議会報告

2020年4月24日

控訴の専決処分は承認できない~臨時議会で片柳議員が代表討論


IMG_42604月23日の川崎市議会第2回臨時会で市長提出の緒議案の採決に先立ち片柳進議員が日本共産党を代表して討論をおこないました。片柳議員の討論原稿は以下の通りです(議事録ではありません)。

日本共産党代表討論

私は日本共産党を代表して、臨時議会に提案された諸議案並びに補正予算案について討論を行ないます。

議案第66号「新型コロナウイルス感染症の感染の拡大を防止するための川崎市国民健康保険に係る保険給付の臨時特例に関する条例の制定について」、議案第74号「令和2年度川崎市国民健康保険事業特別会計補正予算」についてです

条例改正による傷病手当では、欠勤した最初の3日間や個人事業主は、支給対象にはならないという答弁でした。この3日間の損失や個人事業主に対して、独自の支援策をとることを強く要望して、この議案に賛成します。

議案第67号「川崎市新本庁舎超高層棟新築 工事請負契約の締結について」、議案第68号「川崎市新本庁舎超高層棟新築 電気その他設備工事請負契約の締結について」、議案第69号「川崎市新本庁舎超高層棟新築 空気調和設備工事請負契約の締結について」、議案第70号「川崎市新本庁舎超高層棟新築 衛生設備工事請負契約の締結について」、議案第71号「川崎市新本庁舎超高層棟新築 昇降機設備工事請負契約の締結について」です

 労務関連費用について、「労働者に賃金が適切に支払われることを確認」していくという答弁でした。下請けで働く労働者にまで、適切な賃金、労働環境が保証されるよう市が指導していくことを要望して、この議案に賛成します。

議案第72号「控訴の提起についての市長の専決処分の承認について」です

年度当初から原告児童へのいじめ行為があったことを認めるべきと質問したのに対し、「原告児童も含め学級の児童間で互いに被害感情が生じるような状態で、いじめの構図ではなかった」との答弁でした。

 しかし裁判所は、暴言やいわゆる菌回し行為、鬼ごっこのとき蹴られたこと、バスの座席決めのときに隣の座席になることを嫌がって怒り出したことなどを苦痛に感じていたことから、いじめ行為があったというべき、と述べています。また、10月21日に担任の提案にしたがって謝罪した際になかなか発言できずに泣き出した原告児童に対し、「早くしろ」「聞こえない」「謝っても変わらない」などの発言などがあったことについても「全体としていじめ行為と評価し得る」とも述べています。いじめの状況にあったことは明らかであり、いじめ行為と認めて対応すべきだったことを指摘しておきます。

また「いじめ防止基本方針」にそって組織的な対応が行われたのかという点では、学年で情報共有し対応していたものの、いじめ防止基本方針で位置付けられている校内いじめ対策ケース会議や校内いじめ防止対策会議など、全校で情報共有した組織的な対応は行われなかったとのことです。

当該学年が5年生以前の段階から様々な課題のある学年だったことは認識されていたはずです。また5月6日には原告児童が様々な暴言によって嫌な思いをしたことを話す場が設けられているように、6年時の開始当初からもいじめと認められる状況だったことは明らかです。これらの状況も踏まえ、早くから組織的な対応が行われるべきでした。

代表質疑の再質問に対する答弁では、当日の謝罪の場を設け、謝罪させたという対応は、それまでの経過などにもとづき担任教諭が即時的に行ったものとのことでした。

しかし、文教委員会の質疑では、20日に当該学級が騒然とした状態となったときには校長と学年主任も駆けつけてようやく学級が一定の落ち着きを取り戻したとのことであり、また20日の放課後に担任教諭が学年主任と翌日の対応について相談し、原告児童のノートは悪口を書いたものではなく本人のメモであると学級児童らに説明することを確認し、校長にも報告したとのことでした。

そもそもいじめの被害に遭っていた原告児童に対しては、いじめ防止基本方針が述べている通り、「絶対に守る」立場で臨まなければなりませんでした。しかし「絶対に守る」どころか、いじめる主体となっていた児童も含めた学級全体に対して謝罪する場を設け、原告児童に謝罪を促すという指導方針が担任と学年主任で確認され、その報告を受けた校長も承諾したと受け止められるものです。

したがって、原告児童に繰り返し謝罪を求めた指導の責任は担任教諭個人のみにあるのではなく、主任や校長も含めた学校の組織的な責任が問われなければならず、市はそのことを正面から受け止めるべきです。

担任教諭は21日の授業開始当初は「ノートは悪口を書いたものではない」との説明を試みたものの、児童からの謝罪を求める声におされて指導方針を貫くことができず、謝罪の場をつくり原告児童に繰り返し謝罪を促すという対応になりました。

20日の状況を踏まえれば、大変困難なこのケースについての21日の対応を比較的経験の浅い担任教諭一人に任せるには酷だと判断できなかったのでしょうか。当日、複数の教員で学級に入ることや、いつでも支援に入れるように学年主任や校長などが待機しておくことなどを、学校が組織的に判断すべきでした。

経験が十分ではない担任教諭などが個々の判断や対応を誤ることはありうることです。しかし今回の件では、担任教諭を学校全体で組織的にサポートする役割が十分果たされず、それどころか校長や学年主任も謝罪する指導を認めてしまいました。教育委員会はこのことを真摯に反省し、教訓を今後に生かすよう求めます。

以上述べてきたように、市は原告児童の思いを受け止めて、謝罪させた指導の誤りを認めるべきであり、控訴すべきではなかったと考えます。このことから控訴の専決処分は承認できません。

議案第73号 「令和2年度川崎市一般会計補正予算」についてです

今回の補正は、台風災害の河川に関する対策のうち、台風シーズンを迎える前に短期対策として改善策を講じる補正予算です。被災された多くの住民のみなさんは、まだ復旧工事が進まぬ状況のもと、住み続けることのできる対策を求めています。「せっかくお金をかけて直しても、また、被災したら再起できない」との切実な声が寄せられています。短期対策を速やかに進めることは、極めて重要ですが、今回の「土のうを積む」「合板で護岸の改良を行う」といった対策では、住民のみなさんの不安は払しょくできません。国や県との協議をスピード感を持って進めるとともに、市としてできうる限りの対策を、それにふさわしい規模の予算措置を講じて行うことを求めて賛成します。

以上のことから日本共産党は、議案第72号については承認しないこと、その他の議案については賛成することを表明して討論を終わります。