私たちの提案(2023)

第3章 実現めざし全力をつくします―日本共産党の重点政策

2、高齢者が安心して暮らし、住み続けられる川崎に

共産党が2018年に行なった市民アンケートには、4500通もの回答が寄せられ、「くらしが苦しくなった」と答えた方は約6割にものぼり、その理由の1位は社会保険料の負担増、2位が年金減少、3位が医療費の支出増となっています。この間の相次ぐ増税、年金の引き下げ、医療費の負担が高齢者のくらしを直撃していることがわかります。

国の高齢者への負担増に対して、地方自治体は高齢者のくらしを守る防波堤としてさまざまな施策をとることが求められています。しかし川崎市は、負担減の施策をとるどころか、高齢者を「行革」のターゲットにして、福祉施策を次々と削減してきました。

介護保険料の据え置き、引き下げを

年金は増えないのにさまざまな負担増が高齢者を直撃するなか、介護保険料は改定のたびに値上げされ、2018年の改定では5825円になりました。2000年の制度開始時2950円の約2倍です。一般会計からの繰り入れを含めこれ以上の値上げはやめ、さらに引き下げるべきです。

待機者約3551人、特養ホームの大幅増設を

深刻なのが特別養護老人ホーム増設の遅れです。待機者が約3551人(2018年4月1日)にのぼります。申請しても入所まで3~4年待ちといわれています。100万人の政令市比較で高齢者数に対する待機率はワースト2という状況です。川崎市より人口比で1・8倍の大阪市は、この4年間で34ヵ所2598床以上の特養ホーム整備を進めています。その結果、高齢者人口では川崎市の2・37倍なのに、待機者は川崎市より1000人少ない2572人です。それなのに「第7期計画」でも3年間でたった5か所590床の計画しかありません。介護保険料はとられるのに施設や在宅のサービスは利用できない.これでは何のための介護保険制度なのかわかりません。待機者数の実態から出発し、抜本的な増設計画が必要です。

特別養護老人ホーム待機率

「総合事業」「地域包括ケアシステム」で高齢者施策を後退させるな

国民の安心の仕組みを根本から揺るがす「医療・介護総合法」が2014年強行採決されました。多くの高齢者を介護サービスから除外し、入院患者を強引に在宅に戻していくというもの。

介護保険制度はは、特養ホームへの入所基準を要介護度3以上とし、また、サービス利用料を1割から年金収入280万円以上の方は2割にするなどに大改悪。要支援1、2の人が受けていた「訪問介護」「通所介護」が介護保険の対象から外され、自治体の事業である「介護予防・日常支援総合事業」に移されました。川崎市は前倒しで2016年4月から実施。「現行相当サービス」「基準緩和サービス」「スーパー基準緩和サービス」の3種類。現行相当サービスは月額単位から週単位にしたため報酬が下がり、基準緩和サービスも報酬が現行相当サービスの70%としながら、実質は約6割に。スーパー基準サービスは報酬が出ないため利用者が全額負担。市はフィットネスクラブなどの運営を広告・宣伝するのみというひどい仕組みにしました。こうした仕組みでは要支援者は引き受け手がなくなり、要支援者介護難民を生み出すことになります。結局、軽度者の切り捨てに市が手を貸すようなものです。「総合事業」は自治体の事業なのですから、要支援者が使いやすく、事業者も十分運営できるものに改善すべきです。

地域包括ケアシステムも「医療、介護総合確保法」改定で創設。川崎市は国に先駆けて対象をすべての地域住民に拡大。地域住民が互いに助け合う互助を強調。同時に保健福祉センター児童家庭課・子ども支援室の解体・再編を行ないました。「子ども、障がい者、高齢者を一体的に」という名の下に児童・高齢者・障がい分野にそれぞれ配置されていた専門職種を統合して各分野のサービスを困難にすることは許されません。

《お約束》

  • 阿部「行革」、福田「行革」(スクラップ&ビルド)で削られた高齢者福祉(敬老無料パス、緊急ペンダント、介護援助手当など)障がい者福祉を復活します。
  • 待機者が依然深刻な特別養護老人ホームを大幅に増設します。
  • 介護保険料の引き下げ、保険料・利用料の減免の拡充をはかります。
  • 要支援の訪問介護、通所介護を介護保険給付から外し、自治体の事業に移された新総合事業のスーパー基準緩和サービスはやめ、市が助成するサービスとして構築する。
  • 後期高齢者医療制度の廃止を国に求めるとともに、市独自の保険料減額を行ないます。