議会報告

2011年12月19日

共産党提案の意見書も採決~TPP、社保・税制改悪、原発では対決


DSC01933DSC01941

DSC0192112月15日、日本共産党川崎市議団が提案した3本の意見書案を含む8本の意見書案が審議されました。
共産党が提案した「予防接種に関する制度の拡充を求める意見書」案は賛成多数で可決、「TPPへの交渉参加表明の撤回を求める意見書」案(勝又議員が提案説明)、「社会保障・税一体改革成案の撤回を求める意見書」案(大庭議員が提案説明)は自民、公明、民主、みんなの党等の反対で否決されました。提案した意見書は下記のとおりです。
また、自民党議員が提案した「原子力発電所の警備等に関する意見書」案に佐野仁昭議員がその内容について質疑。佐野議員は、すでに講じられている対策を具体的に指摘して更なる対策を講じなければならない理由や、危険な対象は核燃料工場・再処理施設・運搬中車両等もあること、テロや放射能事故の心配がいらない再生可能エネルギーへの転換の考えについて質問し、「いまこそ原発から撤退し放射能漏れもテロも心配いらないエネルギー政策に転換することこそ、唯一の国民の安全を守る対策と考える」とのべ、意見書案に賛成できないと述べました。

(意見書案第23号)
予防接種に関する制度の拡充を求める意見書
国は、子宮頸がん予防ワクチンなど3種のワクチンによる接種緊急促進事業を、平成2 2年11月26日から平成23年度末までの時限措置として実施しているが、ヒブワクチ ン及び小児用肺炎球菌ワクチンについては一時接種を見合わせた時期があり、子宮頸がん 予防ワクチンについても供給不足が発生するなど、当該3種のワクチンは、対象者に十分 行き渡ったとは言えない状況である。
また、3種のワクチンに対応する疾病以外にも水痘や成人の肺炎球菌感染症などのVP D(ワクチンにより防ぐことができる疾病)は、本来このような短期の臨時事業で解決で きるものではなく、公費負担で永続的に事業の実施を行ってこそ国民の健康の保持増進に 大きく力を発揮するものと言える。
さらに、専門家からは、我が国の公的予防接種体制は米国を始めとする先進諸国と比べ て対象となる疾病及びワクチンの種類が少ないことや、公的予防接種に社会防衛的な性格 があることが指摘され、VPDについては、可能な限り公的予防接種の対象とするべきで あるといった意見も出されている。
よって、国におかれては、3種のワクチンによる接種緊急促進事業を当面の措置として 来年度も継続し、その効果及び安全性について検討した上で、国の財政支援を明確にして 予防接種に関する制度の拡充を図るため、次の事項について特段の措置を講ぜられるよう 強く要望するものである。
1、現在、公費負担の対象となっていないVPDを予防接種法における予防接種の対象 とすること。
2、3種のワクチンによる接種緊急促進事業の対象となる疾病を将来的には臨時的な措 置ではなく予防接種法における予防接種の対象とすること。
3、安心して平等に受けられる予防接種体制を確立すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

(意見書案第27号)
TPPへの交渉参加表明の撤回を求める意見書
本年11月11日、野田首相は、TPP(環太平洋パートナーシップ)への交渉に参加する方針を表明した。
TPPに参加することになれば、農林水産省の試算では、農産物の生産額は4兆1千億円程度減少し、約340万人の就業機会が減少するとされ、さらに、これまで国民生活を守るために設けられてきた様々な規制についても、貿易障壁として撤廃を求められ、その結果として国民生活に重大な影響を及ぼすことが危惧されている。
例えば、医療にあっては、株式会社による医療機関経営や混合診療への規制が撤廃され、 医療格差や国民皆保険制度の崩壊を招く可能性、食品にあっては、残留農薬、遺伝子組換え食品、BSE(牛海綿状脳症)等への対策などについて他国よりも厳しいとされる食品規制の撤廃を迫られ、食の安全を確保できなくなる可能性などが指摘されている。
さらに、一度規制が撤廃されると、国民を保護するために国及び地方自治体が再び規制措置を講ずることを禁止されるとの想定もあり、その場合は国民生活に被害が生じても是正することができなくなってしまう。
TPPへの参加に対しては、全国農業協同組合中央会や日本医師会、消費者団体など広範囲にわたる反対の意見があり、その上、全国の地方自治体の首長の多くが反対している との報道機関による調査結果もある。
また、国民世論の圧倒的多数は、政府の説明及び情報提供の不足を指摘しており、野田首相のTPPへの交渉参加表明は、こうした多くの意見を無視するものである。
よって、国におかれては、国民へ深刻な被害をもたらすTPPへの交渉参加表明を撤回されるよう強く要望するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

(意見書案第28号)
社会保障・税一体改革成案の撤回を求める意見書
政府・与党社会保障改革検討本部において、社会保障と税の一体改革の具体的方向を取りまとめたものとして、経済状況の好転を条件に2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げることとした社会保障・税一体改革成案が本年6月に決定された。
しかしながら、その中で社会保障改革の主な項目として掲げられている高齢者医療制度における医療費の自己負担割合の見直し、年金の支給開始年齢の引上げなどは、容赦のない社会保障の切捨てである。
一方、低所得者層ほど負担が重くなる逆進性の強い消費税の増税は、社会保障で支えるべき人に重い負担を課すことになるため、社会保障の財源を確保する方策として適当であるとは言えない。
このように社会保障の所得再分配の機能を台無しにする消費税の増税は、中小企業にとってもその負担は極めて重く、より一層の景気悪化を招く原因となる。
なお、社会保障の財源については、軍事費を始めとする不要不急の経費や大企業と大資産家への行き過ぎた減税を見直すことにより確保するべきである。
現在、東日本大震災からの復興に国民を挙げて取り組んでいるさなかで、その長期化も予想される時に、消費税を増税し、社会保障を後退させることは、国民の意欲を減退させ、 暮らしと経済に大打撃を与えることは明らかである。
よって、国におかれては、社会保障・税一体改革成案を撤回し、方針を転換されるよう強く要望するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。