政策資料 • 資料室

2015年1月16日

川崎市の自然エネルギーによる自立化推進に向けての提言(2014年10月)


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まえがき

2011年3月11日の福島原発災害後、多くの講演会、セミナーやシンポジウム、学習会等々の講師を務めてきました。その中で、「原発が危険であることは良く分かったが、それに替わるものが無ければ使わざるを得ないのではないか」、「自然エネルギーは地方のエネルギー消費の少ないところでは良いが、エネルギー消費量の大きい大都市では使えない」という意見に出会いました。

前者の意見については、「全ての原発が停止しても電力は供給された」という事実をもって答えが出ましたが、後者の「自然エネルギーは大都市のエネルギーを賄うことが出来るのか」という問いかけには簡単に答え切れないものがありました。特に、原発の電気の殆どは大都市で消費されていたことを考えると、脱原発を現実化させる上で、この「大都市の電力を含むエネルギーを自然エネルギーで賄えるのか、またどうやって賄うか」ということの答えを出さなければならないと思っていました。

また3.11の前年(2010年)のメキシコ湾の原油流出事故は、化石燃料に依存することによる環境(生態系)破壊の実態を示すこととなりました。化石燃料と原子力によるエネルギー供給に終止符を打ち、残された唯一のエネルギー資源である自然エネルギーによる供給を実現させ、未来への責任を果たさねばならないと思います。

こうしたこの数年の流れに重なるように、大工業都市・川崎市の自然エネルギーへの転換に向けた「提言」をとりまとめる仕事を、日本共産党川崎市会議員団から頂くことになりました。

まさに時宜を得た調査・研究する機会を頂いたと感じ、お引き受けすることにしました。 調査を進めていくと、川崎市のエネルギー需給の実態は実に驚くべきものでした。エネルギー使用量と供給量の莫大さと、そのエネルギー使用量の8割が、大企業・大工場で使用されて、また地域的に川崎区臨海部に集中しているという事実が分かりました。一方、川崎市当局の施策は、この実態にメスを入れることなく、残りの2割のエネルギー使用について展開している状況であることも分かりました。

エネルギー使用と供給の量的な過度の集中は、「平成17年度ヒートアイランド現象調査報告書」(神奈川県)によれば、「川崎湾周辺地区の人工排熱は、県平均値に対し23倍と他の地域に比べ高い値」と指摘されるように、川崎市において「熱公害」とも言うべき問題を引き起こしているとともに、「神奈川県石油コンビナート等防災アセスメント調査報告書」(平成26年3月、神奈川県)で明らかにされているように、化石燃料の圧倒的量(石油の85%、高圧ガスの99%)が川崎市臨海部に集中し、地震時の未曾有の災害はもとより、平常時でも常に危険性と同居し、市民の安全上重大な問題を抱えていることも黙過出来ない事実です。川崎市の自然エネルギーによる自立の課題は、こうして市民の安全・安心を確保する上でも緊急性の高いものとなっています。

この調査研究の成果が、これからの川崎市をはじめ大都市における自然エネルギーによる自立化と、そのための施策の推進に役立てられれば幸甚です。

2014年10月

株式会社NERC(自然エネルギー研究センター)
代表取締役・センター長 大友詔雄