トピックス • 議会報告

2018年9月19日

多額の積み立て指摘し、市民施策充実求める


IMG_8339川崎市議会第3回定例会で13日、日本共産党川崎市議議団の勝又光江議員が代表質問をおこない、2017年度決算では多額の積み立てがあると指摘し、市民のための施策を充実させるよう求めました。

17年度決算について勝又議員は、市が、減債基金(将来の借金返済のための基金)から130億円を新規に借り入れたことなどを理由に財政状況の厳しさを強調していることは、「根拠として成り立たない」と指摘。同基金の積立額を減らして対応すれば収支不足も出ず、借り入れる必要もないのに、「収支不足が出たように見せたのは、福祉や暮らしの支出を抑制、削減するためではないか」と批判しました。

同基金の2205億円という額についても、横浜市は、同基金が913億円(16年度決算)しかないのに返済資力は十分に確保していると評価していると指摘し、「明らかにため込みすぎだ」と強調しました。

また、勝又議員は、子どもの医療費助成制度の通院助成について所得制限の廃止を求めるとともに、就学援助費の支給基準引き上げを主張しました。

勝又議員の質問原稿(初回)は次の通りです(議事録ではありません)。

代表質問

私は、日本共産党を代表して2018年第3回定例会に提案された諸議案、ならびに市政一般について質問を行ないます。

はじめに、9月4日、近畿地方を中心に猛威を振るった台風21号及び9月6日未明の北海道胆振東部地方を襲った大地震の甚大な被害が広がっています。犠牲になられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、被災者の皆さまにお見舞い申し上げます。

市長の政治姿勢についてです。

エネルギー政策を再生可能エネルギーに転換することについてです。

9月6日北海道厚真町を震源地とする震度7の地震が発生し、胆振東部地震と名付けられました。激しい揺れでいたるところで大規模な土砂崩れが発生、家屋の倒壊が被害を大きくしています。

北海道電力の全ての火力発電が停止し、道内の全戸295万戸が停電しました。停止した北電最大の苫東厚真火力発電所に、4箇所の水力発電所から電力を送るとのことでした。道民はテレビ、ラジオから情報を得られず、市立病院は救急受入を中止している病院もあるとのことです。信号機も止まっているところでは事故も起きているとの報道でした。停止している泊原発では外部からの電源がストップ、非常用ディーゼルで核燃料の冷却を行なっているところです。こうした事態から改めて、原発の再稼働は中止し、原発ではなく、再生可能エネルギーへの転換が必要です。市長の見解と取組への対応を伺います。

平和の問題について、オスプレイについてです

 防衛相は、8月22日、米空軍CVオスプレイが10月1日、米空軍横田基地に配備されると発表。千葉県の木更津基地には、オスプレイのアジア唯一の整備拠点が作られ、厚木基地では、昨年度45回もの離着陸訓練が行われています。

2015年に公表した防衛省の環境報告書では、米軍は日本全土で年間330回ものオスプレイの低空飛行訓練を計画しています。この訓練が実施されれば、横田、厚木、木更津、横須賀など南関東全域が訓練区域となり、川崎市上空を飛来する可能性はかなり高くなります。全国29都道府県の215自治体で反対の意見書・決議があがっており、沖縄では、県知事、県議会をはじめ42市町村の全議会と首長がすべて配備に強く反対しています。墜落事故を繰り返し、川崎上空での低空飛行訓練も予想されるオスプレイ配備について、市長の見解を伺います。

2017年度決算の特徴についてです。

2017年度一般会計決算では、歳入は前年度比で858億5800万円増の7006億9100万円、歳出は865億2300万円増の6975億1400万円となり、実質収支は1億9900万円のプラスとなりました。歳入では、市税収入が前年度比で58億2600万円増の3111億8600万円で、5年連続の増収で4年連続の過去最高を記録しました。これは、個人市民税19億7500万円の増、固定資産税29億4300万円の増など人口増、市民からの税収増によるものです。川崎市の人口増加率は政令市で最も高く、人口推計でも今後12年間は増加を続けるため市税収入の増加は今後10年間は続くと予想されます。

財政力指数は、引き続き政令市トップで1を超え、3年連続、政令市で唯一の普通交付税、不交付団体となっています。基準財政収入額が前年度より大幅に増え、財政力指数は前年度の1.00から1.02と財政力をさらに強めています。財政健全化指標についても、すべての指標で早期健全化基準を大きく下回り、極めて優良です。「決算見込みの概要」では、「厳しい財政状況」と述べていますが、財政が厳しいという指標は、どこにも見当たりません。

減債基金は、一般会計分でみると243億円積み増しをして2205億円となりました。一人当たりの市債残高は政令市平均以下なのに、減債基金残高は政令市平均の1.8倍にもなりますし、これは取崩額、いわゆる市債への償還額205億円の11年分にあたり、政令市平均の4年分をはるかに上回ります。財政規模が川崎市の2.5倍ある横浜市の減債基金残高は、16年度決算では914億円で、取崩の額しか残高はありません。これらのことから見ても、川崎市の減債基金残高がいかに過大であるかがわかります。このように、市税収入、財政力指数、財政健全化指標、減債基金残高のどれをとっても、川崎市は政令市でトップクラスの財政力を持っています。

しかし、「決算見込みの概要について」では、依然として「厳しい財政状況」と述べています。この「財政が厳しい」という根拠についてです。まず、「扶助費の増大」を理由に挙げています。扶助費は、前年度比で93億円増ですが、これは保育所増設等のためにどうしても必要な費用であり、増加した部分のほとんどは国や県からの補助から賄われるので、扶助費の経常収支比率は18.4%にすぎません。しかも、前年度の20.0%よりも減らされており、一人当たりの扶助費の額は引き続き政令市平均を下回っています。扶助費の増加を理由に「財政が厳しい」とはいえません。

「決算見込みの概要」では「減債基金からの130億円の新規借入」を厳しい理由に挙げています。減債基金は、17年度決算、一般会計分では取崩額、いわゆる市債への償還が205億円のところを、448億円も積み立てをして、243億円も積み増しをしています。ですから収支に必要な130億円は、この積立額から減らして対応すれば、収支不足も出ず、借り入れる必要もありません。それでも減債基金残高は、2075億円、取崩額の10年分もあります。このどこに問題があるのでしょうか。なぜ、いったん積立してから借入をするという複雑な形式を取るのか、伺います。他の自治体でこのようなやり方をしている自治体はあるのか、伺います。

これに関して「減債基金への積立ルールがあるため」という理由ですが、今年の予算議会でも述べたように、この「30分の1ルール」は、実質公債費比率を抑制するためのものであり、計算上の一つの基準で、従わなくてもペナルティーはなく、自治体の裁量に任されています。川崎市の実質公債費比率は、17年度決算では6.9%で早期健全化基準値の25%、政令市平均10%と比べてもはるかに低く、このルールを守らなければ支障をきたすというレベルではありません。減債基金からの借入をせずに、積立額を減らして対応しても10年後の減債基金残高は2519億円、実質公債費比率は9.3%で全く問題はありません。以上のように、「減債基金からの借入」が、「財政が厳しい」という根拠にはならないことは明らかです。これ以外に「財政が厳しい」という根拠はあるのか、伺います。

人権全般にかかわる条例についてです。

「人権全般条例」の考え方が報告されました。これは元々、2016年に市長が優先審議事項として「ヘイトスピーチに関すること」を依頼したことに対し、人権施策推進協議会から提言されたことが出発点となっています。提言に示された「協議会の意見」でも「ヘイトスピーチにつながっていく土壌に、直接対処する幅広い条例が必要」「多文化共生、人種差別撤廃などの人権全般にかかるものが想定される」としており、あくまでこの提言はヘイトスピーチ対策の延長線上で人権全般を見据えているものと考えられます。

今回策定を検討している条例は幅広く人権全般にかかわるものとされています。子どもの権利条例などすでに個別に条例や要綱が制定されている分野もあります。従来の個別分野の条例と新しい条例との関係をどう位置づけるのか、市長に伺います。

障がいや性自認と性的指向、高齢などそれぞれの分野ごとに、固有の課題や困難に応じた対策をすすめることこそ重要です。人権条例を策定するのであれば、これらの課題に答えられるものとすべきです。市長に伺います。

子育て支援策についてです。

小児医療費助成制度の拡充についてです。

市長は、入院の所得制限を廃止する理由について「子どもの入院は、経済的にも精神的にも子育て家庭に与える負担は大きい」とし、通院の所得制限については「限られた財源の中で持続可能な制度として運営していくため、引き続き設けていく必要がある」としています。根本的な対策として、子どもが入院に至るような重症化を防ぐとともに、将来の医療費増大を抑制するためにも、外来通院をしやすい制度に改善し、病気の早期発見・早期治療をすすめることこそ重要です。そのためには、通院医療費助成の所得制限を廃止することが最大の有効策と考えますが、市長の見解を伺います。

 また、そのためにも、通院の助成対象年齢は、県内の相模原市や横浜市が踏み出すように、川崎市も早急に中学校卒業まで拡大すべきです。市長に伺います。

 政令市では、昨年11月から実施した大阪市に続いて、堺市が来年4月から通院の助成対象を高校卒業まで拡充すると発表しました。市長は、子育て支援策について「出産・子育てから青年期に至るまで、切れ目のない支援を効果的に進めていくことが重要」というならば、通院の医療費助成について昨年4月時点で474自治体まで広がっている「高校卒業までの拡充」を目標にすべきです。市長に伺います。

来年度以降実施に向けた「ひとり親家庭支援施策の再構築(案)」についてです

2016年の国民生活基礎調査によると、母子家庭の所得は、児童のいる世帯の33%と低く、ひとり親家庭の貧困率は、50.8%で大人が二人以上いる世帯の約5倍にのぼります。今年5月に本市が児童扶養手当受給資格者を対象に行った「ひとり親家庭生活状況アンケート」の結果、ひとり親家庭の就労率は約84%と高いがそのうち約58%はパートアルバイトなどの非正規就労です。

ひとり親家庭等の特別乗車証交付事業の再構築案についてです。

2017年度決算額は約4億円です。「市バスに限らず鉄道等を含めた公共交通機関を利用する高校生等の通学交通費を助成する制度を創設する」ことについてはとても重要と思います。しかし、それと引き換えに児童扶養手当受給者を対象とした市バス特別乗車証交付事業を今年度末に廃止するとしています.その理由を、交付を受けている人が約6割で、ひとり親家庭全体が対象となっていないとしていますが、アンケート調査では、ほぼ毎日利用している人が約3割、週3日以上が13%にのぼります。また、子どもの年齢はゼロ歳から15歳までが7割を占めるなど高校生以下の年齢の子どもを持つひとり親にとって廃止は大変痛手となります。自由記述でも「本当に助かっている」「市バスが通らない地域に住んでいるので、民営バスでも使える様にしてほしい」等多数の意見があるのですから、廃止すべきではありません。伺います。

私立幼稚園の入園料の補助制度の創設について伺います。

2017年度の本市の幼稚園入園料の平均額は148,118円で、20政令市の中で最も高額でした。今年度は更に4899円増の153,017円です。17年度の本市を除く19政令市の入園料の平均額は54,000円で、5万円以下は9政令市に上ります。10万円以上は、本市と横浜市のみで、横浜市は116,379円ですから、本市の入園料が突出して高額なのは明らかです。入園料については国と川崎市は補助事業を設けていません。

東京では多くの自治体が入園料補助をもうけており、23区内では大田区が最大11万円、世田谷区は最大9万円の入園料補助を行っております。比較的少ない北区や練馬区でも4〜5万円を補助しています。

わが党は、今年の3月議会においても入園料補助を求めましたが、子ども未来局長は「今後につきましては政令指定都市等、他都市の動向を踏まえながら、幼稚園の入園料に対する補助のあり方について、検討してまいりたい」と答弁されました。検討状況を伺います。入園料10万円の補助制度をつくるべきと考えますが伺います。

保育所待機児童解消についてです

2017年度の民間事業者活用型の決算額は18箇所8億7千万円余となっていますが、整備計画における定員及び実績を伺います。また、自前の園庭のある保育園数についても伺います。来年度の開設に向けた、今年度の認可保育所の整備計画は1840人ですが、そのうち民間事業者活用型は1350人で73%を占め、昨年度よりさらに割合が高くなっています。この手法は園庭の確保が困難であること、なかなか手を上げる事業者の確保が大変であることから、民間事業者活用型の整備に重きをおく手法を改めて、公有地活用型及び民有地活用型の整備に重きをおくことを求めてきました。子ども未来局長は「利用可能な資源を最大限に活用するため、保育所整備が可能と思われる公有地について関係局と協議を進める」とのことでした。

市営住宅の改築時に生まれた空地や仮設園舎の跡地などを含め、公有地活用型の整備と民有地活用型の整備にもっと重きをおくべきですが伺います。

教育環境の改善についてです。

少人数学級の拡充についてです。

先の文教委員会の請願審査のとき、学級編成権が県から市へと移管後、少人数学級が拡充した政令市について教育委員会は状況を正確に把握していませんでした。改めて伺いますが、政令市への市費移管後、小学校3年生以上で少人数学級が実現した、もしくは今年度中に実現する予定の政令市はいくつありますか、伺います。

学級規模といじめ・不登校との関係についてです。文部科学省の資料では、「90%以上のこどもが35人以下学級に在籍している県は、それ以外の県よりも、1000人当たりのいじめの件数が少ない」また、各県の取り組みと効果では「山形県や大阪府では、少人数学級導入後で不登校の出現率や欠席率が低下」と報告されています。これらの少人数学級効果について、教育長の見解を伺います。

少人数指導と少人数学級の評価についても文科省調査資料を教育委員会からいただきました。少人数指導と少人数学級を実施した小中学校へのアンケート調査の結果は「総じて児童生徒の学力が向上した」は少人数学級では98.7%の小学校が、中学校では94%が評価しています。「学力の底上げが図られた」は小学校で98.7%,中学校で97.3%が評価しています。「不登校やいじめなど問題行動が減少した」「児童生徒の基本的な生活習慣は身についた」の項目では、「とてもそう思う」が少人数指導より少人数学級での評価がよく、5倍以上の違いがでました。この評価についても教育長の見解を伺います。

学校施設へのエアコン設置について伺います。

小中学校の普通教室はすべてにエアコンが設置されていますが、特別教室の設置が遅れています。音の問題などで窓を閉め切る必要がある音楽室やパソコン室、図書室は設置が進められてきましたが、それ以外の教室では、小学校での設置は約5割にとどまり、中学校では、普通教室よりも移動によって、特別教室の利用頻度が高いと指摘されているにもかかわらず、設置はおよそ3割です。体育館へのエアコン設置は、3校のみです。命にかかわることであり、設置を急ぐべきです。伺います。

就学援助制度についてです。

政府は、10月から生活保護制度の食事などの日常生活費に充てる「生活扶助」を最大5%減額する引き下げを実施します。都市部の「夫婦と子ども2人の世帯」では年10万円以上も少なくなるケースがあると試算されており、子育て世帯に大打撃となります。本市の就学援助の基準は生活保護基準に準ずるとされており、生活保護基準が削減されたことに伴い連動させれば、現在の基準で就学援助を利用できる世帯が、利用できなくなってしまいます。昨年8月の子ども・若者生活調査の分析結果では、貧困の連鎖を防ぐために既存制度の底上げが必要だと結論づけられました。子どもの貧困対策が待ったなしのいま、生活保護基準の引き下げに連動させるべきではありません。伺います。また、今こそ就学援助費の支給基準を生活保護基準の1.2倍以上に引き上げるべきです。伺います。

議案第124号に関連してブロック塀等の安全対策についてです。

高さが2.2mを超えるブロック塀のある6校については、補正予算で新規フェンス設置が提案されていますが、高さ2.2m以下で控壁が仕様に適合しない12校の塀についても、予算を確保して早急に撤去・新設を具体化するべきです。伺います。

民有地のブロック塀についてです。

本市は周知啓発や改善指導とともに、道路や公園に接する民有地のブロック塀を1.2m以下に縮小・撤去する際に、上限30万円、2分の1の割合で助成する制度を、2020年までに限って行うとのことです。

堺市や大阪市は撤去・新設とも助成率は3分の2です。横浜市は、上限額は本市と同じ30万円ですが、撤去の場合の助成率は9割で、新設の場合は2分の1です。本市も他の自治体並みに撤去への補助率を引き上げるべきですが伺います。

また、フェンス等の新設にも補助を行い、市民の命と安全を守る対策を進めるべきですが伺います。また横浜市のように、すでに除却した場合でも写真や書類などを確認して事後払いを可能とする制度にすべきです。伺います。

市民からの依頼等に応じて危険なブロック塀の改善指導を行うとのことですが、リーフレットの投函による制度周知や改善指導にとどまらず、戸別訪問も行って丁寧に指導や制度周知をすべきですが、伺います。中でも各学校から教育委員会に報告されている、通学路上にある老朽化によるひび割れや傾きがあるなど専門職の確認が必要な70件のブロック塀については最優先で戸別訪問指導を行うべきですが、伺います。

障がい者施策についてです

障害者グループホームの整備と自動火災報知設備の設置についてです。

 わが党は、2017年度末までに設置が義務化されたグループホームの自動火災報知設備の設置への市の支援策を繰返し求めました。2018年度の予算は整備補助として前年より2千万円増額され、約6千万円計上されました。しかしなかなか設置が進まない実態があると聞きました。2017年度末までに設置が必要な個所数及び設置された箇所数について伺います。過去3年間のグループホームの整備計画270人に対し、昨年12月議会では整備計画に達しない見込みであるとし、その原因を物件の確保と消防設備の設置が困難であるとの答弁でした。整備目標を策定しても大家さんの了解がないと設置が進みません。「川崎市居住支援協議会」への取組みを強め、家主や不動産事業者等の理解を求める取組みの更なる強化が必要ですが伺います。第4次ノーマライゼーションプラン改訂版におけるグループホームの整備計画は、毎年90人ずつ3年間で270人の定員増を図る計画ですが、物件の確保に対する抜本対策を図るべきですが伺います。市営住宅や県営住宅へ設置に向けた取組みの強化が必要と思いますが、伺います。

人工内耳の体外機への助成についてです。

 人工内耳は、補聴器などで拾った音を、頭に取り付けた体外機で電気信号に変え、耳奥の骨に埋め込んだ電極から脳に直接信号を伝えるというものです。全国で6万人以上が利用しており、1歳から保険適用になったことから、年間約1000件以上の手術の4割が小児と言われています。この体外機は故障などにより更新しようとすると、1台100万円かかります。また、充電式の電池が消耗品で年間3万円以上かかり専用の充電器も必要です。そのため全国の200以上の自治体で何らかの補助を行っています。茅ヶ崎市では、体外機を日常生活用具に指定し、装用後5年経過し、医療保険の給付を受けられない方に給付しています。静岡市では電池代を月額2,500円助成するとともに、充電機には3年に一度28,080円助成しています。本市においても体外機を日常生活用具に指定するとともに、電池代の補助を行うべきですが、伺います。

手話通訳者を病院に配置することについてです。

 川崎市聴覚障害者情報文化センターの手話通訳派遣事業で派遣した手話通訳者の6割が病院など医療機関でした。手話通訳者がいないと病院にかかれないなど受診抑制が起きると言われています。医療の専門用語を正確に伝え、正しい診断と処置を行うために、少なくとも本市の基幹病院である川崎病院には、専任の手話通訳者を配置すべきです。伺います。

高齢者施策の充実についてです。

 高齢者の介護について伺います。平成28年度高齢者実態調査によると、介護が必要になった場合「自宅で暮らしたい」と回答した人は56%ということでした。しかし、その願いと現実はなかなか一致しない厳しいものがあります。

 先日伺った家は母親とパートで働く娘さんの2人暮らし、母親は国民年金です。要介護4で、在宅介護を受けて自宅で暮らしています。娘さんは「私は母が大好きです。長生きしてほしい。しかし、介護費用があまりにもかかりすぎます。私は母の介護費用を捻出するために、働いているようです。私が働けなくなったら終わりです」こんな悲鳴をあげていました。要介護4で、デイサービス週3回、訪問リハ週2回、ショートステイ月に3日、訪問医療月2回受けた場合、利用料1割負担の方であっても介護保険外負担である食事代、部屋代、日常生活費など含めて約5万円の利用者負担がかかります。とても国民年金で支払い続けることは困難です。しかも、24時間の介護は家族によって支えられているということです。そのことからみても現在ある要介護者生活支援ヘルパー派遣事業など、市単独の在宅介護を支える施策については、拡充こそすすめ、絶対に縮小すべきではありません。伺います。

 さらに、家族の介護を少しでも励ます意味でも、要介護3以上の方に月1万円の介護援助手当を復活すべきではないでしょうか、伺います。

高齢者の居住環境の問題です。

特養ホームへの入所を3年以上待機している人が要介護3以上でも約4割いるという高齢者実態調査結果です。それでも待機者が若干減ってきている、その要因として、特養ホームに申し込んでもなかなか入居できない、待ちきれなくて、やむを得ず有料老人ホームやグループホームに入居している方がかなりいるのでは、と以前から指摘してきました。私たちへの相談も「家庭介護が限界で、しかたなく有料老人ホームに入居したが、いつまで財政的に続くかわからない」「グループホームの費用負担が高くて、早く特養ホームへ入りたい」こんな相談が寄せられています。

 やはり費用的にみても、在宅生活が困難な方にとって切実な施設は特養ホームです。待機者3551人、すぐに入所したい方2702人に及ぶのに、第7期での3年間で590床の増設だけでは、どうみても足りません。施設利用を必要としている方が申請をしてからせめて1年以内に入居できる整備に見直しをすべきです。伺います。

認知症高齢者グループホームについてですが、費用負担が大きいことが課題になっています。第7期計画期間中に一部家賃等助成を実施するとしていますが、どのような助成になるのか、実施時期はいつ頃になるのかについて、伺います。

議案第106号川崎市基金条例の一部を改正する条例の制定についてです。

この議案は、国民健康保険事業の財政の健全な運営に資するための資金に充てるための基金を設置するというものです。

 本市はこれまで、国民健康保険事業の収支均衡を保つため、一般会計から国民健康保険事業特別会計に法定外繰入を行い、保険料負担の軽減を図ってきました。

 昨年度決算見込みでは44.9億円法定外繰入をおこなってきました。2018年の国保の広域化に伴い、法定外繰入のうち決算補填等を目的としたものについては、縮減すべきとしています。

 県からの交付金の評価項目に基金に関する項目があり、今回、基金を設置し「保険料収納額の1%」以上を積み立てることで、評価の対象になり、毎年の交付額が一定程度増額され、基金に積み立てるということです。この基金を活用することで、翌年度以降の保険料水準の平準化が可能になるとしていますが、国民健康保険がもつ構造的な課題からみても引き続き一般会計からの法定外繰入は不可欠です。国も法定外繰入を行っても自治体にペナルティは課さないとしています。

 国保制度は、国民健康保険法第1条でも謳われているように、社会保障制度そのものです。引き続き法定外繰入を行い、保険料の引き上げは避けるべきです、伺います。

中小企業支援についてです。

まず、市内中小企業への優先発注について伺います横浜市では、100万円以上の補助金等を交付している事業者に対し、工事の請負、物品の購入、業務の委託を行う場合に、市内事業者への発注を原則とする規定を設け、市内業者への仕事確保に努めています。昨年9月のわが党の質問に財政局長は「本市が補助金等を交付している団体についても、優先発注を進めていただくことは、市内事業者の振興育成に寄与するもの」と答弁されていますが、補助金交付先の市内業者への発注状況と市の取り組み内容について伺います。

2016年経済センサス活動調査結果(速報)によれば、4年前と比べ、建設業は291事業所も減少しています。建設業では、労働条件の改善が業界全体の大きな課題となっています。本市の公契約制度は報酬の下限額を示し、賃金の底上げに寄与するものです。ところが、一昨年、市が工事物件で行ったアンケート調査では、「労働者が自分の作業報酬の下限額を把握しているか」の問いに、23%が知らないと答えていました。周知徹底方法の改善を求めましたが、その後の取り組みについて伺います。

総合評価落札方式の入札の改善についてです。川崎市では、失格基準価格が調査基準価格の約90%、予定価格の84%前後に設定されていますが、ダンピングをなくすためには、失格基準価格の引き上げと調査基準価格を下回った入札者には、価格以外の評価点を減点するなど対策が必要です。これまでも段階的に改善されてきたと思いますが、更なる改善について、伺います。

正規労働者の雇用を拡大する対策についてです。

2017年就業構造基本調査によると、川崎市内の雇用者数は81万7100人で、5年前の調査から9万8300人が増えました。そのうち正規職員・従業員の割合は62.8%、非正規職員・従業員は32.6%で、5年前とほとんど変わらず、市内で正規職員が増えて雇用環境が改善したとはとてもいえません。

6月に、「キャリアサポートかわさき」で開設した「正社員等転換相談窓口」の相談件数は、6月~8月の3カ月で企業が2件、労働者は7件で、市の姿勢が問われるような結果でした。正規雇用を望む方や有期雇用から無期雇用に変更できるのに制度を知らずにいる方はかなりいるとされるのに、本市として相談窓口の周知を含め、どう推進してきたのか、また今後の見通しと取り組みについて伺います。本市として、人材確保に向け正社員等転換を望んでいる労働者と企業の数を、産業界とも協力して、実態を把握して正社員等に転換する目標人数を明確にすべきです。伺います。

中小企業の人材確保や就職定着をはかるための支援として、兵庫県など、奨学金返還支援制度を実施する自治体が広がっている事例も具体的に紹介し、本市でも実施すべきと繰り返し質してきました。

北九州市では、市が認定する企業等に就職し、市内に居住した場合、就職後2年から4年目に年間最大18万円を3年間54万円補助する事業を実施しています。対象は2018年度に卒業する見込みの者または卒業後3年以内の者として、募集人員は300名です。市が認定する企業には、製造、建設など新成長枠として229社、市の独自施策として人材不足となっている保育士・幼稚園教諭・介護福祉士を少子高齢対応枠として100施設をあげています。初年度の2017年度には300人以上が応募したとのことです。他の自治体では、知恵をだして、人材を確保し専門性を培えるよう独自の施策を行なっています。本市においても、北九州市のように、正規雇用として定着していけるよう独自の制度をたちあげるべきです。雇用を所管する副市長に伺います。

派遣労働者の雇用問題についてです。

改正労働者派遣法の施行から3年となる9月末を控え、派遣社員を雇い止めする「派遣切り」が頻発する危険が高まっています。改正派遣法は、それまでの「1年~3年の業務単位の期間制限」を廃止し、「3年の事業所単位の期間制限」とし、それに達すると派遣先は派遣労働者を直接雇用しなければなりません。

しかし、実際には、この期間制限は何回でも延長できる制度となっており、また派遣労働者を入れ替えるか、派遣労働者の所属組織を変えさえすれば、労働者派遣を永続的に利用できる仕組みとなっています。施行から3年となる今年の9月30日には、3年の期間制限の対象となる派遣労働者が出てくるため、派遣先企業は、別の派遣社員に切り替えることも可能であり、そのために大量の派遣切りの懸念が高まっています。しかし、改正法では、派遣元に対して、派遣先への直接雇用の依頼など、「4つの措置と実施義務」を課しています。派遣先は、直接雇用として雇い入れる努力義務を負っています。

 新聞報道では、ソフトウエア関連の方から「10月以降、現在の職場で働くことは派遣先から拒否された」という事例も報告されています。市の出資法人でも改正労働者派遣法の対象となる労働者はいるということです。

 こういう派遣切りを許さず、派遣労働者の正社員化を進めるためにも、制度の周知徹底と「4つの措置と実施義務」や「派遣先の雇い入れ努力義務」を厳格に実施させる必要があります。労働者、事業者、市の出資法人への周知の徹底はどのようにされているのか、伺います。周知の中に実施義務や努力義務が入っているのか、伺います。自動車や電機、通信など主要産業への緊急調査をする予定があるのか、伺います。専門相談窓口を設ける必要があると思いますが、伺います。

市内大企業のリストラについてです。

市内大企業が企業の都合で本人の意思に反して強力に退職勧奨を行うなど、容赦ない人員削減の大リストラ策が繰り返し行われています。

2012年に1万人のリストラを行った、NECは今年1月30日、今度も国内で3000人の人員削減を発表しました。対象は45歳以上で勤続5年以上の社員2万人を対象に実施するもので7人に1人が退職させられることになります。しかも売上高、営業利益を増やす中での黒字リストラです。市内に1万5~6,000人、国内最大規模の玉川事業所があり数百人規模のリストラが予想され、影響は避けられない事をこれまでも指摘してきました。

NECは退職日を12月28日と定めています。すでに2万人に2回目の面談が実施され、今後も対象者に繰り返し退職面談を行う計画です。面談の実態も告発されています。面談では、退職を迫る上司に「会社を辞めろということですか」と答える社員に対し、「いえいえ、そうではありません、社外で活躍の場を求めるということです」こうした面談が行われてもいます。退職を断ると次回面談に「目標を持って自分はこのように変わっていきます」という自身の考えを書き出して来る様に求められたといいます。何が何でも自己都合で退職をさせるという会社の強引な姿勢です。

市長に伺います。こうしたやり方で退職を迫られている実態を承知しているのか、許して良いのか、伺います。また、NECに今回の人員削減に対しどのような対応をしているのか、伺います。労働者の人権、雇用と生活、地域経済を守る立場で実態調査を行い、退職強要をしないよう会社に求めるべきです、伺います。

厚労省の通達による「大量雇用変動届」のケースに該当すると思われるため、その通達の趣旨に沿って、市長の権限で雇用対策本部設置を求めます、伺います。

武蔵小杉駅の混雑緩和について伺います。

 武蔵小杉駅の混雑緩和策をはかる覚書を川崎市とJR東日本が7月17日にとりかわしました。一刻も早い混雑緩和の手立てをとらなければ、たいへんなことになる、と横須賀線小杉駅ができて以来、議会で何度となく改善を求めてきました。

周辺住民のみなさんも危機感を感じ「小杉駅を良くする会」を一昨年発足させ、「ホームドアの設置、南武線のホームの増設、新改札口の設置、横須賀線や湘南新宿ラインの増便」などJR東日本横浜支社に要望をもって具体的取り組みを求めてきました。

供用開始まで5年かかるということですが、現状の既存の横須賀線改札口の利用客数と新改札口ができた場合の利用客数と、どのように分散されると予想しているのか、伺います。混雑緩和には、電車の増便が必要です。湘南新宿ライン、横須賀線の増便の可能性、さらに相鉄線の停車について伺います。5年といわず、「覚書」の1日も早い具体化・実現が求められていますが、その決意を伺います。 

武蔵小杉駅横須賀線駅前のバスターミナルそばの喫煙場所についてです。

以前から「この喫煙場所を何とかしてほしい、煙がもくもくで強烈なにおいが漂い、こどもの通学路と隣りあわせで、子どもが毎日受動喫煙をしているようなもので、危険性を感じています」子育て中の保護者の方を中心に、同様の相談が何件も寄せられています。そして、「一定の対策は講じているということだが、ほとんどその効果が感じられない」という苦情もよせられています。担当局にも相談、苦情は寄せられていると思いますが、改めて対応を伺います。

総合自治会館用地周辺地域の活用についてです。

この活用について、民間事業者から広く意見提案を求めるサウンディング調査を10月から実施するとのことです。サウンディング調査は、この用地を民間に貸し出しをして、賑わいの創出を含め、民間中心の活用を図るというものです。

小杉駅周辺は大々的な再開発がすすめられるなか、古くからこの地域に住み、地域を支えてこられた住民の方々は、残されたこの貴重な公共用地を住民の要望にそって活用してもらいたい、長年の要望である老人いこいの家、災害時に避難できるような緑地の確保などを切望しています。先日行われた、周辺の町内会長、商店街会長などが集まった意見交換会では、改めてこのような要望が強くだされました。それらを踏まえて、現総合自治会館は解体せず、施設を住民のために有効に活用できないか、そういった意見もだされました。

総合自治会館用地周辺地域の活用については、民間に用地を貸し出すのではなく、川崎市が地元の皆さんから出されている要望をしっかりと受け止めて活用を検討すべきです。伺います。

緑地保全についてです。

麻生区上麻生7丁目でかねてより保全が望まれていた8700平方メートルに及ぶ緑地が保全される方向性が出てきたとのことです。10年以上前から請願や陳情も4回にわたって採択や趣旨採択され、大きな市民運動になったことから、市の担当者も繰り返し交渉に当たってこられたと聞いています。現在の進捗状況について伺います。

防災対策についてです。

洪水ハザードマップは、わが党もくりかえし求めて全戸に配布されました。おりしも倉敷市真備地区の浸水被害がハザードマップとほぼ一致していたことが報道され、市民は緊張感を持って見ています。

 洪水ハザードマップでは、事前に避難場所を確認することとされていますが、多くの避難所の小中学校が浸水地域です。市の方針は、「避難準備・高齢者避難開始」や避難勧告は洪水が発生する前に発令されるものなので、まず避難所に避難し、避難所の1階が浸水したら2階、3階に垂直避難することにしているとのことですが、それは、市民には周知されていません。市の方針を周知すべきですが伺います。

 避難所が遠い、入りきれないなどの課題に対し、大阪市では公的施設や民間の会社、マンションなどと協定を結んで、「水害時避難ビル」を指定し、水害時の垂直避難に協力してもらう制度があります。本市においても近隣の高いビルに避難できる制度を作るべきですが、伺います。マンションなどを含め、垂直避難をした場合、1階は水浸しでライフラインは停まり、とりわけ川崎区では、3週間近く浸水したままという地域も広範にあり、直ちに広域避難が必要になります。市内の公的施設や近隣自治体などとの協議を行い、対象地域の住民の避難先を確保しておくべきですが、伺います。

土砂災害ハザードマップには、「土砂災害警戒区域」が記され、本市では対象世帯に対して2015年、2016年、2017年、そして今年と「避難準備・高齢者避難開始」や避難勧告が発令されました。この4回の発令で、何名が避難されたのか伺います。

西日本豪雨災害では、広島県の犠牲者のうち、約7割が土砂災害警戒区域など予め災害が想定された地域で亡くなりました。確実な避難には何が必要と総括しているのか伺います。

屋外の同報系防災無線は、もともと聞きにくい地域があるのに加え、豪雨の際は屋内ではまったく聞こえません。長野県岡谷市、静岡県三島市などでは、ラジオつきの個別受信機を全世帯対象に1000円で販売しています。これは放送が始まると自動で電源が入り、放送が終わると電源が切れるというもので、ラジオとしても持ち出せるものです。本市でも、簡易な戸別受信機を安価に普及すべきと思いますが伺います。

東扇島堀込部埋立土地造成事業に関連してです。

土地造成の当初の目的として「増加する輸出用完成自動車を保管するためのストックヤードが不足する」という理由について、先の定例会では、自動車輸出量が2017年度実績ではピーク時の56%まで落ち込んでいることを指摘しました。

 川崎港でも自動車輸出を扱っている海運会社の日本郵船は、今年4月、トルコに完成自動車専用ターミナルを建設・運営すると発表しました。総額117億円を投資して、延長539メートルの岸壁や立体駐車場を建設し、年間約7万8千台の輸出入車を取り扱うとのことで、日本郵船として世界で17港目と報じられています。海外では日本郵船が自らの資金で岸壁や保管場所を建設・運営しているのに、日本では自治体である川崎市が自動車保管場所を整備しなければならない根拠について、港湾局長に伺います。

 中古自動車輸出についてです。川崎港振興協会の『港かわさき』本年8月号では、邦船3社の統合会社ONE(オーシャン・ネットワーク・エクスプレス)が回答する形で掲載された質疑応答では、「川崎港周辺は中古自動車の輸出取り扱いが多い地域ですが、旧東欧、中東、アフリカ方面への輸出が多く、ほとんどが横浜港に横持ちされています」と指摘されています。千鳥町の立体モータープールを含め、川崎港全体の輸出用中古自動車の年間取扱台数、そのうち川崎港から直接輸出されている台数、及び、横浜港など他港へ「横持ち」されて輸出されている台数について伺います。

以上で質問を終わります。