私たちの提案(2023)

第3章 実現めざし全力をつくします―日本共産党の重点政策

1、安心して子育てできる川崎、こどもたちに豊かな教育を

子どもの医療費を所得制限なしで18歳まで無料に

川崎市の現行の小児医療費助成制度は、通院医療費助成の対象が小学校卒業まで、入院医療費助成の対象が中学校卒業までで、いずれも1歳から所得制限があり、通院では小学4年から6年生までは受診1回あたり500円の窓口負担金があります。子どもは小児科だけでなく歯科・耳鼻科・皮膚科など同時に複数の科にかかるケースが多く、窓口自己負担が1カ月に数千円など大きな負担になっています。

市民の世論と運動が力になり、ようやく川崎市も2019年1月から入院医療費の所得制限廃止を実施します。それでも、川崎市の小児医療費助成制度は他都市と比べても大きく立ち遅れた状況です。

通院の助成対象年齢は、東京都の市区町村では中学校卒業まで(23区は所得制限なしの完全無料化)が当たり前。首都圏の政令市では、さいたま市、千葉市に続いて、県内では相模原市が2018年10月から。横浜市は2019年4月から中学校卒業までと通院医療費助成の所得制限緩和を2020年度以降に実施する方向。助成対象年齢が小学校卒業までの川崎市は20政令市比較でも全国最低水準です。

子どもが入院するほどの病気やケガをする時は、その前後の外来通院が多くなるのは当然であり、大きな病気やケガを治癒するまでには入院と通院は切り離せません。通院か入院かによって所得制限の有無(医療費助成の有る無し)を使い分けている市区町村はありません。子どもが入院に至るような重症化を防ぐためにも、外来通院に行きやすい助成制度に改善して早期発見・早期治療をすすめることが重要です。そのための有効策は、通院での所得制限を撤廃する以外にありません。

「早く18歳まで医療費を無料化して」―私たちが実施した市民アンケートでは、こうした切実な声が寄せられています。全国で約半数の自治体、政令市でも大阪市が実施しています。川崎市も18歳までに拡充することが必要です。

認可保育園の待機児童ゼロへ用地を確保し、1万人分の増設を

2018年4月時点で川崎市の認可保育所は420カ所、定員は2万8482人。認可保育所の利用申請は3万1769人と初めて3万人を超え、過去最多を更新。申請率は就学前児童の約4割、39・1%に達しました。利用申請して入所できなかった入所不承諾(保留児)は前年度比69人増の2960人と過去最多となりましたが、市の「待機児童」は新定義により18人。認可保育園に入所できず、やむを得ず認可外に入所した場合は待機児童にカウントされないまま。利用申請して入所できなかった人数を待機児童とすべきです。

※入所できない実態が広がり、自治体によって基準が違うことへの厳しい世論を反映し、17年3月厚生労働省が育児休業中の定義を「育休中に入所出来た時に復職することを確認出来た場合には待機児童とする」と改定。

根本的には認可保育園不足が原因です。保育園の大幅増設は待ったなしです。この4年半の入所希望数の増加は9363人に達しているのに、市の計画では7000人の受入れ枠確保にとどまっています。「保留児童をゼロにして。安心して働ける環境を!」「保育園に入れず、復職できない」「待機児童、何とかなりませんか。兄弟で別々の保育園になる→通園で時間がかかる→時短勤務になる→収入減→生活苦しい…(負)のスパイラルです」など、共産党の市民アンケートにはこんな切実な声が多数寄せられています。少なくとも1万人以上の増設計画が必要です。

また、量とともに園庭の確保や保育士の人材確保、処遇改善等へのより一層の対策が求められています。本市は、自前の園庭のない認可保育園が政令市のなかで最も多く、民設民営の認可保育園310園、2万3260人のうち、園庭の無い保育園は101カ所、その総定員数は4980人にのぼり、箇所数も定員数も前年より増加しています。京都市、神戸市等の9政令市では全ての認可保育園に園庭があります(2017年度)。園庭は乳幼児の心身の発達に欠かすことができません。

保育士の賃金は全産業の平均より月10万円少ないとされ、専門職にふさわしい処遇改善が必要です。2017年度、国は全ての職員に2%、月6千円程度増額した上に、キャリアアップ研修の受講を条件に、保育士の約3分の1を対象に7年以上の経験者を副主任保育士・専門リーダーと位置づけ月4万円を加算するとしました。しかし、本市において対象者が多い保育園の中には、人数割をして一人1万円のところもあることがわかりました。2018年度、横浜市では対象者が全て月4万円の処遇改善ができるよう市単独予算をくみましたが、本市は2万円となるような予算化であり、横浜市並みの処遇改善をすべきです。

幼稚園の入園料10万円補助創設・保育料補助増額

公立幼稚園を廃止した川崎市では私立幼稚園の入園料・保育料の高さが政令市ワースト1。入園料の補助創設と保育料補助増額が必要です

2018年度の川崎市の私立幼稚園の保育料平均額は年額36万8868円(月3万739円)で国の平均保育料より6万868円高く、国が無償化として30万8000円助成している生活保護世帯や非課税世帯、全ランクの多子世帯、ひとり親世帯であっても無償にはなりません。入園料は15万3017円で、入園料と保育料の合計年額は52万1885円にもなります。市独自の入園料補助の創設と保育料補助の単独加算が求められます。

2017年度の幼稚園における障害児保育は、85園中51園で実施、465人を受け入れています。特別支援教育研究研修事業として障害児保育を行なっている園に対して補助を行なっていますが、引き続きの補助と申込がある場合は受け入れ、障害のある子どもの保育、教育を受ける権利をしっかり保障すべきです。

保育料負担が大変なために幼稚園にも保育園にも通えない子がいないかどうか、及び私立幼稚園の定員超過における教育環境の検証の調査を行なうことが必要です。

私立幼稚園の保育料平均額(年額)私立幼稚園の入園料平均額

子どもを貧困から守る対策を

子どもの6人に1人が貧困といわれ、子どもの貧困が大きな社会問題になっています。国の法律もできるなか、川崎市においても子どもを貧困から守る対策が急務です。しかし福田市政は、前市長時代に削減された各種支援策(ランドセル、眼鏡代、卒業アルバム代補助など)を復活せず、就学援助の基準額を生保の1・0としています。県内では7割を超える自治体が「生活保護基準の1・3倍」としています。本市も就学援助基準を1・3以上に拡充すべきです。

わくわくプラザ事業の改善、自主学童保育への財政支援を

児童福祉法の改正及び子ども子育て支援法により、2015年度から川崎市放課後児童健全育成事業(学童保育事業)の設備及び運営の基準に関する条例が施行されています。わくわくプラザ事業のほか、2018年度は20カ所施設が届け出ています。問題は、全児童対策事業の「わくわくプラザ事業」が学童保育事業を包含しているとされ、その結果、学童保育事業に必要な専用室や職員も、わくわくプラザ事業と一体化され実態のないものとなっていることです。専任の職員(学童指導員)を40名に対して2名配置するといっても、その職員がわくわく事業のスタッフリーダーやチーフサポーターなどわくわくプラザ事業の責任者との兼務では、「専任」と位置付けた意味がありません。市内には父母たちの力で自主運営されている自主学童保育もあります。学童保育とわくわくプラザ事業を個別の事業と位置づけ、それぞれに支援を行なうことが必要です。

小学校3年生以上、中学生に少人数学級の拡大を

2017年度の市の調査によると、不登校数は前年より182人増えて1672人、いじめの認知件数は780人増の2176人。少人数学級は、いじめや不登校、学級運営などあらゆる面で有効なことは明らかです。

教員の目が行き届き、一人ひとりに向き合う時間をつくれる少人数学級の拡大が必要です。現在、政令市で小学1、2年生以外に35人以下学級を実現していないのは、川崎市、横浜市、相模原市、大阪市の4市だけです。川崎市でも今こそ拡充することが求められています。2017年度から教職員給与財源が県費から政令市に移管され、学級編制基準、教職員定数の算定基準を市が定めることになったことを踏まえ、市独自に学級編制基準を定めて小学校3年生以上も中学校でも少人数学級を導入すべきです。

学校給食費の無料化を

教材購入費・PTA会費など小学校における学校徴収金等の保護者負担額は2015年度で1学年平均5万5084円。その中で大きい割合を占めるのが給食費の4万2047円です。2018年度からは1食40円値上げされ、年6万2234円、6年間で40万6419円もの負担になりました。中学校では牛乳から完全給食の実施により3年間合計で新たに12万8064円も増えて3年間合計で39万4711円。「義務教育は無償とする」(憲法26条)とされているのに、これほど保護者負担があるのは憲法原則から乖離しています。教育の保護者負担の軽減は喫緊の課題です。とりわけ、給食費無償化は急がれます。全国417自治体で給食の無償化・補助が広がっています。川崎市も学校給食費を無償化すべきです。

中学校給食の改善を

長い間の市民の願いだった中学校給食。2017年から全校実施されました。生徒・保護者の要望は、安心・安全・適温・食育が真に生きる自校調理方式はわずか3校で、市内54校は3ヵ所の大規模センターで調理した給食を配送する方式。地元業者へ発注し地域経済活性化のためにも、食育の充実とアレルギー対応のためにも、各区に一名以上の栄養士の配置と自校調理校を増やすことが必要です。

高校奨学金の受給要件から成績要件をなくし、申請者すべてが受けられるように

川崎市の高校奨学金制度は受給要件として「3・5以上」という成績要件があり、利用できない方が生まれています。2017年11月の「子どもの貧困対策の基本的な考え方」が、奨学金制度など「生活困窮に関連する幅広い分野の制度、施策・事業を充実させ、生活に困難を抱える世帯、子ども・若者の支援を推進」するとしていることからもお金の心配なく高校で学べるよう成績要件をなくすべきです。

児童・生徒、とりわけ、小学校高学年から18歳までの居場所が求められています。こども文化センターの活用を含め、市民・児童生徒・保護者の総論議を行ない、市内に居場所づくりをすすめます。

《お約束》

  • 小児医療費の一部負担金を撤廃し、医療費助成を中学3年生までただちに通院も所得制限なしで実現します。さらに高校卒業まで拡大していきます。
  • 園庭のある認可保育園の増設で待機児童解消を図ります。
  • 私立幼稚園の保育料補助増額・入園料10万円補助創設を実施します。
  • 私立幼稚園の保育料が払えず入園できない子どもがいないか調査・相談を行い、必要な支援策を図ります。
  • 障がい児受け入れのための人的保障の支援の増額を図る。各区の入園要望があるのに入園できない場合の相談にのる部署を明確にします。特に子ども・子育て新制度に移行する幼稚園については、障害児の受入れ先の確保を保障します。
  • 幼稚園1学級35人という定員を少人数に改善するよう国に要求する。
  • 小中学校給食の無償化をめざし、小学校低学年から段階的に無償化をすすめます。
  • 35人以下学級を全学年で実現し、30人以下学級をめざします。
  • 貧困からこどもを守る各種支援策(ランドセル、眼鏡代、卒業アルバム)を復活し、就学援助の対象項目拡充と支給基準を生保基準の1・3倍にし、支給時期のさらなる前倒しをします。
  • 中学校給食の食育充実のため各区に栄養士一名以上配置し、自校調理方式を拡充します。
  • 高校奨学金を拡充し、成績要件をなくし、申請者すべてが受けられるようにします。
  • 市立高校定時制すべてに生徒の居場所づくりをすすめます。
  • こども文化センターを改善し、こどもの居場所として位置づけ、充実します。
  • 給付型大学奨学金を創設します。
  • 学校現場の長時間労働は極限に達しています。定数内欠員をなくし、教職員を増やし、働き方を抜本的に改善します。