議会報告

2020年3月23日

党市議団が一般会計予算等の組み替え動議提出~おおば裕子議員が提案説明


IMG_36553月19日の川崎市議会第1回定例会で、日本共産党川崎市議団は「『議案第34号 令和2年度川崎市一般会計予算』等の組替えを求める動議」を提出、おおば裕子議員が提案説明をおこないました。おおば議員の説明原稿は以下の通りです(議事録ではありません)。

採決では日本共産党議員以外の議員の反対で否決されました。

 

予算組み替え動議の提案説明

私は日本共産党を代表して、2020年度川崎市一般会計予算等の組み替えを求める動議について、提案理由、基本方針及びその内容について説明いたします。

安倍政権は消費税10%増税を強行し、2019年10月から12月期の国内総生産GDPの速報値によると、実質GDPは年率7.1%と大幅に落ち込み、新たな大不況が作られつつあります。消費支出は4か月連続減に、景気の基調判断は6か月連続悪化となりました。中小業者は増税による消費の低迷、大手との値引き競争、複数税率による事務負担の増加、ポイント還元の重荷など、三重四重の打撃を被っています。 また、日本の貧困は悪化し続けており、貧困ラインは、1999年の156万円が2014年には132万円に下がり、この結果、貧困ライン以下の世帯は、子どもを持つこと自体が困難になっているという、より深刻な事態が起こっています。経済的な格差は大きく拡大し、大企業は史上最大の利益を上げ、内部留保は460兆円を超えるほど積み上がっているものの、安倍政権の7年間で働く人の実質賃金は年間18万円も減り、実質消費支出は21万円も減っています。

社会保障制度は改悪され、7年間で4.3兆円もの負担増と給付削減が行われました。高齢者は年金が下げられる一方で保険料は値上がりしています。その上、生活保護の基準額を最大5%も引き下げる計画が出ており、主に都市部の高齢者世帯や家族の人数が多い世帯が対象となり、世帯数で67%程度が引下げの対象になると言われています。高齢者を始め、多くの市民は毎日どう暮らせばいいのかとギリギリの生活を強いられています。

川崎市においても、市内の雇用者数は、2007年から2017年までの10年間で約10万人増えているものの、非正規労働者が増大していることなどから、2017年の年収300万円以下は約6万人増えて市内労働者の約44%に上る一方、年収1,500万円以上は5千人増えて約180%の増となっており、貧困と格差が広がっています。

こうした中、地方自治体には国の悪政から市民生活を守る防波堤の役割を果たすことが求められていますが、新年度予算案は、市民の福祉や暮らし、市内中小企業への支援、雇用対策など極めて不十分なものとなっています。

その一方で、不要不急な大規模事業への予算は大幅に増えており、市民にとって必要のない臨港道路東扇島水江町線整備に約54億円、東扇島堀込部土地造成事業に約29億円など国際コンテナ戦略港湾関連で約107億円、羽田連絡道路整備事業に約88億円など臨海部の戦略的な産業集積と基盤整備で約102億円といった多額の予算が計上されています。

我が党は、市民生活を支えるための緊急課題に絞って、次の組替えの基本方針及び内容により2020年度予算案の再提出を求めるものです。

組替えの基本方針は、

第1に、子育て世代の賃金・経済状況が悪化する中で、共働きをしなければ生活できない世帯が急増しており、保育園の利用申請率が就学前児童の約4割に上っているなど、かつてない勢いで保育園ニーズが高まっていることから認可保育園の緊急増設を行う。私立幼稚園の入園料について補助制度を創設する。小児医療費助成制度の通院の所得制限と一部負担金を撤廃し、中学生まで拡充する。一人ひとりの子どもに目が行き届き、学習・生活指導などあらゆる面から教育条件を改善する有効策として、少人数学級を小学3年生から中学3年生まで実現する。憲法26条2項の義務教育無償原則の趣旨から、当面小学校の学校給食費の無償化をすることなどです。

第2に、高齢者に増税・負担が集中している状況下で、介護保険料を第6期の額に戻す。安心して介護を受けられるよう、介護援助手当を復活、特別養護老人ホームを増設し、人材確保が困難な介護老人福祉施設等に職員の定着・確保を図るための支援を行う。敬老祝金・長寿夫妻記念品を復活する。削減した障害者支援施設等運営費の市単独定率加算を復活する。非課税世帯などの低所得の障がい者の医療費を無料にし、重度障害者等入院時食事代補助制度を復活することです。

第3に、貧困と格差が拡大している状況下で、国民健康保険料の1世帯年1万円減額、及び19歳未満の子どもの均等割りの免除、被保護世帯への上下水道料金の減免及び入浴援護事業の復活により、低所得世帯への生活応援を図る。とりわけ、「子どもの貧困」が深刻化する中で、小・中学校の自然教室の食事代補助、生活保護・就学援助世帯の入学祝金・修学旅行支度金・就学援助世帯への眼鏡支給・社会見学等の実費支給補助を復活するとともに、補助範囲をPTA会費、生徒会費、体育実技用具費等にも拡充する。市立定時制高校の夜食代補助を復活することです。

第4に、中小企業活性化条例の施行にふさわしく、工場の家賃や機械リース代などの固定費補助制度創設で中小・零細企業者を直接下支えする。建設業の振興とともに経済波及効果が大きく、市民にも喜ばれる住宅リフォーム助成事業を創設する。雇用を巡る環境が厳しい中、こうした取組により雇用拡大を図ることです。

第5に、防災対策の第一の要である旧耐震基準の木造住宅の耐震化促進を図るため、助成対象件数を増やすことです。

第6に、国際コンテナ戦略港湾関連や臨海部の基盤整備等への投資、臨港道路東扇島水江町線及び羽田連絡道路など市民生活にとって必要性が示されない2本の橋の整備、高速川崎縦貫道路など、不要不急の大規模事業を中止・延期することで、一般会計の市債発行を抑制し、後年度負担の軽減を図ることです。

組替えの内容ですが、

歳入予算として、不要不急の大規模事業の中止と基金からの借入れ、取崩しなどにより、後年度負担を軽減するとともに、約143億円を確保します。

歳出予算として、提案いたしましたアからヌまでの事業に充当するものです。この組み換えによる総事業費は約164億円、一般財源で約143億円です。市債の発行は約77億円削減できます。

さまざまな負担増で市民のみなさんの生活が苦しさを増している中、こうした市民生活の実態に思いを寄せる議員各位のご賛同を心から呼びかけ、予算組み替えの提案説明とさせていただきます。