議会報告

2010年6月22日

2010年第3回市議会定例会で石田和子議員がおこなった代表討論


DSC00675 6月17日に石田和子議員が日本共産党川崎市議団を代表して行った討論は次のとおりです

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私は、日本共産党を代表して、今議会に提案された諸議案について、討論をおこないます。

議案第81号 川崎市保育園条例の一部を改正する条例の制定についてです。
川崎市末長保育園を民営化するための条例制定です。
小田中保育園・小田中乳児保育園の保護者による「指定管理者の指定を取り消す」訴訟は、控訴は棄却されたとはいえ、判決では「当初の説明にあった本件各保育園における定員増、子育て支援センターの設置が、後に撤回されたこと、経費削減額が正確な金額であるとは言えない」として、「民営化をする理由についての説明が不十分であった」と述べています。
わが党は、これまでも市が民営化の理由としてあげてきた点について、その根拠が崩れていると指摘してきました。延長保育など多様なニーズへの対応についても「直営」でも可能であり、待機児解消についても民営化しなければ定員増が図れないということではありません。
民営化は、今まで培ってきた職員と子どもたち、保護者とのつながりを断ち切り、その保育園を選んだ保護者の選択権をも侵害するものです。また仮に、民営化によってコスト削減が期待できるとしても、その要因は正規保育士の人数と経験年数の違いによるものです。コスト削減を優先すれば労働条件の悪化を招き、保育士の離職率を高め、人材確保を困難にし、保育の継続性を断ち切り、保育水準の低下をもたらします。
よって、公立保育園の民営化方針は見直し、公私間格差是正措置を拡充するなど保育水準の向上に全力をあげるべきです。以上の立場から、本議案には反対です。

議案第87号 川崎市かわなかじま保育園の指定管理者の指定、並びに議案第88号川崎市みぞのくち保育園の指定管理者の指定についてです。
いずれも指定管理者を公募しましたが、これまでの指定管理者以外に応募がなく、審査結果でも基準点を上回っていたことから、引き続き指定管理者に指定しようとするものです。
委員会の審議で、保育士17人中13人が、結婚、出産・育休によって入れ替わっている実態も明らかになりました。指定管理の開始時に、若い保育士を中心にしてコストを抑えようとする経営戦略と密接に関係していると考えざるを得ません。今回の指定期間の5年間については、いずれの議案についても人件費のベースアップを見込んだ内容となっていますが、5年後の再指定の際に競争相手が現れれば、対抗上、経費の7割から8割を占めている人件費を圧縮せざるを得ず、結果として継続した保育が断ち切られることから、2つの議案には反対です。

議案第90号、市道路線の認定および廃止についてです。
今回提案のあった市道の認定のうち、宮前区内の菅生ヶ丘2号線、3号線の認定について問題点を指摘しておきたいと思います。
この道路は、菅生ヶ丘の宅地開発に伴い整備されたものですが、開発地域内の道路整備には、地域住民から疑義が上がっていました。この開発行為では、市道284号線を支えていた道路の擁壁部分を埋めて宅地化した部分を、事業者に提供する一方、開発で生じた道路を市に提供するという「相互帰属」という、土地を交換する手続きが取られました。
しかし、この土地の交換は、きわめて事業者に有利なものでした。市道の擁壁部分を埋めて作られた155の土地がなければ、宅地の販売戸数を減らさざるを得ず、事業者にとっては、大変重要な土地でした。
一方、事業者からは、交換用地として提供された土地は、開発事業にとって必要な道路を整備した部分に過ぎず、わざわざ、市の土地と交換する必要のない土地でした。
さらに、この交換について、住民に対し、事前に説明がされていなかったことにも問題があります。もともと、市道の土地の交換や付け替えについては、隣接する住民の影響があることを考え、地元町会長の承認を得ることになっていますが、当該地の場合は、「擁壁部分であることから、住民には影響がない」との市の判断で、地元の承認を取らずに手続きが行われました。
このような土地の交換について、地元町会をはじめ多くの方から、「市道284号線の法面の付け替え取り消し」と埋められた市有地を活用した「道路の拡幅」を求める請願が出されたことについて、市は真摯に受け止めなければなりませんでした。
もともと、この開発事業は、「問題がある」と住民から計画の見直しを求める請願が出されていたもので、2年前のまちづくり委員会では、「住民の生活環境に配慮していない」ことや、「アセス逃れの疑義がある開発である」ことが、問題となり、趣旨採択されていたものです。
このような経過を踏まえれば、今議案の提案も、もっと、慎重に行われるべきであり、住民にも何ら説明されることなく、進められようとしたことは、きわめて遺憾であると言わなければなりません。
今議案の審査にあたって、住民からの請願審査を急きょ併せて行うなど、混乱がありました。委員会冒頭で建設緑政局長も、議案提案の経過について謝罪するなど、異例の事態となりました。委員会では、退避場所の確保等を含めて車道と歩道の幅員の見直しをするなど、地元住民の意見を伺って安全対策を図るということになりましたが、当該開発計画に伴う行政財産の処分のあり方について問題がなくなったわけではありません。
市民生活に欠かせない基盤道路を市道として認定し、市が責任を持って管理することになる「市道路線の認定」については、反対するものではありませんが、行政財産の処分のあり方に納得できないものがありますので、議案第90号は、賛成できません。

議案第91号黒川地区小中学校新設事業の契約の変更については、契約の仕方・教育方法などに疑義があり契約締結に反対した経過から、この議案には賛成できません。
以上の立場から、議案第81号、議案第87号、議案第88号、議案第90号、議案第91号については反対、その他の議案と報告については賛成及び承認することを表明して討論を終わります。