議会報告

2017年11月14日

核兵器禁止条約の署名等意見書3件を提案〜佐野議員


DSC04842第3回川崎市議会定例会最終日の10月6日、日本共産党の佐野仁昭議員は3件の意見書案の提案を行い、賛同を求めました。提案した意見書案は、意見書案第11号「核兵器完全廃絶に向けて核兵器禁止条約の署名等の具体的取組を求める意見書案」、意見書案第12号「働き方改革関連法案の撤回等を求める意見書案」、意見書案第13号「主要農作物種子法廃止の撤回及び公的な種子制度の維持・強化を求める意見書案」です。
意見書案はいずれも日本共産党と民進みらい、無所属の賛同がありましたが、賛成少数で否決されました。
意見書案の案文は次の通りです。

意見書案第11号 核兵器完全廃絶に向けて核兵器禁止条約の署名等の具体的取組を求める意見書

広島と長崎に米国の原子爆弾が投下されてから72年目を迎える今年の7月7日、つい に国際連合本部の会議で核兵器禁止条約が採択され、核兵器は、破滅的な人道的結果をも たらす兵器であり、国際法、国際人道法に反するものであると断言された。
核兵器は、不道徳であるだけでなく、歴史上初めて条約において違法なものと明文化 され、いまや絶対悪の存在と言わざるを得ない。
核兵器禁止条約は、開発、実験、製造、生産、取得、保有、貯蔵、使用とその威嚇に至 るまで核兵器に関わるあらゆる活動を禁止し、抜け穴を許さないものとなっており、また、 核保有国に対しても本条約への参加を可能とし、核兵器完全廃絶への枠組みを示している。
さらに、被爆者や核実験被害者に対しては、年齢や性別に適した支援を行う義務も明 記されていることから、被爆国、被害国の国民の切望に応えるものとなっている。
このように、核兵器禁止条約は、被爆者や核実験被害者とともに日本国民が長年にわた り熱望してきた核兵器完全廃絶につながる画期的なものである。
我が国においては、広島と長崎への原爆投下という核兵器の惨禍の体験から、戦争放 棄を定めた憲法を持つため、核兵器禁止条約の趣旨に賛同し、推進の先頭に立つことが強 く求められる。
よって、国におかれては、9月20日に核兵器禁止条約の署名が開始されたことを踏 まえ、核兵器完全廃絶に向けて、本条約への署名等の具体的な取組を行われるよう強く要 望するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

意見書案第12号 働き方改革関連法案の撤回等を求める意見書

国は、高度プロフェッショナル制度の新設等をする残業代ゼロ法案と、罰則付きで残 業時間の上限を設け、長時間労働を是正するとする残業時間の上限規制を、働き方改革関 連法案として一本化し、国会への提出・成立を目指している。
残業代ゼロ法案は、労働基準法が定めている労働時間、休憩、休日、深夜割増賃金な どの規定を適用しない高度プロフェッショナル制度を導入するとしているが、この制度は、 8時間労働制が適用されず、時間外労働や休日労働をしても、残業代が出ないこととなり、 過労死しても自己責任とされてしまうものである。
さらに、裁量労働制の企画業務型を課題解決型提案営業等の業務にまで広げる内容も 含まれており、何時間働いても一定時間しか働いたことにならない裁量労働制を拡大する ものである。
この法案は、かつて国会に提出したものの過労死促進法案として厳しい批判を受け、 2年間余り審議入りできないものを、法案の形を変えて再度提出するものである。
残業時間の上限規制は、労使協定による時間外労働の上限を原則として月45時間、 年360時間とするもので、臨時的に必要がある場合においては、上限を年720時間と し、さらに2箇月ないし6箇月平均では休日労働を含めて月80時間以下、1箇月では休 日労働を含めて100時間未満の残業を認めている。
しかしながら、働き方改革により長時間労働を規制するのであれば、労使協定による 時間外労働の上限を1週間15時間、1箇月45時間とする厚生労働大臣告示の法定化こ そ必要である。
よって、国におかれては、長時間労働を解消し、過労死を根絶するため、働き方改革 関連法案を撤回されるとともに、厚生労働大臣告示を法定化されるよう強く要望するもの である。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

意見書案第13号 主要農作物種子法廃止の撤回及び公的な種子制度の維持・強化を求める意見書

本年4月14日、主要農作物種子法(種子法)を廃止する法律が成立し、来年4月1 日から同法は廃止されることとなった。
これにより、米、麦、大豆は、我が国の農業と国民の食生活を支える主要作物である ところ、1952年からこれらの種子を100%国産で賄ってきた法的かつ予算の根拠が 失われることになる。
とりわけ基幹作物としての米は、価格、優良品種の維持や開発、品種の多様性などの 面で危機的な影響を受けることが懸念される。
農業協同組合、生活協同組合などの生産者、消費者双方から不安の声が上がっており、 これらの団体は、「将来的には世界の種子市場を独占する遺伝子組み換え企業が日本の種 子市場に影響を及ぼす可能性もある」「日本の食の安全、食料主権が脅かされる」と訴え ている。
国は、種子法が民間の品種開発意欲を阻害していると主張するが、現行制度でも民間 参入は可能であり、規制緩和路線の下に国の責任を放棄し、外国資本も含む民間の種子開 発への参入を積極的に進めることは、食料の安定供給の確保を農林水産省の任務と定めた 農林水産省設置法に反するものである。
さらに、本年5月11日に成立した農業競争力強化支援法においては、種苗の生産に 関する知見を民間事業者に積極的に提供することが定められており、また、同月25日に 成立した農村地域工業等導入促進法の一部を改正する法律により、農地の転用規制の緩和 が更に進められている。
これらがあいまって、中小農家の撤退、大規模経営への集約が進むことや、大手資本 参入による品種の淘汰、独占が起こることが危惧される。
よって、国におかれては、食料主権の観点から日本の種子を保全するため、種子法の 廃止を撤回されるとともに、公的な種子制度を維持・強化する積極的な施策を実施される よう強く要望するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。