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2010年2月17日

新年度予算案は「30点」~TV神奈川で勝又光江議員


新年度予算案は「30点」~TV神奈川で勝又光江議員2月16日にテレビ神奈川で放送された「川崎市議会座談会 予算議会を前に」に出席した日本共産党の勝又光江議員は、「新年度の予算について市長は『経済環境も一変する中、市民サービスを守りつつ、社会環境の変化に的確に対応する』といっていますが、深刻な幼稚園不足、特養ホームの整備の遅れに見合った内容になっておらず、雇用や中小企業の深刻な実態を支援する実効的な対策はとられていない」として、財政問題、新年度事業、今後の市政の課題など座談会のテーマにそって次のように話しました。

(1)予算についての印象、評価 評価は、30点。 市長は今回の予算で「経済環境も一変する中、市民サービスを守りつつ、社会環境の変化に的確に対応する」といっています。たしかに、今回の予算では、評価できるところはあります。例えば、子ども施策では、新年度、国が、私立幼稚園の保育料補助を削減した分を、市独自に補助を行い、負担軽減を図ったこと。障害者施策では、屋外での移動が困難な障害児者への外出支援を行う事業所に対し、報酬単価を上げることなどです。

しかし、保育園不足は依然として深刻で、昨年入所申請した人が 3,352 人もいるのに、新年度の整備計画は、これに見合ったものになっていません。

特別養護老人ホームについては、5,000 人を超える待機者がいるのに、20年度21年度で開所したのは、わずか29床しかないという状況で、ようやく建設費補助を拡充して、22年、23年度で6ヶ所の整備計画が出たものの、圧倒的に足りない状況です。

雇用や、中小企業の置かれている現状は深刻で、その深刻な実態に対して、これを支援する実効的な対策はとられていません。そういうことで、30点としました。

(2)市の財政問題について 今何よりも大事なのは、深刻な経済危機の下、困難を極めている中でも、必死に頑張っている市民の暮らしと命を守ることです。

今回の予算案では、法人市民税が、99億円減収となっています。昨年、法人市民税の減収を補っていた個人市民税が、ことしは、人口が増えているのに97億円の減収となりました。川崎市内でも非正規・派遣労働者が増え、労働者の3人に1人、若者の2人に1人は、非正規になっています。

年収200万円から300万 円以下で生活せざるを得ない労働者が増大していること、大企業の違法なリストラ、派遣切りなどで職を失い、収入も住居も失った人が増大していることが、その大きな要因と考えられます。今必要なのは、そこへの手立てであり、現実にしっかり目を向け、そこに光が当たる施策こそが切実に求められていると思います。

川崎北部の有効求人倍率は、0.22 と、5人に1人しか仕事がないという状況です。先日、働き盛りの40代の方がリストラされ、働く意欲があっても仕事がない、そういう相談を受けました。一昨日も、中小企業の方々の集まりで、いまさら贅沢をしようというつもりはない、食べられるだけのしごとが、せめて国保を払えるだけの仕事がほしい、と切実な声がよせられました。

市長を先頭に、市内企業への申し入れを強め、また、市職員の直接雇用など、雇用を拡大し、中小業者への支援を拡充することによって、市民の生計を支え、そのことが、市税収入増にもつながると考えます。

しかし、予算案には、そうした対策が弱く、市民生活をしっかりと、応援するものとはなっていません。

(3)新年度の事業について 今回の予算の中には、子育て・障害者の分野では、この間の市民の粘り強い取り組みにより、切実な要求が、一定具体化された部分もあります。 しかし子育て世代のお父さんお母さんが安心して子育てできる状況が整っているかといえば、そうはなっていません。

不況で共働きしなければ生活が成り立たない若い夫婦が増えているのに、子どもが認可保育園に入れないため、やむを得ず保育料の高い、無認可保育園に預けざるを得ない状況があります。

生活が苦しいために、共働きせざるを得ないのに、そうした世帯が高い保育料を払わないといけないという実態を解消するためにも、認可保育園の大幅な増設が必要です。

子どもの医療費については、川崎ではようやく小学校に入学する前まで無料になりましたが、所得制限があり4人に1人が助成を受けることができません。中学生からの保険証の取り上げは行わないとされましたが、保険証があっても医療費が払えないため受診できない生徒が増加しています。ある中学校では、ケガをした生徒が、医者にかかれないため、2週間ほど学校を休み、自宅で療養していたという例も報告されています。

中学校卒業まで所得制限なしで、無料にしてほしいという願いは、切実です。 市長も、昨年の市長選の公約で、子どもの医療費の拡充を検討すると言っていたのですから、当然、予算に反映させるべきです。

子どもの貧困が問題になっている中で、川崎でも児童虐待の相談件数が増え続けています。全国児童相談所所長会の報告によると、虐待につながる家族・家庭の状況として、経済的困難がトップにあがっています。虐待に対応するにはまず、家庭の生活基盤を安定させることが大切であり、そのうえで、カウンセリングもはじめて効果を発揮すると言っています。

雇用・保育・教育の施策を充実させるとともに、何よりも生活安定のための給付、その中でもいま、就学援助を拡充すべきではないでしょうか。

川崎の就学援助内定率は、年々上がってはいるものの、7,2%で、神奈川県全体の13%からみて、低い状況です。東京の足立区などでは、周りに気兼ねしないで受けやすくするために努力が行われています。川崎でもその努力をすべきです。 義務教育といっても、平均学校徴収金は、小学校1学年当たりでも,53,000 円もかかります。その他にも卒業関連費など、かなりの出費になります。

川崎では、行革によって、メガネ代の支給、卒業アルバム代などが廃止され、社会見学代も削減されました。あまりにもひどすぎます。削減した施策は、2,000 万円あれば復活できます。復活すべきです。

高齢者の福祉施策は、この間の行革で、これ以上削ることができないほど削ってきました。さらに新年度も、5%シーリングをかけるといいます。要介護者生活支援、ヘルパー派遣事業などは、本来、拡充しなくてはいけない事業です。高齢者自立支援事業については、11%も削減するなど、本当にひどいと思います。

その一方で、臨海部の基盤整備事業や、財政が大変といいながら、羽田空港再拡張に伴う国への事業貸付金は、12億 4,300 万円計上し、破たんが明らかとなっている東扇島コンテナターミナルの、1基16億円を超えるといわれるガントリークレーン3号機も計画されています。

これらの、不要不急の整備事業は、先送りするなどして、子育て、高齢者、中小企業、雇用の支援にもっと予算を増やしてという声に、もっと耳を傾けるべきではないでしょうか。

(4)今後の市政の課題
先日、北九州市の緊急経済対策・雇用対策について視察してきました。北九州市では高校生の内定率が低いので、昨年12月から1カ月かけて、少しでも採用枠を広げようと、市長を先頭に、幹部職員90人が 376 社まわって、50人の採用枠を出してもらったとのことでした。

環境変化対応予算というのであれば、このように、市民の生活実態に寄り添った緊急対策が、川崎市にも求められているのではないでしょうか。

雇用破壊、社会保障の削減、子育て環境の悪化、中小業者の営業困難など、あらゆる分野で、悲痛な声があがっています。この声に応えられる予算のあり方を、議会の中で議論したいと思います。