治体がひろがっています。国保の均等割りそのものの廃止を求めるものですが、せめて本市も子育て支援からも子どもに掛かる均等割りを減免すべきです、伺います。

国保料滞納者への短期保険証発行についてです

2018年度国民健康保険料滞納世帯は3万4321世帯、滞納者に対し発行する、短期証は3800世帯、資格証明書は4987世帯に発行されています。

失業中で国保料を払えず滞納しているため資格証明書になってしまった50代の女性が甲状腺疾患の治療のために短期証の交付の相談に役所の窓口に行くと、「保険料を滞納している人には短期証は発行できない。保険診療というのは国保料を払っている人が享受できるものであって、国保料を滞納している人が保険診療で受診できないのは自己責任だ。資格証で受診をするように」「今すぐにでも最低2万5千円の国保料を払わなければ短期証は発行できない」と言われました。その時の所持金は3000円。口座には559円しか残金がありませんでした。資格証明書では医療機関窓口でいったん全額支払わなければならず受診が困難になるために、必死に訴えて1か月の短期証が交付されたという事例がありました。

2009年1月20日厚労省の事務連絡では資格証通知の考え方として「被保険者が医療を受ける必要が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には、当該世帯主は保険料を納付することができない特別な事情に準ずる状況にあることが考えられることから、緊急的な対応として短期保険証を交付することができる」とされています。特別な事情とは、2008年10月30日の厚労省の通知文書で「事業の休廃止や病気など」とされています。先ほどの事例の方はまさしくこの事務連絡に該当しており、短期証を発行すべきだったのではないでしょうか。伺います。厚労省の事務連絡にあるように事業の休廃止や病気のなど特別な事情がある場合には資格証明書ではなく6か月の短期証の発行を原則とすべきです。伺います。

中小企業支援についてです。

住宅リフォーム助成制度の創設について伺います。

2020オリンピック後の建設需要の落ち込みが懸念されています。国土交通省の「建築着工統計調査」によると、今年7月の新築住宅着工数は全体で前年同月比4.1%の減少となり、年率換算値でも、前月比1.3%の減少となりました。民間の調査機関の予測では、2030年度の新築住宅着工数は2018年の95万戸から、2025年度には73万戸、2030年度には63万戸と減少すると予測しています。町場の工務店の仕事を確保するための支援が必要です。新築住宅の着工の減少に対して、住宅リフォーム市場は、2030年まで年間6~7兆円台の規模で横ばいに推移すると予測されており、今年の予算議会で経済労働局長が「市内の住宅リフォーム需要はあるものと」と答弁しているように、市内のリフォーム需要を市内事業者に結び付けることは、新築住宅着工数が減少する中で、ますます、重要となっています。住宅相談会の開催など従来の取り組みを充実することと合わせ、住宅フォーム助成制度を創設すべきです。伺います。

建設業の週休2日制の導入についてです。

建設業への支援として、建設労働者の確保策が喫緊の課題となっています。建設労働者の高齢化と若い労働力の不足は、業界の将来に係わる問題として、「働き方改革」が求められています。本市の公共工事でも「週休2日制」の実施を目指し、「週休2日制確保モデル工事」の施行が、土木工事では昨年9月から、建設工事においても、今年度から行われています。現在までのモデル工事の実績は、建設緑政局関連で13事業の発注、週休2日を達成できた事業は5事業にとどまりました。国や県は、「週休2日制適用工事」について、当初予定価格において「労務費」「機械経費」「共通仮設費率」「現場管理費率」に1.05から1.04の補正係数をかけるなど、発注の積算方法を変更し、対象事業を広げる対策をとっていますが、本市は補正係数をかけていません。早急に対応すべきと思いますが、伺います。また、事業者からは、「国や県の補正だけでは、賃金の確保が難しい」との声が寄せられています。建設の現場では、日給月給での賃金支払いが多いことから、仕事を休んでしまうと収入が減ってしまうことになりかねません。週休2日制になっても、建設労働者の収入が減らないよう実態に見合った対策が必要ですが、対応を伺います。

市内中小業者への優先発注についてです。

川崎市は、「川崎市補助金等の交付に関する規則」を一部改正し、市内中小企業者の受注機会の確保のために、「補助金等交付事業にかかわる市内中小企業者への優先発注に向けた基本方針(案)」の概要を示しました。わが党は、この間、横浜市の例を挙げて、この規則の改正を求めていました。対象となるのは100万円を超える補助金等を交付された補助金事業者等で、実施する内容は、「100万円を超える工事請負・物品の購入・業務委託を発注する場合、市内中小企業者による入札または市内中小企業者2者以上から見積もりを徴収し、発注に際し市内中小企業者であることの確認を行う」としています。また、「発注内容や入札状況等について、市に報告書を提出する」こととしています。改正時期については、今年12月に規則を改正し、2020年度予算にかかわる補助金等から適用するということです。これまで市の補助金等交付事業においては、市内中小企業者への優先発注について統一的な規定がなく、100万円以上の補助金事業において、18年度の市内中小業者が契約した件数は、461件中162件で発注率35%と大変少ないのが現状でした。来年度からこの制度を実施した場合、その影響件数と金額はどれくらいになるのか、推計値を伺います。

正規労働者の雇用を拡大する対策についてです。

先の6月議会の代表質問において、市内2か所の公共職業安定所と連携を強め、市内中小企業の実態の情報共有をして、正規雇用に転換させる独自策を図るためにも、県労働局と雇用対策協定を締結すべきと求めましたが、市長は「労働団体や雇用主団体、神奈川労働局等の行政機関と日ごろから密な意見交換を行っている」として、雇用対策協定の必要性を認めませんでした。しかし、市長が言われる「意見交換」の場というのは、議事録もなく、必要に応じて随時、電話等による情報交換であり、とても実効性がともなう実態ではありません。

労働局と協定を結んだ各自治体では、情報を共有して、連携をした独自策をはかっています。2011年に締結した横浜市の雇用対策協定では、「市内の公共職業安定所の所長によって構成される「雇用対策運営協議会」を設置し、連携策について検証しています。京都府の雇用対策協定は、正規雇用の量的確保と質の向上を目指すとして、公的職業訓練から就職までの一貫した就職支援等を行っています。京都府の担当者の方は、正規雇用転換していくうえで、企業とのマッチングの場だけでは十分ではなく、資格の習得・職業訓練など、人材育成をすすめる施策を京都労働局等と行っているとのことです。雇用に関して課題があるからこそ、協定を締結する自治体が164自治体にも広がり対策を図っています。

2019年3月改定の神奈川労働局の正社員転換・待遇改善実現プランでは、「人手不足による非正規雇用から正規雇用意向への流れのある中、正社員求人への転換指導・確保が重要」としています。川崎市は、小規模事業所は全事業所の約87%にも及び、人材確保の具体的な支援が求められ、正規雇用の転換と中小企業・小規模事業所の支援を一体とした施策が必要です。そのためにも市内2か所にある公共職業安定所と連携できるよう神奈川労働局と雇用対策協定を締結すべきです。市長に伺います。

東京都葛飾区では、東京都でも実施してきた正規雇用転換促進助成金を2017年度から区独自で実施しました。葛飾区は、「中小企業の雇用環境」が悪化していることから、雇用を後押しするため、正規雇用等転換促進奨励金としてこの制度を実施したとのことです。キャリアアップ助成金を活用した企業に、補助するものですが、有期雇用から正規雇用へ1名転換した場合、区として25万円を補助し、国の57万円とあわせ、合計最大82万円が支給されます。利用者は初年度19名、18年度は35名と実績を上げています。川崎市も検討すべきではないですか。伺います。

就職氷河期世代支援についてです

就職氷河期世代とは、90年代初めのバブル崩壊から2000年代半ばまでに就職活動を行った、主に35歳から44歳の方が該当します。この間、新卒者のうち毎年10万人前後が就職できない氷河期が続き、本来なら働き盛りの年代が、現在に至っても非正規社員やフリーターという形で約371万人が働き続け、世代全体の約21%を占めることが総務省の労働力調査で明らかになっています。また本市の2018年就業構造基本調査によると、氷河期世代の中心である40~44歳の無業者の方の数は約2万700人、割合は15.9%、他の近隣世代の割合は12.4%から14.5%ですから、本市では40~44歳の無業者が多いのが特徴です。

兵庫県宝塚市が氷河期世代を対象に市の正規職員として3人募集したところ、1816人が応募、倍率は600倍に達したことを受けて宝塚市長は、「予想を超える応募状況。それだけ多くの方が支援を必要としていると実感した」と述べ、近隣の自治体などにもこの世代の採用を要請したとのことです。氷河期世代支援は喫緊の課題です。

 神奈川労働局は2019年度より就職氷河期世代を対象とした就職支援として5日間の短期集中セミナーを開催しますが、川崎会場での定員は10名、開催時間は平日の昼間の年わずか1回。とても就職氷河期世代の実態に寄り添った支援といえません。

一方でコネクションズかわさきは課題を抱えた方々に多彩な就労支援を行なっているわけですが、対象年齢が15歳から39歳までです。聞き取りに行ったところ、ある方は「あと一週間で息子が40歳になってしまう」と駆け込んで来たとのこと。本市の無業者の状況を鑑み、就職氷河期世代の支援として、対象年齢を44歳まで引き上げ、アウトリーチも含めた川崎独自の支援拡大をするべきと考えますが、伺います。

市内大企業の人員削減・リストラ対応についてです

電機・情報ユニオンの調査は、国内電機産業職場で2011年から現在まで正社員50万人がリストラされたことを明らかにしています。これまでも指摘してきましたが、本市に拠点を置く大手電機企業の富士通の「5,000人規模の配置転換」、東芝の「7,000人の人員削減」、NECの「3,000人リストラ」が進められています。マスコミでも報道された様に東芝の労働者は、多数回の退職強要を強いられ、リストラに応じない労働者は人権を蹂躙した「追出し部屋」への移動、人材派遣会社への出向、遠隔地への移動などが強要されています。NECでは、現在も継続して繰り返し退職勧奨が行われています。東芝が今年5月、「半導体部門の350人の人員削減を9月末までに行う」と発表し、9月6日を締切りに強引な早期退職勧奨が行われています。電機・情報ユニオン実施のアンケートに「度重なる面談で脱毛症になり、もう疲れたので会社を辞めます」などの声が寄せられ、心も体も限界まで追いつめられている実態を示しています。こうした本市内の電機大企業で行われている人権を無視した人員削減・リストラの実態を示して、本市に雇用対策本部を設置し、神奈川労働局と連携して人権侵害の調査と対応を求めてきました。どのような対応を現在行っているのか、伺います。富士通、NEC、東芝のリストラによる下請け企業、関連企業の雇用への影響調査を行っているのか、伺います。また、地域経済への影響について調査を行っているのか、伺います。

防災対策についてです

 今年も九州北部で豪雨災害が起こり、線状降水帯のすさまじさを実感しました。また、9日未明の台風15号による被害も甚大で、都市部における自然災害への対策の緊急性も浮き彫りになりました。被災された方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、関東でもいつどこで起きてもおかしくないといわれている豪雨災害への対策を一層強めることを求めるものです。

市立川崎病院と多摩病院は、洪水時にはそれぞれ3メートル以上の浸水地域になっています。今回の佐賀県大町町の病院の例にもあるように、重症患者が多く、移動もできない場合、水が引くまで医療を継続しなければなりません。透析患者の対応も含め、水と電気は3日間くらいは確保できているのかうかがいます。

避難所の改善についてです

水害の際、浸水地域であっても指定避難所の多くは、1,2階は水没しても上階に避難すればよいとされていますが、そうした訓練は行っていません。上階の教室を使う避難の場合にそなえて、学校とよく相談し、備蓄物資を運びあげる訓練なども必要と考えますが、対応をうかがいます。

この9月は、各区で防災訓練が行われ、多くのところで避難所開設訓練が行われました。その際、障がい者、高齢者などのなかにいる、広い避難所では生活できない人たちへの配慮をするための特別の避難場所を設置することは訓練の項目にあったのかうかがいます。視力障がい者、聴覚障がい者、発達障がい者などへの配慮は避難所運営マニュアル等に明記されているのかうかがいます。テレビ、ラジオは最低限、すべての避難所に完備されるべきです。現状と対応をうかがいます。

小中学校が指定されている避難所だけでは、多くの市民が集中し入りきれないことから、地域防災計画では風水害の際には「避難所補完施設」を指定しています。すべての公共施設、町内会館、お寺や神社などもお願いしていますが、補完施設に避難した場合、食料などの支援は届くのかうかがいます。これらは耐震化された建物かどうかは確認されていないため、そのまま震災時にも利用できるわけではありません。一つ一つ耐震化されているか確認していくとのことでしたが、進捗を伺います。

(仮称)鷺沼駅前地区第1種市街地再開発事業についてです。

鷺沼駅前再開発の環境アセスメントに係わる条例環境評価方法書の縦覧が、8月13日に始まり、初めて、建物の全容が明らかになりました。縦覧が始められた時期が、お盆の最中ということで、住民は大変驚きましたが、その内容は、さらに驚くべきものでした。駅前街区に建てられるビルは地上37階146m、北街区には、20階92m、整備される住宅戸数は530戸と、超高層・巨大マンションでした。宮前区では、超高層マンション建設の計画が知らされぬまま、区役所・市民館・図書館の移転計画が、多くの反対がある中で進められています。改めて、計画全体の検証が求められます。そこで、まちづくり局長に伺います。

小杉駅周辺で100mを超す超高層マンションの問題は、地域への自然環境・住環境に大きな影響を及ぼすことから、環境アセスや都市計画変更の手続きに入る前に、市と事業者による住民説明会が行われました。開催されるようになった経過について、2016年11月24日のまちづくり委員会で、当時の拠点整備推進室担当課長は「都市計画審議会長より、計画の提示の仕方につきましては、早め早めに提示して、住民と一緒に考えるような体制を整えていただきたいというような言葉をいただき、計画の固まる前の段階から事業者による説明会を開催した」と答弁されています。小杉駅周辺の開発においては、行政の説明会も事業者による説明会も行われました。鷺沼駅前再開発についても、直ちに事業計画に対する住民説明会を行うべきですが、伺います。

駅前再開発には、社会資本整備総合交付金など多額の税金が投入されます。今回の再開発への補助の内容と金額、国や市の負担割合について伺います。今回、区役所・市民館・図書館の移転に伴う、施設の整備費用はいくらになるのか、そもそも、区役所や市民館・図書館のスペースは買い取りになるのか、賃貸になるのかも合わせ、市民の税金がいくら投入されることになるのか、その概算を伺います。

総合自治会館周辺地域の活用についてです

現在の総合自治会館用地周辺地域の活用については、町内会や商店街など地域との意見交換会の開催は、いつを予定しているのか、ただちに行うべきですが、伺います。

また、市の公有地を民間に定期借地にする計画も出されています。用地活用の在り方については、地域などの合意形成が図られていない中で、進めるべきではないと考えます。伺います。

羽田新飛行ルートについてです

国土交通省は、来年3月からの新飛行ルート開始を発表し「羽田空港機能強化に向けた追加対策」を示しました。その中で川崎市方面への離陸に際して「フラップを活用して急上昇し、可能な限り早く旋回する」との方針を表明しました。翼などへの負荷が増大する「フラップの活用」で落下物や飛行機事故のリスクは増加しないのか、伺います。

 飛行機事故の原因の多くを占めるのがバードストライク、鳥との衝突で、羽田空港では全国トップの過去5年で868件が発生しています。これまで羽田空港では「海から入り、海に出る」というルートが原則でしたが、『新ルート』では離陸直後に「生態系保持空間」と位置付けられる多摩川河口干潟を横切るという、バードストライクのリスクが非常に高いルートになります。しかも、仮に多摩川でバードストライクが起きれば、その先のルート上には住宅地とコンビナートしかなく大事故に直結することになります。1960年代に飛行機事故が相次いだことから、コンビナートでの重大事故防止のために川崎市が国との間で結んだ1970年の「コンビナート上空の原則飛行禁止」の通知の立場から見れば、大事故に直結するリスクのある新飛行ルートは到底認められるものではありません。

 国土交通省は「バードストライク対策を行っている」と言いますが、その内容は「銃で空砲や実弾を撃つこと」「爆音で鳥を威嚇すること」などで、市民の憩いの場であり、生態系保時空間である多摩川では実施できません。バードストライクを防止できる保証があると考えているのか、市として国に対策を求めてきたのか、伺います。

次に、1970年の「通知」にもとづく国との交渉についてです。「通知」は「コンビナート上空の飛行を原則禁止する」という内容ですが、この間川崎市は、国との協議会の場で「地元説明や騒音測定の実施、コンビナート上空の飛行に係る安全確保について国が責任をもって対応することを求めた」と述べ、国交省は「地元自治体の要望を踏まえ…騒音軽減運航方式等の導入を行う」と応じました。

市は、一定の「安全確保」の対応がされれば「コンビナート上空の飛行」を認める、という立場なのか、伺います。国との協議会などの場で通知どおりにコンビナート上空での飛行をしないよう国に求めたのか、伺います。

以上で質問を終わります。