議会報告

2016年3月4日

暮らし支える施策拡充を~市古映美団長が代表質問


DSC069212016年川崎市議会第1回定例会で3月1日、市古映美市議団長(中原区)が代表質問をおこない、市民の暮らしを支える施策をさらに拡充するよう求めました。

再開発にともなう建て替えのため、今月末から2019年度まで休止とされた小杉地域の「小杉こども文化センター」について市古団長は、代替となる施設やスペースを確保するよう要求。小池義教こども本部展は「仮設建物内にスペースを確保できる方向性を確認した」と述べ、今年4月から仮設建物ができるまでの間は、代替的機能を確保するよう調整中だと答弁しました。

新たな耐震改修促進計画(案)について市古団長は、党市議団が繰り返し求めてきた耐震シェルターや耐震ベッドなどが補助対象になったことを評価し、上限額を引き上げるよう要望。木造住宅耐震改修助成制度については、一般世帯の補助率を2分の1から3分の2に引き上げる一方、補助限度額を減額するとしたことに対し、限度額を維持するよう求めました。

精神障がい者が精神科以外の疾患で救急車を呼ぶと、精神疾患があることを理由に受け入れを拒否される問題では、解決のために関係機関に働きかけるよう追求しました。

以下は代表質問の予定原稿です(議事録ではありません)。

2016年第1回川崎市議会定例会日本共産党代表質問(日本共産党 市古映美)

私は日本共産党を代表して2016年第1回定例会に提案された市長の施政方針、予算案を含めた諸議案、及び市政一般について質問を行います。

最初に予算案の特徴についてです。

新年度予算の歳入は前年度当初比201億円3.2%増と過去最大規模の6390億円。歳入の根幹である市税収入は対前年度予算比較で53億円1.8%増の3015億円とはじめて3000億円を超え、3年連続で過去最大となりました。

市税収入のうち、法人市民税は企業の収益改善があるものの地方法人税(国税)の創設に伴う法人市民税の税率引下げにより、8億円減前年度比3.6%減となっていますが、個人市民税は32億円2.7%増、固定資産税が21億円1.8%増となっています。

市税の約4割を占める個人市民税が昨年に引き続き増加しているわけですから、市民生活を応援し、市民要望に十分応える予算となっているか検証が必要です。

ところが、新年度予算の特徴をみると、健康福祉費が高齢者などの社会保障費の自然増を入れてもわずか1.5%増にすぎないのに対して、港湾費が前年度比22%、22億円増加、建設緑政費が26.9%、72億円増、新たに設けられた臨海部国際戦略本部の予算が5億6500万円計上されているように、大規模事業費が大幅に増加しています。市民要求実現には抑制的で大規模事業には大盤振る舞いという印象を受けます。

過去最大の歳入、財政状況がきわめて堅調な状況で“財政が厳しい”という理由が成り立たないにもかかわらず、市長は、減債基金から92億円借入れをおこなったことを最大の根拠に「厳しい財政状況が続く」としています。

そこで「厳しい財政状況」の根拠とされる減債基金についてです。2016年度の減債基金からの借入見込み額は昨年7月時点の試算では124億円、10月時点で119億円、11月時点121億円、今回の予算案では92億円となっています。最終的にはもっと少なくなる可能性がありますが、仮に92億円だったとしても、そもそも減債基金は市の預金であり、新年度も新たに493億円を積み立てた結果、残高は2047億円を超える見通しです。借入れることが「厳しい財政状況」の根拠とする理由は成り立ちません。減債基金からの借入れを理由にした、“財政が厳しい”という強調はやめるべきです。市長に伺います。

行財政改革に関する計画案についてです。

新年度予算案と同時に「行財政改革案」も発表されました。

小児医療費助成事業に一部負担金の導入、重度障害者医療費助成事業に負担導入、保育所保育料の値上げ、高齢者外出支援乗車事業の年齢引き上げ・料金値上げ、成人ぜん息患者医療費助成制度の負担増、家庭ごみの収集有料化など、市民サービスのさらなる切り捨てと負担増の検討が目白押しです。

格差と貧困は市内でも広がり、市民生活はますます苦しくなっています。

川崎市の雇用者数は、2002年から2012年の10年間で10.4万人増えていますが、非正規労働者の増大で、2012年で年収300万以下は6万人増で市内労働者の44%にのぼっています。年収400万円以下は8.6万人増え約6割を占め、一方、年収1500万円以上はほとんど割合が変わらず、所得格差が広がっていることがわかります。市の国保加入者は所得200万円が77.7%、300万円未満は87.6%にのぼっています。

「行革」による負担増はこうした市民生活に追い討ちをかけるものです。これのどこが、市長のいう「誰もが幸せを感じられるまち」「川崎をもっと住みやすいまち」にするための施策なのでしょうか。財政上は将来的にもまったく理由がないわけですから、市民サービス削減・負担増の行財政改革はやめるべきです、市長に伺います。

ヘイトスピーチ問題について伺います。

1月31日に川崎区富士見公園などで、在日韓国・朝鮮人の方々など外国人を口汚くののしる民族差別集会等が行われました。国連人種差別撤廃委員会は「(ヘイトスピーチを放置すれば)大規模人権侵害およびジェノサイド(虐殺)につなが」る、とその危険性を指摘しています。市長も17日の記者会見で、ヘイトスピーチについて「異常な状態だ。歴史的にも多様な文化を受け入れてきた川崎で行われているのは残念」と述べ、国に実効的な対応を求める要望書を出す方針と報じられています。

東京弁護士会は地方自治体に向けた冊子を発行し、表現の自由が萎縮・制約されないように配慮しながら、自治体として可能な措置・対応を紹介し、ヘイトスピーチを行う団体等の公共施設の利用制限などの対応を求めています。本市もヘイトスピーチ対応策を検討すべきです。市長に伺います。

子育て環境の改善についてです。

小児医療費助成制度の拡充についてです。

新年度から通院助成の対象が、小学3年生まで1歳分だけ拡大されます。所得制限を撤廃した場合、ゼロ歳から小学3年生までの助成対象者数は12万6571人になりますが、所得制限によって1万6741人(13.2%)が助成を受けられません。市民税の収入増に貢献している世帯や、わずかな収入の差で所得制限の壁で除外される世帯の方などの不公平感は計り知れないものがあります。所得制限の撤廃を早急に検討すべきです。市長に伺います。また、通院助成対象を中学校卒業まで拡大することについて市長の見解を伺います。2017年度から小学6年生まで助成を拡大することと同時に、一部負担金の導入の検討が打ち出されたことに、不安と反対の声が高まっています。通院1回500円の場合で小学1年生から6年生まで3億9千万円以上の医療費の自己負担が見込まれます。これは市長の「小学6年生まで無料化」という公約とは程遠い負担増と考えます。一部負担金の導入はやめるべきです。市長に伺います。

保育園待機児童解消についてです。

2016年4月入所の新規の認可保育所利用申請者数は2月1日現在、9,118人に対し、入所内定数は6,111人、入所保留数、いわゆる不承諾数は過去最高の3,007人で、申請者の33%、3人に1人が入れませんでした。利用申請数は前年度より553人増加し、経済的な理由からも保育所入所のニーズが一段と高まっていることがわかります。

2016年4月の定員は、15年4月時点より、認可保育所を含め全体で1,860人分増やしたものの、過去最高の不承諾数となりました。新年度予算案には2016年度中の認可保育所整備事業費として1,390人の定員を増やす計画が示されていますが、この規模では申請数の増加に追いつきません。国は待機児解消策として認可保育所等の整備の補助に「安心子ども基金」の積み増しを行ないます。「安心子ども基金」を活用することも含め、計画を上乗せすべきですが、伺います。

議案第19号川崎市こども文化センター条例の一部を改正する条例の制定についてです。小杉こども文化センターの利用者は多く、昨年度は4万人近くの子どもたちが利用し、まさに子どもにとって心地よい「居場所」そのものです。再開発のため、この3月末で閉鎖されるということで、私たちは以前から小杉こども文化センタ-の代替施設を求めてきました。

利用者説明会が開かれたのは昨年の12月末でした。私たちも利用者からのメールで説明会を知り、参加しましたが、真剣に検討した誠意もまったく感じられないものでした。

新しい「川崎市子ども・若者ビジョン(案)」では、「子ども・若者が安全で安心に過ごすことのできる居場所づくりを進める」と、居場所の重要性がうたわれています。にもかかわらず、小杉子ども文化センターの閉鎖をめぐっての対応はあまりにもひどいものです。この周辺は、超高層マンションが林立し、子育て世代もたくさん暮らしています。小杉こども文化センターを含む再開発計画は以前から計画され、川崎市がこのようなまちづくりを誘導してきました。代替施設・代替スペース地を確保のためあらゆる手立てをうつべきです。見解を伺います。

教育施策について伺います。

改めて、2014年度に県の少人数学級研究校となった120校から県教育委員会へ提出されている「研究報告書」からみえてくるもの、それは「少人数学級の良さ」です。

「ゆとりをもって児童に接することで、学習の中で困り感をもった児童にすぐ対応し、支援することができた。そのことで『わかる喜び、学ぶ楽しさ』を児童に味あわせることができ、基礎基本の充実につながった。児童1人1人とふれあう時間が増え、児童の悩みや友達関係のトラブルにいち早く気づき対応することができた」「少人数指導に比べ、教室移動は少なくなり、学習準備から移動までのせわしなさが減少、落ち着いた学習環境による学習活動が展開できた。また、教科指導上のメリットとしては、1人1人の生徒に合ったきめ細かい学習指導を行うことができた」などなど、この研究報告書は、まさに少人数学級の総合的教育的効果を実証しているのではないでしょうか。伺います。

教育長は、中学1年生の殺害事件を受け、再発防止対策の進捗状況の説明をした教育委員会会議の後、報道陣に「これをすれば必ず防げるとは申し上げにくいが、大事なことは児童生徒を理解し、わずかな変化にも気づいて見逃さないようにすること」と話されたということです。まさに、このことを実現するためには、児童生徒の学校生活の基本である学級の規模を小さくすること、少人数学級の拡充こそ、必要ではないでしょうか。伺います。

中学校給食について伺います。

東橘中学校での初めての中学校給食が試行実施されました。総務委員会の視察時、校長先生は「始めは混乱もありましたが、実施してよかったと思います。同じ釜の飯を食べるということでは、連帯感がうまれるような気がしています」と挨拶されました。保護者や関係者のみなさんと一緒に、30年以上も中学校給食の実現を言い続けてきた私たちは、とりわけ感慨深いものがあります。その意味で、中学校完全給食の実現まで運んできた関係者のみなさんのご苦労を思います。しかし、問題はこれから、ほとんどの生徒が喫食するセンター給食での実現がどうなるか、ということです。

東橘中学校は1学年ごとに配膳室が整備されており、ここまで給食専用エレベーターで調理員が配膳室まで運び、ここから当番の生徒がクラスごとに運んで配膳します。

給食の実施にあたって学校は給食時間を20分から35分に延長しました。

配膳準備にはクラス毎に差はありますが、17から20分ほどかかっていました。配膳室では食器から食管まですべてセットされていて、それをワゴンで平行移動させ、このような時間でした。センター給食ではこのままだと1階の配膳室から食器、保温食管を別々に生徒が3階、4階まで運ぶとされています。東橘中学校で喫食までの時間をみてもセンター給食ではそれ以上の準備時間がかかるのは目にみえています。

学校の校舎のつくりは様々です。そこからみても配膳室は1階スペースだけを基本とするのではなく、学校の実情をよく聞いてスムーズに配膳が運ぶように設置していただきたいと思います、伺います。また、各配膳室までは配膳員が運び、できる限り教室にスムーズに運べることができる配膳員の配置が必要です。配膳員は1学年に1人、最低各学校3人、大規模校ではそれに見合った人数が必要と考えます。伺います。

東橘中学校では国の配置基準に基づき、栄養士がひとりすでに市費で配置されていました。給食のとき、給食1口メモが配布され、食べる前に生徒がこれを読み、栄養士も教室を訪問していました。国の基準以外の栄養士の配置についての検討状況について伺います。

市立図書館の指定管理制度導入が検討課題となっています。

他都市でも指定管理制度の導入については、ここにきて様々な問題が露呈して、直営を続ける自治体もあります。横浜市では市内18館中青葉区で試験的に導入する1館だけで、民間委託増減の予定はなく「読書条例を踏まえ、今は公営維持が適切と考える」としていると聞きました。南足柄市では、2013年度に行革の一環として図書館市民検討会議が設置され、検討を重ねた結果、指定管理制度や全面委託を行わず、市直営で行政運営していくことが必要である、との結論に達した、ということです。

先月視察をした新館富山市立図書館も大変モダンな図書館で、司書の方々が子ども読書活動でもユニークな活動を展開されていて、開館は金・土は午後8時までで直営を守っていました。川崎でも特に子どもの読書環境の整備が重要なとき、その運用をよりよくするには図書館・家庭・学校・地域などの各関係者が連携し取り組んでいくことが必要です。図書館の運営は直営を堅持すべきです、伺います。

障がい者施策についてです。

4月から障害者差別解消法が施行されます。本市でも市の内部的規範となる「対応要領」を策定することになっており、「不当な差別的取り扱いの具体例」や、「合理的配慮の具体例」を記載することになっています。

障害者差別解消支援地域協議会についてです。

本市ではこの協議会をいつまでに組織するのか伺います。その構成員には障がい者の団体など当事者も加え、意見を聞くべきですが伺います。

すでに現在、具体的な配慮の要望が出されています。視覚障がい者の皆さんから、役所関係の通知の封筒は部署によって点字表記をしていないところがあり、すべての通知に差出課名の点字表記をしてほしいと要望が出されています。わが党の来年度の予算要望書に対し、「庁内に周知を図ってまいりたい」とのお答えでした。速やかな周知を要望しておきます。点字版の選挙公報は人数が多いことを理由に市会議員選挙が除かれており、他の選挙でも発行部数が大変少ないものとなっています。音声版も含め、必要とするすべての視覚障がい者に届くようにすべきと思いますが、伺います。

区役所の窓口における手話通訳者は、4つの区で週に1日しか配置されていません。また、麻生区は月1回、幸区と中原区には配置されていません。すべての区で窓口開設時間を通じて手話通訳者を配置すべきですが、伺います。

精神障がい者が精神科以外の疾患で救急車を呼ぶ、他科救急で受け入れを断られる問題も繰り返し求めてきましたが、直ちに解決するために関係機関に働きかけるべきと思いますが伺います。

障がい者の夕方支援について伺います。

高校を卒業した障害のある青年の夕方支援を早期に求める強い願いが昨年度より議会に寄せられています。日中すごす生活介護の事業所で時間延長が可能になれば、障害のある方にとっても安心して過ごせます。しかし現状は、夕方の別事業である「日中一時支援事業」の報酬は80%です。2割減算では事業所は赤字経営になってしまい、受入れられる事業所もヘルパーも見つからないという状況です。事業所アンケートでは、「要望に応えたいが、減算がネックで担えない」と多くの事業所が答えています。ライフステージに応じて自立した生活を送れるよう切れ目のない支援を行なうとうたわれている「第4次川崎市ノーマライゼーションプラン」の理念からも、日中一時支援事業は市の事業ですから、市として2割減算しないで実施できるよう検討すべきです。伺います。今年1月、市は生活介護事業所の利用者へアンケートを実施しました。調査結果を早期に施策に反映すべきと考えますが見解と対応を伺います。

高齢者福祉についてです。

地域包括ケアシステムについてです。

地域包括ケアシステムは、国においても2014年のいわゆる「医療、介護総合確保法」の改定において高齢者を対象としたものでした。ところが川崎市は、その対象をすべての地域住民に拡大しました。第5期計画から始めた取組の進捗や総括、課題が何ら示されずに計画を大きく変換させることで、本来高齢者の医療、介護の連携等の取組の継続や担当部署が不鮮明になり、逆に住民サービスの低下をきたすのではと大きな危惧を抱くものです。そこで伺います。

第5期計画では、包括的・継続的ケアマネジメント支援事業として、社会福祉士、主治医、介護支援専門員が連携するケアチームをつくり,他職種協働・連携の実現支援を行なうとありますが、この取組がどこまで進んだのか伺います。具体的に必要とする高齢者の何割くらいまで他職種連携による支援ができているのか伺います。

児童家庭課及びこども支援室の取組についてです。

児童虐待への対応についてです。児童福祉審議会の提言を受けて児童虐待の相談、支援は原則的に複数体制で行ない、児童相談所との連携の仕組みもつくられ、児童相談所に保健師が、児童家庭課に社会福祉職と心理職が配置されました。複雑多様化、増大する虐待通報、相談のもと、情報の共有化と高度な専門制と集団的な対応が求められます。体制の継続が必要ですが伺います。

児童家庭課の果たしてきたまさに「顔の見える関係性と継続性」を一体的にない混ぜにすることで、逆に関係性と継続性が薄まることにならないか危惧します。児童家庭課の「児童家庭相談サポート担当」は継続して残すべきですが伺います。

子どもから高齢者、障害者まで住民の福祉の最前線を担う専門職のひとつが保健師職です。保健師職をどう確保するのか、12月議会の答弁では,区役所内の保健師職の再配置を含め、適正な職員配置が行なわれるよう関係局と調整を行なっているとのことでした。高齢者も障害をもつ方も増え、本来、それぞれの分野においても増員が必要です。各区役所の保健師職の人員増について具体的に伺います。

介護予防・日常生活支援総合事業についてです。

この4月から、総合事業が実施され、新規要支援者、現行要支援者は認定更新申請に合わせて、訪問型サービス、通所型サービスともに現行相当サービス、基準緩和サービス、スーパー基準緩和サービスかを受けることになります。

現行相当サービスですが、現行と同様のサービス内容とし、報酬単価を1週あたりの報酬に換算した単位を設定し、出来高払いに変更するといいます。実施主体は訪問介護事業者です。現行は月単位の包括報酬であり、週単位にした場合、事業所の収入は9割程度になる可能性があります。昨年4月から介護報酬の引き下げがすでに行われたばかりです。事業所の運営をさらに圧迫するとして不安の声があがっています。横浜市は現行通りとするようですが、なぜ、このような改定をするのか、伺います。

川崎では2018年度以降、現行相当サービスの報酬をさらに下げるとしています。また報酬単価が70%の「基準緩和サービス」が要支援者のサービスの中心になるとしています。こうなれば要支援者を受け入れる事業所はなくなるのではないか、と危惧されています。何よりもこんなことになれば、必要としている人がサービスが受けられない、要支援者の介護難民をつくることになるのではないか、見解を伺います。

要介護度の更新時や新規の認定希望者に対し、チェックリストに誘導している実態はないか、安易なチェックリストによる判定はさけて、介護認定を受けることを保障することについて改めて伺います。

介護予防ケアマネジメントを行うのは地域包括支援センターです。今後、明らかに業務が拡大し、機能強化が求められます。担当地域の高齢者が5,500人以上の場合は1人増員されますが、この規定を見直して人員増を図るべきです、伺います。

介護職員不足についてです。

特養ホーム51施設のうち、3施設で介護職員不足のために稼働率が88.7%、80.9%64.4%となっています。川崎市の介護職員の離職率は32.7%で、全国平均17.5%に対し約2倍となっています。介護人材確保・定着に向けた抜本的な支援が必要です。東京都千代田区では「介護施設等人材確保・定着・育成支援補助要綱」を定め、労働環境の改善としてパート職員の時給単価上乗せ(1時間当たり千円を上限)、非常勤職員の正職員化費用、家賃補助(区内で5万円上限)、人材育成のための経費補助(職員の資格取得補助一人当たり10万円上限)などの支援を行なっています。本市でもこのような実質的な支援を実施すべきです、伺います。市政方針で市長は特養ホームの計画的な整備に言及しましたが、特養ホーム待機者は昨年10月時点で5035人、すぐにでも入所したい人は3662名います。2017年度までわずか500床の増床ではとても足りません。待機者解消に向けた年次計画を立て、年間1000床以上のテンポで増床が必要ではないでしょうか。抜本的な上積みについて伺います。

高齢者外出支援乗車事業についてです。

12月議会で健康福祉局長は「この事業は高齢者の外出を支援するとともに、社会的活動の参加が促進されており、健康と福祉の増進を図るという本事業の目的に資する取組」と答弁されました。パブコメでのこの事業に対する考え方でも「高齢者の社会的活動の参加を促進する上で、非常に重要な制度である」と言い切っています。それでも、計画案に見直しが必要と入っているとは、理解できません。見直しを本当にやるつもりなのか、伺います。

中小企業の支援策についてです。

新年度の経済労働費は約320億円ですが、融資の預託金約239億円、新川崎・創造のもりでの「産学交流・研究開発施設」の土地取得費約40億円、先端産業立地促進事業イノベート川崎の1社に対する2億1600万円の補助金を除いた中小企業者への支援額は28億円程度で、一般会計予算の0.4%に過ぎません。「中小企業活性化のための条例」を制定したもとでの予算としては、はなはだ不十分といわざるを得ません。例えば、「ものづくり中小企業経営革新支援事業」は、680万円増となり、「拡充事業」とされています。その中には「がんばる中小企業応援補助金」があり、「安定した経営の継続」を目的に講師の派遣、講習会への参加費用などを補助するものです。1社当たり25万円、8社分を想定しているとのことでした。「拡充した」といっても、市内には製造業だけで3千を超える事業所があります。あまりに予算規模が小さ過ぎます。より多くの事業者が「経営の継続」という課題に取り組めるよう、内容の充実を含め予算の増額が必要と思いますが、伺います。

市内建設事業者優先の公共事業発注についてです。

公共工事の施工時期等の平準化への取組で前進がありました。2016年度より開始し具体的には、2017年度に実施予定の公共工事の一部を2016年度中に契約し、工事を前倒しして実施するというものです。前倒す工事は約10件・総額約1億円ということです。工事請負契約に係わる契約実績でみると市長部局と上下水道局の実績では、2014年度契約件数1098件で契約金額は約670億円です。この実績からみるとまずは頭出しの感がありますが、今後の拡大の可能性について、最大でどの程度の前倒し工事が可能なのか、伺います。学校施設の効果的な整備の推進についてですが、新年度本格的に工事着工がされるのは校舎が14校、体育館16校です。学校の場合、集中的に工事ができるのは夏休みですが、工事を請け負った場合、完了するまでその事業に携わった労働者は他の工事はできません。これらの条件のもと、市内建設業者が入札不調になることは避けなければなりませんが、どのような工夫をするのか、伺います。次年度以降の工事について、大丈夫なのか、伺います。

東芝の1万人リストラについてです。

2015年4月内部告発によって東芝は粉飾決算を6年間も続けてきたことが明るみに出ました。資金繰り、事業の継続が危機的状況におちいり、傾いた経営を立て直すためとして、何の責任もない従業員を一万人リストラする計画を昨年12月に発表しました。半導体部門のリストラは全体で2800人、川崎市内では幸区の半導体事業部門の東芝小向工場が対象となります。昨年のルネサスエレクトロニクス玉川工場の閉鎖に続く大企業によるリストラ計画です。市内労働者の雇用を守る立場にある市長として、大企業に社会的責任を果たすよう求め、小向工場に対して、リストラ計画の対象人数や従業員の雇用実態を把握し報告をするよう申し入れを行い、雇用の確保、下請け企業などに与える影響について是正を求めるべきです。伺います。

防災対策についてです。

東日本大震災から5年を迎えますが、首都圏では直下型地震を始め、切迫性が予測される大規模地震災害に備えることも待ったなしです。

最初に住宅の耐震化について伺います。新たな耐震改修促進計画(案)では、2020年度末に市内全体の建物耐震化率95%とするとしています。ところがその内訳では、2015年度末での木造戸建て住宅の「耐震性不足建物」の数は3万5000戸でありながら、耐震化を図る必要数を8900戸とし、木造戸建て住宅では耐震化率目標を83.3%に止めています。なぜ、耐震化率目標を83.3%に止めているのか、その理由について伺います。今回、制度の見直しに当たっては、私たちは、議会で繰り返し要望してきました。一部屋耐震や耐震シェルター、耐震ベッドもようやく対象として加えられました。しかし、上限額が設けられています。耐震シェルターは30万円前後のものもありますが、耐震ベッドは10万円上限では9割補助でも難しいと思います。上限額を引き上げるべきと思いますが、伺います。

木造住宅耐震改修助成制度の補助率が一般世帯2分の1から3分の2に引き上げられましたが、限度額が一般世帯200万円から100万円、非課税世帯が300万円から150万円に引き下げられました。限度額はそのまま維持すべきですが、伺います。

耐震化を義務化した通行障害建築物について、当初は2019年3月までに耐震診断結果の報告義務を課しているだけでしたが、以前から要望してきた耐震改修費への補助制度が新たに設けられました。木造住宅については150万円までの限度額で4分の3の補助率です。非課税世帯など改修費の負担が難しい世帯については全額補助にすべきです、伺います。

水道事業における災害対策についてです。

本市の自己水源は相模湖と多摩区の地下水でした。しかし今年4月1日にこの地下水の取水を停止し、生田浄水場を廃止します。川崎市の水道は相模湖から長沢浄水場への1系統となります。神奈川県内広域水道企業団からの受水があるため日常的には2系統ですが、企業団の導水管は耐震対策が不十分であり、関東で大震災が起きた場合、管路が寸断され復旧されるまで企業団の水が来なくなる危険性があります。

仙台市水道局の「東日本大震災 仙台市水道復旧の記録」という記録集では「県広域水道の単独配水区域では長期間断水することとなったが、他の水系から水をまわすことが可能な区域では断水区域を縮小することができ、2系統化の有効性が示された」としています。鹿児島市でも災害時に違う水源、浄水場の水を相互に給水できるように連絡管を整備する「2系統化」の事業を行っています。本市も震災対策の一環として2系統化を行うために自己水源の地下水と生田浄水場を残すべきです。生田浄水場のろ過池とポンプ場を更新すれば可能です。伺います。

ワンルームマンションの建設の規制についてです。

川崎市ワンルーム形式集合住宅等建築指導要綱の改正案は、各住戸の専用面積引き上げ、管理人の配置などの強化や入居者の町内会・自治会加入の努力義務も定める提案となっています。一定の改善と受け止めますが、わが党が求めてきたファミリータイプの併設の義務化は見送られました。ファミリータイプの併設を要綱に盛り込むべきと思いますが、今後の対応も含め伺います。現在、計画中の物件に対し、現行では建設が認められても、建ったときには要綱上「既存不適格建築物」というのでは問題です。改正後の基準に適合した建築物になるよう促すべきと思いますが伺います。

臨海部国際戦略本部の予算について、伺います。

新たに局扱いとして立ち上げ、5億6479.4万円の予算を計上しています。

臨海部の歴史を振り返ると、これまで同様の計画がいくつも繰り返されてきました。

1980年代後半から90年代にかけて、いすゞ自動車川崎工場の撤退をはじめ、石油、電機、自動車等からも縮小撤退の計画が相次いで発表されました。これら企業再編と軌を一にして京浜臨海部再編協議会が立ち上げられ、拠点プロジェクトとして取り組まれたのが、浮島、東扇島の拠点開発で、浮島では7万人収容の国際サッカー場の建設計画も出されました。川崎コンテナターミナルの整備、基盤施設整備として東海道貨物支線の貨客併用化が計画されました。2002年には国の都市再生緊急整備地域の指定、2003年国際環境特別区の指定を受け、ペットボトルのリサイクルやガス化溶融炉による廃プラスチックのアンモニア原料化施設の整備、リチウムイオン電池の工場への土地の貸付など、莫大な税金が投入されてきました。その後、殿町3丁目地域は、ライフイノベーション拠点計画へと変わり、現在に至ります。

新年度予算では、最先端の研究開発や人材育成などを行う拠点としてのまちづくり機能の強化を図るという「リサーチコンプレックス推進プログラム」にまたも名乗りを上げ、このプログラムを活用した拠点マネジメント体制の構築費用として約2400万円計上しました。

このように、川崎市の臨海部再生の取り組みは、工場・事業所閉鎖後の遊休地の活用や、埋立地の土地利用などにからめて大規模基盤整備につながる計画が行き当たりばったり的に次つぎ打ち出され、その多くが時々の国策に乗る形で、多額の税金投入を伴ってきたものの、ことごとく失敗と破たんに終わってきた歴史です。今回の臨海部国際戦略本部の立ち上げと様々な新規事業のメニューは、これらの失敗と破たんをまた繰り返すことになるのではないでしょうか、市長の見解を伺います。

羽田連絡道路事業について伺います。

新年度予算で2億4398万円計上され、内容は調査設計費ということです。

市長の施政方針の中で、「羽田連絡道路については、オリンピックパラリンピックを目指し」と、2020年東京オリンピックまでの完成供用開始を目指すような表現がありました。東京都内を主な競技会場とする東京オリンピックまでになぜ羽田から川崎につながる連絡道路が必要なのか、市民にどう説明するのか、市長に伺います。

国道357号線の整備が具体化され浮島トンネルの構造等についても明らかにされていますが、そういう現状において3.5キロしか離れていない羽田連絡道路を整備することは、現時点において改めて二重投資とは考えないのか、伺います。連絡道路は活用されなければ税金の無駄遣い、逆に、交通量が集中すれば、ボトルネックによる交通渋滞を引き起こし、殿町地域の住環境悪化につながりかねません。交通量予測調査結果は一向に公表されません。公表はいつまでにどのような形で行うのか伺います。

川崎港コンテナターミナル事業に関連してです。

東扇島の堀込部の埋立て事業について伺います。建設発生土を埋立用材として受け入れ、海面埋立による土地造成を行なうもので、新年度から10年間の事業で、埋立土量は140万?で、概算事業費は約240億円とされ、新年度予算では調査・設計・資金計画の策定などで2億4千万円計上しています。一般財源に負担をかけずに短期間で土地造成を完了させる新たな資金計画スキームとして、事業費にかかる費用を埋立用材の受入料金に転嫁して、その調達資金で土地造成を行なうとしています。具体的にどれだけの建設発生土の受入要請が来ているのか、140万?の埋立土量が来ると裏付けできる具体的な根拠について伺います。

埋立土地造成の3つの理由についてです。

第一に「コンテナ貨物用地の拡張」についてですが、2025年の取扱貨物量がコンテナ換算で約40万TEUとなる見込みと述べていますが、この量は川崎港コンテナターミナルでのコンテナ取扱量ではなく、川崎港全体の貨物量ということか、伺います。

第二に「完成自動車用地の拡充」についてですが、増加する輸出用完成自動車を保管するための「ストックヤードが不足する」と述べていますが、東扇島での現在の常時保管台数、及び将来の保管用地の不足数を台数分で伺います。そもそも、完成自動車輸出に自治体が協力しなければならない理由について伺います。

第三に、6割が庫齢20年以上経過しているとしながら、東扇島内の倉庫業者(123社)のアンケート結果で、建て替えや設備更新等の「計画がある」は11%に過ぎません。緊急性が少ないことは明白なうえ、そもそも、海面埋立までして倉庫建て替え代替用地の確保に自治体が協力しなければならない理由について伺います。

川崎港利用促進コンテナ貨物補助制度についてです。

予算額は2011年度の制度導入時2千万円から新年度は1億8千万円に、5年間で9倍に膨れ上がりました。1FEUあたり5千円を市が補助する制度です。

2014年度のコンテナ取扱量7万4705TEUに対し、コンテナ補助制度の対象取扱量は2万FEUで、TEU換算で4万個でした。新年度の補助対象取扱量の見込量は3万4千FEUで、TEU換算で6万8千個、2014年度のコンテナ取扱量を基準にすれば、その大半に補助が付くということになります。コンテナ取扱量が3年連続で3割増加する見込みとされていますが、市の補助金も際限なく増えていきます。

荷主・船会社にとって本当に川崎港を利用したいというニーズがあるならば、補助金なしでもコンテナ取扱量は増えるのではないでしょうか。際限なく予算が増え続けるコンテナ補助制度は廃止・見直しを検討すべきです。伺います。

以上で質問を終わります。