議会報告

2020年6月15日

「市独自に」医療機関への支援迫る~片柳議員が代表質問


IMG_52206月11日の川崎市議会第4回定例会本会議で、日本共産党の片柳進議員(川崎区)が代表質問に立ちました。

片柳議員は、新型コロナウイルスの影響で経営状況が悪化、倒産の危機にひんする医療機関もある中、補正予算での医療機関支援のための市独自支出が5月、6月ともゼロなのは異常だと指摘。早急に市独自の支援制度を作るべきだと迫りましたが、福田紀彦市長は、市独自の支出はしない考えを示しました。

また、片柳議員は、コロナ第2波を食い止めるために、医療、介護、福祉施設のPCR検査を優先的に進めるよう求めましたが、市は最後まで「検査対象は広げない」という答弁でした。

片柳議員が教職員の働き方について、ほとんどの教員が休憩時間を取れないまま勤務している実態の中、昨年から始まったICカードによる出退勤管理では、あらかじめ休憩時間の45分が勤務時間から差し引かれて記録される運用になっていることを指摘。「勤務実態の虚偽報告は許されない。即刻改めるべきだ」とただしたのに対し、石井宏之教育次長は「休憩時間に勤務した分は勤務時間として取り扱っていない」と答えました。

片柳議員の質問原稿(初回分)はつぎのとおりです(議事録ではありません)。

代表質問

私は、日本共産党を代表して2020年第4回定例会に提案された諸議案、ならびに市政一般について質問を行ないます。

市長の政治姿勢についてです。

医療機関への支援について、市長に伺います。

 議案第103号、6月補正の予算額は、82億2600万円。国や県からの支出金を除いた市独自の支出はわずか14億円です。今、一番求められている医療施設への市独自の支出は、5月補正も今回の補正でもゼロということです。他都市が、医療崩壊を食い止めるため、感染拡大防止に必死になっている医療機関への支援を次々と打ち出しているときに、川崎市のこの姿勢は異常です。

 医療機関の現状についてです。全日本病院協会の「病院経営状況緊急調査」では、4月の医業利益はコロナ患者入院受入れ病院では9617万円の赤字、受入れていない病院でも1375万円の赤字ということで、経営状況の悪化は深刻です。全日本病院協会は、「これらの病院への緊急的な助成がなければ、今後の新型コロナウイルス感染症への適切な対応は不可能となり、地域での医療崩壊が強く危惧される」としており、医療機関への財政支援は待ったなしの状況です。

 コロナ患者受け入れ病院についてです。全国公私病院連盟・邉見会長は、新型コロナ感染症を1人でも受け入れる対策をとることによって「1病院の減収は月1億円以上になる。頑張るほど赤字になる」と訴えています。市内のある民間病院では、市からの要請があり、4月から市から依頼を受けた患者を受け入れるために設備を改造し一般患者とは別の動線を設け、一般患者の入院制限も行って感染疑いのある方も8人受け入れるために16床の空き病床も確保しました。これに対応するための人件費や設備諸経費は全部持ち出しです」と述べています。患者を受け入れるための病床を、1つ空けるだけで3万円の収入減、16床だと月では1440万円の減収となります。市からの依頼患者を受け入れるための設備改修費などに1000万円すでに支出しており、この病院は4月だけで7000万円の赤字が出ています。5月補正、6月補正の緊急対策事業費では、県からの支出金により高度・重症医療機関に500万円、協力病院に200万円を出しますが、これでは全く足りません。しかも、市はこういう病院に対して、協力要請をしておきながら、自分では1円もお金を出していないのです。市は協力要請を受けてくれた病院に対しては、当然その損失補填はすべきです、市長に伺います。

 受入れ病院以外の医療機関についてです。神奈川県保険医協会の緊急アンケートでは、保険診療収入が減少した医療機関は実に87%にのぼり、そのうち4割超の医療機関が「20%以上の減収」と回答。「リース代やローンが払えない」「いつまで持ちこたえられるかわからない」などの声を紹介し、「とりわけ開業から日が浅い医療機関は倒産の危機に瀕している」と訴えています。こうした医療機関への経営支援について、5月臨時会で市は「持続化給付金の活用を」という答弁でした。しかし、こうした医療機関でも全日本病院協会の調査で示しているように、全国平均1375万円の赤字となっています。例えば、ビルのテナントを借りている開業医は、テナント料だけで月100万円近くかかり、その他の医療機器のリース代や患者の減少で、月数百万円も減収となっています。市は、こうした医療機関に対して、持続化給付金で十分と考えているのか、市長に伺います。

保健所の体制について、市長に伺います。

 保健所の新型コロナの対応状況についてです。市民から、帰国者・接触者相談センターの対応について、電話が全然つながらない、病院をたらい回しにされた、PCR検査が受けられないなど、不満や意見が相次ぎました。相談を受けた各区の相談センター、保健所では、コロナの対応で激烈な勤務が続きました。当初、衛生課の職員約15人の半数くらいで対応していましたが、途中から他の部署から2人が応援に入り、4月中旬頃には、衛生課職員全員で対応しても間に合わない状態になりました。

4月は、市全体で1日400件~500件の相談があり、電話は朝から晩まで鳴りっぱなしの状態だったということです。職員の方は「1人陽性者が出ると、その方の2日前からの行動を全部聞き取り、接触した方の氏名、連絡先を聞き取り、そこに全部電話を入れる。その他に、2週間前、どこで感染したかを調べるために、他府県への調査もする。感染者については入院調整を行い、軽度の方は、宿泊先を確保して、そこに毎日電話を入れて健康状態をチェックする作業もある。その他に、PCR検査の検体や感染者を搬送する作業、他市町村からの接触者の追跡調査も舞い込むなど、殺人的な作業をこなしていた」と激烈な勤務の状況を話してくれました。幹部職員は、3月、4月は土日祝日も含めてほとんど1日も休めない状態が続いたということです。

新型コロナの対応が、このようになった最大の原因は、市の保健所体制が、この25年間、削減され続け、弱体化したことにあります。全国では、1992年には852か所に設置されていた保健所は2019年には472か所まで減少しており、川崎市でも感染症対策のためとして、それまでの7保健所体制から2016年から1保健所と7支所体制に移行しました。この20年間で市の人口は30万人増えたのに、保健所の職員数は422人から369人と53人も削減しています。人口10万人当たりの保健所職員数は川崎市は24人で、横浜市の40人と比べて半分程度です。今の市の保健所の体制では、これからの新型コロナの第2波、第3波に対応できません。早急に、保健所の職員を増やし、保健所体制を強化するべきと考えますが、伺います。

PCR検査拡大についてです。 

PCR検査数は5/18現在、市健康安全研究所でダイヤモンドプリンセス号関係186件を除き3,381件。本市委託の民間検査機関で788件、5/11からの集合検査場から民間検査機関に依頼が46件の計4,251件となっています。4月以降では、4/1から5/18までの48日間で1,887件、1日当たりわずか40件でした。検査数が少ない理由にについて、伺います。

これまでの、かかりつけ医から集合検査場への検査依頼数を伺います。また、補正予算の感染源対策事業費に7月から9月の3か月で13,500件のPCR検査料を予算に組んでいるとのことです、この数値は1日当たり150件の検査数でこれまでの4倍近い検査件数なります。感染拡大防止のために検査対象者を拡大し対応するのか、伺います。今後、希望する方すべてを検査対象にすべきです。伺います。

子育て支援策についてです。

小児医療費助成制度の拡充について、市長に伺います。

通院の対象年齢の拡大についてです。中学校3年生までの無料化をしている県内自治体は、高校卒業まで助成の大井町や2020年度10月から予定の伊勢原市と大磯町を含めると33市町村中31自治体となり、残っているのは川崎市と湯河原町だけです。中学卒業まで拡大するのに約3億6000万円で実施できるのですから、いつまでも県内最低レベルの更新を競うようなことはせず、ただちに中学卒業まで拡充することを表明すべきです。伺います。

所得制限の撤廃についてです。2020年度、大磯町は年齢拡充とあわせ所得制限も撤廃します。川崎市の場合、2020年度見込みで所得制限を設けられている対象者約15万人のうち20.3%、約3万人は所得制限があるために助成制度の対象になりません。助成対象年齢、所得制限、一部負担金の有無の3つの条件で比較すると川崎市は33市町村で最下位です。また、20政令市の中でも川崎市はワースト3位です。住んでいる場所や保護者の所得によって子どもの医療に差があってはなりません。ある歯科医師は、「医療費の負担は、受診の妨げになる」と話します。川崎市も通院の所得制限と一部負担金の撤廃に踏み出すべきです。市長に伺います。

特別定額給付金の対象とならない新生児への支援についてです。

 政府が支給を決めた特別定額給付金10万円は、対象を4月27日時点で住民基本台帳に記録されている人と規定し、28日以降に生まれた新生児は対象外となっています。赤ちゃんはいつ生まれても同じで、通常以上のケアをしていかなくてはならないのは変わらず、4月28日以降と分けるべきではありません。

 愛知県大府市は、市独自で令和2年度中に生まれたすべての子どもをお祝いするとともに、子育てに係る生活支援としてこども一人当たり、10万円の「大府市臨時特別出産祝い金」を支給します。

 神奈川県内でも、独自施策に取り組む自治体が増えています。厚木市は、4月28日から5月31日生まれまでの新生児に10万円の支給を行います。開成町も7月末までに生まれた新生児に10万円を給付します。相模原市は、通院時に電車を避けて、タクシーを利用するなど、感染防止に役立ててもらうことや、里帰り出産など家族の支援が受けづらい環境にあることから、家事代行や宅配サービスの利用が増えることを想定して一人3万円を給付します。本市でも、独自に4月28日以降に生まれた新生児への支援を行うべきです、伺います。

乳幼児健康診査についてです。

新型コロナウイルス感染防止により、区役所地域見守り支援センターの4月7日から6月14日の期間に予定していた乳幼児健康診査が延期されていましたが、6月15日以降再開します。診査対象の1歳6か月児は3200人、3歳児は3400人です。健康診断の再開にあたり、3つの密を避け、人の配置を増やして感染防止対策を図ることが求められます。実施方法について伺います。また、感染防止という理由から、受診しない人も増える可能性があります。リスクを抱える母子などは、健康診査によって状態を把握することができ重要です。未受診者への対応について伺います。

保育所の待機児童解消についてです。

5月12日に子ども未来局から報告された資料によると、就学前児童数は818人減少したものの、利用申請者数は集計が始まった2000年から20年連続で過去最高を更新し1272人増の34743人となり、保育需要は増加の一途をたどっています。

2020年4月1日時点で、希望する認可保育園に入園できなかった保留児童数は2447人。加えて1次調整から申請を辞退された方は1073人に上ります。そのうちの821名は希望の園に入れず、申請を辞退し自力で認可外保育園を探す方々、また残りの252名は申請の取り下げで、主な理由は市外への転出とのこと。辞退された方の4人に1人は市内の認可保育園を希望していたにも関わらず、一度も内定を受けることなく市外へ転出されているわけです。

待機児童数は12人と公表されていますが、実態とは大きくかけ離れていると言わざるを得ません。「川崎市子ども・若者の未来応援プラン」では、来年度の受け入れ枠拡大計画1827人となっていますが、保留児童数2447人、申請辞退者1073人、毎年利用申請者は1000人を上回るペースで増え続けている保育ニーズを鑑みれば、現在の計画では不十分です。受け入れ枠拡大計画を抜本的に見直すべきと考えますが伺います。

教育をめぐる環境整備についてです

コロナウイルス感染症による学校再開にかかわる諸問題について伺います。

 学校の休業措置は、学びの主体である子どもから教育を受ける権利や生活の場を奪うことになりました。国連・子どもの権利委員会はパンデミックが子どもに及ぼす影響について警告し、各国に子どもの休息、余暇などの権利保護、オンライン学習の格差や教師との関わりが減少する懸念、食事の提供などについての声明を発表しました。   教育現場からも「権利の主体である子どもといっしょに、なぜ休校にするのか、コロナにどう立ち向かうか、しっかり話し合いたかった」と声が寄せられています。学校再開後の教育のあり方として子どもの権利を保障することを最も重視すべきことを強く要望して、順次伺います。

 第一に、児童生徒の健康確認についてです。

 学校再開ガイドラインでは、家庭で検温等の健康チェックを行い、風邪症状の場合には欠席すること、家庭で健康観察ができなかった場合は教室に入る前に保健室等で健康観察を行うこととされています。全児童生徒の「健康チェック表」の確認にも、検温できなかった児童生徒の別室対応や、教室やトイレなどの消毒にも相応の人員や空間が必要です。どう対応するのか伺います。健康チェック表への誤記入や書き忘れに対応するうえでも、学校の負担を軽減するうえでも、東京都のようにサーモグラフィーで登校時に児童の体温を確認すべきですが伺います。

 学校再開にかかわる国の支援策では、1校あたり上限100万~300万円程度で学校の必要に応じて支援メニューから選択可能とされています。授業に空き教室等を利用する場合の備品購入費、消毒液やサーモグラフィーなどの購入経費もメニューに含まれています。各学校にメニューを示して必要なものを聞き、国の上限を超えた場合でも市が独自に負担して必要な設備・備品等の購入経費を支援すべきです。伺います。また、この支援策で示された特別支援学校のスクールバスの感染防止対策にどう取り組むのか伺います。

 次に、学校休業による教育課程の編成についてです。

 学校再開ガイドラインでは臨時休業による遅れを取り戻すためとして、夏休みと冬休みの短縮と夏休み中の学習補充奨励期間の設定、学校行事の中止・検討等が示されました。さらに「学習指導要領に定められた指導事項を削減することなく年間指導計画を調整」するように求めており、教育現場からは「この通りにやったら学習内容を詰め込む教育となり児童生徒に荷重負担となってしまう」と危惧する声が出されています。文科省は5月15日付の通知で、当初予定していた指導を本年度中に終えるのが困難な場合は…次学年または次々学年に移して教育課程を編成する、という方向を示しています。今後の学年で教えることが可能な内容は来年に回すなどとして対応すれば、今年度中に詰め込む必要もなくなります。教育課程の編成権は学校にあります。「学習指導要領の事項を削減するな」という現在の対応を改めて、学校の編成権を尊重して学校に任せるべきですが伺います。

 次に、休校中に課した家庭学習の扱いについてです。

文教委員会では、家庭学習について「『関心・意欲・態度』の項目には適切に反映させたい」との答弁がありました。しかし、シングルマザーの方からは「不登校の中学3年生の息子が3回にわたって出された課題を初めの2回までは兄が援助してやり遂げたものの、全く習っていない中学3年生の内容の予習まで課題とされて、ついに『もうやりたくない』と意欲を失ってしまった」との声が寄せられています。課題の提出状況をしっかり見て今後の教育活動に活かすことは重要ですが、「関心・意欲・態度」も含めて成績に反映させることは、家庭の環境によって差別を持ち込むことにもつながりかねません。あってはならないと思いますが伺います。

 市長が述べたように、今後しばらくはコロナウイルスとの「共存」をせざるをえず、恒常的な感染防止策が必要です。日本共産党は学校再開にあたっての緊急提言を発表しました。子ども一人ひとりを大切にする手厚い教育と感染防止のための身体的距離の確保のために、全国で10万人の教員を確保し20人程度の学級規模で授業ができるようにすることなどを求めたものです。手厚い教育と感染防止のために、抜本的な少人数学級の拡大に踏み出すべきですが伺います。少なくとも来年度に35人以下学級を拡大させることが決定的です。早急に具体化すべきですが伺います。

分散登校期間は明日までで終わり、来週15日から通常通りの学級人数で給食も再開されます。文科省は警戒レベル2と3の都道府県では2m程度の身体的距離をとるために20人程度の学級を推奨しており、40人学級の再開はレベル1の場合と示しています。「レベル2」の川崎市では当面分散登校を継続するべきではないでしょうか、伺います。給食の再開についてはどのような検討がされたのか、伺います。

学校給食費の無償化についてです。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、子育て世代の経済的な負担を軽減するため、小中学校の全児童・生徒の給食費を無償化する動きが相次いでいます。

愛知県では54市町村のうち、4分の1を超える15市町が無償にする方針を決めました。検討を進めている自治体もあり、今後増える可能性もあります。無償期間が最も長いのは、安城市、愛西市の6か月で「極力、保護者の負担を下げるという観点で、半年となった」とのことです。

神奈川県平塚市では小学生に給食開始予定の6月から9月までの給食費を無償にします。個人で申請する必要はなく、在籍していれば、給食費は無償になります。

本市でも、コロナ禍による子育て世帯の経済的な負担を軽減するため、無償化に、取り組むことが必要ではないでしょうか、伺います。

大阪市は、所得制限を設けたうえで来年度から予定していた給食費の無償化を、今年4月からに前倒しし、所得制限もなくしました。全国では学校給食の無償化が広がり、2018年7月時点で506自治体に広がっています。その後も、福島県では1年半の間に22自治体から32自治体、54%に増加し、兵庫県明石市でも2020年4月から無償化を導入。保護者負担を軽減し、すべての子どもたちが等しく学校給食を食べることができるように、本市でも学校給食の無償化に踏み出すべきです。伺います。

就学援助申請について伺います。

4月6日付 文科省のコロナウイルス感染症に伴う事務連絡には「就学援助の認定や援助の実施について、柔軟な対応を行うよう書かれています。

岐阜市や佐賀市は、コロナ禍で収入が急減する世帯が増えていることを受け、前年度の所得だけではなく、直近の減収状況も踏まえて対象者を判断するようにしたとのことです。本市の対応について、伺います。

コロナ禍の中で対象者が新たに増えていると思われます。新たに申請用紙を配布するなど、申請についての周知が必要です。伺います。

議案第89号川崎市立学校の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例についてです。

この条例案は、改正給特法の第7条を受けて国が示した「時間外在校時間は月45時間、年360時間以内とする」という指針についての必要な措置を講ずるためのものとのことです。

改正給特法の5条では一年単位の変形労働時間制が可能だと規定されています。「1年単位の変形労働時間制」とは、繁忙期に1日10時間労働まで可能とし、閑散期と合わせて平均で1日あたり8時間労働に収める制度ですが、そもそも人間の心身は繁忙期の疲労を閑散期で回復できるようにはなっていません。変形労働制は人間の生理にあった「1日8時間労働制」を壊すものです。改正給特法7条は今年4月施行、変形労働制にかかわる5条は来年4月から施行とされ、条例を制定するかどうかは自治体に任されており、自治体の判断で制定しないこともできるとされています。私たちは、変形労働時間制度を導入する条例は制定すべきではないと考えます。

また、変形労働時間制の導入にあたっては、国会答弁などで2つの前提をクリアすることが必要とされています。恒常的な時間外労働がないこと、時間外在校時間が月45時間以内で年360時間以内という基準が遵守されていることの2点です。今回の条例改正案は直接に変形労働時間制の導入をはかるものではないとのことですが、「指針」に沿って時間外在校時間の基準を定める、今回の条例案は変形労働制の前提となるものです。

本市の教職員の勤務実態を見ると、昨年度2月までに時間外在校時間が月80時間を超えた教職員は、小学校で4.7%、中学校で23.5%、特別支援学校で1.5%、高校で8.1%もいるとのことであり、変形労働制導入の要件を満たしているとは言えないと思いますが、伺います。

教職員の働き方についてです。

国の「時間外在校時間は月45時間・年360時間以内」という指針を具体化するとのことですが、それ以前に現在の教職員の働き方はどうでしょうか。市が当面の目標と定めた「正規の勤務時間を超える在校時間が1カ月当たり月80時間を超える教職員をゼロにする」という目標は、「過労死ライン」を下回るための最低限度の目標ですが、それすら達成できませんでした。その原因はどこにあると考えているのか、伺います。

国の指針では、学校での働き方改革を実現するための「学校における条件整備」を位置づけ、部活動指導員やスクールサポートスタッフなどの活用とともに「教職員定数の改善」を2つの柱として打ち出しています。川崎市はその2つの柱のうち部活動指導員や事務支援員他の専門スタッフの配置については具体的な人数も示して「拡充」「配置を継続」と明確に示しています。しかしもう1つの柱の「教職員定数の改善」については、教職員配置の「工夫」として「市に移譲された権限を有効活用することで…効果的な教職員配置を『検討』」する、としています。一方の課題は具体的に「拡充」しているものの、最も重要で根本的な教職員定数の改善については「工夫」「検討」というのでは「80時間を超える教職員をゼロに」という目標が達成できるはずはありません。

 市の今後の予定では「加配定数の拡充や活用、学校の実情に応じた効果的な教職員の配置の検討」となっていますが、どのようなことを行うのか伺います。勤務時間を減らすために最も効果的なのは少人数学級が実施できるよう教職員定数を改善することです。移譲された権限を活用して市が独自に教職員定数の改善を行うべきですが伺います。

パートナーシップ宣誓制度についてです。

本市は「人権施策推進協議会」の答申を受けてパートナーシップ宣誓制度を7月から実施することを発表しました。

市は、SOGI当事者の抱える生きづらさを解消すること、生活上の障壁を取り除く取り組みが重要だと認識してこの制度に取り組むとしています。当事者の生活上の障壁として最も多く挙げられるのが、住宅への入居や、病院での医療行為の説明や同意、病院の窓口での対応です。市営住宅や市立病院では取り組みが始まっていますが、それを民間に広げていくためには市の独自の努力が必要です。2015年11月にパートナーシップ制度を導入した世田谷区は、その直前の9月から11月に医師会・不動産業界を区長・副区長が回り説明を実施しています。本市も市長を先頭に関連する業界団体などに出向き、協力要請を行うべきです。市長に伺います。

障害者施策についてです。

障がい者施設におけるコロナ対策についてです。

初めに入所施設とグループホームについてです。千葉県の知的障がい者入所施設で3月クラスターが発生し、入所者54名、職員40名、職員の家族ら24人に感染しましたが、3週間でほぼ収拾しました。対応策の最大の特徴は、入所者は障がい特性によって環境が変わると落ち着かなくなったり、医療行為を理解できず拒否することなどから、軽症者を入院させず慣れている施設の個室で隔離し、医師、看護師と保健所の職員が常駐して、施設の職員と対応に当たったことです。医療チームは障がい者の対応に慣れておらず、施設の職員は医療行為ができない、この二つの課題を同時に行うコーディネートを自治体の保健所が行いました。職員の感染により47人中勤務できたのは7人のみだったため、市の職員を派遣し補充しました。この事例に障がい者福祉の専門家は「医療と福祉を組み合わせ、それを自治体が支援することが不可欠だということを示した」と評価しています。

本市でも、ある入所施設では軽症の感染者は施設内で隔離するためにショートステイの部屋を隔離部屋に転用し、すでに緊急の場合を除いてショートステイの受け入れを中止しています。

また、あるグループホームの事業者は、軽症者や、障がい特性から入院治療が困難な人を隔離するホームを特別に指定し、入居者を移動して対応しようと計画しています。問題は、感染者を施設に残すと、医師や看護師を派遣してもらわなければ医療ができないことと、部屋をあけるためにショートステイなどの報酬が入らないことです。これが何か月も続けば大きな減収になります。

さらに課題となっているのは、職員に感染があった場合職員の補充をどうするかということです。県は県内の他の施設の中から施設をまたいで人を動かしてよいとして手上げ方式で登録を求めていますが、どこの施設も手いっぱいで回す人などおらず、絵に描いた餅だということです。

千葉の事例を参考に、居住系サービスについて次の3つの対策を行うべきです。第1に、施設内で看護することを前提とした、医療と福祉の連携を軸にした危機管理マニュアルをすべての施設で作るよう市がイニシアチブをとることです。第2に、応援体制を法人に任せるのではなく、市がコーディネイトして人を配置することを明確にすることです。この際、応援職員を新たに確保するための人件費を支援すべきです。第3に通常の報酬が入らない対応をした場合の財政補填を行うことです。直ちにこうした対応を、市独自で行うべきと思いますが、伺います。

ホームヘルプサービスについてです。

視覚障がい者、重度障がい者などの方々が、ヘルパーさんの派遣を断られることが増え「日常生活ができない」と苦境に立たされています。介護を行うときは近い距離での会話や身体接触が必要となり、「社会的距離が保てない」とヘルパーさんの活動自粛が広がっているためです。市内でも視覚障がい者の方から「ヘルパーさんから『今の時期は控えたい』と言われた。病院に行けず、買い物はいつも頼んでいるスーパーの配達も断られ困っている」と訴えられました。三密を避けても通常のような支援を行うために市が責任を持つべきです。具体的な対応について伺います。

議案第81号 川崎市心身障害者リハビリテーションセンター条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の制定について、議案第82号 川崎市障害者就労支援施設条例の一部を改正する条例の制定について、議案第95号 財産の無償譲渡について、および、議案第96号 財産の無償譲渡について、についてです。

 これらの議案は、障がい者入所施設のれいんぼう川崎と障害者就労支援施設のわーくす大師を、市の施設としては廃止するとともに、その建物を無償譲渡し、民設民営の施設とするものです。

 これは、2018年3月に策定された「川崎市高齢者・障害児者福祉施設再編整備基本計画・第1次実施計画」にのっとり、今年度指定管理の期間が切れる両施設を来年度から民設民営にするという方針を実践するものであり、高齢者、障がい児者の施設で民間へ譲渡するのははじめてのことです。

 「第1次実施計画」では民設化にあたっての留意点として、「移管に伴い従前のサービス水準が低下しないよう適正な水準維持に配慮することとします。また利用者やその家族に対しては、不安解消に向け民設化のメリットを含めサービス内容の十分な説明を行うことや、民設化について理解を得ることとします」とありますが、これらの措置はどのように行われたのか、具体的に伺います。

 譲渡先は公募によるとされていますが、応募者はそれぞれ1団体でした。選定の基準に照らし、評価はどうだったのかうかがいます。その評価は公表されているのか伺います。また、「第1次実施計画」の「譲渡民設化の手法」というところでは、「公設施設は市民の大切な財産であり、また民設施設との公平性の観点から建物は有償譲渡」とありますが、今回の条例案では建物は無償譲渡です。なぜ無償譲渡となったのかうかがいます。再編整備計画の方針そのものが変更になったのかも伺います。

特別養護老人ホーム増設についてです。

2020年4月1日現在で特養ホームの待機者は2692人、うち要介護5の方が557人です。この間減っていません。2019年度版「川崎市高齢者実態調査」報告書でも3年以上待っている要介護5の方が3割近くいることがわかりました。今年度の開設は1ヵ所100床のみです。この間毎議会で待機者数の実態に見合った整備を求め続けてきましたが、第8期「かわさきいきいき長寿プラン」に反映させていくという答弁が繰り返されてきました。第8期計画は2021年度から始まります。こうした実態に合わせた整備計画になると思いますが、進捗状況について伺います。

 これだけ待機者がいるのに、市内57カ所の特養ホームは定員に対して230名の空きがあります。空いている主な原因は劣悪な待遇による職員不足です。高齢者実態調査でも人手が足りないことがあげられました。今こそ、介護職員の処遇改善にむけ経済的支援に舵をきるべきです。伺います。

水道料金・下水道使用料の減免についてです。

 学校の休業や自粛の要請により自宅で生活をする時間が増え、水道の使用量が大きく増加した家庭が増えています。それを支援するため水道料金などを減免する市町村が増えています。名古屋市はすべての水道利用者の基本料金を2か月無料に、大阪市はすべての利用者の水道料金と下水道使用料の基本料金を3か月間無料にします。神奈川県は県営水道の全利用者の水道料金を5月から4か月間10%減額します。

 これは大変重要な支援だと思います。しかしいっぽうで本市で水道の基本料金を全額無料にすると、月約5億円、下水道利用料は月約6億円が必要となります。全利用者の水道料金を10%減額すると、約2億円が必要です。これが今後料金値上げの原因となったり、耐震化事業の遅れにつながらないようにすることが必要です。本市は一般会計からの繰り入れによって水道料金と下水道利用料の基本料金を無料にすべきと思いますが、伺います。

中小企業支援についてです。

 政府は第2次補正予算に「家賃支援給付金」制度の創設を盛り込みました。多くの事業者の声、野党の追及に応えざるを得なくなったものです。しかし、その内容は、該当要件が厳しく、家賃の支払いに窮してる多くの事業者が対象外になる恐れがあります。1か月の売り上げが前年同月比で50%以上減少するか、あるいは、期間中3か月連続で売り上げが前年同月比で30%以上減少していることがその条件となっているかです。また、給付時期も、売上が30%減少するケースでは、5月から減少していても、7月末で実績を計算し、8月にならなければ申請そのものができません。「それまでに倒れてしまう」と怒りの声が広がっています。市内金融機関が3月上旬に行った「中小企業動向調査」でも、今年4月期から6月期の予測は大幅な後退を示しているように、今すぐ、支援することが必要です。市独自の家賃補助金制度をつくり、6月給付を行うべきですが、伺います。

 さらに、地域商店のコロナ対策を支援し、同時に地域経済を活性化するために、「店舗リニューアル助成制度」の実施を行うべきです。すでに決定した「テイクアウト等参入促進事業補助金」において、店舗の改装費用もその補助対象となります。今後、新型コロナ対策が日常的に求められる中、3密を避けるための店舗の改装などの建設需要を市内事業者に結び付けることができれば、経済の「市内循環を図ることで、早期の経済回復」を図ることができます。「店舗リニューアル助成制度」を創設すべきですが、伺います。

就職氷河期世代についてです。

6月補正において566万9千円を計上した就職氷河期世代応援事業費は、国の「就職氷河期世代支援加速化交付金」を活用するとのことです。この制度は、就職氷河期世代支援に先進的・積極的に取り組む自治体の事業を対象事業として具体的な数値目標を立て3年間集中的に取り組む自治体に対し、事業費のうち4分の3の費用を国が補助していくものです。すでに第1次交付が決定した北九州市では、夜間・日曜日に対応可能な就職氷河期世代専用の相談窓口を市内3か所に設置、資格取得支援等を実施し、3年間で200人の正規雇用化を目指すとのこと。本市は3月の1次交付については申請せず、7月交付に向けての予算計上とのことですが、本市が作成した支援プログラム案は、具体的に3年間でどのような数値目標を立て、就職氷河期世代を支援していくのか伺います。

市内学生などへの臨時雇用の充実についてです。

 新型コロナウイルス感染症拡大により、世帯収入やアルバイト収入の大幅な減少で就学の継続に困難を及ぼす学生が増えています。

北九州市は、内定を取り消された学生などおよそ3000人を、市の公共施設などで短期雇用する支援策を実施します。美術館や博物館などの消毒、清掃や入場整理など、短期の臨時職員としての採用と、業務委託先の企業での雇用とのことです。

別府市では、国籍を問わず大学・大学院生などを対象に公園の清掃、消毒作業、外国語の観光看板作りなどの仕事を依頼します。実施は6月1日から来年3月末までで、延べ1万人分の支援を想定するとのことです。

川崎市では、採用内定の取り消しやアルバイト先が休業した学生などを含め、生活に困窮した人たちを対象に臨時雇用として、事務や窓口対応などに22名、ごみ収集作業など20名の計42名を既存の会計年度任用職員の募集枠内で実施しますが、他の自治体と比べても募集人数が少なすぎます。

 本市でも、他の自治体の取り組みを参考に、各所管局で、短期の臨時雇用として業種を増やして学生への支援をすべきです。伺います。また川崎市の臨時雇用では、時給1100円を切るなど十分とは言えません。1500円に引き上げるべきです。伺います。

東大阪市は、学生を対象に、7月末までを任期とする会計年度任用職員200人を募集しました。コロナ禍により、市立学校の臨時登校や学校再開時の業務をサポートします。募集したその日に、応募150人を超えたとのことです。1日6時間、週4日が上限で、時給1200円です。教員の業務負担が膨大に増える中、サポート体制が求められています。教育次長に伺います。

JFEスチール株式会社京浜地区高炉休止についてです。

JFEスチール株式会社は3月27日、生産体制構築に向け構造改革を実施するとして2023年度を目途に全国に8基ある高炉の内、京浜地区に1基しかない高炉休止を発表しました。その上で休止する設備に係わる従業員約1,200名の西日本地区を含む配置転換することを明らかにしました。さらに、グループ会社・協力会社の約2,000名が設備休止による影響が想定され、その他の数百人の下請け労働者を含めると4,000名の職場がなくなり、家族を含めると1万人に影響が及ぶことになります。

職場では「昨年家を買ったばかり、どうすればいいのか」「他地区に配転されれば転職するしかない」「会社の説明会の時に若者が泣いていた」と不安と衝撃が走っています。NKKからJFEと川崎臨海部での長年の生産活動は本市とも大きな関りがあります。直近約10年間の港湾局関係で発注したJFE関連会社との契約金額だけでも確認されたもので約90億円にのぼります。家族を含め1万人の半分は川崎市民とも推定されると思われます。この点でも地域経済への影響は甚大ではないでしょうか。

市長はJFE発表の同日「このような再編を行うことを大変厳しく受け止めている」「地域経済や雇用への影響を最小限にできるよう必要な対策を協議していく」とコメントを出しました。地域経済、雇用への影響を調査しているのか、伺います。また、対策についてどのように協議しているのか、伺います。

防災対策についてです。

避難所についてです。

小中学校の体育館に避難することは新型コロナウイルス感染症の感染リスクが高いとして、各地で検討が始まっています。神戸市にある「人と未来防災センター」が研究レポートとして発表している「避難所開設での感染を防ぐための事前準備チェックリスト」という手引きでは、これまで標準的な体育館には一人3㎡として168人収容できたものが、2メートル間隔をあけようとすると、86人しか入れないという試算をしています。千葉市では地元住民が避難所になっている公民館で避難スペースを確認してみると、これまで60人利用できるとしていた部屋に20人しか入れないことがわかったとのことです。本市でも避難所運営会議と協力して各避難所に何人入れるのか確認し、予想される避難者数から必要な面積を割り出して、新たにどこを避難所にするのか直ちに検討するべきと思いますが、伺います。

 人との接触を避けるためには距離だけでなく、パーテーションが必要です。昨年の東日本台風の際、長野県上田市では4・4平方メートルの四方を囲ったナイロン製の「ファミリールーム」というテントを活用しています。たためばとても小さくなり軽いため、上田市では約300個備蓄しています。これは避難所で活用するために開発されたもので、プライバシーも守ることができ、これまでの避難所の問題を当面解決できるものです。本市でも備蓄すべきと思いますが、伺います。

 避難所の環境を改善し、人権を守るために基準とすべきは、国際赤十字の「スフィア基準」であると考えます。スフィア基準―「人権憲章と人道対応に関する最低基準」とは、1人当たり3.5平方メートルの広さで、世帯ごとに覆いのある空間を確保することや、トイレは20人に1つ以上、男女別に使えるなど、避難所や難民キャンプにおいて避難者の人権を守るための基準です。避難所の非人間的な環境を嫌い、ためらう人も多くいます。スフィア基準を本市でも採用すべきと思いますが、伺います。

令和元年東日本台風被害の復旧についてです。

平瀬川の短期的対策として、東久地橋桁下からの浸水を防ぐための大型土のうを設置することが決められていますが、この予算はどの費目でいくら計上されているのか、実際の設置はいつから行われるのかうかがいます。

羽田新飛行ルートについてです。

3月29日に新ルートの運航が開始されましたが、コロナ禍の下、航空需要は激減しています。「国際競争力強化のため」として国際線を1日60便増便するとして新ルートを強行したものの、5月中旬には国内線は1日あたり4機から7機しか飛んでおらず、国際線は1機も運航していません。せめて、この状況下での新飛行ルートの運行は中止するよう国に求めるべきです。伺います。

臨海部の大規模事業について、市長に伺います。

 臨港道路・東扇島水江町線についてです。議案第92号で、東扇島アプローチ部整備の一環として、橋梁上部及び下部工の架設を行うもので13億2000万円の契約を締結するものです。しかし、川崎市は、昨年の台風や新型コロナ問題で早急に対応が必要であり、多額の費用が掛かります。このような時に、13億円も出して、この橋梁工事が本当に必要でしょうか。

羽田連絡道路については、議案第103号、補正予算の繰越明許費に58億6400万円計上されています。当初から羽田空港を利用する外国人観光客をあてにして計画した橋ですが、世界的なコロナ危機は、ここ2,3年は続きます。羽田空港からの観光客が激減している状況で、本当に今、必要なのでしょうか。

東扇島堀込部埋立事業については、報告第5号で繰越額を11億7000万円を計上し、報告第16号では、契約金額を38憶6000万円から41億2000万円に、2億6000万円も増額される契約変更です。リニア新幹線の残土をあてにした埋め立て計画ですが、今回の新型コロナ問題で、仕事や生活スタイルが変化し、テレワークなどが増える中、リニア新幹線自体の必要性も問われています。リニア新幹線の残土をあてにした埋立事業が、今、本当に必要なのでしょうか。

新型コロナ、台風の対策が最優先の時に、このような不要不急の大規模事業は見直しか先延ばしすべきです、伺います。

以上で質問を終わります。