議会報告

2018年12月13日

公的老人デイサービスセンター廃止に反対~渡辺議員が代表討論


IMG_95632018年川崎市議会第4回定例会の12月13日、日本共産党を代表して渡辺学議員(幸区)が討論を行いました。

渡辺議員は市長提出議案について、公設老人デイサービスセンターを廃止する条例案について、廃止されることにより「民間の施設が充実してきているからと、すべての利用者がばらばらに移動を余儀なくされるというのはあまりにも乱暴」であり、高齢者に尊厳を持っての対応とは思えないとして反対を表明しました。

都市公園条例の一部改正する条例案について、民間事業者にレストランやカフェなどの建設の建蔽率を公園面積の10%まで認めるもので、公園が企業の利潤追求の場となり、公園本来の機能が損なわれる恐れがあることなどから反対を表明しました。

公的年金の毎月支給を求める意見書を国に提出することに関する請願について、意見書を国に提出するよう求めました。

渡辺議員の討論原稿は次の通りです(議事録ではありません)。

代表討論

私は日本共産党を代表して、今議会に提案された諸議案について討論を行ないます。

議案第160号川崎市老人福祉センター条例の一部を改正する条例の制定について、議案第161号川崎市久末老人デイサービスセンター条例を廃止する条例の制定についてです

 発足当時、民間による老人デイサービスセンターを牽引する形で、公的老人デイサービスセンターを設置してきましたが、民間で施設も充実してきているほか、質の高いサービスが十分に提供されるようになってきているなどを理由として、公設老人デイサービスセンターを廃止するというものです。

民間の施設が充実してきているからと、すべての利用者がばらばらに移動を余儀なくされるというのはあまりにも乱暴なやり方です。利用している高齢者には、ひとりひとり様々な経過もあり、通いやすさ、職員の方も含めて施設に慣れ親しんで、家族も安心して利用しているのです。

さらに、民間で機械浴ができる施設は限られている、車椅子が手放せないなど介護度が重い利用者にとって選択はそう簡単ではなく、安易に移動できるものではありません。このたびの公的な老人デイサービスセンターの廃止は、高齢者に尊厳を持っての対応とは到底思えません。公的だからこそ民間を牽引していく役割はますます必要だと思います。以上のことからこれら2つの議案は賛成できません。

議案第162号川崎市障害者就労支援施設条例の一部を改正する条例の制定についてです

就労移行支援及び就労継続支援は、特別支援学校の卒業生や就労を希望する障がい者の日常生活及び社会生活を支援し、一般就労に移行するためにも重要な役割を果たしています。ところが、本議案は民間で質の高いサービスが十分に提供されているとして、わーくす川崎を民間に貸し付け、わーくす中原は施設の老朽化を理由に廃止するものです。障がい者の就労支援充実の中心的な役割を担ってきた公設施設を無くすことは公的責任、役割を後退させるものであり賛成できません。

議案第165号川崎市都市公園条例の一部を改正する条例の制定についてです

昨年6月、都市公園法の改正により、「パークPFI(公募設置管理制度)」の導入が図られ、民間事業者がカフェやレストラン、売店などの収益施設の設置と公園の整備、管理を一体に行うことが出来るようになりました。本議案は、この制度を本市に導入しようとするものです。

現在の条例では、飲食店、売店などの建築物は、公園面積の2%までしか認められておらず、休養施設や運動施設など限定された施設のみ、さらに10%、あわせて12%の建築が認められています。本議案は、飲食店、売店などの設置・管理を行う民間事業者を公募により選定し、得られる利益を公園整備に還元することを条件に、レストランやカフェ、売店なども公園面積の10%まで建ぺい率を緩和し、合計12%までの施設を建築できるようにするものです。

委員会の質疑では、公共施設である公園が企業の利潤追求の場となり、公園の本来の機能が損なわれる恐れがあること、施設整備が民間主導で進められ、事業者や施設の選定に当たっても、住民の参加が条例上、保障されていないこと、さらに地域商店街の影響も考えられることから、本議案には反対です。また、この条例には、先般、国家戦略特区特例の一般措置として都市公園に保育所等の設置が可能になったことから、保育園等、福祉施設を「占用物件」として、公園内の整備を認め、その賃料も定めています。しかし、本来、保育園の整備は公園を潰して行うべきではなく、別途、確保すべきものです。保育園など福祉施設の公園内への整備は、公園の本来の機能を損ねる可能性があること、また、オープンスペースの持つ防災機能が低下することからも、この議案には反対するものです。

議案第167号川崎市屋外広告物条例の一部を改正する条例の制定についてです

国の規制緩和により、公共空間を活用した屋外広告物の設置に関する規制を緩和するものです。現行の屋外広告物条例では、駅前広場や横断歩道橋などが禁止地域、禁止物件に該当していますが、これらの地域で屋外広告物の表示などをするために、条例改正するものですが、公共スペースは案内など分かりやすく見えやすく表示されることが好ましく、企業の広告にそのスペースを活用すべきではありません。また、その収益を施設の維持管理に使うとの事ですが、広告収入の有無に関わらず、必要な維持管理には予算を割くことは市としての当然の責務であり、その点からも、本議案に賛成することはできません。

議案第171号東扇島堀込部井筒式護岸築造その2工事請負契約の締結について、及び議案第172号東扇島堀込部ケーソン製作その1工事請負契約の締結についてです

 この議案は、東扇島堀込部土地造成事業の護岸整備において、護岸取り付け部を井筒式鋼管矢板にて築造、また、ハイブリッドケーソンを製作するというものです。これまでも、掘り込め部の埋立て事業については持ち出された当初の目的は、すべて破綻しており、理由のない事業には反対していることから、議案第171号及び、議案第172号については反対です。

議案第183号南部地域療育センターの指定管理者の指定についてです

療育センターは利用者にとっては高度な専門的知見と同時にスタッフとの信頼が継続されなければなりません。2014年度、直営から指定管理者制度に移行される際に、本制度は期間終了後には公募が行われ指定管理者が変わることがあることから、利用者、保護者に不安を繰り返し与えるなどの制度上の問題を指摘して指定管理制度導入に反対してきました。この立場から、本議案には賛成できません。

請願第50号公的年金の毎月支給を求める意見書を国に提出することに関する請願についてです

年金生活者にとって隔月の年金支給は、冠婚葬祭などの臨時の支出がある場合は次の年金支給日までは「生活費を極力抑える、借金でしのぐ、医療機関に掛かることを我慢する」などの実態があります。また、年金が毎月支給されることにより、月毎の計画的な生活設計が成り立つことなどから毎月の支給を求めています。国は政令市からの「毎月支給」の要望に対して、振り込み手数料などの増加で年間数十億円の増加やシステム改修が必要なことなど業務面、費用面に課題があるとしていますが、国は年金生活者の願いに応えるべきです。年金の毎月支給を求める意見書を国に提出するよう求めます。

以上の立場から、議案第160号、議案第161号、議案第162号、議案第165号、議案第167号、議案第171号、議案第172号、議案第183号については反対、請願第50号その他の議案、請願、報告については、賛成することを表明して討論を終わります。