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2007年12月5日

「保育緊急5カ年計画を検証する(その4)」市民合意なしに強引な民営化は許されない


2007,12,05, Wednesday

入園希望者向けに公立保育園の悪宜伝

今年10月から入園希望者に各区役所で配られている『保育所入所案内』に、「公立保育園の民営化に係るQ&A」という文書が折り込まれていました。
そこでは「公立保育園では全市的に均一のサービス提供が求められることで地域や園ごとの異なる対応が困難であり、迅速かつ柔軟に多様な保育ニーズに対応することが難しい仕組みになっています。一方、民間保育園は柔軟で即応力があり…」などと説明。企業でいえば、「自社の製品は不良品なので買わないように」と宣伝しているに等しいものです。

市が公民比率6対4を守る約束を反故に

これまで市当局は、「8割ぐらいは公立が川崎市のお子さんたちの保育を担ってきた歴史と経過があります。その中で、公立保育園が主体的に川崎市の保育事業、保育の質をリードしてきた、担ってきたという側面もあろうかと思います。こういうものは公民の比率が6対4だとか変わりましても、今まで公立が保ってきた保育の質、ある意味では公的な責任という部分は、公設民営化された園でも担保できるように監督しながら生かしていく」(05年7月27日、健康福祉委員会、こども施策推進部長)と答弁。
05年策定の総合計画「川崎再生フロンティアプラン」でも、「08年度以降、保育所公民比審60対40をめざし民営化を推進」とし、市が主体的に保育事業をリードするために公民比率は最低でも6対4を堅持すると約束してきたのです。
それが新たに22ヵ園民営化されることで、公民比率は4対6に逆転します。議会内外での約束を反故にし、公的保育における主体性を市が放棄する大問題です。

民営化推進ありきが保育行政をゆがめる

02年策定の保育基本計画でも「公立保育所の役割強化を図る」として、「経験豊かな保育士の専門的な知識や技術を活用し、入所児童の処遇向上はもとより、在宅児を含めた地域の子どもの健全育成や子育て家庭への支援など地域における子育て支援を一層強化します」と記述し、公立の役割がきちんと位置づけられてきました。
ところが今年9月議会で健康福祉局長は「保育所の役割については、子どもたちに適切な保育が提供されることが重要ですので、その意味では公立も民間も同じ役割を果たしている」などと答弁し、保育水準向上や地域・家庭への支援も含め公立の役割は語らず、受け皿(数)だけ提供すればよいという姿勢に変質。
そればかりか、公立は保育ニーズに対応できないなどと、子どもを預けたくなくなるような悪宣伝まで市が行なう。こうした保育行政を際限なくゆがめる民営化推進の姿勢に、憤りを覚えます。

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これまでも、また今回の計画に対しても、多くの父母・保育関係者から、民営化の根拠や性急なすすめ方に批判や反対の声があがっています。現場で保育の仕事を担っている公立保育園職員が意見表明する機会も保障されていません。
公立保育園の大規模な民営化を、市民合意なしに強引にすすめることは許されません。いまこそ、保育園父母・職員をはじめ、幅広い市民討議を徹底すべきです。(おわり)(日本共産党市会議員・石田和子)