私たちの提案(2023)

第3章 実現めざし全力をつくします―日本共産党の重点政策

8、安全で安心、いつまでも住み続けられる川崎を

まちづくりの基本は、「まちづくりと福祉は一つ」であり、住民の声がまちづくりに生かされ、いまも、これからも、一人ひとりの市民が快適に豊かに住み続けることができることです。しかし、これまでの川崎市のまちづくりは、住民参加を基本とする都市計画制度は名ばかりで、拠点駅を中心に、行き過ぎた容積率緩和に伴う高度化、過密都市化が既存住民の声を無視して推し進められてきました。野放図ともいえる規制緩和による再開発で環境破壊がおきているときに市はこうした環境破壊を反省するどころか、従来の1・6倍の容積率緩和を可能にする新たな規制緩和基準、「低炭素都市づくり」のガイドラインを策定。低炭素を口実に容積率をさらに緩和しさらなる開発推進の姿勢を打ち出しています。

小杉駅周辺地区再開発

JR南武線・横須賀線・東急東横線が交差する武蔵小杉駅周辺の再開発は、この10年間に100メートル以上の超高層マンションが10棟も建設され、人口は1万3千人以上増加しました。長年このまちに住み続けてきた住民にさまざまな環境悪化を引き起こし、さらにいま、再開発の波は北側地区に拡大しています。急激な人口増で当初から危惧されていたインフラ整備の遅れが表面化し、保育園の不足、学校の過密化、駅ホームの大混雑など問題が表面化しています。日照被害やビル風、交通混雑など様々な環境問題が深刻になり、週刊誌に「大人気なのに実は『住みづらい街』ランキング」の第1位に上げられているほど。地区計画の策定などに際しては、計画が固まる前の段階から、計画策定の当事者として実質的な参画が保障される住民参加が実現してこそ、市民が安心して暮らせる持続可能なまちづくりになります。その仕組みづくりを強く求めます。

安心して外出できる交通体系の整備を

身近に交通手段がない交通不便地域に住む方々から、「買い物や病院に出かけるのが大変」という切実な声が寄せられています。丘陵地などにくまなくコミュニティ交通(ミニバス等)が走り、高齢者・障害者・子どもたちが安心して外出できるような交通体系を整備することが求められています。

小杉町3丁目東地区再開発計画では、一方的に都市計画区域内に組み込まれた住民がいました。その方たちに事前に何の説明もなく、また、再開発への合意を得る努力もせず、市は都市計画決定をしてしまいました。都市再開発法では、地権者の3分の2の同意があれば行政処分権によって同意しない地権者も再開発組合に強制加入させられ、土地建物に関する権利は本人の意思にかかわらず権利変換によってビル床を与えられるか、補償金を得て立ち退くかを迫られます。 市の決定を聞いて、親の代から住み続けてきた住民は、「死刑判決が下されたようだ」、97歳と96歳の母親を介護している女性たちは、「高層マンションへの移住は母親の死を意味する」と落胆の声をあげました。市長は、「全員の合意を得るのは難しい」と突き放した態度をとっていますが、川崎市は最大の地権者であり、この再開発には77億円もの公費が投入され、公共施設も入ることを考えれば、市の責任で住民合意をはかるべきで、それが得られない以上、都市計画手続きを中止すべきです。市がここまで住民の声を無視するのは、都市計画関係資料に「どうしても容積率600%を確保したい」とあるように、まさに市民よりも大手デベロッパーに眼が向いていることの表れです。

《お約束》

  • 「川崎市民がいまも、これからも快適に暮らすことができる」まちをつくることを目標に、マスタープランの抜本的な改定を市民参加でおこない、市民の声がまちづくりに生きるようにします。
  • 大規模マンション建設に道を開き、まち壊しにつながるこれ以上の規制緩和は止めるよう求めます。
  • 武蔵小杉駅周辺の再開発など、ターミナル駅周辺地区の再開発による拠点開発に歯止めをかけ、住民や商店街など地域の連帯を生かしたバランスのあるまちづくりをすすめます。
  • 安全にいつまでも住み続けられるよう、公共施設内外のバリアフリー化をすすめます。
  • 車中心、臨海部中心の交通体系から、住民本位に転換します。
  • 交通不便地域や高齢化の進んでいる地域に、コミュニティ交通・ミニバスを導入するために車両購入費など初期投資とともに運営費への補助の新設を求めます。
  • 高齢者や障がい者施策に対応したバリアフリーの公共交通網の整備を行います。
  • すべての駅にエレベーター・エスカレーター・ホームドアの設置を促進します。
  • 小田急線の混雑緩和と踏切解消のため、向ヶ丘遊園駅前.新百合ヶ丘駅間の複々線地下2層化を推進します。
  • バス路線の再編整備は不採算路線であっても市民が利用している路線は廃止・縮小しないよう求め、運転手、車両を増やして、新しい路線を要望する市民の声にこたえる交通体系となるようにします。
  • 市内のバス専用レーンなどを拡充し、定時運行を確保できるよう、改善します。
  • 自転車等駐車場の増設を急ぎます。機械式の普及、利用率の悪い多層式駐輪場を改修するなど、導入数を増やします。利用料金を値下げします。
  • 道路、山路、公園の維持・補修費を抜本的に増額し、きれいなまちをつくります。