議会報告

2018年3月19日

「家庭教育支援法の制定」に反対〜片柳議員が反対討論


IMG 55233月16日の第1回川崎市議会定例会で日本共産党の片柳進議員(川崎区)が、自民党議員が提案した意見書案第4号「家庭教育支援法の制定を求める意見書」に反対する討論を行いました。同意見書案には日本共産党のほか、民主みらい、無所属議員が反対しましたが、自民党、公明党などの賛成で可決されました。

片柳議員の反対討論原稿は次の通りです。

「家庭教育支援法の制定を求める意見書」に対する反対討論

私は、ただいま議題となりました意見書案第4号「家庭教育支援法の制定を求める」意見書につきまして、反対の立場から討論を行います。

本意見書案が制定を求めている家庭教育支援法案は、国が家庭教育支援の基本方針を定め、地方公共団体は国の基本方針を参酌して基本方針を定め、保護者に対する学習機会や情報の提供や啓発活動、学校や保育所等の設置者や地域住民に対し、その施策への協力を求めることなどを内容としています。

この家庭教育支援法案は、2012年4月に安倍晋三氏が会長となり発足させた「親学推進議員連盟」が長年立法化をめざしてきたものであり、政府・与党が国会に提出しようとしています。議連の名称に使われている「親学」とは、家庭生活の「あるべき姿」を具体的に提唱し、その「あるべき姿」に応じた子育てを保護者に求めるというものです。またこの議連が主催する学習会では、「伝統的な子育てで発達障害を予防できる」などという科学的に何の根拠もない理論が展開されており、発達障害のある当事者や家族などからも強い批判が寄せられています。

家庭教育支援法案は、国が設定した家庭教育の「あるべき姿」を、地方公共団体を通じて国民に徹底する仕組みを可能とするものです。同法案では、このような家庭教育を行うことや「保護者が子に生活のために必要な習慣を身に付けさせる」ことが「保護者の第一義的責任」だ、とされています。愛国心や公共心、規範意識といった、国にとって都合の良い価値観を「生活のために必要な習慣」として、国が「支援」の名のもとに保護者や子どもに押し付ける危険が大きいものです。そうなれば、子どもの思想・良心の自由や学習権を著しく侵害することとなりかねません。

また、特定の家族像を国が「望ましい」として設定することは、その家族像に当てはまらない多様な個人の生き方を否定することにつながり、家族における個人の尊厳と両性の本質的平等を規定する憲法24条の精神に反するものと言わざるを得ません。

以上のように家庭教育支援法案は、子どもの思想・良心の自由や、学習権を侵害する危険が大きく、憲法24条の精神にも反するものであることから、その制定を求める本意見書案には反対であることを表明して、討論を終わります。