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2013年12月10日

市長に「朝鮮学校への補助金交付を中止せず継続を」と申し入れを行いました


12月10日、市長が朝鮮学校への補助金の中止を表明したことを受けて、日本共産党川崎市議会議員団は同日、市長あてに本年度の補助金の交付を行うことなどを求める申し入れを行いました。砂田副市長が対応しました。

市古てるみ市議団長は、「どんな理由があっても子どもへのしわ寄せはしてはならないと思います。その点で阿部前市長が子どもに罪はない、と補助金を継続していた姿勢には共感をもっていました。川崎市は子どもの権利条例をもち、豊かに多文化の交流や共生の教育をしています。こういうことが起きると、仲良くしている地域社会に混乱が持ち込まれるのではないか、と心配です。補助金交付を継続していただくようお願いします」と述べました。
佐野よしあき市議は「川崎区の韓国・朝鮮籍の方が多い地域で暮らし、子育てをしていますが、本当に地域にとけこんでいます。子どもたちも学校で言葉や文化などを学んで、共生しています。せっかくとけこんでいるのに水を差すことになりかねません。熟慮していただきたい」と話しました。
砂田副市長は「市長に申し入れの趣旨をきちっと伝えたい」と述べました。

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朝鮮学校への補助金交付を中止せず継続することを求める申し入れ

川崎市長 福田紀彦様

2013年12月10日
日本共産党川崎市議会議員団

市長は、本日の議会答弁で、本年度の朝鮮学校への補助金交付を行わないと表明しました。この補助金は、教材費、職員の研修費、授業料への月6千円の補助など年間約840万円にのぼります。今般の経済状況の悪化のもと、学校経営を苦境に陥れ、市民にさらなる経済的負担を求めるものであり、子どもたちの学ぶ権利が損なわれる事態となりかねません。市長は県が補助金交付を中止したことを理由としていますが、川崎市が中止する理由にはなりえません。

国際人権規約や子どもの権利条約は、外国人児童生徒にも、日本人児童生徒と等しく教育を受ける権利を保障しています。「川崎市子どもの権利に関する条例」も国際社会の到達点を踏まえることを明記しています。補助金交付の中止は、国際社会で合意された学習権保障の責務を放棄する行為に他なりません。

ことの発端は県知事が外交の問題を取り上げて補助金の予算計上を中止したことでしたが、国際社会の到達点に立てば、子どもの学習権への支援は外交の問題とは関係なく最優先で行うことが当然です。どんな理由があっても何の罪もない子どもたちを犠牲にすることは許されません。

川崎市は多文化共生社会をめざし、人権尊重教育を推進してきました。在日韓国人・朝鮮人の多住地域にある、さくら小学校と桜本中学校は川崎市の「人権尊重教育実践推進校」に指定され、近隣の朝鮮学校との間で、双方の児童生徒・保護者・教職員、地域住民が様々な交流活動を続けています。また、「民族文化講師ふれあい事業」は川崎市立の小中高校70校で行われています。朝鮮学校への補助金打ち切りはこうした教育現場の努力や、川崎市の人権尊重教育の歴史を顧みないものと言わざるをえません。

川崎市は外国籍の方が人口の2%を占めており、海外にルーツを持つ多くの方々が住む国際都市です。川崎市は1970年代から、外国人市民が国籍や文化、言語の違いで社会的な不利益を受けないよう取り組みを進め、「川崎市外国人市民代表者会議」の設置、「川崎市多文化共生社会推進指針」の策定などを行ってきました。補助金交付の見送りは、こうした地域社会のみなさんと行政の多文化共生の努力も踏みにじるものです。川崎区のおおひん地区では、「国に問題があっても市民同士の交流、子どもを巻き込まないで」と、朝鮮学校への補助金継続を求める署名運動がおこっています。

以上の立場から、次の項目を要望するものです。

一、本年度分の朝鮮学校への補助金交付を行うこと

一、来年度以降も補助金交付を継続すること