私たちの提案(2023)

第3章 実現めざし全力をつくします―日本共産党の重点政策

10、憲法を市政運営の基本に据え、人権を尊重し、性別・人種などで差別を許さない川崎を

日本国憲法で規定する個人の尊重及び法の下の平等の理念に基づき、性別・人種などにより差別されることなく、人が人として尊重され、誰もが自分の能力を生かしていきいきと生きることができる川崎、差別のない社会を実現することは川崎市民共通の願いです。川崎市は歴史的にも多民族が共生して暮らしてきたまちであり、他者を思いやり、尊重し、互いに助け合って生活する伝統と多様な文化を受け入れ発展してきた歴史があり、さまざまな個性を受け入れてきた寛容性の高いまちです。いかなる差別もあってはならないという人権尊重の理念と人々の多様性への理解を市民全体で共有できるよう積極的に広めていかなければなりません。

川崎市の外国人住民は、1980年代に入るまで多くが日本の植民地支配による特別永住資格を有する在日韓国・挑戦籍の方で占められていましたが、現在では中国・ベトナム・フィリピンを始め多様な人々が住むようになりました。

外国人市民にかかわる課題は山積しています。2016年の外国人市民意識実態報告書は、「外国人に対する差別全般についてはより大きな懸念が残されている」として、入居差別、学校現場での外国人の子どもに対する差別的な発言、長年地域に住んでいるのに地方参政権を持てないという問題をあげています。こうした課題を解決し、多文化共生社会実現をめざした施策を推し進めていくことが必要です。

2013年以降、特定の民族を罵るヘイトスピーチが、川崎市内で繰り返されてきました。国連人種差別撤廃委員会は、ヘイトスピーチを放置すれば、大規模な人権侵害及び虐殺につながると、その危険性を指摘しています。川崎市には、ヘイトスピーチ解消法が地方自治体に求めている「ヘイトスピーチの解消に向けて、地域の実情に応じた施策を講ずること」が求められています。2016年5月に「ヘイトスピーチ解消法」が成立。川崎市は、全国で初の事前規制を規定する「公の施設利用許可に関するガイドライン」を策定、2018年3月から施行されました。しかし、利用許可処分などその要件として「迷惑要件」が前提とされたことは実効性の面から問題を残すものでした。

LGBT講演会LGBTなど性的マイノリティは人口の7・6%を占めるとの調査もあり、私たちの家族、学校、職場、地域のごく身近な問題として捉えることが必要です。その課題の解決は「少数者にも権利を認める」ことではなく、「もともと同じ権利がある」ことを前提に人権保障を阻む障害を除去する視点でなされなければなりません。

2015年3月に国会において超党派の議員連盟が発足。政府や行政によるLGBT、SOGI(性的指向と性自認)対策が一定進んでいます。国会では、2016年5月27日に日本共産党は民進党など野党4党で「性的指向又は、性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」を提出し、継続審議になっています。

地方自治体の取り組みでは、渋谷区が自治体で初めて同性パートナーシップ条例を制定、政令市でも札幌市が制度を導入するなど各地の自治体で制度導入がすすんでいます。川崎市でも取り組みの拡充が求められます。

セクシャル・ハラスメント学習会女性のあらゆる差別をなくし、女性も男性も平等に、人間らしく生き生きと力を発揮できる社会の実現が急がれています。国連で「女子に対するあらゆる形態の差別に関する条約」(女子差別撤廃条約)が採択されて39年、日本では「男女共同参画社会基本法」が1999年に公布・施行され19年たちました。しかし、日本の女性の政策・意思決定過程への平等な参加は著しく遅れています。

日本の国家公務員の本省課長相当職以上の女性は4・3%、都道府県の本庁課長相当職以上8・5%、市区町村13・5%と低い実態です。川崎市職員の女性管理職は課長級23・8%、部長級16%、局長級2・3%です。目標比率30%を速やかに達成するとともに、目標比率そのものを引き上げるべきです。また、女性が子どもを産み育てながら働き続けられる社会的環境の整備も必要です。

《お約束》

  • 川崎市で住民として生活し、納税などの義務を負い、住民自治の担い手でもある永住外国人の地方参政権を認めるよう、国に働きかけます。
  • 外国人児童・生徒の教育権を保障する立場から、朝鮮学校への施設整備への補助金、授業料の負担を軽減する補助金を復活するよう求めます。
  • 外国語での相談体制充溢、子育てなど市民サービスの情報提供を丁寧に行なうように求めます。
  • ヘイトスピーチを許さない立場から、公施設利用許可に関するガイドラインは、「言動要件」のみでも判断できるようにします。
  • 川崎市LGBT支援宣言、SOGI支援宣言を行ない、同性パートナーシップ宣誓制度を策定するなど、当事者支援、教育、市の対応など方針策定を求めます。
  • 「ワークライフ・バランス」施策の完全な実現をめざして、男女ともに仕事と生活を両立できるよう、正規雇用の拡大、労働時間の短縮、母性保護の拡充、育児・介護休業を取得しやすい環境整備と制度の周知徹底を図るよう求めます。
  • パワハラのみならず、セクハラ防止の対策を講じることを求めます。
  • 川崎市職員の女性管理職の現在の目標を速やかに実現し、目標比率そのものを引き上げるべきです。