議会報告

2020年4月21日

事業主も国保傷病手当対象に~臨時議会で宗田議員が代表質疑


IMG_4061川崎市議会第2回臨時会で4月21日、日本共産党の宗田裕之市議団長が、提案された諸議案に対して代表質疑をおこないました。

新型コロナウイルス感染症の感染の拡大を防止するための川崎市国民健康保険に係る保険給付の臨時特例に関する条例の制定では、傷病手当の支給は、白色申告の場合も事業専従者控除の対象となる専従者の給与等も算定対象になることが明らかになりました。 宗田議員は、欠勤した最初の3日間の損失や個人事業主本人への支援を市独自でおこなうことについても質しました。

いじめを受けていた児童に謝罪するよう繰り返し求めた担任教諭の対応が人格権を侵害したものとして損害賠償を求める裁判の判決に対して、控訴を提起したことの承認を求める議案に対して、学校の組織的な対応のあり方と教育委員会の姿勢をただす立場で質問しました。

宗田議員の質問原稿(初回分)はつぎのとおりです(議事録ではありません)。

日本共産党代表質問 

私は、日本共産党を代表して提案された議案について伺います。

議案第66号「新型コロナウイルス感染症の感染の拡大を防止するための川崎市国民健康保険に係る保険給付の臨時特例に関する条例の制定について」議案第74号「令和2年度川崎市国民健康保険事業特別会計補正予算」についてです。

国民健康保険法では任意給付として傷病手当の支給については市町村が条例を定めることにより行うことができるとされています。本議案は、これを適用し新型コロナウイルス感染症の拡大を防止する観点から、国民健康保険法に規定する保険給付について、川崎市健康保険条例の特例として、傷病手当金を支給するため条例を制定するものです。わが党は、国民健康保険の傷病手当給付を求めてきた立場から、改善と考えています。

 最初に、本市国保加入者の内の事業主及び専従者の人数をそれぞれ伺います。また、フリーランスなど個人事業者数を、伺います。

 傷病手当の支給額についてです、直近の3カ月間の給与の一日当たりの平均額の3分の2を支給するとしています。確認ですが、所得税法上の青色、白色申告に関わらず被用者に支給されるとのことですが、白色申告の場合も一日当たりの支給額は給与収入で算定されるのか、伺います。

発熱などで欠勤した場合、また濃厚接触者となり、帰国者・接触者相談センターの指示に従い自宅待機や検査で休まざるを得なかった期間についても対象になるのか、伺います。

 国保に加入されている事業者の多くは自営業者で本人が休業するとその分収入が無くなり、生活困窮と事業そのものの継続ができない事態に直結します。国の傷病手当金の対象は被用者としていますが、国に事業主も傷病手当支給対象とすることを本市として求めるべきです、伺います。少なくても、本市が上乗せで個人事業者を含む事業主も傷病手当の給付対象とすべきです、伺います。

 施行期日についてです、「令和2年9月30日以後の規則で定める日限り失効」としていますが、新型コロナウイルス感染が「定めた日」以降も終息していないことも想定されます。この場合は施行期日を延期する必要があります、伺います。

議案第67号「川崎市新本庁舎超高層棟新築 工事請負契約の締結について」

議案第68号「川崎市新本庁舎超高層棟新築 電気その他設備工事請負契約の締結について」議案第69号「川崎市新本庁舎超高層棟新築 空気調和設備工事請負契約の締結について」議案第70号「川崎市新本庁舎超高層棟新築 衛生設備工事請負契約の締結について」議案第71号「川崎市新本庁舎超高層棟新築 昇降機設備工事請負契約の締結について」です。

 新本庁舎新築工事請負契約の議案ですが、4議案で低入札価格となっています。超高層棟工事では、予定価格の88.28%、電気その他工事では79.39%、空気調和設備では81.76%、昇降機設備では93.65%など、予定価格の8割~9割の低入札価格となっており、この間、低入札価格調査が行われました。

調査結果では、コストダウンの理由について、入札条件の緩和で競争が激化したこと。解体と設計を分けたことにより設計内容の単純化が図れたこと。電機や空調設備については関電工など国内トップクラスの企業が入ることにより機器の集中購買によりコストダウンできたこと。昇降機設備については、市内企業が落札されることにより輸送コストが削減できたことなどがあげられるということです。

労務関連費用についてです。調査では「労務者の具体的供給見通し」「下請け予定者、同契約予定額の提出」「建設業法違反の有無、賃金不払いの状況、下請代金の支払い遅延状況」などが項目となっています。これら調査の結果から、人工(にんく)、工期、労務単価など労務関連費用が予定価格の費用より低く設定するなどの事実はないのか、伺います。

新型コロナの影響についてですが、現在、シンクやトイレなど水回り関連や中国で製造されている部品供給が途絶えたり、在庫が少なくなったりして、建設業や製造業に影響が出ています。調査でも新型コロナの影響についてヒアリングを行っており、「現在のところ、工事への影響は見込んでいない」ということですが、その具体的根拠を伺います。

市内中小企業への発注についてです。市内中小企業が参加している案件は、電気設備、空調設備、衛生設備、昇降機設備など超高層棟工事以外の4件ですが、市内中小企業の受注を増やすためにどういう条件を付けているのか、伺います。

議案第72号 控訴の提起についての市長の専決処分の承認についてです。

この議案は、いじめを受けていた児童に謝罪するよう繰り返し求めた担任教諭の対応が人格権を侵害したものとして損害賠償を求める裁判の判決に対して、控訴を提起したことの承認を求めるものです。

経過の概要は、市立小学校で同級生から「うざい」「きもい」などの暴言を吐かれたりするいじめを受けていた児童が、その回数などをノートに記録していたところ、そのノートの存在が同級生に知られたことにより児童に謝罪を求める声が上がり、担任によって児童が教室内で同級生に謝罪する場を設けるという対応がされた、というものです。

具体的に見ていくと学級における大変難しい指導がベテランとは言えない担任教諭に求められていたもので、担任教諭個人の責任で対応できるものではなく、学校全体で丁寧に集団的に対応することが求められていたことは明らかです。また教育委員会にも十分な手厚い支援が求められていたと考えます。

こうしたことから私たちは、この議案について、学校の組織的な対応のあり方と教育委員会の姿勢をただす立場で質問してまいります。

第一に、争点となった原告生徒へのいじめ行為についてです。

裁判所は、被告児童らを含めた児童らが原告児童に対し「きもい」「うざい」「死ね」との発言をすることがあったことを事実として認定、「原告児童に対するいじめ行為があったというべき」としています。

被告である川崎市の裁判での主張でも、当該の学級では「日常的に『うざい』『きもい』『死ね』などの言葉が発される状態にあった」「原告児童は同学級の他の児童から『きもい』等と言われることがあった」と同様の事実があったことは認めています。また裁判所の認定事実によると、5月6日には担任と学年主任、原告児童と被告児童Bによる話し合いがもたれ、原告児童は嫌な思いをした言動や行動をやめてほしいということなどを同学級の児童に話していたとのことです。担任と学年主任も客観的にはいじめと認め得るような行為があったことを前提に対応していることがうかがえます。

それでもなお川崎市はいじめ行為はなかったという認識なのか、伺います。

第二に、教室で謝罪の場を設け、原告児童に謝罪を促す対応が教育的に適切な対応と言えるのかという点についてです。

まず「謝罪」の経過ですが、原告児童が暴言を言われた回数や内容、言った児童の名前などをノートに記していたところ、そのことを知った他の児童生徒から謝罪の要求がありました。担任教師は原告児童の「謝罪したい」との意思を確認したため、まず一度、原告児童が謝罪する場が設けられました。その後もさらに日頃の原告児童の行為について謝罪の要求があったため、再度、謝罪の場が設けられ繰り返し謝罪が求められました。謝罪時には、原告生徒がなかなか発言できず、他の児童から「早くしろ」「聞こえない」などの声が上がって騒然とした雰囲気の中、原告児童は泣き出す状況でした。いったん謝罪したものの「謝っても変わらない」「原告児童も悪口を言っている」などの声が上がり、ますます教室が騒がしくなり、担任教諭がトイレ休憩をと提案する事態となりました。3分間の休憩後に担任教諭は原告児童に対し、さらに謝罪を促し謝罪することになりました。以上が謝罪に至る経過でした。

裁判所は「被告児童らを含む同学級の児童全員及び担任教諭が一団となって、原告児童を責め立てる構図」であり、これは「いじめの被害者である原告児童が、逆にその加害者を含んでいる同学級の他の児童に謝るということになってしまっており、担任教諭の対応は、他の児童らに、いじめ行為の原因が原告児童にあるとの印象を与えかねないもの」と述べています。

また裁判所は、川崎市が「原告児童の精神的な負担に配慮しつつ…人間関係を改善するためにとった行動」だと主張していることに対しても、「たとえ人間関係を改善する必要があり、原告児童に謝るべき点があったとしても、それは少なくとも落ち着いた状況において、原告児童に人間関係改善のために謝ることを十分説明をし、納得させた上で行われるべきもの」で、謝罪の要求で学級が騒然とするなか原告児童が責め立てられ泣き出している状況において、原告児童が主体となり謝る場を作っている点で明らかに裁量を逸脱している、と述べています。また、市の「原告児童の謝罪の意思を確認した」との主張に対しても、「原告児童は、謝罪をしないという選択をすることは非常に困難な状況に追い込まれており、原告児童が、自ら謝ると述べているからといって、それを理由に謝罪の場を設けることが適切であるとはいえない」と川崎市の主張を退けています。

また、裁判所の認定事実によると、10月21日の授業終了後に担任教諭は原告児童の「こっちが謝って、向こうが謝らないのはおかしい」との発言に対し、互いに謝る時間を作れなかったことを詫びて、その後校長室でも、担任は校長と学年主任の前で原告児童に謝罪しています。担任、学年主任、校長はいずれもこの時点で、いじめ行為があったことを認めるとともに、謝罪の場をつくり一方的に謝罪するという対応がいきすぎた指導だと認識していたのではないでしょうか、伺います。

教育問題の専門家に伺ったところ、教育現場では、原則として「いじめがあったときに、当事者同士を対面させる対応はしない」とのことです。また、いじめがあった場合に教育現場では、いじめた側、いじめられた側を別々にして徹底的に事実関係を明らかにした上で対応し、双方にそれぞれの気持ちを聞き、その上でまたそれぞれにその思いを伝えて個別に対応するのが当然だとのことです。今回のように、多数対一人という状況で謝罪するという場面をつくりだしてしまえば、騒然とした「つるし上げ」のような状況になるのも必然であり、このような事態は予測することができたのは明らかではないでしょうか。

「川崎市いじめ防止基本方針」の基本理念では「児童生徒の救済を第一とする」とされています。そして、いじめられた児童生徒への支援として「もっとも信頼関係ができている教職員が対応し『最後まで絶対に守る』という意思を伝える」とされています。また、いじめた児童生徒への指導についても「よく事情を聞き、いかなる事情があっても、いじめることはいけないことだと教え、同じことを繰り返させないように伝える」としています。今回の件での対応は「最後まで絶対に守る」という立場をはじめ「いじめ防止基本方針」から逸脱していたのではないでしょうか。伺います。また、いじめた児童生徒らへの指導としても相応しくなかったのではないかと思いますが、伺います。

市は、これらのことや裁判所の判断を受けても、一方的な謝罪の場を設けて原告児童に謝罪を促すという指導は、教育のあり方として適切だったと認識しているのか、伺います。

議案第73号 令和2年度川崎市一般会計補正予算についてです。

 まず、河川維持補修事業費についてです。

 河港水門については、求めていたゲートのかさ上げは行うとのことです。短期的な対策としてゲートのかさ上げを行い、中期対策として、それに代わる対策を実施するとのことです。どういう対策を検討しているのか伺います。京急交差部の閉塞は、防水壁等の設置としていますが、開口部の広さを考えると土のうは迅速な設置もできず、適切ではありません。短時間で設置できる形の陸閘(りっこう)にするべきですが、その際も、京急交差部は、土手や、工場へ通じる生活道路となっており、こうした状況を踏まえた対策にすべきです。伺います。

 平瀬川の多摩川合流部周辺についてです。パラペット護岸の改良は、台風シーズンまでにアクリル板は間に合わず、当面コンクリートパネルという木製の板を張り付けるとのことです。コンパネで浸水を防ぐことができるのか、効果は見込めるのか、伺います。また、いつまでにアクリル板を設置するのか伺います。今回の予算ではじめて合流部の堤防のかさ上げの調査費が計上されました。国による改修も併せて行い、抜本的な対策を行う方向での調査とすべきと思いますが、伺います。

JR南武線三沢川橋梁周辺の水路整備事業費についてです。水路の補修に2000万円が計上されていますが、その内訳を伺います。用水路に水位計を設置するとのことですが、水位計設置の目的を伺います。また、可動式ポンプは、各水路に必要と思いますが、整備台数を伺います。中長期対策として、水路網調査や内水対策検討に2500万円を計上していますが、その目的と内容を伺います。

 河川計画調査事業費についてです。ソフト対策として防災ワークショップなどを開催する費用とのことですが、今回の水害は地域によって原因も対策もまったくちがいます。ワークショップは、地域住民の声を十分に反映できるものとすべきですが、伺います。

 以上で質問を終わります。