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2011年7月20日

アジアで日本の子どもたちを孤立させるな~教科書採択問題を考える講演会


P10204977月16日、侵略戦争肯定・日本国憲法敵視を内容とする歴史と公民の中学校教科書採択をめぐる問題で、子どもと教科書全国ネット21事務局長の俵義文さんと、日本共産党中央文教委員会責任者の藤森毅さんが講演し、日本社会のあり方と日本人の生き方の根本に関わる問題だと述べ、「日本は正しい戦争をやった」と子どもたちに思い込ませる教育は許されないと述べました。川崎市教育委員会は8月7日に平成24年度使用教科用図書の採択について会議を予定しています。

俵氏は、問題の教科書は自由社と育鵬社(扶桑社100%子会社)それぞれが出す歴史と公民の教科書の4種類となり、2社の歴史教科書は横浜市や栃木県大田原市、東京杉並区他合計で生徒の2.8%、公民教科書は0.4%に使われている現状を報告。そしてこれらの教科書が記述している内容の実例をあげ問題点を一つひとつ詳しく解説しました。質問に答えて、教科書採択をめぐる運動では、中間にいる圧倒的多数の市民を引きつけて、採択地区毎に「こんな教科書はノーだ」の世論をつくっていく事が求められている点で、文字どおり草の根からの運動が求められていると述べました。

P1020526藤森氏は「不正義の戦争をおこし他国を侵略し、植民地にし、甚大な被害を与えた。そのことの反省の上に日本社会は再出発した。これは国際的にも(カイロ宣言1943年、ポツダム宣言1945年)、日本政府も(日本国憲法、宮沢官房長官談話1982年、村山談話1995年)よって立つた認識。しかしつくる会系の教科書は、こうした認識と真っ向から異なる内容となっている」と指摘して、これらの教科書が日本の起こした戦争をどのように教えているか説明しました。開戦の責任は相手側にあり、太平洋戦争の目的は「植民地の解放」で植民地支配を美化、南京虐殺事件は”論争中”、戦争への反省はアメリカ占領軍が作った観念などと教えていると述べ、「国と郷土を愛する態度」「伝統と文化の尊重」からも最悪の教科書になっていると指摘しました。

俵氏は最後に「国連の子ども権利委員会は、日本の子どもたちが扶桑社版のような自国中心の教科書で学ぶことによって近隣諸国の子どもたちとちゃんとした対話ができない状況にあることを危惧して、是正する事を勧告した。日本はアジアの中で友好を築く事でしか未来の展望は無いと思う。東アジア共同体をいかに築くか、韓国、中国の人々や子どもたちと話し合い、追及してきた経験から、アジアの人々に理解されるような関係を築いていていく上で、このような教科書は百害あって一利無しと言える」と述べました。