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2016年10月18日

市民生活の切実な願いに応えるべき~代表討論


DSC099592016年第2回川崎市議会定例会の10月17日、宗田裕之議員(高津区)が日本共産党を代表して、今議会の諸議案について代表討論を行いました。
宗田議員の討論予定原稿は次の通りです。

代表討論

私は日本共産党を代表して、今議会に提案された諸議案について討論を行ないます。

2015年度(平成27年度)決算の各会計決算認定についてです。

歳入の特徴についてです。2015年度決算では、市税は3年連続増収で初めて3000億円を超え過去最高となり、健全化指標はどれもクリアしており、きわめて健全です。財政力指数も政令市で依然トップで、政令市で唯一の不交付団体となるなど、本市は「財政が厳しい」とはいえない状況となりました。

「扶助費が増大」するから財政が厳しいという根拠については、市の負担分である経常収支の比率でみれば19.0%と前年度とほとんど変わりません。一人当たりの扶助費でみれば政令市平均よりも低く、経常収支の5分の1にも満たない額であり、地方自治の本旨である「住民の福祉の増進」という見地から見れば、扶助費は不十分であることを明らかにしました。

2015年度決算の収支は、財政調整基金への積み立て、減債基金への返済を含めると33億円のプラスで、市の収支見通しよりも4年前倒しで収支はプラスになりました。2015年度予算の54億円マイナスから見ると87億円も増加しています。2016年度の収支見通しは、国は15年度よりもさらに71億円プラスになると推計しているのに、市は38億円収支が悪くなるとしていますが、この差の根拠については、明確な答弁がありませんでした。また、市の推計は2015年度予算の54億円マイナスをベースにして2016年度の収支を92億円マイナスと試算していますが、2015年度決算で33億円プラスと出たわけですから、私たちはそれをベースに見直しすべきとただしました。それに対して「今後の収支見通しにつきましては、予算編成等、適切な機会をとらえて、適宜作成」するという答弁でしたので、その推移を注視していきたいと思います。

減債基金については、その残高は、人口が川崎市の2.6倍もある横浜市の2倍近くもあり、一人当たりの市債残高は他の政令市平均よりも低いのに、一人当たりの減債基金残高は他の政令市平均の1.8倍にもなっており、突出して高いことが明らかになりました。しかも、減債基金残高は、10年後には一般会計分だけでも2887億円になり、2015年度末の1847億円より1000億円も積み増しされます。

「減債基金へは、取り崩し分だけ積み立て、上積み分を社会保障に充てるべき」との質問に対して「将来の償還財源に不足をきたす」という答弁でしたが、将来の取崩額の推移をみても大きな取崩額の予定はありません。「ルール通りに積み立てなければ」との答弁でしたが、財政局の資料で他都市を見てもルール通り積み立てているところは少ないのが現状です。「将来世代に安心して暮らし続けていくため」という答弁もありましたが、上積み分を貯金として持っているのではなく、いま川崎市で暮らす市民の社会保障、子育て支援などにあてるべきで、そうしてこそ、少子化に歯止めをかけ、将来世代への負担を減らすことにつながるのではないでしょうか。減債基金への積立金は取り崩し分だけにすることで、毎年100億円、10年間で1000億円もの財源が生まれます。この財源を社会保障に充て、暮らし、福祉の充実をはかるべきです。

「財政が厳しい」ということを理由に行財政改革を進め、福祉電話相談事業、高齢者外出支援サービス事業、高齢者住み替え家賃助成事業の見直しや廃止を断行。利用者がいるのにもかかわらず、削減効果額わずか300万円のこれらの事業を見直し・廃止したことは重大です。行革の根拠については、今年3月の「行財政改革プログラム」では「収支不足」「減債基金」「財政が厳しい」という文言は消え、「財政が厳しい」ことを行財政改革の根拠にすることはできなくなりました。

残った行革の根拠は「社会的ニーズの変化」ですが、サマーレビューで見直しの対象になっている「重度障害者医療費助成制度」「高齢者外出支援事業」「成人ぜん息患者医療費助成制度」の3つの事業はどれも社会的ニーズが高まっています。このような社会的ニーズが高まっている事業、または利用者にとってなくてはならない事業については、サービスの削減ではなく、拡充する方向で見直すべきです。

歳出の特徴についてです。

教職員の定数内欠員についてです。

2015年度は324人の欠員を出し、その状況は一向に改善するどころか、欠員が増えるという事態になり、欠員解消への取り組みを厳しく指摘し、解消を求めてきました。欠員の縮減に向けて、受験案内パンフレットの改善や広報、周知の方法の工夫、選考試験の実施方法等の検討など答弁されましたが、ほんとうに川崎に魅力を感じて子どもたちのために就職したい、と思う教員を採用するためにも、来年からの教員の給与等の県費から市費への移管に際して、年休取得のあり方、住宅手当て、育児時間の取得の変更など教職員の処遇が今より後退させないことこそ必要であること、何よりいま在籍している子どもたちの最善の教育環境の実現を、そのためにも定員というかたちで保障されている必要な教員の確保を強く求めておきます。

就学援助についてです。

質疑のなかで、神奈川県内の4分の3の自治体が就学援助の支給基準を、「生活保護の1.3倍」か、それ以上としているなか、最近でも三浦市が生活保護基準の「1.0倍」から「1.2倍」へと拡大しました。本市が認定基準を「1.2倍」に拡大したとしても、三浦市の例を参考に私たちが試算したところでは、増額するのは1億円余と示し、実現を要望しましたが、その実現に背を向けた答弁でした。子どもの貧困をどう克服していくかが大きな社会問題になっているなか、認定基準の拡大を求めておきます。
高齢者施策についてです。

2015年度は介護保険料の改定が行われ、保険料基準額を5,540円とすることが提案されました。高齢者のみなさんは年金額は下がる一方のなかで、消費税引き上げや物価の上昇、医療費の引き上げなどで厳しい生活を強いられており、これ以上の値上げは耐え難いものでした。市長も市長選後のインタビューで、介護保険料については抑制に努める、将来的には下げたいと言っておられました。私たちは介護保険料について、さらなる多段階化や一般会計からの繰り入れなどあらゆる工夫をして抑制に努めるよう求め、保険料基準額を当時の現行のままで据え置き、介護保険料率について第1、第2段階の被保険者の負担を軽減するなど所得に配慮し、負担能力に応じた負担を求める条例の修正を求めました。

値上げにより、多くの高齢者が負担増となる一方で、特別養護老人ホームに入れない入居待機者は本年4月、4822人になっています。このうち要介護3以上の方は3267人にのぼり、入居申込書の記載では「介護者が要介護状態や病気・障害がある等の理由で十分な介護ができない」方が34%と最も多いなど、自宅での介護実態が明らかになりました。特養ホームの大幅増設を求めましたが、「真に入居の必要な方」は要介護3以上は全体の方の23.4%として、さらにここから他のサービス利用見込みを差し引くなどの計算方式で2025年度までの整備目標を5712床としたとのことでした。9年経っても1274床増に止まる計画で、今すぐに入居したいとの切実な願いと大きくかけ離れています。実態に合う計画に見直し、大幅増設を求めます。

街路樹の維持管理についてです。

歩道部分を塞ぐほど草ボウボウの幹線道路、街路樹が伸びて見通しの悪い交差点、歩道まで枝が伸びた街路樹、街路樹の根上がりによる歩道のデコボコなど、市民生活に欠かせない場所の維持管理が改善されていません。こうした現状を示し、せめて、幹線道路の雑草の除去を含めた街路樹の維持管理は年2回、幹線道路以外は年1回行うべきと質問したところ、答弁は「年1回の刈込みや除草を行い、必要に応じて道路公園センターの職員も行っている」「計画的な予算執行や作業時期の工夫を行っていく」とのことでした。街路樹維持管理費はこの間増えず、公園緑地に関する陳情件数は毎年6千件以上もあると聞きます。予算が増えないまま、現場の努力だけでは解決の目処はまったく見えません。現場の苦労に心を寄せて、市民生活に密接に関わる予算を抜本的に増やすことを強く求めておきます。

中小企業予算は、融資額を除けば予算全体の1%に満たない状況が続いています。

中でも商業振興事業費は、2015年度は約11億円ですが、プレミアム付き商品券7億円を差し引けば、前年、前々年の予算とほぼ横ばいの約3億円程度です。これでは商店街の衰退はとどまりません。そうしたことを踏まえて総務分科会で、経済労働局長も消費喚起効果のほか、中小商店での利用促進に一定程度効果を認めた商品券事業について、市独自のプレミアム付き商品券事業として行うこと、例えば、商店街イベント事業の中でプレミアム分を補助対象に含めるなど柔軟な対応を求めました。しかし、印刷費と広報費の一部を助成する事業を継続するとこれまでの主張に止まりました。改めて、プレミアム分を補助するプレミアム商品券事業の実施を求めておきます。

2款4項1目13節委託料に関連して、国際戦略拠点誘致推進現地対応等業務についてです。総括質疑でも明らかなように、実中研への800万円の支出根拠を明確に答えられませんでした。支出に適正を欠く本事業はやめるべきことを指摘しておきます。

羽田連絡道路についてです。

まちづくり分科会では、連絡道路の必要性について問われたことに対して、「連絡道路は成長戦略拠点には必要不可欠」と答えましたが、市民生活からの必要性については全く答えられませんでした。

総務分科会で、約1300万円をかけ、羽田連絡道路がすでに都市計画手続きが行われている段階で、なぜ、いまごろ殿町及び羽田連絡道路整備に係る投資効果等の評価指標案を作成するのか質したのに対し、「評価の時期については、建設投資額や立地施設の運営状況、就学等の見込み等が概ね明らかになったことを踏まえ実施するもの」と答えましたが、そもそも、投資対効果については事業計画段階で検討されるべきではないでしょうか。つまり、「連絡道路は成長戦略拠点には必要不可欠」という結論先にありきで必要性も投資対効果もまともに検討されていないということを表しています。

一方、貴重な干潟の保全については、専門家の検証も受けず、周辺道路環境の影響については、「事業実施後、交通管理者と協議する」とし、すべては、整備先にありきで、問題先送りの羽田連絡道路事業に300億円以上もの整備費をかけるべきではありません。改めて撤回を求めておきます。

市長は、2015年度予算について「川崎を一歩前へ、もっと先へ」進めるための“芽を育てる”予算、と命名されました。しかし、「一歩前へ進めるための芽を育てた」のは大規模事業であり、豊かな財政を振り向けるべき“子育て、高齢者、中小企業”分野の拡充は部分的にとどまり、市民生活は依然として置き去りにされたままというのが2015年度決算の特徴だったと指摘せざるをえません。こうした予算執行を行なった2015年度一般会計決算などを認定することはできません。

議案第113号川崎市とどろきアリーナ条例の一部を改正する条例の制定について、議案第114号川崎市スポーツセンター条例の一部を改正する条例の制定について、議案第115号川崎市武道館条例の一部を改正する条例の制定について、議案第125号川崎市市民館条例の一部を改正する条例の制定について、議案第126号川崎市教育文化会館条例の一部を改正する条例の制定について、議案第127号川崎市有馬・野川生涯学習支援施設条例の一部を改正する条例の制定についてです。
これらの議案について、25%から100%までの「受益者負担割合」の根拠について問いただしましたが、「他都市の例を参考にした」というだけで、まともな根拠は述べられませんでした。のべ281万人の市民が利用している川崎市のスポーツ文化施設のうち、6割の施設が値上げされることになります。本市の「音楽のまち」「映像のまち」「スポーツのまち」「読書のまち」などを掲げている姿勢と逆行することになるのではないでしょうか。市の役割は、市民の文化やスポーツを享受する権利を保障することにあります。お金の心配なく文化やスポーツを楽しめるよう、その役割こそ果たすべきと考えますので、これらの議案には反対いたします。

議案第118号川崎市廃棄物の処理および再生利用等に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。
 本議案は、今年7月に出された「使用料・手数料の設定基準」に基づき、一般廃棄物処理手数料等の額の改定を行うものです。「設定基準」では、手数料については、「原価算定対象経費の全額を受益者負担」としています。

いかに事業系ごみの処理が排出者の責任であるといっても、長引く不況で売り上げが落ち、経営が大変な市内零細中小業者に、この時期に値上げを押し付けるのは問題です。値上げの影響を直接受ける収集運搬業者も中小企業であり、値上げはそのまま排出業者に影響します。すでに収集運搬業者は値上げの動きを見せています。かつて川崎市は、小規模事業者の保護のため、事業者処理責任を明確にしながらも、小規模事業者に対しては普通ごみには10キログラム以下の処理手数料を控除していました。そうした配慮をせず値上げを行うことは、市内の中小業者全体の経営を大きく圧迫することになります。いまこの時期の値上げはすべきではありません。

本議案には事業活動ではなく市民が対象となる項目も含まれています。市民への影響が大きいのが浄化槽等の清掃です。いまだ下水道が普及せず、やむなく浄化槽を設置している市内約3千軒の個人住宅で、法律に基づき年に1回浄化槽を清掃すると、一般的な家庭で1回4300円だったものが、今回の1.5倍の値上げにより6450円となります。しかも、「設定基準」では、受益者負担を100%にするまで4年に1度程度の見直しを行うとしており、委員会の答弁によれば、2万円まで上がることになります。これは公衆衛生に責任を負う廃棄物処理にはなじみません。以上から本議案には反対です。

議案第120号川崎市余熱利用市民施設条例の一部を改正する条例の制定についてです。本議案も「使用料・手数料の設定基準」に基づき、ヨネッティ堤根、及び王禅寺のプールや会議室などの利用料の上限額の改定を行うものです。「設定基準」では、公共関与の必要性と民間における同種・類似のサービスの有無から、受益者負担の割合をその施設ごとに割りだし、余熱利用市民施設は、コストの50%を受益者負担にすると断定しています。環境局のコスト計算では現状の受益者負担割合が28.2%なので、あと21.8%引き上げなければならないが、激変緩和として今回は現行の1.1倍に値上げするとしています。設定基準では4年に1回見直しを行うとしていますから、いずれ今の料金のほぼ1.5倍の金額にまで上がっていくことになります。
 ごみ焼却場の余熱を市民のために有効活用し、低料金で一年中利用できるプールを作ったことは本当に市民に歓迎されました。健康増進のためにたくさんの人たちが利用しています。これこそ公共性があり、福祉の向上を図る自治体の重要な施設ではないでしょうか。値上げはすべきではありません。よって本議案には反対です。

議案第122号小児医療費助成条例の一部を改正する条例の制定について及び請願第24号小児医療費助成制度に一部負担金を導入しないことを求める請願についてです。

市長の「小学6年生まですぐに無料にする」という公約に対し、今回の一部負担金導入は、「6年生まで無料になると期待したのに、1回500円負担は納得できない」という声が多数寄せられています。

これまで、市長は一部負担金を導入する理由として、「過剰受診があっては小児科がパンクし、医療機関が疲弊する」と繰り返し答弁されました。文教委員会において、これまで、本市が小学2年生まで、また今年度、小学3年生まで無料化したことで過剰受診が起きているというバックデータをもっているのか質したところ、そのようなバックデータは持っていないとし、基本的には、このことを理由ではなく、制度を安定的に持続するためという答弁に終始しました。国の「子どもの医療制度のあり方などに関する検討会」で、議論、話題になったということだけで、バックデータもないのに、こうした答弁をすべきではないと厳しく指摘しました。多くの保護者の方々はコンビニ受診が増えるという市長の発言に対し「必要ないのに受診しない」「病気をもらう心配があるので極力行かないように、こどもに栄養や睡眠をとるなどして気をつけている」と指摘しています。一部負担金を徴収することで、逆に、医療機関の実務が煩雑になることも指摘しました。

一部負担金の保護者の負担額は、1億5千万円です。財政力豊かな本市が、この負担を求めなければ、持続可能な制度にならないという財政的な根拠はまったく示されていません。市長は子どもの医療費助成は、「子どもを生み育てやすい環境をつくるために重要な施策である」と制度の目的を述べていますが、これは、「お金の心配をしないで受診できる。受診抑制をしないでお医者さんにかかれる環境をつくる」ことです。

その一方で、「受診が増えるのを抑制するために一部負担金を導入する」というのは本来の制度の目的と矛盾します。所得制限についても、子どもの健康と親の所得は関係ありません。等しく平等にすべきです。特に所得限度額をわずか上回るだけで3割負担という方々の不公平感ははかりしれません。また、一部負担金の導入は、重度障害者医療費助成制度など他の助成制度に波及することも懸念されることから認められません。制度の目的と保護者の願いに答えて、所得制限を撤廃し、一部負担金を導入しないで6年生まで無料にすべきです。よって本議案に反対し、一部負担金を導入しないでくださいという請願第24号は賛成します。

議案第132号川崎市市民ミュージアムの指定管理者の指定についてです。

市民ミュージアムは、博物館機能と美術館機能をあわせ持つ、市民文化の創造の拠点として活動してきました。今議案は、学芸部門を含め,直営による総務、企画広報、教育普及部門などをアクティオ・東急コミュニティー共同体に指定管理者として選定する議案です。これまで学芸部門は公益財団法人・川崎市生涯学習財団に業務委託し、現在、学芸員は16人の有資格者が担い、開設以来28年の経験を有する方4人をはじめ、経験と高い知見を持つ方々が担っています。しかし、2017年度からアクティオに管理運営が移行することで、学芸員の深刻な雇用問題が生じています。

一方で、市は「指定管理仕様書」において、「博物館・美術館の専門分野に関する豊かな知見と高度の専門性の継続と蓄積、高い公益性と信頼性」を指定管理者に対し求めています。委員会では、選定事業者がこれらを担保する計画を持っているのか、公の施設として,市の姿勢が問われると質しました。

現在、生涯学習財団が学芸員さんに紹介しているアクティオの「川崎市市民ミュージアム 職員、パート求人募集要綱」では、1年間の契約社員、応募資格は「高卒以上、職員希望の場合はエクセル・ワードなどのパソコンスキル」とあり、とても高い専門性を担保した募集要綱とは思えません。1年契約の職員が、極めて高度な技術が必要となる、資料の保存や修復、市指定文化財なども含めた21万点余にも上る膨大で貴重な収蔵品を適切に取り扱うことができるのか、大いに疑問が残ります

学芸員の高い専門性と経験年数にふさわしい雇用の継続について、市民文化局長は、生涯学習財団側及び当財団を管轄する教育委員会にも要請をすることと、アクティオ側の人材確保に配慮をお願いすることはできるが、最終的には民・民の問題であると答えました。質疑のなかで、アクティオ側も、市民ミュ–ジアムの歴史と知見にたけている学芸員さんの力を使わない手はないと言われていることもわかりましたが、それらが実際に担保されるのかの保障はありません。

また、有資格の学芸員は減員されることが質疑のなかで明らかとなりました。本来、考古、歴史、民族、美術、映像等に関する資料及び作品について収集、展示、調査研究等を行なうこと等により、市民の教育、学術及び文化の発展に寄与することを目的として設置されている市民ミュージアムは指定管理になじまないとして、導入議案に反対してきた立場からも、本議案には賛成できません。

議案第147号川崎市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算認定については、低所得者にとって負担増となるとして、議案第151号川崎市介護保険事業特別会計歳入歳出決算認定については、介護保険料の値上げであることから、予算議会でそれぞれ反対した立場から反対、議案第149号平成27年度川崎市後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算認定については、高齢者に差別を持ち込む後期高齢者医療制度に反対の立場から、反対です。

議案第134号新川崎・創造のもり産学交流・研究開発施設の取得についてです。

委員会では、民間部分への公的支援の有無、将来のリスクについて確認しましたが、家賃の減免、建設費補助、運営費補助のいずれも行わないこと。武器製造等に関連しないものに限定することについては、入居予定者の事前の審査の中で精査することについて、確認しました。それを踏まえた上で、私たちは、川崎市の中小企業施策が新産業創出事業に偏っているという指摘にも、真摯に受け止めなければならないと考えています。市内の大半の中小企業は、技術を革新していくこと以上に事業を継続して営むことに日々苦心しています。経済労働局長は「条例にのっとり同施設を活用する中で、中小企業を支援する。」と答弁されましたが、改めて、多くの市内中小企業が活性化できるような対策をとるためにも、中小企業予算と職員を増やすことが何よりも必要だと考えます。改めて求めておきます。

請願第22号所得税法第56条廃止の意見書を国にあげることに関する請願についてです。自営商工業者の多くが家族労働によって事業を支えています。しかし、事業専従者控除を配偶者に86万円、その他の家族に50万円しか認めていません。これは時給に換算すれば配偶者は344円、その他の親族は200円です。

家族従事者の多くは女性です。本年2月に開催された第63会期国連女性差別撤廃委員会は、日本政府に対し、「家族経営における女性の労働を認めるよう所得税法の見直しを検討すること」を勧告しました。その働き分が給料として認められないことは女性に対する差別という以外ないことが、国際的にも明らかとなっています。申告の在り方については、すべての事業者に記帳が義務付けられ、青色、白色などと格差をつける理由はありません。国への意見書を採択する自治体は、6月13日現在447自治体と広がり、国内情勢も大きく変化しています。私たちは真の男女平等の実現にむけ、人権無視の差別制度は放置しない、そのためにも意見書を国に提出すべきであり、請願の採択を主張します。

私たちは、予算議会において、不要不急の大規模開発を見直し、基金の取り崩しなどによって市民生活の切実な願いに応えるべきと予算の組み替え動議を提出した経過も踏まえ、2015年度決算認定にあたっては、一般会計、競輪事業特別会計、国民健康保険事業特別会計、後期高齢者医療事業特別会計、介護保険事業特別会計、港湾整備事業特別会計、公共用地先行取得等事業特別会計、下水道事業会計、水道事業会計、工業用水道事業会計については認定できません。
以上の立場から、議案第113号から115号、議案第118号、議案第120号、議案第122号、議案第125号から127号、議案第132号、議案第144号、議案第145号、議案第147号、議案第149号、議案第151号、議案第152号、議案第156号、議案第159号から161号については反対及び認定できないこと、請願第22号24号その他の議案、報告については、賛成、同意及び認定することを表明して討論を終わります。