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2012年5月17日

震災復興・がれき処理視察(1) 大船渡市


日本共産党川崎市議会議員団は5月14~15日、大船渡市と陸前高田市を訪問し、①被災したみなさんがどんなことに困っているのか、②被災自治体の直面する震災復興の課題は、③現地でのがれきの処理の状況は、といったことを中心に視察してきました。

○大船渡市 永浜・山口地区 災害廃棄物二次選別所

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14日、現地の滝田三男市議(共産党)とともに災害廃棄物二次選別所を視察し、大船渡市都市整備課長、委託を受けているリマテック株式会社の所長さんが案内と説明をしてくださいました。

大船渡市は災害廃棄物の処理を共同企業体に委託しています。委託先は大阪府にある企業で、阪神大震災のがれき処理を経験してノウハウを持っている企業だとのことです。150人が第二次選別場関連で働いており。そのうち145人は大船渡市民、さらにそのなかの40人は大船渡市の「緊急雇用制度」で雇った人とのことでした(大船渡市全体の緊急雇用は110人)。

・処理の進捗状況

太平洋セメントの協力で大船渡市の処理状況は県内でも進んでいます(下表)。太平洋セメント大船渡工場も被災していたため昨年6月に処理を始め、「分別されれば原料にできる」とのことなので、がれきを分別して処理を依頼しているとのことでした。大船渡市の可燃物に関しては太平洋セメントで処理できる見通しとのことです。

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・作業の状況

二次選別場では市内の各仮置き場から運ばれてきたがれきをリサイクル・再利用するための分別作業が行われていました。粉じんが舞う中で重機に混じって人力で一輪車を引いたり、ベルトコンベアで運ばれるがれきを手で選別する作業が行われています。

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・放射線対策の状況

仮置き場の空中線量は毎週測定しており、首都圏とほぼかわらない線量(5月9日:0.06μsv/h 参考:大船渡市HP)ということでした。4月から月1回のがれきの物質測定も行い、最も高かった昨年9月の測定で、木材のチップは不検出、漁網から200bq/kgが検出されたそうです。

・漁網の扱いが困難

ホタテの養殖などに使っている漁網(写真)はロープ・プラ・金属が混入しているため、処理が困難だということです。分別しようとすると年単位の時間がかかり、燃やすこともできないため、そのまま埋め立てるしかなく広域処理が必要になる、ということでした。

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○滝田市議との懇談

続いて、滝田三男大船渡市議(共産党)と懇談し、市内の被災状況を案内していただきました。

市議会としては仮設住宅など住民の中に入っていくことがないなかで、日本共産党は全国からの支援を得てボランティアにとりくみ「共産党を見直した」との声が寄せられている、とのことでした。また、まちづくりがなかなか進まないこと、市役所は無事だったものの、それまでの職員削減により他都市の応援なくして行政の仕事ができない状況だ、と困難さを話していました。

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・がれき処理の要望も

懇談の中では、二次選別場は住宅地から離れた港湾地域内の未利用工業用地にあり、当面置いたままでも困ることはないが、「一年でも早くがれきが処理できれば他のことに土地が使える、広域処理をお願いしたい」という要望もあることなどが話されました。

・漁業の状況は?

カキの養殖などには3年ほどかかるため、1年でできるワカメの共同作業などをはじめており、ワカメは60%の復旧とのことでした。第一次産業が主要な産業であることから、震災による失業が多く、浜のがれき清掃には県が日当1.2万円(当時)出すなどしてワカメ養殖の開始までつないだ、とのことでした。二次選別場などのがれき関係の仕事は建設業協会があっせんしているそうです。

漁港は一部仮復旧しているものの、地区ごとに複数ある漁港のうちの一港だけを重点復興する計画になっているために、例えば5つの浜がある地区では、「2つ隣りの浜にワカメをあげて、自分の作業場にトラックで運ぶ」といった大変さがあるといったことが話されました。

・市内の被災状況

ホタテの養殖の作業をしていた方たちは、「作業場が流されてこうやって外で作業をしているんだ」と話していました。

消費税増税について滝田議員は、「家を失った人たちがこれから住居を再建していく、そういうときに消費税が増税されれば、家を建てるのに百万円単位で消費税がかかる。義援金や被災者生活再建支援制度の300万円がほとんど消費税に消えることになり、とんでもないことだ」と話していました。

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