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2011年3月18日

東日本大震災の被害者支援と市民生活支援の緊急対策を申し入れ


P1000719 日本共産党川崎市議団は東日本大震災の被害者支援と川崎市民の生活支援等の緊急対策を川崎市に申し入れしました。
17日には、「食べ物も水もない状態では屋内待機なんて正直できない」と福島県いわき市から川崎に避難してきた人の親類から相談を受けた佐野よしあき議員や、同様の相談を受けた宮原春夫議員、石田和子議員が、市に要請して、避難者が市体育館に案内されました。また、民間バスが燃料の不足から運転を中止している路線も生まれていると、交通不便地域の住民から苦情が市議団に寄せられました。

党市議団は、被災者・避難生活者の救援・支援に市として全力をあげることや、放射線量測定モニターを市内各所に複数設置し正確な情報を全市民に知らせること、「計画停電」への対応、食料品・紙おむつ等の生活必需品やガソリン・燃料等の流通・供給量の見通しなどの市民への情報提供、京浜臨海部石油コンビナートの被害状況の調査・総点検と防災対策などの強化、事業活動に深刻な影響が出ている中小零細の商工業者に対し支援措置を設けることなどを要望しました。

申し入れで、ちくま幸一団長は「交通不便地域で民間バスが全休し、買い物に出かけられないという悲痛な訴えが高齢者などから寄せられている」と紹介。佐野よしあき副団長は「インターネットを使えない人のために、きめ細やかな情報を町内会などの掲示板に張り出してほしい」と述べました。市古てるみ副団長は、食料品の品薄状態に伴う「食料難民」が生まれている実態を報告。宮原春夫市議は、不眠不休で奮闘している市職員について「健康を害している人はいませんか」と心配しました。

対応した砂田副市長は「一つひとつ対応していきたい」とこたえました。

一方、かつまたみつえ市議は麻生区役所を訪れ、党の申し入れ書を手渡しました。
申し入れの全文はつぎのとおりです。

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川崎市長 阿部孝夫 様

東日本大地震の被災者救援に全力をあげ、川崎市民の安全確保と生活支援の緊急対策を求める申し入れ

2011年3月18日 日本共産党川崎市会議員団

東北地方を中心に襲った、わが国史上最大のマグニチュード9・0の大地震と大津波など「東日本大地震」による人的・物的被害は極めて甚大で広範囲に及んでいます。福島原発の爆発事故は放射線物質の外部放出という日本の原発史上最悪の事態に発展し、石油化学コンビナートの大火災(千葉県市原市)など、複合的被害の形で深刻な事態が広がっています。避難生活を強いられている人は東北・北関東の7県で約40万人に及び、被災地は水や燃料、食料の不足が深刻になっています。福島原発事故で避難指示が出された地域の方々の中には、頼る宛てがないまま首都圏に逃げ川崎市内に辿り着いた家族もおり、「泊る場所」を求める相談が我が党議員にも寄せられるなどの状況も生まれています。
いまこそ国と自治体があげて、全国民的規模で救援・支援活動に全力をあげるときです。
また今回の大震災は、川崎市内でも複数の重軽傷者や建物被害、広範囲での長時間停電と高層マンションのエレベータ停止、大量の帰宅難民が出るなど様々な被害をもたらし、放射線の不安や、「計画停電」や鉄道の運休・乱れによる通勤・通学困難、バス路線運休による「交通難民」、ガソリン・燃料、生活必需品の不足、食料品の品薄による「食料難民」、保育園・学校等の休園・休校など、まともな日常生活が送れない、深刻な影響・被害が全市民的規模で広がっています。こうしたなか、被災者救援および市民の安全確保などに不眠不休で奮闘されている川崎市職員のみなさんに心から敬意を表すものです。
いま必要な被災者支援および市民の安全確保と生活支援など、市民から寄せられている不安や要望をふまえて、以下に、当面必要な最低限の緊急対策を提起し、ただちに検討・対応が図られるよう強く求めるものです。
【要望内容】
(1)被災者・避難生活者の救援・支援に市として全力をあげる。
①被災者受け入れの宿泊場所が、公営住宅の空き家の提供だけではまったく足りない。宿泊可能な市の公共施設(市民プラザ、青少年の家、国際交流センター他)や、富士見ホーム(ホームレス宿泊施設、3月閉鎖予定)などを提供すること。
②市職員宿舎・県職員宿舎(廃止予定も含む)、UR住宅、民間企業の社員寮・体育館、ホテル、アパート・マンションなど、宿泊可能施設の空き家・空き室状況を、市内大企業や宅建業界とも協力して、全市域で調査・公表し、積極的に提供を要請すること。
③市が建設して市まちづくり公社が所有するビジネスホテル(リッチモンド武蔵小杉、中原消防署合築)は「震災時の防災拠点」が建設理由だった経過からも、こうした事態を受けて被災者の一時避難・宿泊所として提供すること。
④被災地では遠方に避難したくても移動手段がない被災者が多数取り残されている。燃料を確保しつつ、被災者搬送のために市交通局の貸切バスなどを被災地に送ること。
(2)市内の放射線量と健康への影響などの正確な情報をあらゆる情報ツール(インターネット、FMかわさき、防災無線その他)で全市民に知らせること。市が放射線量測定モニターを市内各所に複数設置し、時間ごとに公表すること。
(3)宮前区・高津区などの交通不便地域で民間バス路線が一部で全休し、高齢者・子育て世代などが買い物や病院にも行けない「交通難民」が発生し、命にかかわる問題になっている。バス会社に対し、路線の全休をやめ、すぐ運行再開するよう市が強く求めること。
(4)「計画停電」への対応について―①市内の病院や自宅で人工透析、人工呼吸器などを使用している患者など、医療・治療への影響を市が調査し、必要な対策を講じること。自家発電を使っている病院、往診をしている病院の燃料確保を支援すること。②節電の影響で南武線・私鉄の各駅や公共施設などのエレベーター・エスカレーター等が停止になることで、車いす利用者や障がい者、高齢者など交通弱者が移動に困らないよう、JR東日本㈱など交通機関がきめ細かな対応をとるよう市から要請する。③インターネットが使えない高齢者など「情報弱者」は、不安な日々を送っている。影響を最小限にするよう、「計画停電」のきめ細かな情報や防災・安全に関する情報を、町内会の掲示版・回覧板をはじめ、病院や高齢者施設・公共施設に張り出すなど、あらゆる方法で市民に周知徹底すること。同じく、「情報弱者」になっている在日外国人に多言語による情報提供を行なうこと。
(5)安否確認の対象を「要援護者」に限定せず、市内のすべての独り暮らし高齢者、災害弱者の安否確認を行なうこと。
(6)食料品の品薄状態が広がり、子どもに食べさせる物がないなど「食料難民」が生まれ、市民生活にとって深刻な問題になっている。食料品、紙おむつ等の生活必需品、ガソリン・燃料等の流通・供給量の見通しなどを調査し、市民への情報提供に努めること。
(7)市内のすべての保育園、幼稚園、小中学校、高校、特別支援学校など子ども施設の地震被害状況について、現場からの届け出だけでなく、専門家の力も借りて総点検し、必要な安全対策と補修・改修をただちに行なうこと。
(8)京浜臨海部の石油コンビナートの被害状況の調査、総点検と液状化・防災対策、大津波対策を強化すること。
(9)燃料不足、材料不足・品不足などの理由で事業活動に深刻な影響が出ている中小零細の商工業者に対し、営業補償、無利子融資や助成などの支援措置を設けること。また、実家が被災し、仕送りがなくなる市内学生への生活資金の手立てを講じること。
(10)大震災の教訓を深め、今後必要な防災対策として、マグニチュード9・0以上の大地震の被害を想定して、地域防災計画、地震防災戦略を抜本的に見直し・拡充する(現在M7・3想定)。沿岸部・臨海部の大津波対策、人口増であまりに足りない避難場所・防災拠点・公園オープンスペース(防災公園整備等)と防災備蓄を抜本的に増やすこと、木造住宅の耐震助成制度の抜本的拡充(増額)をはかること。超高層マンションでの住民孤立化・長周期振動問題、斜面造成地の安全対策などを具体化すること。
以上