議会報告

2017年3月2日

市職員の長時間残業解消を~市古団長が代表質問


DSC016802017年第1回川崎市議会定例会で2月28日、市古映美団長が党を代表して質間しました。

市古議員は、市職員で過労死ライン(月80時間)を超えた長時間残業が常態化している問題を告発し、職員を新規増員して解消するよう求めました。

市古議員は、2015年度に時間外・休日勤務を月80時間以上おこなった市職員が528人、同じく年1000時間以上が28人で、市職員労働組合(自治労)との協定で上限としている年360時間を超えた職員は942人だったと述べ、「ほぼすべての部局で違法な残業が常態化しているのは明らかだ」と批判。「10年間で15万人も人口が増えているのに職員を1500人減らしてきた『行政リストラ』の結果であり、放置は許されない」と強調しました。

福田紀彦市長は答弁で「職員の意識改革に取り組む」「職員の配置や組織の最適化をすすめる」などとして、職員の新規増員の考えは示しませんでした。

市古議員は、電機大手の東芝がさらなるリストラを強行しようとしている問題について質問。同社事業所や関連会社がある川崎では、市内労働者や地域経済に甚大な影響を及ぼす事態だとして「雇用対策本部を立ち上げ、影響調査を実施し必要な手だてを図るべきだ」と指摘しました。

しかし、福田市長は、東芝の経営再建の情報の詳細が明らかでないとして、大リストラによる労働者や地域経済の影響についての調査や東芝への要請をみずから行う姿勢は見せませんでした。

市古議員の質問予定原稿(初回)はつぎのとおりです(議事録ではありません)

日本共産党代表質問

私は日本共産党を代表して2017年第1回定例会に提案された市長の施政方針、予算案を含めた諸議案、及び市政一般について質問を行います。

最初に予算案の特徴についてです。

新年度予算の歳入は前年度当初比698億円10.9%増と過去最大規模の7088億円。県費負担教職員の市費移管分560億円を除いても6528億円、対前年度比+138億円の増です。歳入の根幹である市税収入は対前年度予算比較で57億円1.9%増の3072億円で4年連続過去最高となりました。

 市税収入のうち、法人市民税は6億円の減となっています。中小企業は税収増ですが、大企業が減収となっていることが要因です。政府の研究開発減税の拡充など大企業優遇税制の影響です。人口増による所得の増加により個人市民税は30億円増、住宅の増加により固定資産税は31億円増となっています。

この税収増は、想定以上の人口増加によるものです。市の人口は今年中に150万人に達する予定ですが、2014年8月に「総合計画」の前提資料として出した市の人口推計から、3年も前倒しで達することになり、想定の2倍の早さで人口が増えています。

 この間の歳入額は、予算と決算では大きな誤差が出ています。2015年度は予算の市税収入では2963億円だったのが、決算は3007億円で、予算額は44億円も低く見積もられていたことになります。他の年度の市税収入をみても40億円低く見積もっています。これを前提とすると、2017年度の歳入額は提案より40億円多くなると予測できます。提案された予算案の歳入額をもって、2017年度は「財政が厳しい」という理由は成り立たないと考えます。

 これだけ人口が想定以上に増加し、市税収入が増えているのに、市長は相変わらず「財政が厳しい」と強調しています。その理由の一つに消費税増税が2年半延期されたことによるマイナスの影響が出るとしています。しかし、これは、歳入の減少だけを見た推計です。消費税が10%に増税されれば、1.8億円の増収になりますが、物品などにかかる費用が増大し、歳出は47.8億円の支出増となり、差引46億円の負担増となります。消費税率を上げれば市や市民への負担は重くなるというのが実態ですから、消費税率引上げ延期をもって市の財政を厳しくするという理由にはなりません。

「財政が厳しい」というもう一つの理由に、減債基金からの185億円の借入もあげられています。しかし、2017年度の減債基金への積立額は449億円、取崩額は205億円で244億円も積み増して、新年度末の減債基金の残高は2209億円にもなります。市民一人当たりにすると政令市平均の1.8倍にもなります。さらに、毎年、100億円ずつ積み増しをして10年後には3000億円にも達する予定です。市のお金である減債基金からの借り入れを「財政が厳しい」理由にあげること自体おかしなことですが、減債基金に取崩額分だけを積み立てれば244億円の財源が生まれ、185億円の収支不足もなくなるわけです。そうすべきではないですか、市長に伺います。

 結局、消費税率引上げ延期も減債基金からの借り入れも「財政が厳しい」という根拠にはならないことになりますが、市長に伺います。

多文化共生の取り組みについて伺います。

昨年12月27日、市の公的施設でヘイトスピーチが行われないよう条例やガイドラインの策定を求める「提言」が人権施策推進協議会から本市に提出されました。

私たちは昨年の6月議会で、ヘイトスピーチを行うことが明白な団体等への公的施設の使用許可条件を規定し、第三者機関が公平に判断する条例等の整備を求めてきました。基本的にこの「提言」に基づいてすすむべきものと考えます。

先日のヘイトスピーチに反対する市民の集会では、各党派・会派の議員が本市の多文化共生の歴史や伝統への思いを熱く語り、川崎市日韓親善協会の斉藤文夫会長は「戦時中は日本鋼管をはじめ軍需工場で働き、強制的に連れてこられた人もいた。その人たちが川崎の地に移り住み、日本の産業拡大に一生懸命汗を流し浜町・桜本に定着している」「50年後の日本社会を考えれば、多文化共生はますます必要になってくる」と話されました。このように、川崎の街をつくってきた在日コリアンの歴史をふまえて、朝鮮学校の施設整備などへの補助金が1980年から33年間、授業料の負担を軽減する補助金は1989年から24年間、継続的に支給されていましたが2013年度以降は交付しなくなりました。新年度は趣旨を異にする二種類の補助金236万円のみの計上となっています。従来の800万円ほどの補助金が削減されたもとで、学校では雨漏りする校舎を直せないでいるような実情です。

同じ川崎市に生まれて暮らす子どもたちの学習権を保障するためにも欠かせない施策です。昨年、私どもの申し入れや、全市会議員が賛同した石田議長の要望などを受けて、ヘイトデモへの公園使用不許可を決断した市長として、多文化共生の立場に立ち、朝鮮学校の施設整備などへの補助金を復活させ、県にも補助の復活を求めるべきだと考えますが、市長に伺います。

子育て支援策の充実についてです。

母子支援の充実についてです

2016年7月に川崎市児童福祉審議会は、2015年に発生した虐待事例から「児童虐待重症事例検証報告書」を発表。母子手帳交付時の面接の重要性や乳幼児健診の未実施への丁寧なアプローチ、多職種による多面的なアセスメントによる組織的判断が必要であるとし、再発防止に向けて児童相談所、地域見守り支援センターそれぞれにおける職員体制の充実と人材育成を図られたいと提言で述べています。提言の重要な要となる保健福祉センターにおいて母子支援を担う助産師の役割は大変大きく、私たちは各区の地域見守り支援センターに助産師を1名配置すべきと強く求めてきました。

 新年度予算案において、各区に母子保健コーディネーターを配置して母子手帳交付時の面接等を行なうとありますが、任用期間1年、週5日、1日5時間45分勤務の非常勤嘱託員です。特定妊婦さんへの継続的な支援、妊娠期から子育て期までの母子保健や育児に関する相談への対応などを担うには、専門性と継続性、多職種連携でかかわる体制が必要です。助産師を各区に配置すべきです.伺います。母子保健コーディネーターをせめて常勤とすべきですが伺います。

児童相談所の体制の充実についてです。

 私たちは、この間、経年的に児童相談所の体制強化を求めてきました。これまで社会福祉職の増員がされてきましたが、それでもなおケースワーカー一人当たりの平均担当ケース数が、2015年度118件、2016年度111件にも上ることから、児童福祉士の増員を求めてきました.新年度予算案に児童相談所の体制強化について盛込まれました.増員される職種、人数と配置について伺います。また、この増員によって、一人当たりの担当ケース数がどの程度縮減されるのか、見通しを伺います。

小児医療費助成制度についてです。

新年度の拡充分も含めて20政令市を調査した結果、通院の助成対象年齢、所得制限、一部負担金の有無などの総合評価をすると、川崎市は下から4番目であることが明らかになりました。

まず、通院の助成対象年齢についてです。首都圏の都市部では東京23区、さいたま市、千葉市、東海地方では静岡市、浜松市、名古屋市、関西では京都市、堺市、大阪市、神戸市が中学校卒業まで助成しています。仙台市でも10月から小学校3年生を中学校3年生に一気に拡大し、大阪市は11月から18歳まで拡大する予定です。新年度拡充されても「小学6年生まで」の川崎市の遅れは明らかです。市長が「どこよりも子育てしやすいまち」をめざすと言うのならば、せめて中学校卒業まで拡大すべきです。市長に伺います。

 所得制限についてです。所得制限があるために新年度拡充される4年生から6年生では8841人、26%、4人に1人が助成を受けられません。1歳から小学6年生までのトータルでは2万7360人が助成を受けられなくなります。東京23区や、新年度の予定も含め14政令市では所得制限がありません。ここでも川崎市の遅れは明らかです。早急に所得制限を撤廃すべきです。市長に伺います。

 通院1回上限500円の負担金導入は今からでも撤回すべきです。市長に伺います。

保育事業について、はじめに待機児童解消について伺います。

2017年4月の認可保育所の定員は認可保育所の整備のほか、既存保育所の定員増や川崎認定保育園の認可化等も含めて26,606人となります。しかし、今年も申請数の急増に追いついていないのが実態だとわかりました。2017年4月入所に向けた1月27日現在の認可保育所の利用申請数は10,200人で、2008年度利用申請数の約2倍にものぼります。申請した10,200人の内入所出来なかった保留児童数は3,551人、昨年より544人も増え、申請数に対する保留率も昨年33%に対し、今年はさらに上回り34.8%になりました。1月30日、区役所の児童家庭課窓口は保留通知を受け取った方々が廊下にまで溢れていました。現在、2次調整が終わりましたが、2017年4月の保留児童数及び待機児童数の見通しをどうたてているのか伺います。

2017年度予算案において新設による受入枠の拡大は認可保育所1,630人、地域型保育所172人、合計1,802人となり2016年度の当初予算より定員増は図られました。しかし、認可保育所の新設のうち54%、880人が民間事業者活用型による整備です。

園庭整備が困難な「民間事業者活用型」に整備の5割を頼るのではなく、公有地活用の整備をもっと促進すべきと考えます。東京都では未利用の都有地の調査を水道局など公営企業局を含め全庁で再調査をかけた結果、保育所可能は228件あるとし、区市町村や民間事業者に情報提供し都有地を活用した保育施設整備を促すとしました。本市も全庁あげて公有地の再調査を行ない情報提供すべきと考えますが伺います。また市営住宅の建替計画の際に、認可保育所の整備を積極的に行なうこと、公立保育所の仮園舎跡地への保育所整備も引続き促進すべきと考えますがそれぞれ見解と対応を伺います。4月1日の実態によっては補正予算を組むことも検討すべきと考えますが伺います。

「子どもの未来応援プラン」を見直しすることについてです。

川崎市が、新たな総合計画の策定に向け2014年に示した将来人口の推計では、150万人を超えるのは2020年としていました。しかし実際は市の推計より3年も早く2017年度中に150万人に到達するといわれるなど人口が急増しています。又、就学前人口も2014年80、963人から2016年12月82、132人へと増えているうえに、就学前人口に対する保育所利用申請率も14年4月、29.03%から16年4月、33.68%と保育ニーズが急増しています。このことからも、2015年3月に策定した「子どもの未来応援プラン」について、これらを反映した計画に見直すべきです。伺います。本市の2017年度の【保育の確保方策】は保育所、認定子ども園、地域型保育事業あわせて28002人です。それに対して、実際に確保される定員は、26606人で、1396人も足りません。「新設による定員枠の拡大目標値」を850人とするなど、あまりにも確保方策と比べ少なすぎます。確保方策に見合う認可保育所の定員枠の拡大目標値を引き上げ、整備すべきです。伺います。

就学援助について伺います。

 前議会で、入学準備金の支給金額の拡充については、「必要性は認識している。社会情勢、本市の財政状況、国の動向や他都市の状況を踏まえながら、関係局と協議しているところです」と答弁されていました。すでに川崎の支給額は横浜の2分の1です。国も額の引き上げを示しました。海老名市では、中学校入学準備金は支給金額も川崎市より多い3万7920円に引き上げ、今年度より小学校6年生を対象に中学校入学前の1月下旬での支給を行っています。増額するにあたってのすべての前提条件は満たしてきていると思います。

就学援助制度は、義務教育の無償を定めた憲法26条に基づき、親の収入に関わらず子どもが等しく教育が受けられるよう、国と自治体が対象となる家庭を援助するものです。川崎でも社会情勢の影響によって申請者は増加する見込みとしているようですが、実際にかかる入学準備費用からみても入学準備金の増額と支給時期の変更を行うべきです、伺います。

少人数学級拡充についてです。

4月から、県費教職員の給与等の負担や学級編成の標準を決める権限が県から市に移管されます。県費移管を機に千葉市は35人学級を小学4年生まで拡充する予定です。新潟市は県による小・中学校9年間の少人数学級を引継ぐのに加えて小学1、2年生ですでに実施している32人以下学級を小学4年生まで拡大する予定です。政令市移管という新たな条件を生かし、少人数学級を全学年に拡大すべきです。伺います。

定数内欠員の解消についてです。

教育充実、教職員の負担軽減のため欠員解消をこれまで強く求めてまいりました。しかし2015年度の欠員は324名、2016年度は343名で解消どころか増え続けているのが実態です。新年度欠員はどう縮減できるのか伺います。

中学校給食についてです。

1月25日の和歌山県御坊市に続いて、2月17日、立川市で、学校給食を原因とした集団食中毒が発生し、それぞれ700人以上、900人以上の被害が出ました。いずれも共同調理場・センター方式の給食でした。立川市の給食センターの委託先企業は、川崎市の中学校給食で1万食を作る中部給食センターと同じ企業グループでした。センター方式では、ひとたび食中毒が起きれば、一部にとどまらず、被害が拡大します。 

センター給食ではそうした危険性をはらんでいることをしっかり踏まえて、衛生面、安全対策には万全を期して取り組むことを強く求めておきます。

1月から始まった、自校方式の犬蔵中学校、中野島中学校には、昨年4月から準備段階で栄養士が一人配置され、毎月「食育だより」が発行され、生徒たちの「給食委員会」も立ち上げられ、生きた食育の推進、きめ細やかなアレルギー対応などが行われています。現場に栄養士がいるからこその取り組みです。

一方、私たちが視察した千葉市の給食センターでは、1万食で栄養士の配置は4名で、食育は、年に一回、各中学校にセンターの栄養士が訪問し、10分間、食に関する話をする程度でした。後は、学級担任などに任せているとのことでした。センターに配置された栄養士だけでは十分な巡回指導ができるとは到底考えられません。栄養士の配置について、文科省の定数では合計8人ですが、市単独でも栄養士を配置すべきです。伺います。

高校奨学金についてです。

2016年度は基準を満たした申請者でも、学年資金で202人、入学支度金では49人が奨学金を受けられませんでした。2017年度予算案では、基準を満たした生徒全員に支給できるように今年度の申請者数程度の採用者へと拡充しましたが、「5段階で3.5以上」という成績要件が引き続き設定されています。本市と同様に給付型の高校生奨学金を行っている堺市や神戸市は成績要件を設けておらず、生活困窮の度合いのみを基準に支給しています。家庭の状況が厳しいほど成績面でも困難になることは明らかです。成績要件を外すべきです。伺います。

地域包括ケアシステムと、関連して地域みまもり支援センターについてです。

 健康福祉局予算は昨年度比わずか0.9%増です。高齢者関係では昨年に続き減額された事業が多く、1000円、4000円という単位で減額された事業もあります。「実績に合わせた」「精査した」とのことですが、年金が減らされ、介護保険料などの増で生活が苦しい高齢者に寄り添う予算とはいえません。

市長は高齢者が「住み慣れた地域で暮らし続けられる」ようにと、「地域包括ケアシステム」の構築を強調していますが、その受け皿はどうなっているでしょうか。

地域包括ケアシステムは、「自助」「互助」「共助」「公助」が等しく地域を支え、住民を初め、事業者や町会・自治会などの地縁組織、ボランティア団体、行政などが一体となって地域全体で取り組みを推進していくことが重要としています。果たしてこれで、全ての地域住民を対象にした支援や問題の解決をすることができるでしょうか。

私たちは昨年、滋賀県野洲市の「くらし支えあい条例」に基づく取り組みを伺ってきました。条例第23条では「市はその組織及び機能のすべてを挙げて、生活困窮者等の発見に努めるものとする」として、相談に来た市民をたらい回しするのではなく、相談機能を集約する市役所のコンシェルジュ機能を活かして問題を解決しています。

北九州市は2008年に「いのちをつなぐネットワーク」推進課を設置。地域での見守りネットワークの網の目を細かくすることで、支援が必要な人を1人でも救えるように、市民と行政との協働によって取り組んでいます。全市16名の専任職員を各区役所に担当係長として配置して、そのもとに職員も配置されていました。担当係長は地域に出向いて、支援や見守りが必要な人の情報を収集します。地域からの情報提供を受け、区役所全体で、利用できる制度やサービスがないか、検討します。サービスに繋がらない心配な人については、地域で見守ってもらう支援者の活動をサポートするのです。当初、民生委員の負担は大変重いものがあったそうですが、この事業を始めて以来、負担が軽くなった、活動しやすくなった、などのアンケート結果がでていることもお聞きしました。

川崎市では昨年4月からスタートしましたが、保健師や社会福祉職の若干の増員はあるものの、職員はほとんど増やさないままのスタートでした。

地域みまもり支援センターと高齢・障害課、児童家庭課、保護課などの行政の専門職との連携はうまく機能しているでしょうか。北九州市や野洲市のように、職員をきちんと配置して、困難をかかえる住民を包括的に支えるしくみ、区役所のコンシェルジュ機能を活かす、すなわち公的に支える部分をしっかり機能させることが必要と思います。それでこそ、自助・互助の取り組みが機能し、活かされるのではないでしょうか、川崎の地域包括ケアシステムではそこがみえません。職員もほとんど増員しないままの体制で機能できるのか、これも疑問です、伺います。

特養ホームの大幅増設についてです。

特別養護老人ホームの待機者数は昨年10月現在で4,482人と依然多く、人口100万人規模の13政令市中、高齢者人口比の待機率はワースト1です。しかし、2017年度は5月麻生区に94床開設するのみです。新年度予算では2018年度以降に開設する3ヵ所490床の整備予算が計上されていますが、場所と開所予定時期が明確なのは2ヵ所です。残りの1ヵ所は国有地(麻生区百合丘地区)を活用し、移転建替えを行なう計画ですが、受託する法人は決まっていない状況です。移転建て替えを急ぐとともに移転前の跡地にも特養ホーム新設するなど含め、あらゆる手立てを尽くし用地を確保し増設すべきです、伺います。

障がい者施策についてです。

 新年度予算では障がい者関係では自然増に対応した予算が一定組まれています。

地域活動支援センターA型についてです。利用者が増加し施設の面積や職員が足りないこと、日割りの報酬単価経費への補助増額を求め、人件費や家賃などの固定経費への補助を増額すべきと求めてきましたが、対応を伺います。

井田の市有地に建設する特別養護老人ホームの中に障がい者のショートステイを整備するとのことです。特養ホームとは別の事業とするのか、高齢者以外も対象なのかうかがいます。ベッド数についても伺います。この一部をミドルステイとして整備できないか、伺います。

グループホームの整備について伺います。

親亡き後の生活の場の整備は、知的障害者の高齢の保護者にとって切実な願いです。南部地域でのグループホームの不足は深刻ですが、整備の遅れている実態とその理由について伺います。川崎市では、民間での整備を前提とする仕組みになっていますが、整備が進まない中で、新年度中に整備方針をまとめる予定の市営大島住宅敷地内の福祉施設用地について、整備の遅れが深刻なグループホームを整備してほしいという切実な要望が出されています。親亡き後の生活の場を切に願う保護者の想いをくみ、グループホームの整備について、具体的に検討すべきと思いますが、見解を伺います。

中小企業振興について市長に伺います。

経済労働費の予算は、制度融資事業の預託金を除けば2011年の97億円から新年度48億円と5割も減っています。商品開発を支援する「ものづくり中小企業経営革新支援事業」や住宅相談会などを行う「建設業振興事業」が前年度比で5~6%の減額。先端産業・拠点開発関連予算、コンベンション整備事業費を除くと中小企業支援の予算は、商業・農業関連を含めてもわずか25億6千万円余、一般会計に占める割合は0.36%で、金額、率ともに今年度予算よりもマイナスとなっています。

市内の事業所数は、2014年の経済センサスによれば、5年前との対比で増えてはいるものの、医療・介護などがその中心で、製造業で16%、建設業でも12%の事業所が減少しています。減少した事業所総数の9割が小規模事業者です。

市長は1月12日付新聞のインタビューで「肌感覚として地元の中小企業は、良い感じはしない。特に零細企業をみると、楽観視どころか、ずっと厳しい状況が続いている」と述べています。一方で中小企業活性化条例の「中小企業の持続的発展」を支える予算を削りながら、中小零細企業の切実な実態に応えることができるのか、市長に伺います。

具体的には、ものづくり中小企業経営革新事業については、そもそも総額自体も1819万円と少ない上に、前年度よりも107万3000円も減額されています。100万円を上限に事業費の2分の1を補助する「川崎市新技術・新製品開発支援事業補助金」は、対象を5件から3件に削減し、予算も昨年の600万円から336万円と3分の2に減額されています。2013年4月に産業連携協定を締結した大田区では、予算規模が本市の4割弱ですが、同様の事業予算には約4.4倍の8000万円を計上して、中小企業の持続的発展に力を入れています。中小企業活性化条例を制定した川崎市としてあまりにも予算規模が小さいと考えますが、市長に伺います。

住宅リフォーム助成の新設についてです。

全国商工団体連合会の調査では、2016年度住宅リフォーム助成制度は600自治体で行われ、7年前から取り組んでいる秋田県では、昨年10月までに約7万6000戸が着工され、県の補助金は97億円、総工事費は約1500億円で地域への経済効果は2280億円となり、県の補助と経済効果を比較すると23.5倍にもなりました。さらに秋田県をはじめ新潟市や台東区などでは、「子育て世帯への支援策」としてのリフォーム助成を始めました。これまでも、住宅リフォーム助成制度の新設を求めてきましたが、市は建設事業者自らの努力に任せる姿勢をとり、制度新設を拒んできました。市内の建設事業者が減少を続けるなか、リフォーム需要を市内の事業者につなげるよう制度を作るべきです。市長に伺います。

入札制度についてです。

物価の上昇等によって、発注標準金額等の是正を求めていましたが、具体化に向けた進捗状況を伺います。また、新年度における入札制度の見直しについて伺います。

正規労働者の雇用を拡大する対策についてです。

 総務省が1月31日に発表した2016年平均の労働力調査では、非正規雇用の割合が37.5%と調査開始以来、最も高くなりました。深刻な雇用実態を踏まえた実効性ある施策が必要です。ところが、予算案では、正規雇用につなげるとする「キャリアサポートかわさき」の就業マッチング事業や「地域中小企業人材確保・若者就業支援事業」で452万円削減しています。2013年にキャリアサポートかわさきで述べ11名いた求人開拓員は、2015年に5名に減らされ、現在まで増員されていません。キャリアサポートかわさきが開設された2011年度の正規雇用決定者は登録者全体の64%でしたが、翌年2012年以降から減少し続け、2018年度12月段階では3割に過ぎません。わずか5人で希望に沿った正規雇用を創出できるでしょうか。体制を強化して求人開拓員を増員して正規雇用を増やすべきです。伺います。

市内企業の9割に当たる中小企業への支援策としても有効な、奨励金を助成し正規雇用を拡大することを求めてきました。2017年度は徳島市も若年非正規労働者を正社員に転換した場合、対象労働者一人当たり60万円を事業主に対して支給する国のキャリアアップ助成金に20万円を上乗せして交付する事業を開始します。本市でも、国の事業を利用して上乗せ支給する事業を開始すべきです。伺います。

正規雇用拡大策の一つとして、奨学金返還支援による中小企業支援制度実施も増えています。大分県宇佐市では1人あたり総額100万円を上限に実施。北秋田市では、5年以上市内に居住する意思がある方を対象に総額3分の1、医療・福祉・介護職など指定する国家資格取得者には2分の1を助成します。介護・保育の担い手不足が深刻な川崎市にとっても未来への投資となります。本市でも実施すべきです。伺います。

市職員の労働環境について伺います。

 地方自治体の職場で長時間労働による過労死が続いており、労働基準監督署から是正勧告も出されています。政府は、「働き方改革」を打ち出し、厚生労働省は、長時間労働の是正とサービス残業根絶のための「4・6通達」に代わる新ガイドラインを昨年12月に出しました。川崎市が10年間で職員を1542人削減する中、長時間労働を余儀なくされている職員の数は増え、メンタルヘルスなどの健康被害が深刻になっています。市職員組合との36協定では、時間外勤務の限度時間は年360時間で、「予見できない臨時または緊急の業務が集中」する場合でも年480時間とされています。

しかし、2015年度の実態は、年360時間を超えた職員は942人、年480時間を超えた職員は478人、年1000時間以上の職員は28人もいました。年360時間以上の職員数はこの5年間で200人以上も増えています。過労死ラインとされる月80時間以上残業した職員は528人にも上っています。労働時間が月100時間以上、または2か月平均80時間以上を超えて働き、産業医に面談を必要とされた対象者数は、毎年400人以上にのぼります。この5年間の長期療養者数のべ1309人のうちメンタルヘルスによる長期療養者数は728人、55.6%にも上っています。

36協定にも違反する状態の職員が1000人近くいて、過労死ラインを超えて働く職員が500人以上、メンタルヘルスなどで長期療養している職員がこれだけ出ている現実をどう考えるのか、市長に伺います。

教職員の働き方の改善についてです。

教職員の長時間労働の改善の解決のために、国や多くの自治体では労働時間の正確の調査や把握に基づき、長時間労働の削減にとりくんでいます。しかし川崎市においては、教職員の労働時間の把握は、自主申告だけであり、それが実態を反映していないことは明らかです。1月20日、厚労省が「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を新たに通知しました。そこでは、自己申告制の労働時間把握の問題点を鋭く指摘し「自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施」することとしています。早急にこの通知の具体化を進めるべきです。伺います。

株式会社東芝のリストラ影響対応についてです。

東芝は経営幹部による粉飾決算が発覚し、2015年度決算で赤字転落に陥り経営再建策として早期退職、グループ内の配置転換、他社への移籍など事業の大幅な再編、売却を進めるなど従業員に過酷な負担を強いる1万人規模の大リストラを図ってきました。この事件からわずか1年で今度は、米原子力事業で連結子会社の米ウェスチングハウス(WH)の2016年4~12月期連結決算で米原子力事業において損失7000億円前後の巨額が見込まれることが発覚しました。東芝は負債が資産を上回る債務超過を回避するため、あらゆる手段でリストラを進める姿勢と伝えられています。

本市内には、小向東芝町にマイクロエレクトロニクスセンター、堀川町に半導体技術センター等の半導体部門の拠点があります。また、東芝関連グループ会社が多く、従業員は多数に上ります。更に東芝の協力会社も多く、ここでも多くの方が雇用されています。今後、東芝の財政状況、従業員への対応などが発表されます。市内の東芝関連従業員への影響、地域経済に甚大な影響を及ぼす事態です。自治体として雇用対策本部を立ち上げ、影響調査を実施して必要な手立てを図るべきです、伺います。

また、経営の失策に何ら責任のない従業員を犠牲にすることは許されません。市長の見解を伺います。

防災対策について伺います。

市長は、施政方針で災害から生命を守る取り組みとして、第一に防災対策を位置づけました。しかし、その内容は、自主防災組織等の取り組みの強化、いわゆるソフト面での強化に重点が置かれています。そもそも、川崎市としてまずやるべきことは、地震で倒壊する住宅を減らすことではないでしょうか。今年度改定された耐震改修促進計画でも、2015年度末での木造戸建て住宅の耐震性不足建物の数は3万5,000戸と推計しています。川崎市としては2015年から2020年末までに耐震化を図る必要数を8,900戸としているわけですから、1年間で1780件の耐震化もしくは建て替えが必要です。私たちは、35,000戸を対象とする対策を講じるべきと考えますが、少なくとも川崎市として必要数として挙げた8,900戸に見合う耐震対策の強化が必要ではないでしょうか。市長に伺います。

新制度に変えた今年度の実績は、直近で耐震診断数317件、耐震改修助成件数57件、耐震ベッド、耐震シェルター合わせて3件という数字にとどまっています。使いやすい制度に改善したはずなのにこの結果にとどまったのは、助成率は引き上げられましたが、一方で限度額が一般世帯200万円から100万円、非課税世帯が300万円から150万円に引き下げられたことに問題があるのではないでしょうか、実績が伸びなかった理由について伺います。

密集市街地の改善に向けた不燃化推進事業が今年の4月から施行されますが、この対象建物として、旧耐震基準建物と同時に、耐用年数を経過した建物も対象に入れています。木造では、築年数22年の建物も対象にしています。助成対象基準に築年数の経過したものも含めた理由について伺います。

築年数をもとに助成対象とする考え方は、木造住宅耐震改修助成事業においても、用いられるべきものであると考えます。不燃化推進事業同様に、木造住宅耐震改修助成事業においても耐用年数を経過した建物も対象にすべきと思いますが、伺います。

また、不燃化推進事業では、店舗併用住宅等も助成対象にしています。合わせて、木造住宅耐震改修助成事業では、店舗併用住宅については、住宅の2分の1の面積までの店舗併用住宅のみ対象になっていますが、面積要件を撤廃し店舗併用住宅についても耐震改修助成の対象にすべきと思いますが、伺います。

消防職員の増員について伺います。

大規模災害に際して、石油コンビナートを抱える本市として公設消防力自体が、まず、国基準の必要数を満たすことがその前提になります。国基準の必要数からみて167名不足しています。新年度予算で2名増員になりますが、残り165名が依然として不足している状態です。防災対策の強化について、消防職員の165名の不足を残したまま、自主防災組織の強化や消防団の強化にのみ大規模災害時の対応を依拠するというのは、本末転倒ではないでしょうか。国基準の必要数を速やかに満たすように、消防職員の増員を図るべきです。伺います。

「『南武線駅アクセス向上等方策案』に基づく今後の取り組み」として、溝の口駅以北の5駅の整備について、新たな事業展開の方向が示されました。

 中野島駅についてです。橋上駅舎ができるまでの間、臨時改札口が設置されるとのことで、橋上化は大分先になりますが、地元では「踏切を渡らなくてすむ」と歓迎されており、一日も早い開設を要望しておきます。開設にあたって施設の設置費用は川崎市が負担するものの、維持管理費はカリタス学園が負担するとのことです。開設時間などはカリタス学園とJRが協議するということですが、開設時間に対する利用者の要望を反映するよう川崎市が働きかけるべきです。伺います。

 久地駅についてです。整備スケジュールは稲田堤駅の進捗によって変わるとのことです。久地駅の朝も狭い道路と駅前広場、踏み切りに人があふれ、大変危険な状態です。稲田堤駅の着工が久地駅より先になった場合、その工事が終わってからと段階的になるのではなく、こういうときこそ予算をやりくりして、どんな場合でも久地駅は最短で着工すべきですが伺います。

 関連して稲田堤駅について伺います。11月のまちづくり委員会の請願審査の際、用地協議を粘り強くていねいに行うとともに、駅南側に臨時改札を作ることについても「民間用地の取得等について検討したい」と答弁されています。検討状況について伺います。また、駅前の道路を人が途切れなく横断することも渋滞の原因となり危険だということが指摘され、答弁で「駅の整備にあわせて駅周辺の安全対策についても検討する」といわれていますが、具体化されているのか伺います。

武蔵小杉駅周辺再開発に関連して伺います。

 先の議会で大規模な再開発に様々な課題があることが改めて明確になりました。

 人口が集中し、増える保育需要に対して、保護者一人ひとりにしっかりと寄り添いながら、4月の待機児童解消に向けた取組みをすすめてまいる、と答弁されましたが、中原区では987人という1000人近い入所保留数が出てしまいました。

 あるメールマガジンにこんな記事が載りました。筆者はタワーマンションに住む、ある子育て世代の一家が直面している深刻な保育園入所問題を取り上げながら「住みたい街は、はたして住みやすい街なのか」と提起しています。

 「3人目の子どもの出産を控え、急速な人口増加によるひずみの深刻さに改めて気づき、呆然としています。ここ数年、駅前のタワーマンションがどんどん増え続けています。想像してみてください。1棟建つごとに数千人の人口が増えるわけですよ。その多くは子育て世代です。今ではものすごい人口過密エリアになってしまいました。 「保育園はどこもいっぱい。本当は園庭のある保育園に入れたい。陽の当たらない保育園に入れたくない。でもそんなことは言っていられない。妥協しても保育園に入れるかどうか。子どもを預けてから、仕事に行くのがこれまた、たいへん。改札に行列ができるのです。都心へのアクセスがよいと人気の武蔵小杉ですが、電車に乗るまでがこんなに大変では意味ないですね。住みたい街ランキング四位であると同時に武蔵小杉駅は、南武線、横須賀線両駅でラッシュ時の混雑は深刻で、危険を感じることすらあるのです。こんな中に、武蔵小杉で保育園に入れなかった赤ちゃん連れの親子も混ざっているのです。今後、建設されるタワーマンションによりさらに人口増が見込まれ、保育園不足や駅の混雑はますますひどくなることが必至で、対策が急がれています。でも、いま、子どもが育つのに一番重要な時期を迎えている家族にとっては、今が大切なのです」という内容でした。

 最幸のまちかわさきを標榜している市長に伺います。このまちづくりのあり方「住みたい街は住みよい街か」との提起に対して見解を伺います。

 武蔵小杉駅の異常な混雑状況は、さらに住民や乗降客の大きな心配ごとになっています。武蔵小杉駅の駅員によると、横須賀線ホームでは転落やホーム上の事故などは頻繁に起きています。ホームドアの設置は待ったなしの課題です。市長も年頭の挨拶で、市の補助金をあげて早く設置を行ないたい、とのべました。いつごろ設置予定なのか伺います。ただ、ホームドアを設置するとますますホームは狭くなります。そのことからもホームの増設、南武線では拡幅が急がれます。その後の検討状況を伺います。さらに、もうひとつの新たな改札口についてもその検討状況を伺います。

羽田連絡道路整備について伺います。

概算事業費300億円の羽田連絡道路の整備費として58億円計上されています。同時に、総事業費1280億円、市負担分220億円の国道357号多摩川トンネルの整備が始まり、新年度予算でも5億円が計上され、同時並行で進められようとしています。そもそも、大師橋から1.5キロの地点、浮島から羽田空港につながる国道357号多摩川トンネルから3.6キロしか離れていない場所に新たに橋を架けることが、2重投資になると考えないのですか、市長に伺います。

国際戦略拠点の形成・マネジメントについてです。

殿町A地区の民間開発のラボ棟に、キングスカイフロントマネジメントセンターを整備するための費用が補正予算3500万円を含む6140万円が計上されています。年間家賃3800万円を払って、事務所・会議室を借り上げるということです。わざわざ川崎市が高い賃料を出して借り上げ、会議室は無償で貸し出すということですが、なぜ無償なのか。市長に伺います。

羽田空港周辺拠点機能向上事業費として450万円が計上され、天空橋駅、羽田空港と殿町をつなぐバス路線を計画するということです。市民生活におけるコミュニティーバスの計画については、「地域交通の手引き」という基準を設けて市民には採算性を厳しく求めながら、こういうところにはいとも簡単に川崎市が予算をつけるというのは理解できません。市長に伺います。

国際コンテナ戦略港湾政策についてです。

 世界のコンテナ船事業は長期低迷の時代に入っています。北米向けコンテナ取扱量の2015年目標は、国際コンテナ戦略港湾の選定時には、京浜港が約265万TEU、阪神港が約70万TEUとされていましたが、2014年実績では京浜港が約85万TEU、阪神港は33万TEUと目標を大きく下回っています。

川崎港では、「平成30年代後半には年40万TEUに増える」と予測していましたが、先日港湾局が発表した「川崎港コンテナターミナル施設整備の考え方」では、2016年実績10万TEUから2020年までに15万TEUをめざすとされ、それが仮に実現できたとしても、その後の数年で40万TEUへ急増するという目標は過大予測であることは明らかです。その過大予測を前提に「コンテナ輸送路の確保」などの理由で計画された臨港道路東扇島水江町線の工事は今からでも中止すべきです、市長に伺います。

「増加するコンテナ用地の確保」「輸出自動車の保管用地」などを理由に計画した東扇島堀込部埋立土地造成事業も中止すべきです。市長に伺います。

以上で質問を終わります。