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2009年4月23日

中学卒業まで医療費が無料の世田谷区を日本共産党川崎市議団が視察


2009,04,23, Thursday

20090420setagaya

日本共産党川崎市議団は4月20日、子育て支援の先進施策を学ぼうと、東京都世田谷区とを視察。竹間幸一、市古映美、石田和子、石川建二、斉藤隆司、井口真美、勝又光江、大庭裕子の議員8名が参加しました。
現在の川崎市の小児医療費助成制度は、小学校就学前までで、所得制限があります。日本共産党が対象年齢の引き上げと所得制限の撤廃を要求しても、現市長は拒否しています。しかし多摩川を渡った東京23区は、すべての区が所得制限なしで中学3年生まで医療費を無料化しています。今回は、人口が86万人と23区で最も多く、同制度を都内で4番目に実施した世田谷区役所を訪れ、同制度を導入した経過、効果、財源などについて聞き取りしました。
出生時に手続きをすれば、中学3年まで医療証を交付
世田谷区では、99年1月から所得制限なしで就学前まで無料化したのち、05年4月から小学校3年生まで拡大、翌06年12月から中学校卒業まで(6学年分)一気に拡大しました。
ゼロ歳から6歳までは「乳幼児医療証」が交付され、15歳まで「子ども医療証」が交付されます。出生時に手続きをすれば、所得制限がないので、新たな申請手続きをしないで中学3年生まで医療証が交付されます(更新は毎年10月)。なお、都医師会との契約なので、都内の医師会・歯科医師会に加盟する医療機関で使えますが、都外では使えません。
「子どもの医療費助成に所得制限はそぐわない」と区担当者
区担当者が、中学3年生までの拡充にいたる経過、制度の変遷について説明。「少子化の傾向で、子どもを生み育てる環境として、医療費の負担が大きな割合を占めている。その軽減をはかることが支援になるとして、まず小3まで拡大した。小3までの経緯を踏まえ、さらに子どもを育てやすい環境づくりの拡大として、06年度に補正予算を組み、12月から中3まで拡大した」と述べました。
99年から所得制限をなくしていることについて、区担当者は、「医療費は子どもが医者にかかる時にかかるので、親ではなく、子どもにかかるもの。親の所得が高い低いという所得制限は、子どもの医療費助成にはそぐわない」「健康保険の自己負担も、所得が高いから何割、所得が低いから何割と変えずに一律の割合になっているのですから…」と話しました。
対象児童数は97,627人、予算執行額は約32億円(08年度)
08年度(平成20年度)の助成対象児童数は、乳幼児医療証(就学前)は、43,875人、子ども医療証(小中学生)は53,752人で、合計97,627人。
これらの医療費助成にかかる予算執行額は、08年度が31億9795万円(約32億円)で、区担当者の説明では、おおよそ就学前(7学年分)が16億円、小中学生(9学年分)が16億円と、半々の内訳。同区では、児童手当と子ども医療費助成で約90億円を占め、福祉医療費800億円の約7分の1を占めています。
同区の財政規模は一般会計規模が約2,200億円なので、同5,800億円の川崎市でも、やる気次第で決して実現できない事業ではないと思いました。
歯科医師会も「早期発見、早期治療に役立つ」と歓迎
助成拡大に対する医師会などの反応について、「とくに反対はありませんでした。とくに歯科医師会は、親が子どもをなかなか連れて行かず、悪くなってから来て抜歯するようなことがないように、早期発見、早期治療に有効だと歓迎しました。健康への効果はすぐには見えませんが、中長期的にはあるはずです」と述べました。
また、07年度の区民意識調査では、対象者の拡大について81.9%が「良い取り組み」と回答し、区民に歓迎されていることを紹介。「医療費助成の拡大は、予防の観点で、子どもたちの健やかな育ちに役立っています」と話しました。