トピックス

2012年7月12日

命を大切にする新しい福祉国家・自治体をつくるために~渡辺治先生が講演


P7080070 8日、「命を大切にする新しい福祉国家・自治体へ ~野田政権の新自由主義大攻勢、改憲策動、橋本維新の会にいかに立ち向かうか~」と題した渡辺治一橋大学名誉教授の講演会が日本共産党川崎市議団主催で開かれ、約90人の市民らが参加しました。

渡辺先生は冒頭、次のように述べました。

「反貧困と構造改革反対の運動が政権交代を実現し民主党政権を誕生させたが、アメリカと財界の圧力で構造改革路線に回帰し変節をとげていった。原発再稼働、社会保障と税の一体改革、TPP、普天間の辺野古移転、めじろ押しの改憲案など日本の政治はどこへ向かおうとしているのか?期待に応えて生まれたはずの政権に裏切られた国民の中に不安と方向性を見失うような気持ちが渦巻いている。
そして、構造改革の政治をなんとかしたいと生まれた民主党政権の経験は、日本だけでなく世界的に一斉にリーマンショック以後出てきている。ギリシャでは負けたけれど新自由主義はごめんという政党に半分以上が投票している。フランスでは新自由主義を進めたサルコジがやめさせられた。エジプトでは独裁と新自由主義のムバラクに代わる政権が生まれた。オバマ政権、民主党政権ふくめて世界的に、新自由主義の政治の被害が深刻化しなんとかしたいという政治の動きが起こっていることに注目しなければならない。
しかし、同時にこれらの中でわかったことは、新自由主義の害悪や被害が国民にどんなに大きな被害をもたらしても、そしてそれを是正しようとする政権が生まれても、それだけでは新自由主義の政治はかわらない、ということも明らかになった。新自由主義の政治を本当に終焉させていくには、新自由主義の政治をかえて、大企業からきちんと負担をとり、規制を行い、新しい福祉の政治を実現する、そういう目標をはっきりと掲げた政権が登場しない限り、財界やアメリカの圧力で、民主党やオバマ政権のようにふたたび新自由主義の政治に変質してしまうということが明らかになった。新自由主義の政治に終止符を打つ綱領と政治的展望をもった政権が誕生しない限り、新自由主義の害悪がどんなに国民を苦しめても終止符を打つことができないことがあきらかになったというふうに思う。
こうした変節のなかで、日本やアメリカで2つの大きな変化が起こっている。民主党政権に期待し変節したが自民党に戻ることはできない、第3の道で橋下さんの強い政治で日本が変わるのではという期待で、民主でもない、自民でもない、橋下さんにという期待は非常に大きなものがある。同時に、民主でも自民でもないという動きの中から民主党の政治を大衆的な声で変えていかなければならないという動きも起こっている。首相官邸前で毎週行われた集会はどんどん大きくなり20万人を超えた。参加者の怒りが「音」ではなく「声」と首相に認めさせた。無視していたマスコミも報道し始め東京新聞は1面トップで報道した。民主でもない自民でもないの声が、一方では橋本期待に、一方は官邸前に、二つの動きが起こっている。アメリカでもオバマ政権の新自由主義の回帰に、アメリカの精神である新自由主義の復活をめざす「ティーパーティ」の運動と、オバマにもっと福祉を徹底させよと「99%」の運動がおこっている。もう一回新自由主義にもどろうという動きと、新自由主義の動きを最終的に止めるんだという運動がおこっている。」と述べました。

そして、「あらためて私達はどこにたっているのか、この政治社会はどこにむかっているのか、新自由主義の大攻勢に終止符を打つにはどうしたらよいのか、ということを今日は考えてみたい」と述べ、「結論から言えば、私達の運動が民主党を変え、変わった民主党を国民が支持をしてあの政権が生まれた。方向は間違っていなかったけれど、財界とアメリカからの猛烈な圧力が加えられ変節するなかで、その変節をくい止めひっくりかえす力がまだ私達に無い、この力をどうやってつくるのかが私達のこれからの課題になる。新自由主義の政治にインパクトを与えたこの経験から学ぶことが大事」と話しました。

市古議員が司会をつとめ、竹間団長が閉会の挨拶を述べました。