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2022年4月21日

気候危機の打開に関する調査と懇談 第3回


 日本共産党川崎市議会議員団は4月21日(木)、東北大学教授の明日香壽川(あすかじゅせん)氏と「気候危機の打開に関する調査、懇談会」を行いました。

 DSC_0185明日香氏から「ここ数年間の日本または世界の、温暖化問題の政策決定の背景がどのように動いているか、CO2の排出削減をどうやって行うか。また日本政府による政策はどのようなものが考えられるのか、それと同時に技術的・経済的な問題は、どのようなものがあるかに関して報告したい」と、冒頭に話がありました。

 明日香氏は、ご自身も製作に携わった『レポート2030~グリーン・リカバリーと2050年カーボン・ニュートラルを実現する2030年までのロードマップ~』を紹介し、その中身についても以下のように話がありました。

 研究の一番のポイントは、具体的に雇用がどれだけ生まれるか、どれだけ投資が必要かを各分野で細かく書いていること。レポート名にある『グリーン・リカバリー』とは、新しい投資がどれだけ雇用を生んで経済的にプラスになるかということ。

よく出る疑問として、再生可能エネルギーになったら失業者が増えて電気代も高騰し電力不足になるのではないか、というものがある。もちろん私たちも確認していて、対策をすればそうした事態にはならない。具体的には、脱原発・脱化石燃料のエネルギー転換で影響を受ける方は約20万人という試算になっている。一方、新規雇用の方は投資額から産業関連表で計算した将来の推算値であるものの、2030年までに年間約254万人の雇用が10年間維持される。そのためこのレポートは、そういう疑問なり反論には答えるような内容になっている。

 原発のことでいうと、EUが「タクソノミー」という政策方針を打ち出している。2050年までの気候中立の達成に実質的に貢献する事業や経済活動の基準を明確化することで「グリーン」な投資を促進することを目指すもので、この中に原子力の使用も含まれている。この政策方針が国内のニュースでも取り上げられているため原発が必要という意見があるのも分かるが、議論が必要なのは日本と違いEUは地震が少ないこと。「タクソノミー」を理由に原発を再稼働していいとはならないし、EU内でも原発廃止を掲げるドイツ、オーストリア、ルクセンブルクなどは原子力使用を含めることに反対している。とのお話がありました。

 終わりに明日香氏は、次のようにまとめました。「今はロシアとウクライナのニュースを連日のように目にするが、やはり平和を求めるのであれば気候危機の対策をするべきだという事が言える。長期的にはロシアに化石燃料を依存しているのが非常に根源的な問題の一つであり、これを辞めるのがもっとも効果的ではないか」

 市議団では、気候危機を打開するための施策を川崎市でも実現できるよう、今後も議会で求めていきます。