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2007年10月24日

「保育緊急5カ年計画」を検証する(1)


2007,10,24, Wednesday

2007,10,24, Wednesday

待機率が政令市ワースト1位など保育園不足への批判と増設を求める市民世論におされ、このほど川崎市が「保育緊急5カ年計画」(2007年?2011年)を発表しました。計画の問題点と課題を検証していきます。(日本共産市会議員・石田和子)
この増設目標で待機児をゼロにできるのか
「5ヵ年計画」で公的保育の受け入れ枠を約2600人(認可2300人含む)拡大することは、保育園増設を求めてきた市民運動の成果として一定評価できますが、この数で待機児ゼロを実現できるのでしょうか。
不足が懸念される新たな計画
新たな計画の策定にあたって健康福祉局長は、「本市及び各区の人口推計を基本に、今後の大規模住宅建設などによる人口急増地域の新たな保育ニーズを勘案し検討した」(9月議会)と答弁しています。しかし、今年4月に待機児数が市内で最も多かった高津区を見ても、新たな計画での認可保育所の定員増はわずか335人。すでに今年2月時点で同区の入所不承諾数は453人(申請数1134人)にのぼり、さらに、市が今年5月に発表した将来人口推計調査でも、同区は05年から2010年の間に0?4歳人口が400人増加すると見込まれていることからも、足りなくなる可能性が強く懸念されます。
的確な推計をしているか
あれだけ市長や市当局が、今年4月には認可保育所の待機児がゼロになるといいながらできなかった原因は、保育基本計画・事業推進計画の「保育を必要とする推計」が甘かったことにあります。
「5カ年計画」では「各区の異なる地域性や開発計画等の状況に対応した保育サービス量を検討し」「必要な地域に施設の整備を行なっていきます」としているだけで、区別の「保育を必要とする」人口推計は示されていません。どのように保育需要の的確な推計をしているのか疑問です。待機児が1人でも出ること自体、行政の責任が問われますが、今後、新計画でも足りない実態が明らかになった時点で、ただちに増設目標数の拡充が求められます。
「得機児」のとらえ方にも問題
待機児解消をめざす新たな計画策定にあたっでは、「待機児」のとらえ方も重要な問題です。
健康福祉局長は、待機児童の定義について「保育所利用申請数から保育所に入所した児童数を除き、さらにそこから認定保育園、おなかま保育室、家庭保育福祉員で対応している人数と産休・育児休業中の申請を除き、新たに創設するかわさき保育室、商店街店舗活用保育施設で対応する児童を除いた人数とする」と回答しています。
認定保育所へ入所申請をしても入れなかった児童数は06年10月時点で2796人(待機児は1394人)、今年4月時点でも1589人(待機児は465人)にのぼりました。そのうち今年4月時点も、入所要件で最も入りやすいはずの「Aランク」でも105人が待機児になりました。就職先が確定(Dランク)していても、入所できなければ働けません。当然、D?Eランク(求職中)まで対応しなければ、待機児解消はできません。
こうした入所できない児童数の現状をみただけでも、「5カ年計画」の目標数では少なすぎます。あいまいな人口推計であるとすれば、なおさらです。(つづく)