議会報告

2008年3月5日

2008年第1回定例会(3月議会)貧困と格差拡大に追い討ちの予算と批判 3月議会で竹間幸一団長が代表質問


2008,03,05, Wednesday
08年川崎市議会第1回定例会で、3月4日、日本共産党の竹間幸一市議団長が代表質問をおこないました。

2008,03,05, Wednesday3a

イージス艦の漁船沈没事件に抗議
海上自衛隊イージス艦が軍事優先の立場から衝突回避義務をとらず、漁船を沈没させたことに厳重に抗議し、被害者救助と徹底した真相究明を要求。同時に、1日1,000隻もの艦船が行き交う東京湾の入口に軍港を置いていることが問題であり、横須賀港の米軍空母母港化をやめ、米軍、自衛隊の基地をなくす方向の根本的な対応を要求しました。

市長の施政方針について、3つの角度から追及

貧困と格差の拡大について、非正規雇用が川崎でも全国と同様の割合で広がっている実態を示し、間接雇用である労働者派遣の制限、特に登録型派遣は厳しく規制すべきであると市長の見解をただしました。市長は「派遣労働者の問題については様々な見方がある」などと答弁。竹間議員は、国も対策に動いてるのに、市長が実態に背を向け続ければ、市長だけが孤立する道を歩むことになると、警告しました。

新行財政改革プラン案が、市民生活を支える福祉サービスにおける行政の責務を「利用できるためのサポート」に後退させ、「特に公設の社会福祉施設については、積極的に民営化を図」るとしていることについて、障害者自立支援法のもとで運営が困難になっている民間施設の現実を示し、井田リハビリテーションセンター、地域療育センターは公設公営を維持するよう要求。市長は、市の役割は「多様なサービス提供体制を構築していくこと」として民営化推進を答弁。
グッドサイクルのまちづくりについて、ラゾーナの503店舗のうち、市内に本社があるのは4店舗で、売上額は市外の本部に振り込まれ、市域内で循環はほとんどない実態を指摘して認識を質しました。市長は好循環が始っていると強弁。

新年度予算案の特徴について追及

竹間議員は、「予算案の第1の特徴は、貧困と格差の広がりに追い打ちをかけ、自治体の使命を投げ出していること」だと指摘し、年収200万円以下の給与所得者が1千万人を超え、生活保護世帯も国保保険料滞納世帯も増え続けているのに、市長は逆に老人医療費助成制度や結核・精神医療付加金の廃止など、セーフテイネットにかかわる施策を冷たく切り捨てたと述べ、精神障害者の切実な声を紹介しながら、市長をただしました。

川崎市は248億円余を投じて水江町地内公共用地の再取得します。また、先端産業創出支援制度(イノベート川崎)として、先端技術の事業化を行う者に事業所新設に伴う土地・建物及び設備の取得等に要する費用(投資額が大企業は50億円以上、中小企業は10億円以上を条件)の10%総額50億円を助成し、インベスト神奈川とも併用できる県内最大級の助成制度を新設。竹間議員はこうした事実を指摘して「予算案の第2の特徴は、大企業に奉仕する自治体にラストスパートをかけたこと」だと述べ、中小企業進出の可能性は薄く、体力が有り余っている大企業のための、まさにいたれりつくせりの施策だと批判しました。

市長は「限られた財源や資源を最大限活用しながら、効率的で効果的な市政運営を行ってきた」と福祉を削り大規模開発に税金を回すやり方を合理化しました。

地球温暖化問題について

市の地球温暖化対策地域推進計画では、2010年の二酸化炭素排出量を1990年比で6%削減をめざすとしながら、05年度速報値では逆に4.6%増加した事実を指摘。臨海部を中心とする事業者の排出量が約80%を占めているのだから、全国に先駆け大気汚染防止に成果を挙げてきた川崎市として、国待ちにならず総排出量制限目標を持ち、企業と個別に協定などを結ぶ実効性ある対策を要求。

子育て支援策の充実について

2008,03,05, Wednesday3b子育て支援策

妊婦健診事業ーさらに拡充を

新年度予算では、助成回数を2回から5回に増やし、助成額は合計で2万6,000円にしましたが、一回の助成額が低く抑えられ、35歳以上の妊婦対象の超音波検査への助成を廃止してしまいました。しかし、出産するまでの平均健診回数が14回で、国も14回が望ましいとしており、東京都でほとんどの区が14回にすること、助成額も平均で3万7,000円も多い事実を示し、助成回数の拡充と35歳以上の超音波検査への公費負担の継続を要求しました。

小児医療費助成ー浮いた財源で所得制限撤廃を

県の方針で打ち出された一部負担金の導入は見送られました。国の制度改正で約3億9,000万円、県の補助対象年齢の拡大で約6,600万円、計4億5,500万円も市負担が軽減されている事実を示し、新年度から所得制限の撤廃と対象年齢の引き上げを要求。

公立幼稚園の廃止やめ、増設を


市は幼稚園就園児増加地域に指定されているが、その実態について県議会などでも取り上げられ、「定員超過は教育条件の維持向上、良好な幼稚園児の教育環境を守るという面においてマイナス」と県学事振興課長も発言する状況です。この事態認識について教育長の見解をただし、公立幼稚園の廃止撤回と増設を要求。

私立幼稚園保育料補助の増額を

本市の入園料平均は114,700円、保育料平均は325,000円と、17政令市で一番高額です。横浜市は国庫補助事業への市単独の上乗せを一律48,000円、Eランクには第1子48,000円、第2子80,000円、第3子は112,000円おこなっている事実を示し、入園料補助創設と単独補助の上乗せの増額を要求。

保育緊急5ヵ年計画の前倒し「検討」約束

今年度の新規入所申請数は15,400人、不承諾数は2,050人で昨年より161人増えている事実を指摘して、保育緊急5ヵ年計画の前倒しを要求したのに対し、健康福祉局長は検討すると答弁。

入所選考基準の改善を

自営業者は中心者と協力者に区別され、同じ就労時間でも妻が協力者とみなされれば世帯としてBランク以下とされる問題で、実態に合う改善を要求。

公立保育園の民営化について

保育所運営費の国庫負担金の対象が民間保育所のみになり、延長保育に対する国庫補助金対象も、一時保育の施設整備交付金の対象も民間のみと、国の政策で民営化が誘導されている事実を指摘。国の誘導策にのって民営化をすすめながら、公立保育園の硬直化などを理由にする理不尽さを追及しました。

わくわくプラザ及び学童保育事業について

07年10月に示された厚労省の学童保育事業のガイドラインでは、児童の待遇の悪化を防ぐ目的で、利用児童概ね40人、1施設70人までとしています。 市の昨年4月1日平均71人を超えた29施設の解消策をただし、自主学童保育への補助も要求。

少人数学級について

文科省の文書でも「わが国の教育条件は国際水準に達していない」と認めていることを示し、すべての小学校の全学年で、1クラスの人数を33人以下にした山形県教などの例を紹介しながら、少人数学級の充実を求めました。

全国学力・学習状況調査への対応について

来年度も不参加を決めた愛知県犬山市の例を紹介しながら、本市の参加中止を要求。

中学校給食について

食育推進計画素案で、学校給食の充実で学校給食を「生きた教材」として活用することがうたわれたことを示し、義務教育である中学校において、学校給食として実施することを求めました。

 

障害者施策ー低所得1,2は無料に

2008,03,05, Wednesday3e障害者施策ー低所得

国の自立支援法の見直し案で、在宅・通所サービスを受けている低所得1,2の多くの人が月3,750円から1,500円になるが、他に様々な費用負担があること、また、所得計算が個人となるため、家族の収入で一般世帯だった人たちの多くが低所得1,2に移行することを示し、1,2の利用料無料を要求。

リハビリテーションセンターの再編整備について

建替えが決まった知的障害者入所施設の陽光園、知的障害児入所施設しいのき学園ともに2度引っ越さなければならない計画であることを示し、当事者にとって最善の建て替えとなるよう、職員にも繰り返し話し合いを行うよう求めました。

入所施設に入りたい方は市内に300人を超えているのに、計画案の入所定員は70名であることから増やすよう要求。陽光園や明望園の現在の入所者が障害程度区分は低いが諸事情で家庭で暮らせない場合に対応する新たな施設の検討を要求。

結核・精神医療付加金制度の廃止について

市は、この制度を廃止し、非課税世帯の方に3年間激変緩和措置として年間6,000円支給するとしているが、月額66,000円の年金しかなくても、月々2,500円年間3万円の負担増になることを指摘。受診抑制や、また、負担増がデイケアの利用抑制になり、精神障害者の地域生活移行の妨げにもなると批判。

特定健診・がん検診について

4月から40歳から74歳の被保険者への特定健診・特定保健指導の導入で、健康診断は、メタボリック症候群に「特定した」ものとなり、胸部レントゲンは廃止、心電図・眼底検査は基準に該当しなければ検査を受けられなくなることから、全て満たなくても市の責任で独自に行うよう要求。
自己負担額を1,200円とし、非課税世帯からも400円の負担を求めようとしているが、年金が下がり、老人医療費や介護保険料の負担増など手取り額が減少する中で負担の引き上げは大変であり、65歳以上の健診の無料継続と、非課税世帯の無料を要求。
がん検診も、現行の5項目すべてを受けた場合、4,600円が8,900円に。検診料の大幅値上げは受診率の低下を招くと指摘、現行額の継続を要求。

高齢者医療、介護について

2008,03,05, Wednesday3f高齢者医療 介護

後期高齢者医療制度の平均保険料額は月額8,510円です。県広域連合に対し、東京都のような軽減策を講じるよう川崎市として働きかけることを要求。

市町村での独自の保険料軽減について、国会で「法律上の制度とは別に市町村が独自の保険料減額をおこなうことは妨げない」とされていることを示し、川崎でも検討するよう、要求しました。
保険証の取り上げも、これまで例外とされてきた高齢者ということから、特段の配慮を要望。
後期高齢者の健康診断を希望者全員を対象に健診費用は無料とするよう要望しました。
特別養護老人ホームの待機者は約4,700人と毎月20人程度増加しています。平成19年、20年度と入所施設の増加は小規模特養2カ所の49床だけ。今年度予定の2カ所240床分の整備は不調に終わり、今後うまくいっても開設は2年後の平成21年度です。

公共用地を含め、市としてあらゆる努力をし、特養ホーム建設に責任をもつよう要求。

介護報酬の切り下げで、高齢者福祉職場の人材不足は深刻だと指摘。職員の定着・確保を図り、質の高い施設サービスを提供するため、横浜市のような「福祉人材緊急確保事業」創設を求めました。

高齢者医療費助成の復活について

後期高齢者医療保険制度も、国民世論に押されて国も一部凍結を余儀なくされている中で、「国が凍結するのだから、市の助成制度廃止も凍結を」との声に応え、高齢者医療助成制度の廃止を凍結するよう要求。市長は「施策や制度の再構築をはかったもの」とまともに答えず。

原油・原材料の高騰による市内中小業者への影響について

政府の緊急対策では、土木工事の発注の際、毎月更新される最新の資材価格を使用して予定価格を算出するとしているが、あらゆる資材が高騰し、毎月更新しなければ追いつかないことを指摘、標準積算基準を3ヶ月に1回から毎月更新にするよう要求。

公共事業の入札制度について

昨年の県内倒産総額が倍増し、とりわけ建設業の倒産が最も多く、今後も「改正建築基準法施工による影響で倒産が多発することが懸念される」深刻な事態に直面していると指摘。
総合評価一般競争入札が土木で5本出されたが、全て最低価格に落札され、落札率も従来の傾向を脱出するには至っておらず、このままでは市内建設業はますます窮地に追い込まれるとし、総合評価項目の価格以外の項目の評価割合を引き上げるよう要求。
一般競争入札について、予定価格を公表せず、最低限価格も引き上げて土木・建築など公共事業のダンピング防止、品質確保に責任を果たすよう要求。

青年の雇用・就業支援について

毎朝、市役所第2庁舎前からバスに乗り、臨海部で働く方々から聞き、正社員で働きたいという切実な声を紹介。本市の就業マッチング事業を求人登録の数にみあうように局長を先頭に取り組むよう要求。

資金がないため部屋が借りられず、「ネットカフェ難民」生活を送らざるをえない人たちに対して東京都のように、生活資金の無利子融資制度の創設と、家賃補助をおこなうよう求めました。

神奈川口構想に関連して、連絡道路計画について

第2回京浜臨海部基盤施設検討会の報告書で、殿町3丁目地区の上流側に橋を整備する案が最も課題が少なく既存道路へのアクセスも安易としているが、当初、上流部での問題として指摘されていた東京都大田区との調整について、特に大田区は「海側」を要望しており、本当に調整可能なのか質問。

日本野鳥の会から、全国的にも重要な首都圏に残る貴重な干潟を守ることの要望書が出されているが、これについて検討の内容も質問。

また、かつて検討されていた市民にとっての利便性は、今回抜けているのは、結局、連絡道路整備が、内陸部を含む市民全体の利便性向上からは位置づける理由が見出せない表れだと批判。

連絡道路を整備する場合と整備しないで他のルートを利用する場合とでは、時間的には数分しか違わず、この地域に交通量を流入させることにより、あらたな交通渋滞を招き、現在でも深刻な地域でさらに大気汚染が悪化する危険があると指摘しました。