議会報告

2018年3月2日

「収支不足」見せかけ~川崎市長を市古団長が批判


IMG_3905川崎市議会第1回定例会で2月27日、日本共産党市議団の市古映美団長が代表質問し、実際には政令市トップクラスの財政力があるのに収支不足を見せかけて財政の厳しさを強調する一方、不要・不急の公共事業をすすめようとしている福田紀彦市長の姿勢を厳しく批判しました。

市古議員は、2018年度予算案について、453億円を減債基金に積み立てる一方で、同基金からの取り崩しを根拠にして福田市長が財政の厳しさを強調していることを批判。

減債基金の残高は、18年度の積立分を含めると毎年の取り崩し額約300億円の7年分にあたる2305億円になると述べ、減債基金からの取り崩しを理由にした財政の厳しさを強調する姿勢を改めるよう指摘しました。

しかし、福田市長は「予算上、収支不足が明らかにされない」「財政規律が損なわれる」と主張。市古議員は「収支不足と言わないと市民がいくらでも要求してくるとでも言うのか。収支不足が出ているように見せかけて歳出を抑制する、作りだされた収支不足だ」と批判しました。

市古議員は、約300億円を計上して鉄道路線「川崎アプローチ線」を事業化しようとしている問題についても質問。同線については、採算性が疑問視されている上、建設予定地には、市の障害者施設や住宅、民間の建物などもあると述べ、「事業化のためには市民生活を犠牲にしなければならない。市民には財政が厳しいと言いながら、このような事業を進めることは、市民的にはまったく道理がない」と厳しく批判しました。

市古議員の質問原稿は次の通りです(議事録ではありません)。

代表質問

私は日本共産党を代表して2018年第1回定例会に提案された市長の施政方針、予算案を含めた諸議案、及び市政一般について質問を行います。

市長の政治姿勢についてです。最初に予算案の特徴についてです。

 新年度一般会計予算の規模は、前年度比278億円増の7366億円で4年連続、過去最大です。市税収入は、前年度比407億円増の3479億円で5年連続過去最高です。これは個人市民税が374億円増、固定資産税19億円増など人口増、市民からの税収増によるものです。財政力指数は、政令市トップで、2年連続、政令市で唯一の普通交付税・不交付団体となっています。財政健全化指標は、すべて基準値を下回っており、極めて優良です。一人当たりの市債残高は、政令市の平均よりも10万円低く、借金の負担額が少ないのが特徴です。
減債基金残高は、取崩額よりも100億円積み増しをして2305億円となり、一人当たりにすると政令市平均の1.8倍。この額は、毎年、減債基金から借金返済のための取崩額、約300億円の7年分に当たります。財政規模が川崎市の2倍以上ある横浜市をみると減債基金残高は、16年度決算では914億円で、取崩額のわずか1年分です。川崎の減債基金残高が、いかに過大かがわかります。このように、市税収入、財政力指数、財政健全化指標、市債残高、減債基金残高のどれをとっても、川崎市は政令市でトップクラスの財政力をもっています。
しかし、「川崎市予算案について」では「極めて厳しい財政状況が続く」と述べています。この「財政が厳しい」という根拠についてです。まず「196億円の収支不足が出ている」という理由についてですが、これは収支不足とは言えません。196億円収支が足りないとわかっているのですから、その分を減債基金の積立額から減らして対応すれば、収支不足は出ません。17年度予算でも、185億円の収支不足としていますが、減債基金へは243億円も積み増しをしており、この積み増し分を充てれば、収支は58億円のプラスです。国では基準財政需要額よりも収入額は多いとして不交付団体にしているわけですから、国も収支不足は出ないとみています。それをわざわざ減債基金から借入という形式をとるのは、市民に収支不足が出ているように見せるため、作られた収支不足といわなければなりません。
「減債基金から借り入れている」という理由ですが、市民からすると、自分の貯金から借り入れているから「厳しい」というのは、通用しない根拠です。その「借入額が918億円になる」といいますが、その年度の減債基金の残高は2803億円にものぼり、借入額を差し引いた実質残高は約1900億円。毎年の返済額の5年分で十分すぎるほどの残高です。
「減債基金への積立のルールがあるため」という理由ですが、昨年の決算議会でも述べたように、この「30分の1ルール」は、実質公債費比率を抑制するためのものであり、計算上の一つの基準で、従わなくてもペナルティーはなく、自治体の裁量に任されています。川崎市の実質公債費比率は、16年度決算では7.2%で早期健全化基準値の25%、政令市平均10.2%と比べてもはるかに低く、このルールを守らなければ支障をきたすというレベルではありません。以上のように、「減債基金からの借入」が、「財政が厳しい」という根拠にはならないことは明らかです。これ以外に「財政が厳しい」という根拠はあるのか、市長に伺います。
川崎市の市民一人当たりの個人市民税は、政令市のなかでトップの8万2000円。この額は、政令市平均6万円よりも2万円以上も高い額です。ところが社会保障関連経費である一人当たりの扶助費は、政令市の平均以下です。一方、今年度、臨海部の大規模事業の予算は激増しました。港湾局の予算は、221億円と、前年度の2.1倍、特別会計では5.7倍にもなっています。特に、羽田連絡道路に48.8億円、3月補正予算を含めて81億円、臨港道路東扇島水江町線25億円、東扇島堀込部埋立66.5億円、コンテナターミナル拡充19.4億円など不要不急の大規模事業だけで200億円にものぼります。このように、川崎市は、豊かな財政力を持ち、市民から政令市で最も高い市民税をとっているにもかかわらず、福祉・くらしの予算は抑制し、臨海部の大規模事業への歳出は大幅に増やしているというのが予算の特徴です。
市長は、記者会見で、財政が大丈夫かと問われ「裁量の余地がない。保育所整備をやめればいいのかもしれないが、そうはならない。致し方ない」と述べ、減債基金からの借入を理由に財政が厳しいとして、その原因が保育所整備にあるような報道がありました。なぜ、財政難の原因が、臨海部の大規模事業ではなく保育所整備なのか、市長に伺います。

核兵器廃絶、平和の問題についてです。

 昨年7月7日、国連で歴史的な核兵器禁止条約が採択され、9月から各国の署名が開始されました。この条約の成立は、国際政治に新たな変化を作り出しています。10月には、国連の軍縮問題を扱う第1委員会で、核軍縮に関連する20本の決議案が採択されましたが、その半分が核兵器禁止条約の採択に言及するものとなりました。
12月には、核兵器廃絶国際キャンペーン、ICANがノーベル平和賞を受賞。11月には、被爆者とローマ法王が会見。法王は、核兵器禁止条約を高く評価し、バチカンは率先して条約に署名・批准するなど、世界は、核兵器禁止・廃絶に向けて大きく動きつつあります。現在、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを各国に求める署名、ヒバクシャ国際署名が世界で取り組まれており、神奈川県では黒岩県知事をはじめ、市長村長33人中、29人が署名しています。市長は「核兵器廃絶等に関わる署名につきましては、その都度、適切に対応してまいりたい」と答弁されていました。川崎市は全国に先駆けて「核兵器廃絶平和都市宣言」を行った都市です。その市長として署名をすべきと思いますが、市長に伺います。

ヘイトスピーチ対策についてです。

川崎市平和館で行われたラップイベントに参加したことを契機に、市内在住の中学生を標的にしたインターネット上での民族差別の書き込みが続いています。特定の民族の排斥を叫び、差別的言動で誹謗中傷するなど、ヘイトスピーチ解消法の定義に照らして明らかなヘイトスピーチです。市長の要請を受けて人権施策推進協議会が審議し報告した「ヘイトスピーチ対策に関する提言」では、公的施設利用のガイドライン策定などとともに、インターネット上でのヘイトスピーチに対し「積極的に削除要請を行うべき」としています。同協議会での「ヘイトスピーチを放置することはあってはならないし、ヘイトスピーチを許さないという姿勢を示すことにもなる」との意見のとおり、削除要請に市が踏み出し毅然とした姿勢を示すべきと思います。伺います。

子育て支援策の充実についてです。小児医療費助成制度についてです。

 通院助成の対象年齢拡大についてです。県内の政令市では、相模原市は今年10月から中学卒業まで拡大する予定で、人口が本市の2.6倍の横浜市でも来年4月から中学卒業まで拡大するために、新年度予算に準備経費約1億円を計上しています。すでに、さいたま市や千葉市は所得制限なしで中学卒業まで助成しており、東京23区は所得制限も一部負担金もなく中学卒業まで完全無料化しています。首都圏では、1歳から所得制限があるうえに対象年齢が小学6年生までの政令市は、川崎市だけとなります。これだけ遅れが際立つ小児医療費助成制度のままでは「どこよりも子育てしやすいまち」をつくれるはずがありません。この制度で本市の水準が、首都圏でも県内自治体の中でも、全国的に見ても、最低レベルになっているという現状認識はあるのか、市長の見解を伺います。
 所得制限の廃止についてです。市長の目玉公約の一つであった「入院医療費助成の所得制限の廃止」について、先の議会で「早期の実施をめざす」と答弁されましたが、新年度予算案では「廃止に向けた取り組みの推進」とあるだけで、1円たりとも予算が計上されていません。早期の廃止時期を具体的に表明すべきです。市長に伺います。
子どもが入院するほどの病気やケガをするときは、その前後の外来通院の回数も多くなるのが当然です。ですから、通院と入院で、所得制限の有る・無しが異なる対応をしている政令市は一つもないのです。入院医療費助成と同時に、通院の助成についても所得制限を早急に廃止すべきです。市長に伺います。

こどもの貧困対策についてです。

 「こども・若者生活実態調査」の分析結果に基づき、本市は、「子どもの貧困対策の基本的な考え方」をとりまとめ、「子どもの貧困」に関わる課題は多様であり、保健・医療・福祉・教育・雇用などの幅広い分野の制度、施策・事業の連携・強化を図りながら取組を総合的に推進するとしました。これら、こども未来局、教育委員会、健康福祉局、経済労働局等の各施策を充実させながら、民間団体含め、横の連携をとりながら、総合的に推進、調整することが求められます。市長のリーダーシップのもと、こどもの貧困対策の推進に特化する部署が必要と考えますが、市長の見解を伺います。
 沖縄県では「子ども未来政策課」を設置、中に教育委員会との併任職員を配置し学校における生活困難世帯の子どもへの具体的な支援を行っています。札幌市は新年度、貧困問題に専門的に対応する「こどものくらし支援担当課」を新設、学校等との連携を強化し、教員の情報をもとにソーシャルワーカーが家庭訪問し、経済的な理由で食事や学習が不十分な子どもをいち早く見つけ、市や民間団体の支援につなげるといいます。そのために、ソーシャルワーカーを増員する計画とのことです。本市のスクールソーシャルワーカーは、川崎区に2人、その他の区は1人配置されていますが、児童生徒の増加や実態調査から援助希求行動が弱いことが指摘されていることからも、増員し、専門部署と連携した取組を行なうべきと考えますが伺います。
 「子どもの貧困対策の推進に関する法律」は地方公共団体が子どもの貧困対策に関し、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有すると定めています。サービスの給付は官と民のすみわけをし、市役所は「官」でやるべきことを、しっかりと取り組むことが肝要です。
「ひとり親家庭等生活・学習支援事業」についてです。昨年10月から、国庫補助2分の1の事業として、川崎大師地区、高津区、多摩区で小学3年から6年生を対象に支援を開始しましたが、新年度予算案では、会場費やボランティア経費、食材費の増額を行うとして増額されていますが、箇所数は同じです。全区に拡大すべきと考えますが伺います。
貧困の連鎖の防止事業である「学習支援・居場所づくり事業」について、2017年度、11カ所で実施、中学3年生週2回、中学1,2年生が週1回行われています。高校進学を支援する学習、居場所支援ですが、今年度の評価と新年度の対応について伺います。

就学援助についてです。

 沖縄県は、貧困世帯にもかかわらず「就学援助制度を知らなかった」ために「利用しなかった」方が20%いたことを正面から受け止めて、就学援助制度を子どもの権利として知らせるため、TVやラジオCM、コンビニのレジ前やトイレなどにも名刺大のミニチラシを置くなど、子育て世帯にとどまらず全市民的に周知しています。
本市は、就学援助の申請書を全世帯に配布して全員から回収するという方法を取っていますが、それでもなお、条件を満たす世帯のうち「就学援助を受けていない」世帯が51%にのぼっています。引き続き、すべての世帯に制度を知らせ申請ができるように取組むとともに、沖縄県のように全市民的な周知を行うべきです。伺います。
全国調査では、生活保護の基準額に係数を掛ける方式の市町村のうち、係数が1.2倍を超える市町村は48.9%で、1.0倍の本市を含め1.1倍以下の自治体はわずか11%しかありません。子ども若者調査の分析結果では、貧困の連鎖を防ぐために既存制度の拡充が必要だと結論付けられましたが、認定基準の係数を少なくとも1.2倍に拡充すべきです。伺います。 

奨学金制度についてです。

高卒で正社員として就職するのは45%、中卒と高校中退では8%といわれます。
 子ども若者調査でも貧困線以下の世帯のうち「進学を諦めた」「中退した」「今後その可能性がある」と回答した方が半数です。分析結果報告書が貧困の連鎖を防ぐために提起した「教育費の負担軽減策の拡充」を具体化すること、相模原市が踏み出したように貧困世帯全体に高校奨学金を拡充することがどうしても必要です。伺います。
 現在の本市の大学奨学金は、短大・専門学校などは対象外となっています。経済的に厳しい世帯からの短大・専門学校への進学に対しても新たに負担軽減策に踏み出すべきです。伺います。

子ども・若者応援基金についてです。

競輪競馬事業の収益から3000万円、寄付金から500万円を財源とした基金を活用して、児童養護施設などで生活する児童の学習支援と大学・短大・専門学校等の給付型奨学金などを実施するというもので、他の自治体にも先例はありません。
児童養護施設の子どもたちが施設退所後に進学する割合は26.5%で、高卒者全体の71.2%と大きな差があります。高等教育を受けて自立することを保障する市の役割はきわめて重要であり、本来市の施策として行うべきことです。競輪・競馬事業の収益は安定していないうえ、そもそもギャンブルの収益を財源の中心とすることはまったく相応しくありません。学習支援と奨学金などは市の事業として最優先で実施すべきです。伺います。 

児童相談所の体制強化について伺います。

改正児童福祉法によって児童福祉士、児童心理士等の専門職種の配置に付いて、2017、18,19年度の3年間の措置で増員が定められています。新年度予算案で8400万円余増額されていますが、新たに体制強化される具体的内容を伺います。

保育所の待機児童解消についてです。

 1月26日現在の、認可保育所の4月入所に向けた一次利用調整終了時点における利用申請児童数は10,666人、そのうち入所内定数は6,919人、入所できなかった入所保留数は3,747人です。いずれの数字も過去最多であり、定員数を昨年4月より1,896人増やしたものの、同時期の昨年比で保留児は196人増えました。駅に近い認可保育園の1歳児2歳児クラスの場合、A6ランクの3とか2までしか内定がとれなかったと聞きました。
 10月1日現在の待機児童とカウントされた育児休業中の人数は、待機児童374人中、266人でした。今年4月の待機児童及び育児休業中の人数をどう見込んでいるのか伺います。また、利用申請は就学前児童の何割とみ込んでいるのか伺います。
 第2期実施計画期間の年次計画が示され.4年間で8665人の保育受入枠を確保するとしました。市長は当初7000人といっていましたが私たちは過去4年間の利用申請の実績から1万人程度の計画を求めました。8665人の根拠及び利用申請数は就学前児童の何割に当たるのか乳児、幼児別の見込みについても伺います。
 新年度予算案における定員増は2350人、今年度より454人増の計画となっています。2350人の主なものは民間事業者活用型の整備により、1,350人で全体の57%を占めます。園庭の確保の点と応募の手があがるのかの懸念について指摘してきましたが、今年度の実績について、及び新年度の対策について伺います。私たちは公有地への整備と従来の民有地活用型による整備を求めてきましたが、新年度公有地整備はなく、民有地の整備が320人です。公有地がなかったのか、また今後、全庁上げて公有地を確保し、公有地への整備を促進すべきです。伺います。

次に保育士の処遇改善と保育士確保についてです。

まず、現状の保育所、地域型保育所、認定こども園において、保育士の確保が計画通りに行かず定員割れになった保育所があるか伺います。さらに、2018年度中の定員増2350人に対し、保育士の必要となる人数を何人と見込んでいるのか伺います。予算案にもとづく保育士の処遇改善策と保育士確保対策について伺います。
2017年度開始の国のキャリアアップ処遇改善策は、おおむね7年以上の保育士に月4万円の加算を実施するというものでした。対象者が多い保育所では支給額を対象者の人数で按分するため実際に一人当たりの加算額が4万円を下回る実態があったとのことですが、本市の実態について伺います。
2018年度、川崎市は月額2万円の処遇改善策を実施するとのことです。横浜市は独自に国の制度を補完し4万円を上乗せする計画で、10億円を組んで、対象者全員の給与アップに踏み切るとの報道がありました。東京都は既に先行的に実施しています。東京都と横浜市にはさまれた本市が、保育士の確保ができなければ、予定の定員数を預かれない事態も起こりかねません。横浜市のような処遇改善策を打つべきと考えますが伺います。

保育業務に関する職員配置についてです。

認可保育所及び認可外保育所の箇所数の増加、入所申請および入所児童数の増加、処遇改善や人材確保策、新規事業など保育関係の業務の増大や監査対象の施設の増大などに伴って2017年度は人員増がされました。2018年度も人員増が必要と考えますが伺います。区役所においても入所保留数が昨年度よりも増加しています。丁寧なアフターフォローを行うためにも人員増が必要と考えますが伺います。

教育施策についてです。小中学校における医療的ケアの充実についてです。

新年度予算案が前年度1600万円余から4200万円に2.6倍に増額され、児童生徒の状況に応じた対応がされるとのことです。看護師の学校訪問の考え方と内容、体制について伺います。その場合、対象となる保護者との医療的ケアの内容などのきめ細やかな話し合いと担任を含む学校側との連携、調整を丁寧に行なうべきですが伺います。
現在、小中学校と同様な内容で医療的ケアを実施している学校があると思いますが伺います。そうした学校について新年度の対応について具体的に伺います。

中学校給食についてです。

健康給食の推進として(株)タニタとの包括協定に基づく健康プログラムを実施するとあります。望ましい食生活、食習慣は心身の健康の源です。まさに学校教育の一環として、小中9年間にわたる体系的・計画的に食育の推進を行うには中学校給食において栄養士の配置こそ進めるべきです。自校調理方式の4校には、それぞれ学校に栄養士が配置され、生徒が給食を食べているところを直接見て歩き、適切な言葉をかけ、専門職として生きた食育を行なうことができます。しかし、給食センター方式では学校現場に栄養士は配置されておりません。センター方式の中学校において食育をどのように現在行っているのか伺います。
中学校給食における栄養士は約34,000食に15人、小学校の給食は自校調理113校、約77,000食に80人です。小中9年間を体系的に、計画的に進めるには中学校を巡回し食育指導を行なう栄養士を少なくても各区に複数の配置をすべきと考えますが伺います。

教員の長時間多忙化の解消についてです。

 文部科学省は2015年「次世代の学校指導体制強化のためのタスクフォース」を設置し、教員が子どもたちと向き合える環境整備を推進するとしました。学校給食費の徴収・管理の責任について、学校現場の負担軽減の観点から、教員の業務としてではなく、学校を設置する地方自治体が自らの業務として負っていく事が望ましいと述べ、地方自治体の会計ルールの整備や徴収員の配置の促進、徴収・管理システムの整備等地方自治体が必要な環境整備を促進する必要があるとしました。更に2017年12月中央教育審議会の「学校に置ける働き方改革に関する総合的な方策についての中間まとめ」においても、「地方公共団体が担っていくべきと考える」としています。私たちは学校給食費の公会計化を求めてきましたが、実施に向けた検討状況を伺います。教職員の勤務時間を適正に把握するためのICカード、タイムカード等に切替える事について求めてきましたが、新年度の対応について具体的に伺います。

少人数学級の推進についてです。

 既に16政令市が中学校含めて川崎より進んだ少人数学級を実施、仙台市は18年度に中学1年生から2年生に、19年度に中学3年生へと35人以下学級を拡充するとのことです。私たちは、権限が委譲された今こそ、他の多くの政令市のように計画的に35人以下学級を進めるべきと主張し、せめて小学3年生及び近年、不登校児童が小学6年生の時の3倍にも増える中学1年生の35人以下学級を実施すべきと求めてきました。2017年度、小学校113校中、3年生の全クラスが36人以上のクラスは22校、中学校52校中1年生も同様の学校は20校です。これを基準にするならば計42人の教員を増やすだけで小学3年と中学1年は全て35人以下学級にできるのです。国の義務標準法の改正等を待たないで、まずは、小学3年と中学1年生の35人以下学級を進めるべきです.伺います。現在、本市の少人数学級は各学校の実情に応じて「指導方法工夫改善定数」を学級担任に振り分けて実施していますが、習熟度別や少人数指導等にも選択して活用しています。新年度、そのための加配教員や非常勤講師を増やす計画か伺います。増やすのであれば人数と活用について伺います。

障がい者施策についてです。グループホームについてです。

 先の議会でわが党は、今年度末までの第4次ノーマライゼーションプランのグループホーム設置目標が達成できなかったことから、新築・改修補助金を増額し、設置を促進するべきと求めてきました。新築・改修補助金は拡充したのか伺います。さらに肢体不自由の方が入居できるグループホームの整備を促進するとしていましたが、その内容について伺います。また、自動火災報知設備はすべてのグループホームが今年度中に設置しなければならず、その設置費用も課題となっています。現在未設置のグループホームは何棟あるのか、設置計画はすべて出ているのか消防局長に伺います。万一、4月に残ってしまったグループホームについては、一刻も早く設置するよう市として強力に指導すべきと思いますが、健康福祉局長に伺います。

夕方支援についてです。

 これまで繰り返し、18歳以降の障がいのある青年の夕方支援を求めてきました。生活介護事業所が開設時間後の日中一時支援事業を実施することについて検討をしてきたとのことですが、検討状況を伺います。予算についても伺います。

高齢者施策についてです。議案第13号川崎市介護保険条例の一部を改正する条例の制定についてです。

 今回、第7期の基準介護保険料を5,825円にするということです。介護保険給付費準備基金47.5億円を次期保険料の設定に取り崩した結果といいますが、それでも基準保険料で285円の値上がりです。
介護保険料について、2016年度実施の高齢者実態調査では、一般高齢者の約4人に3人が「高い」「やや高い」と感じている、でした。要介護・要支援認定者では約48%の方が介護保険を含む社会保険料の負担感が金銭的負担感の中で最も大きいでした。
現行の基準月額は5,540円ですが、保険料の支払額はすでに限界にきているのです。
本来なら引き下げてほしい、これ以上あげないでほしい、の声は切実なものになっ
ています。一般会計からの繰り入れは、基本的には禁じられておりません。すでに一般会計から繰入をして値上げを抑えている自治体はあります。
 川崎でも一般会計から繰り入れをしてでも値上げすべきではありません。伺います。その前段階として、保険料段階の合計所得金額1000万円以上は1段階ですが、1500万円以上、2000万円以上の段階を細分化するなど、合計所得金額の低い人の負担増を軽減するなど多段階化についての検討はされたのでしょうか、伺います。
介護保険の減免については、2016年度の利用者は284人、その金額は497万6680円でした。介護保険利用料に関しての本市独自の負担軽減制度の適用者は2016年度で18人、給付額は126万7493円です。以前から指摘してきましたが、この利用料減免が横浜市は1,224人、給付額約6,500万円と比較しても極端に少ないわけです。低所得者にとって、1割負担は、サービス利用を阻むハードルになっています。現行の負担軽減制度をせめて横浜市並に拡充し、経済的理由で介護を受けられない人をなくすことを目指すべきです、伺います。

特別養護老人ホームの入居申込み者管理システムについてです。

申込者の負担軽減に向け、複数施設への一括申請、各施設の待機状況の情報提供などの仕組みに改善するよう求めてきました。これらは入居申込み者管理システムの再構築に反映されるのか、他にどのような機能を整備するのか、伺います。また、導入スケジュールについて、伺います。

議案第11号川崎市国民健康保険条例の一部を改正する条例の制定についてです。

 国民健康保険制度改革として、2018年度より都道府県と市町村が共に保険者となりますが、川崎市は保険証の発行、保険給付、保険料率の決定、賦課・徴収、保険事業等、地域におけるきめ細かい事業を引き続き担います。
 2018年度の保険料については、国から保険料に与える影響について配慮を求められていることから、急激な保険料の上昇を避けるため、被保険者1人あたりの保険料負担額が2017年度と同水準になるよう、一般会計からの法定外繰り入れを行うとしています。保険料率は、6月に加入世帯の所得状況等を踏まえて算定し、告示するとしています。厚労省などの資料によると、川崎市の保険料が上がる理由はないと推測します。2019年以降ですが、決算補填等目的の法定外繰入である約27.4億円については、計画的、段階的に解消・削減すべきとの方針を示しているとして、川崎市は今後の国の動向を注視しながら、神奈川県等と調整を行い、期限を定めて縮減していく、としています。しかし、解消、縮減について国は期限を定めているわけではなく、激変緩和をやめなさい、とは言っていないと思いますが、伺います。

中小企業予算についてです。

主な予算の特徴として、研究開発型ベンチャーを対象とした起業・創業プログラムの実施や多様な主体との連携による起業・創業支援のワンストップ拠点の設置など一部ベンチャー企業への新規事業に重点が置かれています。一方で、これまで既存中小企業対する支援策は軒並み削られています。商店街の課題対応事業費の中小企業団体等共同施設補助金が1500万円の減、販路開拓事業費が137万円の減、ものづくり中小企業経営革新支援事業123万円の減、ウェルフェア―イノベーション推進事業費346万円余の減となっています。こうした事業については、中小企業事業継続に欠かせない予算と考えます。中小企業活性化条例や国の小規模企業振興基本法の中でも位置付けられている「事業の持続的発展」についてはどのように考えているのか、見解を伺います。

「住宅リフォーム助成制度」の創設についてです。

これまで、「リフォーム助成制度」の実施を求めてきましたが、市は「研修会や住宅相談会などを通し、事業者みずからが受注を継続的に確保できるよう取り組んでいる」との答弁を繰り返し、実施に背を向けてきました。リフォーム助成は、リフォーム投資を市内に循環させる仕組みで、その効果は他の自治体で立証済みです。また、建設関係の事業所の減少も深刻で、まちをつくる技術も失われつつあります。経済対策として、また、建築技術の継承の支援策としても、住宅リフォーム助成に取り組むべきです。伺います。

住民税の特別徴収税額決定通知書へのマイナンバー記載について伺います。

働く人の給与から住民税を徴収するため市区町村が事業所に送る「特別徴収税額決定通知書」について、昨年12月15日に総務省市町村税課が各都道府県の市区町村担当課に送った「事務連絡」により、「書面により送付する場合には、当面、マイナンバーの記載を行わないこととする」と対応の変更を通知してきました。
 川崎市を含め、全国的に昨年の通知書の誤送付によりマイナンバーを変更しなければならない市民が大量に発生していました。今回の措置は当然のことで、制度の中止見直しを行うべきと考えます。今回、同事務連絡を受けて川崎市も当然マイナンバーを記載しない対応を取るものと考えますが、見解と対応を伺います。

正規労働者の雇用を拡大する対策についてです。

2018年度予算案でも、正規雇用につなげるとする「キャリアサポートかわさき」の就業マッチング事業や「地域中小企業人材確保・若者活用支援事業」は、358万円減り、昨年に引き続き合計800万円余が削減されています。
「キャリアサポートかわさき」の就職者の推移をみると、2016年度の登録者に対し就職決定者は59.7%で、そのうち非正規雇用が67%。2017年度は12月末現在で、就職決定者45%、そのうち非正規雇用は65%と、この数年間、正規雇用決定者はずっと3割台で、非正規雇用が圧倒的です。
2017年度の「キャリアサポートかわさき」運営事業業務委託仕様書の求人開拓の内容には、「正社員・パート・アルバイト等の雇用形態にはとらわれない」とし、「可能な限り正社員での開拓実績」に努めるとされています。これでは、正規雇用を希望していても、正規に結びつくとは限りません。正規雇用としての位置づけを明確にして仕様書を変更すべきです。伺います。市内の不本意非正規雇用が推計55000人とされる中、正規雇用の目標を明確にし、就職決定者目標数を拡大すべきです。伺います。専門性が求められる求人開拓員は、全員が単年度の契約社員です。労働契約法の改正によって、4月から無期雇用者に該当する求人開拓員はいるのか、伺います。

労働者の無期転換問題についてです。

改定労働契約法に基づき有期雇用労働者が通算5年以上、同じ会社で働いた場合、本人が申し込めば無期雇用に転換できるルールが4月から開始します。その実施を前に、「無期雇用逃れ」を図る違法・脱法行為が、自動車大手や大学、独立行政法人などで相次ぎ明らかになり、全国で大問題になっています。
2017年9月20日に神奈川労働局長から福田市長あてに「無期転換ルールの円滑な導入に向けた取り組みに関する要請書」が出されています。この中で「無期転換ルールの認知度や対応状況は十分とは言えず、無期転換ルールを避けることを目的とした雇止めの発生が懸念される」と述べ、「企業においての早急の対応」と「労働者への事前の説明」を求めています。川崎市では、このような労働契約法が適用される主要出資法人が24団体あり、市OBを除く無期転換の対象者は49人います。これら団体での労働者への説明などの対応状況と更新予定はどうなっているか伺います。更新しない場合があれば、その理由も伺います。

株式会社東芝のリストラ影響対応についてです。

 東芝は、東芝メモリ社の売却を決め、他の事業も分社化を進めました。昨年11月28日に東芝デジタルソリューションズ社で300名、つづいて今年1月12日に東芝インフラシステムズ社と東芝エネルギーシステムズ社でそれぞれ50名の人員削減を、3月末を目途に実施すると発表しました。粉飾決算など反社会的行為を行い、分社時は「リストラしない」といいながら、半年で覆し、労働者に犠牲を強いるリストラを平然と行なっています。しかも、対象を53歳、50歳以上と長年に渡り会社に貢献してきた社員400人を狙ったリストラです。東芝デジタルソリューションズ社では、1月15日から個別面談が開始されています。産業別労働組合の電機・情報ユニオン等には「リストラをやめさせてください、助けてください」、「子どもが学生で教育費が掛かるので、ここで働かせてください」と懇願した社員に対しても、会社は「あなたが働く場所は東芝にはない」と突き放した、などの相談、情報が寄せられています。リストラの期限3月末は間もなくです。対象人員数から推定すると半数の150名が市内事業所から要対策人員としてリストラされるものと思われます。
市長はこうした事態をどう受け止めているのか。こうした緊急事態にどう対応するのか市民の暮らしを守る役割を果たすかどうか、市長の資質が問われます。市内事業所のどの部署を対象として個別面談が行なわれているのか、対象人数も伺います。県労働局とどのような情報交換を行い、会社の不当行為を止めるためにどのような対応を取って来たのか、伺います。

防災対策についてです。

 市長は、災害から生命を守る取り組みとして、防災対策を第一に掲げられましたが、まず防災の要は、住宅の耐震化です。
新年度の予算は、緊急輸送道路沿いの建物倒壊を防ぐための予算は重点化されていますが、木造住宅の耐震化助成については、112件分1億1970万円の予算から新年度は65件分6,895万円と大幅に減額されています。診断士派遣事業も530件分4,242万円から300件分2,527万円余に減らされています。今年度の実績に合わせて減額したということですが、実績が低いのはいまだ制度の使い勝手が悪いからではないでしょうか。限度額や補助率の大幅引き上げを行い、必要な予算は増額すべきと思いますが、伺います。
災害から市民を守る消防職員の国基準の確保についてです。新年度は、救急隊の増隊1隊で10名の増員が見込まれていますが、それでも国基準より137人足りません。横浜市では、新年度4隊40人消防職員を増員し、救急隊は国基準を満たす予定とのことです。一方、川崎市では、救急車は国基準より5台少なく、そのため50人の救急隊員も不足しています。救急車5台と救急隊員の増隊をいつまでに達成するのか伺います。合わせて、消防職員の国基準達成について今後の見通しを伺います。

危機管理監の設置について、市長に伺います。

これまで危機管理室を中心に、東日本大震災をはじめとする大規模地震や台風やゲリラ豪雨などの豪雨災害など、危機事象に対応してきましたが、この度の危機管理監設置に至る経緯において、これまでの組織体制にどのような課題があったのか伺います。設置することによってどのような効果を期待しているのか、伺います。
他都市では、副市長や危機管理を所管する局の局長が兼務するところも見受けられますが、危機管理監として別枠で設置することを選択した理由についても伺います。

武蔵小杉駅の混雑解消と周辺のまちづくりについて伺います。

やっとここにきて、この4月から武蔵小杉駅の混雑対策を担当する7人体制の課長級ポストを新設すると発表されました。
 新聞報道によると、新ポストはホームドアの設置、列車の長編成化、オフピーク通勤の導入など進めるとありますが、報道でみる限り南武線の改善のようにみえます。南武線対策は重要ですが、同時に、横須賀線ホームの混雑、横須賀線と南武線の連絡通路の混雑を何とか改善してほしい、さらにこれ以上乗客が増えたら大変なことになる、危機感は増幅するばかりです。ここへの対応が求められています。
横須賀線ホームは到着する電車によって電車のドアの位置が異なります。それだけでもホームドアの設置には、技術が必要ですが、そもそも上下線ホーム1本では、ホームドアをつければ、さらにホームは狭くなります。今年から来年にかけて武蔵小杉駅全体で、3000人乗降客は増えます。横須賀線小杉駅に関連する混雑解消改善策はどうされるのか、まちづくり局長に川崎市としての取り組みを具体的に伺います。
 市内保育所申込み状況は、一次利用調整終了時点で入所保留数は中原区では内定数が1,455人、入所保留数は1,031人で、入所申請した4割の子どもが保留になりました。中原区はこの3年間みても、申請者数は断トツ多く、しかも増え続けています。担当課の努力によって認可保育園を最大限増やすための努力はされていると思いますが、まったく追いつかない。新丸子駅に通じる道路の両側にはあちこちに保育園 ができています。ものすごい数です。しかしほとんどが園庭は見うけられません。この近くには児童公園も少なく、丸子通り2丁目の公園と太陽が当たらない東横線ガード下の公園だけです。ここを順番で園児が遊んでいます。3つの超高層マンションが完成する今年以降さらに保育園の需要は増えることは間違いありません。さらに3棟が計画されています。子ども達の全面発達も視野に入れた場合、この事態を市長はどう考えるか、対応について伺います。

臨海部ビジョンについてです。

臨海部国際戦略本部の予算は、前年度比41.7%増の8億6987万3千円が計上され、そのなかで臨海部ビジョンに位置付けたリーディングプロジェクトの各取り組みを推進することとしています。
その一環で、交通ネットワークの形成推進として、川崎アプローチ線等の具体化に向けた取り組みと戦略拠点の形成推進として南渡田周辺地区における新産業創出拠点の形成に向けた土地利用の検討を進めるとしています。
まず、交通ネットワークの形成推進についてですが、川崎アプローチ線等の臨海部の新たな基幹的交通軸整備の具体化に向けた取り組みなどを進めるということです。
尻手から浜川崎まで整備されている南武支線を川崎駅乗り入れにする計画です。そのために、JR川崎駅から国道15号線までの旧貨物線跡地を活用し線路を設置する必要があります。ところが、JR川崎駅から国道15号線までの貨物線跡地にはすでに視覚障害者情報文化センターが作られ、市営住宅も建っています。
また、かつて国の運輸政策審議会の答申の際にも課題になりましたが、貨物線とのダイヤの調整も難しい、事業化されても不採算路線として事業主体も決まらない。その上、小田栄駅が設置されたばかりで新たな設備投資だと二重投資になりかねません。しかも収支不足を強調しているときに、総事業費300億円と試算されている事業をどうして具体化できるのでしょうか。そうした課題が明確で、極めて実現可能性の低い計画について、具体化が可能と考えているのか、伺います。
南渡田周辺地区への新産業創出拠点の形成に向けた土地利用の検討ですが、都市再生緊急整備地域に指定されて久しい同地区ですが、これまで民間大企業の土地利用について具体的な計画が示されてきませんでした。にわかに土地利用の検討というのは、何か理由があるのか伺います。

以上で質問を終わります。