議会報告

2016年3月4日

川崎港の経営統合参加は疑問~大庭議員が代表質疑


DSC068352月15日の2016年川崎市議会第1回定例会で、大庭裕子議員(中原区)は、川崎港湾施設の指定管理者を指定する議案について日本共産党を代表して質疑しました。

この議案は、川崎港と横浜港のコンテナターミナルの運営や設備整備などを一体的におこなうために設立された横浜川崎国際港湾株式会社(港湾運営会社)と、これまでの川崎港コンテナターミナル指定管理者である川崎臨港倉庫埠頭株式会社の共同事業体に、川崎港の指定管理者として指定するものです。京浜港「国際コンテナ戦略港湾」施策に沿って進められているものですが、現時点では東京港は参加していません。

大庭議員は川崎港と横浜港の経営格差を指摘してこのような複雑な仕組みをとってまで経営統合に乗り出すことを批判的に質問しました。

港湾局長は川崎港が京浜港の運営に参画することで「新規航路誘致やコンテナ取扱量のさらなる増加いった具体的な成果に結びつけていくことができる」と答弁しました。

大庭議員の質問予定原稿はつぎのとおりです(議事録ではありません)。

2016年第1回川崎市議会定例会代表質疑(分割先議)

私は日本共産党を代表して、提案されました諸議案のうち、議案第41号港湾施設の指定管理者の指定期間の変更について、及び議案第42号港湾施設の指定管理者の指定について、並びに議案第65号平成27年度港湾整備事業特別会計補正予算について質問します。

本議案は、国際戦略港湾である京浜港において、港湾運営会社である横浜川崎国際港湾株式会社の設立に伴い、横浜市とともに特例港湾運営会社の設立を行う出資金4500万円の補正予算と、川崎港コンテナターミナルの指定管理者として新たな港湾運営会社と現事業者である川崎臨港倉庫埠頭(株)の共同事業者に対して指定管理を指定するというものです。

そこでまず、横浜市との違いについてうかがいます。

横浜市では、出資金を出しますが、横浜市は貸付料を受け取るだけです。

横浜川崎国際港湾(株)が、横浜市の財産を借り受け、コンテナターミナル施設の整備計画の立案し、事業費の8割の無利子貸し付けを受け、ガントリークレーン等を整備し、維持管理も含めて、港湾運営会社が行うということです。

しかし、川崎市は、出資金を出した上に、更に、川崎臨港倉庫埠頭(株)を残して、横浜川崎国際港湾株式会社を共同事業者として加えた上で、改めて指定管理を行い、港湾使用料収入は、川崎市の歳入になりますが、当然、コンテナターミナルの施設整備、ガントリークレーンなどの維持、更新については、川崎市が行うことになります。何故このようなややこしいやり方をしてまで、経営統合に参加しなければならないのか、伺います。

次に、経営統合に関してですが、特定港湾運営会社は、経営方針に基づいて、コンテナターミナルの整備方針を立て、新たな施設整備は、無利子貸付を受け、港湾運営会社自体で進めていくことになります。そうなりますと、現時点においては、川崎港コンテナターミナルは、指定管理制度で運営していくわけですから、民間会社の経営方針に基づいて、施設整備は、川崎市が行うことになるのでしょうか、伺います。

また、「集荷の役割分担によるアジアとの直行航路の誘致を図るとともに、北米・欧州とを結ぶ国際基幹航路の競争力強化にも貢献する」ということですが、競争力強化には、港湾利用に関わるコスト削減が不可欠とされています。しかし、川崎港コンテナターミナルについては、市有財産の貸付では、事業採算が取れないから、指定管理方式にするということですが、競争力強化のためのコストの削減を受け入れが可能なのでしょうか。また、その場合に、コスト削減に伴う港湾施設利用料の引き下げを要求されたときに、断ることは出来るのでしょうか。見解を伺います。

以上で質問を終わります。

再質問

港湾局長に再度質問します。

ご答弁では、広域的な集荷が期待できるとか、国策に従った港湾運営を行うことから、関連する直轄事業や補助事業等に重点的な措置がなされるものと考えるとしていますが、これまでも国策にしたがってKCTを整備してきた結果、破綻をきたした過去の失敗を踏まえても、国策にしたがっているから重点的な措置が期待できるというのは、いささか疑問です。

しかも、現実問題として、川崎港を利用する方々に従来どおりの利便性の確保を期待されるからというものです。従来どおりの利便性の確保というならば、経営統合に参加しない場合でも、川崎市が直接、これまで通り川崎港コンテナターミナルを運営することは十分可能と考えますが、見解を伺います。