議会報告

2015年9月24日

市税は市民最優先に~斉藤隆司議員が代表質問


DSC05036川崎市議会第4回定例会で11日、日本共産党の斉藤隆司議員が代表質問し、2014年度決算などについてただしました。

斉藤議員は、臨時財政対策債など国からの交付金減額を理由に財政の厳しさを強調し、予算執行を1%抑制した福田紀彦市長に対して、交付金減額は市の財政状況が好転した結果だと指摘。14年度決算では市税収入は過去最高額で、自治体の財政健全化指数の数値はすべて基準をクリアしていること、市も16年度からは交付金不交付団体に移行し、19年度以降は収支不足も解消できるとしていることを挙げ、市税は市民要求実現に最優先に使うべきだと主張しました。

また、市が「新総合計画素案」で、これまでの「財政が厳しい」との言葉ではなく「計画的な財政運営」を行うとしながら、保育所整備や少人数学級の推進、低所得の障がい者の医療費無料化などの市民要望には応えず、羽田連絡道路(約400億円)、臨港道路東扇島水江町線(約540億円)の二つの巨大な橋の建設などに1000億円もかけようとしていると批判。「不要不急な大型事業をやめ、市民の切実な要求実現に全力を挙げることを強く求める」と強調しました。

質問原稿は次の通りです(議事録ではありません)。

斉藤隆司議員の質問

私は、日本共産党を代表して2015年第4回定例会に提案された諸議案、ならびに市政一般について質問を行います。はじめに、昨日来、茨城県・栃木県など記録的な豪雨により北関東を中心として大災害が発生しました。甚大な被害に遭われた地域と被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。いま、国と地方自治体は、消防・警察・自衛隊はもちろん、国民の総力をあげ、人命救助と被災者の救援に全力をつくすことを求めて、以下、質問に入ります。

市長の政治姿勢についてです。最初に「新総合計画素案」などの市長の車座集会についてです。8月23日、「新総合計画素案」「行財政改革に関する計画の考え方と取組の方向性」についての市長の車座集会が開催されました。約900人が入れる大ホールに200人足らずの参加者でした。会場から質問を受け付けたところ、切実な要望が出され、私たちが全員説明会で要求したように、「10年前の阿部前市長のときのように多くの会場で市民と意見交換できる場を設けてほしい。せめて各区1ヵ所は行ってほしい」との要望も出されました。

これに対する市長の答弁は、30人もの市民が1年間かけて討議してきた、車座集会の模様を動画で流す、市政だよりで詳しく報告する、だから、前回より「市民参加」の機会は増えている、というものでした。 しかし、147万市民の川崎市で30人の方の検討で十分ということはできませんし、動画では市長との応答ができません。市政だよりも一方的に情報を伝えるものです。車座になっての集会、“対話と現場主義”というなら、市民の声を直接市長が聴くことが必要ではないでしょうか。基本政策5で「まちづくりの主役はすべての市民」とし、「参加と協働により」「市民自治を推進する」と位置づけているわけですから、市の施策に対する市民の声を真摯に反映する第1歩は、市民とやり取りできる機会をきめ細かく開催することではないですか。市長に伺います。

2014年度決算の特徴についてです。福田市長初の予算となった2014 年度予算の市税収入は過去最大となり、当初は減債基金からの新規借り入れをせずに収支均衡をはかることができ、前市長が常套文句としてきた”財政が厳しい”という言葉は当てはまらない状況となりました。ところが「行財政改革に関する計画」「新たな総合計画」策定方針では、今後大きく市税収入が増加することは見込めないと断定。”今後とも本市財政は厳しい状況が続く”との結論を導いていました。私たちは、事実と異なる試算に基づいて次年度以降の財政の厳しさを強調するのは間違いだと指摘してきました。今年7月に出された「新総合計画素案」では、「今後の収支見通し」を前提として、川崎市の市税収入は人口増などによる納税者数の増加、景気回復による所得の増加などによって堅調に推移していると評価。2016年度124億円、2017年度187億円の収支不足が生じるとする一方、2016年度以降は普通交付税の不交付団体へ移行する見込みであり、2019年度以降は収支不足も解消すると予測しています。その結果、“財政が厳しい”という言葉は出て来なくなり、私たちが指摘したとおりの結果となりました。

ところが、9月1日に出された「平成28年度予算編成について」では、同じ「今後の収支見通し」を使いながら、異なる結論である「市財政は当面厳しい状況が続く」という結論をまたもや導き出しています。2014年度の決算における市税収入は過去最高で、当初予算に照らしても約43億円も増えています。健全化指標の数値は全て基準をクリアしています。国の基準財政収入額も91億円の増となっています。基準財政需要額についても、人口減少等特別対策事業費は人口増が続いている川崎市としては大幅に増額された結果、「財源不足額は47億円増」となっていますが、これは国から全額手当てされるわけですから、ことさら、収支不足を強調するための材料とすることは許されません。このように、根拠のない資料を使って、使い古した“財政が厳しい”という言葉を持ち出すのはやめるべきです。市長に伺います。

乳児健康診断事業の再構築について伺います。これまで、集団検診として行われていた3ヵ月検診を個別検診に切り替え、個別検診として行われていた7ヵ月と10ヵ月を7ヵ月検診に統合し、3歳と4歳の検診を3歳6ヵ月の集団検診に統合するというものです。乳幼児健診は、産後まもない不安の多い親の気持ちに寄り添い、子どもの健全な育成に向けて、疾病・異常や発達の遅れ等を早期に発見し、医療や療育へとつなげることなど重要な目的と役割を担っています。児童虐待においても乳幼児が相談通告件数の半数を占める中で健診時など、保健福祉センターにおいて相談通告が増加しています。早期発見においても、乳幼児健診は大きな役割を果たしています。

また、集団検診の未受診者については、昨年度の健診対象者全体の6.5%、2708名の未受診者への受診勧奨を行い、9割以上の受診率を維持しています。再構築の内容は、このような保健衛生という自治体としての基本的責務を後退させることになるのではないでしょうか。予防接種の機会に合わせて、個別健診を行うとのことですが、予防接種の時期と3ヵ月健診の時期が必ずしも一致せず、予防接種と絡めることで、かえって、健診時期を逸してしまうこともあります。各区保健福祉センターが実施する集団検診では、受診日が決められていること、一部地域では転入等による受診者数の増加に伴う混雑や待ち時間が長いこと等の対応が求められるとしていますが、混雑するのは、人口が増えたのに、受診場所、受診日を増やしていないからであり、それを理由に見直すのは、本末転倒です。乳幼児健診の本来の目的と役割に立ち返り、制度の充実強化を検討すべきですが、伺います。

小児医療費助成制度の拡充についてです。宮城県、長野県、大阪府の3府県の保険医協会の調査では、学校歯科健診で「要治療」となった小学生の半分、中学生の3分の2が歯科医療機関を受診していなかったことがわかりました。川崎市として、歯科、眼科、耳鼻科、内科など学校健診の結果で「要治療」と診断された児童生徒に対し、その後の受診状況の追跡調査を実施すべきと考えますが、伺います。心身の成長期にある子どもに受診抑制が発生すれば、将来にわたって取り返しのつかない事態になります。どの家庭に生まれても必要な医療が受けられるようにすべきで、そのためには子どもの医療費無料化が必要です。首都圏で主流となっている中学生までの医療費無料化を川崎市も実施すべきです。市長に伺います。 

所得制限には、所得がその時点の収入で判断されることから、生涯賃金が変わらなくても両親が比較的高齢で出産した場合は所得制限に該当しやすいという制度的欠陥があります。所得制限なしで中学校卒業まで無料化している群馬県知事は、議会で「将来にわたり安定的で持続可能な制度として運営していく」と答弁しています。川崎市も安定的で持続可能な制度として、所得制限の撤廃は可能です。市長に伺います。

保育事業についてです。待機児童の定義についてです。今年4月、川崎市は待機児童ゼロになったと発表しました。しかし、これまでもずっと指摘してきたように厚生労働省の定義に基づいても、自治体の考え方次第で待機児童は減りもするし,増えもします。この間、待機児童について政令市の考え方を調査したところ19市から回答をいただきました。本市が待機児童にカウントしない「主に自宅で求職活動を実施」を待機児童に含んでいる自治体は、札幌市、仙台市、千葉市、新潟市、名古屋市、大阪市、堺市、北九州市、福岡市の9市です。「保護者が育児休業中」を待機児童に含んでいる自治体は、札幌市、浜松市、堺市、北九州市の4市です。本市は、一時保育で対応している児童もカウントしません。国の基本的な定義は「保護者が求職活動中の場合については待機児童に含めることとする」。「産休,育休中は待機児童に含めないことができる」と基本的には「含める」とした考え方です。本市も待機児童に含めるべきです。伺います。

この間、保育ニーズは急増しています。「とてもひとりだけの収入ではやってはいけない。今すぐに働きたい」など、保育所はセーフティネットの役割を増しています。国民生活基礎調査などあらゆる指標から子どものいる若い世帯の貧困の実態が深刻さを増すなか、ますます保育ニーズは増加すると考えます。今後の保育ニーズはどのように増えると考えるか、伺います。本市も、認可保育所の申請は年々増加し、本年4月の入所申請は就学前児童の31.03%に達し、入所申請して入所できなかった入所保留児は2231人にのぼります。 子ども子育て新制度は「川崎市子ども子育て支援事業計画」で量の見込みに対し、確保方策を示すことになっています。2013年度の「保育に関する需要見込み量調査」によると、見込み量はゼロ歳児66.3%、1歳児41.1%、2歳児33.8%、ゼロ歳から5歳までの合計は40.8%で保育所のニーズは急増していることがわかります。事業計画では、認定こども園と保育所の2号認定、3号認定の量の見込みを2万8,869人に対し、確保方策を2万4014人としていますが、2015年4月に実際に確保された整備は2万2,505人です。残る1,509人の確保対策を具体的に示すべきです。伺います。 本市の「子ども子育て支援事業計画」のなかの保育事業において、保育士の確保すべき人数の見込みを伺います。保育士の人材確保対策として国の「宿舎借り上げ支援事業」を活用して、2016年度に実施するとしています。事業内容、保育士の確保を何人とするのか、伺います。 「新たな公立保育所」の体制について、この間、担う役割が非常に増える中で当該保育所の人員増なしで行われてきましたが、早急に人員増をすべきです。伺います。

教育環境の整備について伺います。 国の経済財政諮問会議や財政制度等審議会において、教職員定数を計画的に合理化すべきとの主張がなされたことに対し、この6月、全国連合小学校校長会長名に続き、日本PTA全国協議会も緊急要望書をだし、川崎市議会議長宛てにも川崎市PTA連絡協議会との連名で緊急要望書が提出されたことと思います。 ここでは「進行する教育改革への対応、いじめ、不登校問題をはじめとする子どもたちの健全育成への取り組みなど教育課題は山積している」「合理化計画を策定し、教職員定数を削減すれば、少人数教育や特別な支援が必要な子どもたちへの対応等の取り組みができなくなり、教育環境が悪化することは明らかです」としています。 この合理化計画に対して、文科省は調査資料を作成し、反論しています。「指導体制と教育効果の関係について」では、「不利な家庭環境に置かれた児童生徒が数多く在籍する学校においては、学習集団が小さいほど正答率が高くなる傾向」「学習集団が小さいほど子どもたちの自己肯定感が高くなる傾向と、学習集団が小さいほど、児童生徒の授業中の私語が少なく、落ち着きが高い傾向。授業中の私語が少なく落ち着いている学校ほど、学力が高い傾向」などと、学習集団を小さくすることの優位性をあらゆる角度から論じています。学習面の改善、不登校、いじめをなくしていくためにも、有効な手立ては1クラスの児童生徒数を少人数にしていくことが大切だと明確に述べています。「中学生死亡事件に係る庁内対策会議報告書」のなかでも、川崎市の不登校児童生徒の出現率が2014年度、小学校238人で前年度の210人から約13%増加していること。中学校では1048人で、前年度の1010人から約3.7%増加していて、全国平均に比べて大きく上回っているという現実があり、1人ひとりの状況に応じた「社会的自立へ向けた支援」及び「登校できない期間が長期に及ぶことを未然に防ぐ取組み」を推進していくことが喫緊の課題になっている」と記しています。 

不登校児童・生徒問題を真正面からとらえ、減らしていく、そのためにも、川崎では少人数学級を拡大していくことこそ必要ではないでしょうか。伺います。多くの心ある市民は今回の事件に心を痛め、決してこのような事件を再び起こしてはならないと思っています。ある専門委員は「再発防止は市民とともに」として、提言されていますが、市民にもわかりやすい形で、市民とともに再発防止へと取組みをということになれば、専門委員からの提言が出された今こそ、市民の総論議で再発を防止する、この取組みこそ必要と思いますが、見解を伺います。

中学校給食についてです。南部と北部の学校給食センター整備等事業については、最終的には東洋食品グループと事業契約を締結しました。代表企業の株式会社東洋食品は、学校給食でも、全国展開し、1万食以上の学校給食も委託を受けて実施されていると聞きます。私たちは、2014年5月7日、東洋食品が受注している千葉市新港学校給食センターを視察してきました。1万食まで提供できるとのことで、当時は9300食をつくって18中学校を受け持っていました。これだけの食数では、食材をそろえるのは大変難しいとのことで、2献立方式で作っていました。特に主菜になるのは揚げ物などほとんどが冷凍食品になるとの話でした。一度に大量に揚げ物を調理できる巨大なフライヤーもありました。川崎でも同じような食材になるのではないかという懸念があります、伺います。東洋食品が評価された項目の中に、「食育の活動や教育展開において具体的な提案があった」とあります。新港学校給食センターでは、栄養士は4名配置されているだけで、年に1回、各学校に出向くものの、10分間食育に関する話をするだけで、後は学校に任せているとのことでした。南部と北部の給食センターでは、それぞれ、栄養士は何名配置され、どのような食育指導を行うのか、伺います。

教育施設をめぐる入札に関連して伺います。 学校内に整備される防災備蓄倉庫ですが、2013年度から3ヵ年計画で整備が進められてきましたが、昨年度49ヵ所整備予定が、25ヵ所について不調に終わりました。資材の高騰、人材不足、それに川崎市の設計単価が低かったことなどが原因と言われていますが、今年度は計画最終年でもあり、昨年度未整備の箇所を含めてすべて整備できる、ということでしたが、昨年不調だった原因は改善されたのか、うかがいます。

中学校給食実施が具体化しようとしています。センター方式の実施に欠かせない配膳室の整備ですが、ここも工事発注で不調がでていると聞きます。今年度は改善されるのか、具体的にお答えください。 学校の長期保全計画がいよいよ来年から始まり、今年度は設計、来年度から計画的に工事がすすめられます。長期保全計画といっても、進め方のパターンはいくつかあるようですが、工事ができるのは夏休みだけになり、工期が3、4年にわたると聞きました。これらの仕事は地元事業者への発注になると思いますが、オフシーズンの職人さんの処遇はどうなるのか、このままの発注のやり方では保全計画もすすみません。かなり改善が必要と思いますが、うかがいます。

障がい者施策についてです。 障害者差別解消法が2016年4月から施行されます。「すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重しあいながら共生する社会の実現」をめざして制定されたこの法律により、国や地方自治体、企業は差別をしてはならないだけでなく、合理的配慮を行うことが義務付けられます。2015年2月には国が「基本方針」を決定し、地方自治体の具体的な対応策も示されました。その中で「障害者にとって身近な地域において、条例の制定も含めた障害者差別を解消する取り組みの推進が望まれる」としています。さいたま市は、2011年に「ノーマライゼーション条例」を制定し、合理的配慮の定義のほか、個別の教育や労働等の分野において合理的配慮を行わないことも差別としており、差別に係る事項を調査審議する「障害者の権利の擁護に関する委員会」をおいています。本市でも当事者や関係者の意見をよく聞き、条例を制定すべきと思いますが伺います。「基本方針」は、行政機関ごとに差別の具体的内容等を示す「対応要領」を制定するよう求めています。本市の対応を伺います。

入所施設についてです。 南部への新たな入所施設について、「福祉センター跡地活用施設において併設の可能性について検討を進めている」とのことでしたが、その後の進捗状況を伺います。 柿生学園、授産学園の改築について、2013年12月議会でのわが党の質問に対し、健康福祉局長は「早急に検討する」と答弁されていましたが、検討状況を伺います。 これらの入所施設の整備にあたり、要望の強いショートステイの増床を図るべきと求めてきましたが、検討状況を伺います。

低所得1、2の方への医療費補助についてです。障がい者自立支援医療では、低所得1、2の方への市独自の補助がないため、市民税非課税世帯で本人収入が80万円以下の低所得1の方の国の利用負担上限額は月2500円、市民税非課税世帯で本人収入が80万円を超える低所得2の方の場合は月5000円です。障がい者の方が日常生活を送るのに医療はきっても切れない関係にあり、負担軽減のため他都市では独自の補助を行っています。京都市は市民税非課税世帯で本人収入が80万円以下、または障害基礎年金受給のみ、障害基礎年金と特別障害者手当のみの受給者に医療費負担はありません。神戸市でも軽減措置がとられています。2014年度決算では、本市の低所得1、2の方約5500人が負担した医療費は約1億300万円でした。川崎市として市独自の補助を行い、無料にすべきです。伺います。

介護福祉施設入所者の補足給付の見直しについてです医療・介護総合法が2015年4月から施行され、2000年の制度発足以来制度全般にわたって前例のない改悪がいくつも盛り込まれ、8月から、「特定入所者介護(予防)サービス費の見直し」、いわゆる介護福祉施設入所者の住民税非課税者の食事費、居住費の補足給付の支給要件が見直され、・世帯分離しても戸籍上夫婦であれば配偶者が住民税課税の場合は対象としない。・低所得者でも預貯金等が一定額(単身1000万円、夫婦2000万円)を超えれば対象としないという厳しい内容となっています。対象は在宅生活を続けながらショートステイを利用する方も含まれます。補足給付が打ち切られれば食費、部屋代が一挙に全額自己負担になり、施設からの退所や、ショートステイの利用を控えざるを得ない方がうまれる危惧があります。8月において本市の補足給付の対象外になった人は何人で、従前の給付者の何割なのか伺います。 

補足給付の見直しに当たって、資力調査として通帳等の写しと金融機関の調査のための同意書添付とされ、単身高齢者、認知症の方には施設職員など代行者が申請するとされています。「情報の漏洩が心配」「高齢者を狙っての詐欺も起こりえる」「個人情報保護条例に基づく『知りえた内容をほかに使うことはない』という1文が入ってない文書は違反ではないか」、認知症の代行者の方は「一緒に通帳を探せなんて無理」など異常な厳しさだとの批判が出ています。生活保護と異なり介護保険法に基づく事務は自治事務ですから、このような資料提出を強制すべきではありません。伺います。

中小企業支援策についてです。2014年経済センサスの速報値によれば、民間事業所数は、2年前と比べ439事業所、1.1%増となっていますが、製造業は319事業所の減、建設業も300事業所の減となり、従業者規模別では、事業所が減少しているのは、1名~9名の事業所のみで、とりわけ、1名~4名の事業所が436事業所の減と減少した事業所の9割を占めています。ものづくりや地域経済を支えてきた分野で今なお、厳しい状況であること、とりわけ小規模企業が困難に直面していることが示されました。 「小規模企業振興基本法」は、従業員5名以下の小規模企業の「成長・発展」のみならず、生業としての「事業の継続的発展」を位置づけました。今月中旬からパブリックコメントが始まる「(仮称)川崎市中小企業活性化のための成長戦略に関する条例」もこの点が位置づけられなければなりません。しかし、概要を見る限り、そのタイトルにも前文にも「基本法」で位置づけられた小規模企業者の「事業の継続的発展」の文言はありません。条例の提案に当たっては、小規模企業者の生業としての「事業の継続的発展」を条例の主旨や目的に明記すべきです。伺います。 

今後、施策の具体化を行う場合、市内中小企業の実態の把握は、地域の特徴を明らかにする上でも、地域産業振興の大前提です。札幌市では、市の責務として「市は、中小企業者等の実態を的確に把握するとともに、中小企業者等の意見を適切に反映するよう努めなければならない」と実態把握を条例の中に明記しています。本市も、実態把握を市の責務として位置づけるべきです。伺います。施策の検討と検証にあたって、6月議会では「条例制定後の審議会等の活用方法を検討する」との答弁でしたが、個別事業の検証に当たっては、製造業・建設業など分野ごとの検証の場が必要と思いますが、分野ごとの検証の場を設けるのか、伺います。

川崎プレミアム商品券についてです。発行総額33億円を活用した川崎プレミアム商品券事業が始まりました。私たちは、商店のみなさんから要望を伺いました。商店者からは「大型店に流れてしまうのでは」「自分のところには来そうもない」など不安の声が寄せられました。この事業の目的は地域内経済の好循環を創出し、市内中小商業者の商品などの販売を促進することを目的にしています。この目的を達成するためには、今後実施されていく中でも取扱店を増やすよう市内商店全店舗に事業内容をさらに周知徹底すべきです。伺います。消費者としても身近に買い物ができる参加店が増えたほうが買い物をしやすくなります。6月議会でも質問し、副市長にも申し入れしましたが、取り扱い参加店として、ためらう大きな理由が「換金期間が長すぎる」ということです。大分市では換金期間の短縮を実現しています。商工会議所が窓口になり、取扱店に寄せられた商品券を小切手にし、取扱店が翌日でも現金化できる「小切手振り出しシステム」を事業開始後に追加し、事業者に喜ばれています。換金システム自体を変更しなくても、実施主体の取り組み次第で換金期間の短縮を実現しています。

川崎市でも大分市のような換金期間の短縮ができる追加措置をすべきです。伺います。 今後、商店街からの聞き取りや、換金申請状況をリアルタイムで把握し、地元商店に商品券が使われているかを確認して支援につなげることが重要だと考えます。商品券の利用状況を把握しその流れをしっかりとつかみ、その状況に応じて対策を立て、地元商店街活性化への支援につなげるべきですが、伺います。

正規雇用労働者の雇用を拡大する対策についてです。2014年度キャリアサポートかわさきの雇用状況は、就職決定者465名中、正規雇用が144名30%、非正規雇用が321名70%であり、2007年6月に開設した年度の正規雇用の決定率64%に比べ、年々正規雇用の決定率が減少していると6月議会で指摘しました。大阪茨木市は、正規雇用を増やすため、リーマンショック後の2009年度から市独自で正規雇用促進奨励金制度を実施しています。失業中の市民や非正規労働者を市内事業所において、正規労働者として雇用する市内の中小企業事業主に奨励金として一人当たり30万円を交付するというもので、事業主や労働者から喜ばれているとのことです。本市も、キャリアサポートかわさきにおいて求人開拓をした企業に対してマッチングが成立できる条件を広げるために、茨木市のような奨励金制度を創設し、年代の枠を取り外して市独自に正規雇用の拡大をはかるべきです。伺います。あわせて、求人開拓件数が最高時だった2012年度7226件まで引き上げられるように、削減した求人開拓員を市独自で増やすべきです。伺います。

日鉄住金鋼管川崎製造所の火災について伺います。8月24日川崎区浮島町の日鉄住金鋼管川崎製造所で火災事故が発生、床面積約1万平方㍍の倉庫一棟を全焼しました。同製造所は今年11月末に閉鎖する予定で、6月には操業を休止して同工場の解体工事中に起きたもので、日鉄住金鋼管の委託を受けた作業員5人が倉庫近くにある屋外冷却装置をガスバーナーで焼き切る作業中に可燃性の物質に引火したと報じられています。原因等については調査中とのことですが、これまでの調査の中でも、消防法等に基づく必要な届出については、事前に行われていたということです。しかし、解体工事については法的に義務がなく、届出はされていないということです。今回の火災事故を受けて、万が一火災が発生すると重大な被害を発生する恐れのある石油コンビナート地域において、ガスバーナーを使用しての解体工事は、事前に届け出るなどの規則や要綱の改正が必要と思いますが、伺います。

その際に、近隣企業に対して、火気を使用しての解体工事について、事前に周知するなど、検討できないか伺います。今回の火災現場は原子力施設に近接しており、文科省の資料では、東芝の実験炉に200リットルドラム缶で116本の放射性固体廃棄物が保管されていることになっています。仮に、爆発的な火災になっていたら、放射性物質が爆風等によって周囲に飛散していた可能性があります。原子力関連施設に対して、外部からの火災の延焼や爆風に対して、放射性廃棄物の飛散を防止する対策がとられているのか、伺います。

羽田空港機能強化に関連する新飛行ルート案について伺います。浮島町の日鉄住金鋼管川崎事業所の火災現場のすぐ横を通るルートとして想定されている、南風時のB滑走路を川崎方面に向けて飛行するルートを含む新ルート案について、7月下旬から8月上旬に掛けて、ミューザかわさきと大師支所において、オープンハウス型の説明会が行われました。現在、参加人数と出された意見について国が集約中とのことですが、新ルート案について飛行ルート上の住民の中には、計画すら知らない住民が多数おります。川崎区内での説明会を独自に検討すべきと思いますが、見解を伺います。

小田栄新駅について伺います。 新駅が設置される小田踏切は4本の道路がエックス状に交差する特殊な踏切であり、人と自転車、車が交差して非常に危険な状態が続いています。そこに、上下線の駅ホームが、踏切を斜めに跨いで設置する計画となるとのことです。地元説明会において、踏切事故が起きないか安全性に対する危険性を指摘する声が相次ぎました。また、町内会役員や近隣住民からも安全性に対する疑問が出されています。なぜ、このような形状にしたのか、見解を伺います。事故は、一度起きたら取り返しがつきません。安全性を十分に配慮した形状にすべきですが、見解を伺います。また、車椅子の利用が想定され、スロープが設置される計画ですが、無人駅ということでワンマン運転の浜川崎線において、安全に車椅子での乗り降りが可能なのか、見解を伺います。

羽田連絡道路について伺います。日本野鳥の会のホームページには、「多摩川河口干潟は環境省の『日本の重要湿地500』及び『モニタリングサイト1000事業シギ・チドリ類調査地』に指定され、鳥類では環境省基準14 種、神奈川県基準37 種のレッドデータブック掲載種が記録されています。国土交通省により策定された多摩川水系整備計画でも『生態系保持空間』に位置づけられ、国際的な鳥類保護組織のバードライフ・インターナショナル が選定した重要野鳥生息地には東京湾奥部として指定されている」と紹介されています。この貴重な多摩川河口干潟の重要性について、川崎市としての認識を伺います。

近隣の小学校では毎年、自然体験学習に訪れており、子どもたちの環境学習にとってかけがえのない存在になっています。この貴重な多摩川河口干潟の重要性について、教育長にもその認識を伺います。野鳥の会の皆さんは、「河口から約5Km の間にすでに3本の道路があり、貴重な干潟の自然環境を破壊してまで連絡道路を作る必要があるのか、大いに疑問です」と指摘されていますが、市民生活にとっての必要性もまともに説明することが出来ず、その上、貴重な干潟を壊してまで、つくる必要性についてどのように説明できるのでしょうか、市長の見解を伺います。

臨港道路東扇島水江町線の整備についてです。先日、国土交通省は首都直下地震の発生に備え、緊急時の輸送路確保策として、多摩川も含め、首都圏を流れる4河川と河川敷の道路を活用すると発表しました。その理由として、同省が巨大過密都市を襲う大規模災害に対する課題として、首都直下地震で最も警戒するのが、放置車両や沿道建物から道路へのガレキの散乱、電柱の倒壊、道路施設の損傷などで深刻な道路交通麻痺が発生し、救命・救助活動、物資輸送等に著しい支障が生じる可能性があるということです。東扇島から水江町への橋を整備しても、その先の産業道路や内陸側の一般道は遮断される可能性があります。緊急時の輸送路という理由も成り立ちません。これまでも整備する理由については、コンテナ輸送路の整備、東扇島の就労者の避難経路、津波襲来時に避難可能な高台、海底トンネルの渋滞解消などなど、市長や港湾局が持ち出してきた理由はすべて矛盾と破たんが明らかになり、最近では「本市の持続的な成長に不可欠」「交通ネットワークの充実」「力強い産業都市づくりを支えるインフラ整備」などと、今ここに橋を架ける理由に結びつかない抽象論しか言えなくなりました。まさに「建設のための建設」が、この事業の本質です。

先日の市民車座集会で、市民からの「気軽に集える場所を整備してほしい」という意見に対して市長は「インフラの更新のグラフで示した通り、これから10年経つと公共の建物は築30年以上が7割を超える。新たな公共の建築物をバンバン建てていくことは考えられない状況です」と説明しました。それならば、特に市民生活に必要ない臨港道路東扇島水江町線や羽田連絡道路など、不要不急の公共建築物である巨大な橋を次々建設していくことも考えられないことです。車座集会でのインフラ整備の発言と、臨海部でこれらの橋を新たに建設することの矛盾について、市長に伺います。

川崎港コンテナターミナルのガントリークレーンの稼働状況についてです。昨年4月から3基体制になって以降の号機別の稼働状況について、集計結果が明らかになりました。昨年4月から今年7月末までの16ヵ月・延べ487日のうち、1号機が稼働した日数は延べ256日、2号機が稼働した日数は延べ343日。これに対して、「新たに造る必要はない」との批判の中で整備された3号機が稼働した日数は延べ58日だけでした。平均すると1週間に1回も使われていないということです。もともと、ダブルトロリー方式の1・2号機よりも、シングルトロリー半自動方式の3号機のほうが使いやすいとの説明でした。古い1・2号機よりも、9億円もかけて整備された最新型の3号機がなぜこの程度しか使われていないのか、その理由と、現状についての見解を伺います。

議案第123号川崎市行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用などに関する条例の制定についてです。いわゆるマイナンバー制度は、今年10月から国民へ番号通知が行われ、来年1月開始予定ですが、日本年金機構の情報漏洩事件もあり、国民、地方自治体、中小企業など広い層から、不安や疑問の声が出ています。 マイナンバーの適用範囲は、年金、社会保障、税、災害など3分野、98行政事務となっていましたが、政府は「利用範囲を法律に限定する」としながら、貯金口座や健康診断情報など民間機関が扱う情報まで広げる法案を今国会で成立させました。 

今回の番号法に基づく本条例の制定については、3点あげられています。まず、同一機関内で特定個人情報の授受を行うことを可能としています。これは庁内連携ですが、どのようなものがあるのか、漏洩対策はどう考えているのか伺います。次に、同一地方公共団体内の他機関への特定個人情報の提供も可能とする内容が提案されています。他機関とはどの範囲まで想定されるのか、その必要性について伺います。ここでの漏洩対策についても伺います。さらに、番号別表第一に掲げられていない事務において個人番号を利用する場合という独自利用、いわゆる利用範囲の拡大も図られています。一元管理する情報が桁違いに広がれば、犯罪の危険性が増大することが予測されます。不正利用などの危険を回避するためには、個人番号カードに、紐付けできるものは、できるだけ限定すべきと思いますが、川崎市としてどこまでの拡大を検討しているのか、伺います。この制度は、その導入や維持に莫大な経費と負担がかかります。国の導入経費は、基幹システム、地方税システム、カード発行、広告など3400億円、さらに維持費はその10%~15%もかかるといわれています。導入経費としていくらかかるのか、国の補助金申請はいくらか、市の持ち出し分は最大いくらになるのか、伺います。以上で質問を終わります。